December 15 2015, No.629
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
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今年最後のNLWです。
年末の発行はお休みすることにしました。次号・NLW No.630は、1月5日に発行
しますね。

…と書いてあらためて思ったのですが、2015年ももうすぐ終わりなんですよね。
びっくりというか、「なんにもしないうちに1年が終わってしまいそう」なことに、
ちょっと焦ってしまいます。あせってもどうにもならんのですけど。

…と書いてさらにあらためて思ったのですが、毎年おんなじようなことをここに
書いているような気がします。書かないまでも、毎年おんなじような気持ちで年
の瀬を過ごしているのは事実で、まあ、いっこも成長してないってことになるん
でしょうね。しょうがないなあ、おれ。

みなさんにとってはどんな2015年だったでしょうか。

● ● ●

昨年に続いて、芥川龍之介「侏儒の言葉」からいくつか引いて、1年の締めくく
りにしたいと思います。ご存じのかたはご存じですが(あたりまえか)、大正時
代の文章なんですよ、これ。

 弁護
 他人を弁護するよりも自己を弁護するのは困難である。疑うものは弁護士を見
 よ。

 自然
 我我の自然を愛する所以(ゆえん)は、――少なくともその所以の一つは自然
 は我我人間のように妬(ねた)んだり欺(あざむ)いたりしないからである。

 処世術
 最も賢い処世術は社会的因襲を軽蔑しながら、しかも社会的因襲と矛盾せぬ生
 活をすることである。

 理性
 理性のわたしに教えたものは畢竟(ひっきょう)理性の無力だった。

 芸術
 最も困難な芸術は自由に人生を送ることである。尤(もっと)も「自由に」と
 云う意味は必ずしも厚顔にと云う意味ではない。

● ● ●

読者のみなさん、今年1年間の購読をありがとうございました。
2016年もどうぞよろしくお願いします。おたがいがんばりましょう!
どうぞよいお年を。

                         ― Kaz(15/12/2015)


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▼「利物浦日記2001」(10)
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「利物浦日記2001~インターナショナル・ビートル・ウィーク2001
/Kazのリヴァプール滞在記」(再録)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo629.html ≫

【8月27日(月)】  ミニツアー、洗濯、そして静かなフェスティバル

「マシュー・ストリート・フェスティバル」は、マシュー・ストリートだけで開
催されるわけではない。
リヴァプールの街をあげての1大イヴェントだ。
最終日の今日は、街の中心部の6ヶ所に大きな野外ステージがセットされ、さら
に、そこらじゅうのパブやレストラン(36ヶ所)の内外でライヴ演奏が繰り広げ
られる。
中心エリア内の車の通行は制限され、そこに20万人以上ものオーディエンスが
押し寄せる。世界中からやって来る観光客はもちろん、地元の人もずいぶん多い。
街と人と音楽が見事なハーモニーを奏でるその様子は圧巻で、まさに「世界最大
のストリート・フェス」の呼び名に相応しい光景となる。

ボールド・ストリートを抜けて、リヴァプールで1番の目抜き通りであるチャー
チ・ストリートに入る。
ちょうどこの辺りから、だんだんと人間の洪水が形成されて行く。若いカップル
や親子連れ、お年寄のカップルなどが、わいわいと楽しそうに行き来している。
ジョン・ムーアさんの銅像がある辺りで、4人組の少女たちのグループとすれ
違った。みんなで大笑いしながら、声を合わせて「ヘイ・ベイビー」(昔リンゴ
がカヴァーしたことのある歌だ。オリジナルが誰なのかは知らない)の、サビの
ところを歌っている。
♪ ヘェ~~~イ、ヘェイベイベッッ! …ウッ! ウッ!…… ♪
「ウッ! ウッ!」というところがとてもカワイイ。

とりあえず、マシュー・ストリートへ向かった。
この狭い通りの混雑ぶりはそれはもう見事なので、毎年のことではあるが、やは
りいちおうは端から端まで、人波に揉まれながら歩いておきたい。
行ってみると、通りはやはり人で埋まっていた。しかしぎゅうぎゅうで進めない
というほどではなく、ゆっくりとではあるが、ちゃんと人波は動いている。
そういえば通りの入口付近には、道幅を狭めるような形で小さな柵が置かれてい
て、さりげなく人の進入を規制していた。それがうまく行っているのだろう。

この通りにはバーやパブやクラブがずらりと並んでいて、そのほとんどでライヴ
演奏が行なわれている。
いくつかの店は壁をとっぱらっていて、元気いっぱいのサウンドを通りに響かせ
ている。そのひとつ「ラバーソウル・オイスター・バー」の店内を歩きながら覗
くと、店内は身動き出来ないほどぎっしり満員だった。でもここの程度はまだ良
い方だ。地下にある「キャヴァーン・クラブ」や「アビーロード・パブ」、「キャ
ヴァーン・パブ」なんて、換気が悪いので1日中サウナ状態になる。暑いわ息苦
しいはカメラのレンズは曇るはで、そりゃもうたいへんだ。でも観る方はまだい
い。演奏する方は、ただでさえ過酷な演奏条件だというのに、目の前のぎんぎん
にエキサイトしたオーディエンスに煽りに煽られ、どこまでもどこまでもハイテ
ンションで突っ走って行ってしまったりするのだ。酸欠状態になりながら。

まあでもきっと、その瞬間こそが、バンドにとってもオーディエンスにとっても
至福の時であり、このフェスティバルの醍醐味なんだろうなと思う。こんなに
「アツい」空間って、ちょっとないだろうなあと思う。
…とは言うものの、今年は店の中には入らなかった。
今年はバンドのブッキングはやらなかったので仕事として入る必要がなかったの
と、客としても観るにしても、おしあいへしあいしながら汗だくになって観るだ
けの元気がなかったからだ。もうトシだし。

ホット・ドッグを食べながら、ヴィクトリア・ストリートとキャッスル・スト
リートのステージを数曲ずつ観て、チヴァッセ・パークに向かった。
毎年、この日のチヴァッセ・パークでは「ファン・フェア(移動遊園地)」が開
かれる。メリー・ゴーランドやその他の大きな乗り物(結構コワそうなものもあ
る)がずらりと並び、子供たちは大喜びだ。
その中心に野外ステージが組まれていて、そこではちょうど日本のバンド「パ
ロッツ」が演奏していた。

丘のてっぺんでひなたぼっこをしている地元の人たちに混じって腰をおろし、ア
イスクリームを舐めながら、少しの間ぼんやりと景色を眺めた。
白い空、マージー河のきらめき、遠くに見える大聖堂、大きなぬいぐるみを持っ
た親子連れ、乗り物の効果音、大はしゃぎする子供たちの歓声、バンドの演奏、
周りの人の話し声、発電機のうなる音…。
まるで絵に描いたような「フェスティバル・デイ」だな、と思った。
あまりにもイノセントでピースフルな光景。なんだか古いアルバムを懐かしみな
がら眺めているような気分だった。

絶え間なく続く喧騒が、だんだんとフェイド・アウトして行った。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo629.html ≫


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「今週のフォト・アルバム」では、『利物浦日記2001』に出てくるチヴァッセ・
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