December 01 2015, No.628
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
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 ▽フロム・エディター
 ▼「利物浦日記2001」(9)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.628です。
今日から師走。年末年始にかけてのこの時期は、いつもなら個人旅行のクライア
ントのためにツアーや鉄道の手配にあくせくとしているはずなのですが、今年は
びっくりするくらいヒマです。することがなくて、ネコを抱いたままぼ~っとし
ている間に気がつけば1日が終わっている…ということも珍しくありません。お
そろしく静かな毎日で、水槽の金魚たちの話し声も聴こえてきそうなくらいです。

パリで起きた大きなテロ事件が原因で、ヨーロッパを旅行しようという人が、と
ても少なくなっているのでしょう。スカウスハウスではロンドンとリヴァプール
でのビートルズ・ツアーをアレンジしているのですが、事件までに入っていた予
約は、みんなきれいにキャンセルになってしまいました。

ロンドンのスタッフに尋ねてみたところ、やはり「日本人旅行者は例年よりは少
ない印象」とのことでした。ロンドンの街自体は、「警察官の姿は増えているよ
うな気はするけれど、でも普段とそんなに変わらない感じ」だそうです。
それはまあ、そうですよね。ロンドンはもちろんパリだって、そこに住む人々に
とっては自分たちの街であり、テロがあったからといって日常の生活がなくなる
わけではないのです。いや、ああいう事件が起きたからこそ、日常の生活をキー
プすることが大切なのかもしれませんね。

パリの街はにぎわいを取り戻しつつあるようです。「ほぼ普段どおり」という報
道もありました。昨日から始まった「COP21」も、きっと何事もなく、あと10日
間のスケジュールが無事に消化されて行くことでしょう(中身も実りのあるもの
になるといいですね)。
僕の仕事のほうも、数日前から旅行の問い合わせもちらほらと入りだして、もし
かするとこれから忙しくなるかな…とちょっと期待しています。

僕が大好きな、ボブ・ディランの歌「ライセンス・トゥ・キル」の一節を。
ディランが1983年に発表したアルバム『インフィデル』に収録されています
(1984年のライヴ・アルバム『リアル・ライヴ』にも)。

おれの近所に住んでいるひとりの女/夜が更けるにまかせてそこに座っている/
そして言う/いったい誰が人間から/殺す免許を取り上げてくれるの?

パリも心配ですが、大規模な空爆攻撃にさらされているシリアの人々のことを思
うと、心が痛みます。

                         ― Kaz(01/12/2015)


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▼「利物浦日記2001」(9)
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「利物浦日記2001~インターナショナル・ビートル・ウィーク2001
/Kazのリヴァプール滞在記」(再録)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo628.html ≫

【8月27日(月)】  ミニツアー、洗濯、そして静かなフェスティバル

カセドラル・パークに戻った。レセプションで確認すると、ランドリーは空いて
いると言う。部屋からたくさんの洗濯ものを持って行って、放り込む。
洗濯代は、1.40ポンド。洗濯が終わるまでの間、明日の引越しに備えて部屋で
荷作りをした。
洗濯が終わると、次は乾燥機を使わせてもらう。こちらは50ペンス。
乾燥には45分くらいかかるので、その間、僕の「ローカル」、イー・クラックで
ビターを呑んで待つことにした。

イー・クラックは客は少なかったが、ポールは相変わらずご機嫌のようだった。
巨体をスイングさせながら仕事をしている。ランチョンの礼を言って日本酒をプ
レゼントすると、「ファンタスティック!」を連発しながら、嬉しそうに棚に
飾ってくれた。その場で蓋を開けてぐびぐび飲みはじめるスティーヴンとはえら
い違いだ。

日当たりの良い窓際の席に座って、ひとりでのんびりとケインズを呑む。
もう1時を回っていたが、まだお腹は全然空いていない。マリオットの豪華な朝
食のおかげだ。
店内は静かで、控えめなヴォリュームでBGMが鳴っていた。
となりのとなりのテーブルでは、黒人のちょっとカッコいい兄ちゃんが、僕と同
じようにひとりでぼんやりビールを呑んでいた。
「やあ。どっから来たんだい?」と、彼。
「やあ。日本からだよ。あんたは?」と、僕。
お互いに、それぞれのパイント・グラスを持って中間のテーブルにスライドする。

「今はロンドンに住んでるんだけどな、俺はスカウサーだよ。リヴァプール人だ。
 母親は今もこの街に住んでるし。ところで君、今日はフェスティバルの日だぜ。
 知らないのか?」
「知ってる」
「じゃあ、こんなところで何してる?」
「はは、僕は観光じゃなくて、仕事で来てるんだ。ツアー・コーディネイターみ
 たいなもんなんだよ。だからいいんだ」
「ツアー・コーディネイター?」
「そう、日本から来たお客さんたちの世話をしている」
「んん?? …ますますわからんぞ。そのお客さん連中は今どうしてるんだ?」
「どうしてるって、フェスティバルを楽しんでるさ、きっと」
「おいおい、それじゃ尚更こんなとこでビール呑んでる場合じゃないんじゃない
 のか??」
「いや、いいんだ、全然。『今日はフェスティバルですから、どうぞご自由に楽
 しんでくださいね~』ってことでね」
「で、君はここでビールを呑んでるってわけか! わっはっはっは! こりゃ傑
 作だな! はーっはっはっは…」
「何が可笑しい?」
「ははは…可笑しいに決まってるじゃないか、こんなツアー・コーディネイター、
 見たことないぜ! 『勝手に楽しめ』って客を放ったらかしでビール呑んでる
 なんてな、あっはっはっはっ…まったく最高だ!」
「そんなに可笑しいかなあ…。これでもちゃんとやることはやってるんだよ」
「本当かあ?」
「本当さぁ! チケットの手配をしたり、ガイドをやったり、いろいろ忙しかっ
 たんだぜ」
「…へえ、そう。…くっくっくっ…」
「まるで信じてないな。そういうあんたこそ、ここで何してるんだ? フェス
 ティバルはいいのか?」
「ああいいんだ。今ここで友だちを待ってるんだけどな、なかなか来ないんだよ。
 やつは葬式に出た後でここに来ることになってるんだが、忘れちゃったのかな。
 まったくもう…」
「あははは。で、ひたすらビールを呑んでるわけだ、君も」
「へへへ、そう。しかし我々は正しいよな。そう思わないか? こんな日はこう
 いうふうに過ごすに限る。ここはベスト・プレイスだよな。静かで、リラック
 スできて…」
「それに、うまいビールもある」
「はっはっは、そうだ、うまいビール。おっと、空になってるな。ちょっと待っ
 ててくれ、買って来る。何がいい?」

…こんな調子で、とにかく、何を言ってもケタケタとよく笑う、面白い兄ちゃん
だった。
バカ話はそれからもしばらく続いたが、いつまでもこうやってヨッパライの相手
をしているわけにもいかないので、適当なところで切り上げることにした。まあ
自分もヨッパライではあるんだけれど。

「もう洗濯物の乾燥が出来てる頃だから、行かなくちゃ」と言うと彼は、「君は
洗濯もしてたのか! フェスティバルの日に! あーはっはっ!」と、また大笑
いした。
彼の名前は、アジといった。住所とメール・アドレスを交換して別れた。
「ロンドンに来ることがあったら、泊まりに来いよな、カズ」と、アジ。
「じゃあ来年行くよ。ほんとに行くからちゃんと覚えててくれよな、アジ」と、
僕。
こういうのって、ヴェリー・リヴァプールだ。この街では、誰とでもすぐに「メ
イト」になってしまう。

洗濯物を部屋に運ぶと、もう2時半になっていた。マージー河からの風に乗って、
ライヴ演奏の音が聞こえてくる。
さあて、そろそろフェスティバルを覗いてみるかな。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo628.html ≫


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▽スカウスハウス・ニュース
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スカウス・ハウスでは、以下のLFCマッチのチケットを確保しています。
ご希望の方メールで、お早めにお問い合わせください。メールタイトルは「LFC
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要枚数をお書きください。折り返しお返事いたします。

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NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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「今週のフォト・アルバム」では、ジョン・レノンが学生時代に通ったパブYe
Crackeの(最近の)写真を掲載しています。
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