July 26 2016, No.645
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
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 ▽フロム・エディター
 ▼連載:「おぼえがき:ビートルズ来日50周年inリヴァプール」(2)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.645です。
珍しく2週連続での発行&配信となったのには理由があります。連載の「おぼえ
がき:ビートルズ来日50周年inリヴァプール」が終わる前に《インターナショ
ナル・ビートルウィーク2016》が始まってしまいそうで、もしそうなると、僕の
頭の中にある6~7月のイヴェントの記憶が上書きされて消えてしまうかも、と
いう恐怖から、「まだ憶えているいまのうちに書いておかなければ!」となった
わけなのです。

早いもので、リヴァプールでビートルズの来日50周年を祝ってから、もう4週
間になります。すでにいろんなことが頭から抜け落ちていっておりますが、でき
るだけ詳しく書き残しておきたいなあと思っています。だって、ほんとうに特別
なイヴェントだったんだから。
今週は「マジカル・ミステリー・ツアー」を貸し切りで提供してもらったお話で
す。写真も少し紹介していますので、ぜひご覧ください。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo645.html 

そしてビートルウィークにも、あと4週間となりました。
これからいろんなことがバババ~っと決まって行きます。いいフェスティヴァル
になるようがんばります。
スカウスハウス・ツアーの募集はいちおう締めきっておりますが、もしも「これ
から参加したい」というかたがいらっしゃいましたら、お早めにご相談ください。
 http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2016.html 

                         ― Kaz(26/07/2016)


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▼連載:「おぼえがき:ビートルズ来日50周年inリヴァプール」(2)
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「おぼえがき:ビートルズ来日50周年inリヴァプール」 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo645.html ≫

<6月30日(木)>

3時40分にハード・デイズ・ナイト・ホテルのロビーに再集合。これから「マ
ジカル・ミステリー・ツアー」である。
毎日運行のリヴァプールの名物ツアーだけど、我々専用の貸し切りでツアーを
やってくれることになった。それだけではない。タウン・ホールから一緒だった
キャヴァーンの有名DJニールがツアーガイドで、キャヴァーンのダイレクター
のひとり、レイさんがドライヴァーを務めてくれるという特別待遇。ええんかい
な。

スカウスハウス&909チームのためのツアーなので、通常のツアールートにこだ
わる必要はなく、融通をきかせてもらうことができる。909のリーダー、マサキ
さんから、「ペニー・レーンを歩きたい」という要望があったので、ラウンドア
バウトで全員下車。少しだけだけど歩いて案内をする。交通量が多くてあぶない
ので、普段のマジカル・ミステリー・ツアーでは絶対にバスを降りることはない。
でもそりゃあやっぱり、ここは歩いてみたい場所だよね。

ウールトンのチャーチ・ロード、セント・ピーターズ教会に近づいているとき、
バスの中でニールが僕に訊く。
「カズ、どうする? 降りるか? 時間があまりないから、ここで降りたら
ポールの家をカットすることになるけど…」
「そりゃ降りるよ」と答えたちょうどそのとき、チャーチの管理人、グラハムさ
んの姿が見えた。教会から教会ホールのほうへ歩いて下りてくる。
「ニール、見ろ! グラハムだ!」
「ほんとだ!」
「ホールに入れてもらおう!」
「よっしゃ!」

レイさんがバスを停めて、全員急いでバスを降りてチャーチ・ホールへ。
グラハムさんはホールの駐車場から車に乗って、まさに帰ろうとしていところ
だった。
僕が手を振ると、グラハムさんは驚いて車を止めた。ニールがすぐさま交渉し
て、「5分だけ」という条件でホールの鍵を開けてもらうことになった。さすが
グラハムさんである。

セント・ピーターズ教会は、ジョン・レノンとポール・マッカートニーが出会っ
た場所である。1957年7月6日、土曜日のことだ。
教会の庭で開かれたお祭りでジョンのバンド、クォリーメンが演奏し、それを共
通の友人、アイヴァン・ヴォーンに連れられて観に来たのがポールだった。
夜の部の演奏はチャーチ・ロードをはさんで向かいにある教会ホールで行われ、
その際にジョンとポールは初めて面と向かって話をした。
ポールは持参のギターを弾きながら「トゥエンティ・フライト・ロック」などを
歌い、ジョンを驚愕させた。何に驚いたか。歌詞をちゃんと憶えているとかギ
ターのチューニングのやり方を知っているといったしょうもない…じゃなかった、
初歩的なテクニックを目の当たりにして、「ぬぬぬ、おぬし、やるな」となった
というのがジョンの弁なのだけど、おそらくジョンは、目の前にいる15歳に
なったばかりの少年ではなく、未来のスターの姿を見ちゃったのである。ポール
にしても同じで、16歳と9ヶ月の酒臭いチンピラっぽい兄ちゃんの中に、カリ
スマを感じたからこそ、クォリーメンに入りたいと望んだのだ。

というわけで、音楽史、というより世界史的に重要な場所といってもいいのが、
ここセント・ピーターズ教会のチャーチ・ホール。その中に、我々はいる。
ホールのステージは2002年(だったかな)に取り外され、一部がミュージアム・
オブ・リヴァプールに展示されている。
ジョンとポールが初めて会った場所は、ステージ端のステップのそばだと言われ
ている。
ステージは今はないが、壁に残る痕跡をニールが示し、「ここがまさにその場所
だ」と運命の邂逅の現場を特定。25人全員が59年前のジョンとポールの姿に思
いをはせた。あの日ジョンとポールがここで出会ったからこそ、きょう、今、
われわれはここにいるのだ。

なんのかんのと結局15分以上も滞在してしまったが、心やさしいグラハムさん
は嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれた。トイレも快く使わせてくれた。ほんと
うにありがたい。
グラハムさんは、「じゃあカズ、また8月に」と言って、見送ってくれた。
来月・8月に行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」にも、僕はバ
ンドを連れてくる。ガイドツアーの際に、ここセント・ピーターズ教会に必ず
立ち寄るのだ。去年のバンドはなんと、ジョンとポールが出会った場所で1曲演
奏させてもらうことができた。あれはほんとにスペシャルな体験だったなあ…グ
ラハムさん、ありがとう!

チャーチホールを出たら、教会のほうには行かずにすぐにバスに乗るつもりだっ
た。なにしろ時間がない。
ニールと僕で、みんなをバスに乗せようとしたのだが、先を歩いていた何人かが
バスを素通りして、チャーチのほうへ向かっている。
「ヘイ、こっちだ。バスに乗ってくれ!」
と叫んだニールが、あっという顔をした。なんと、ドライヴァーを務めていたレ
イさんがその先にいて、お客さんを誘導していたのだ。
「あれ? 入らないのか? すまん」とレイさん。
「……ま、まあいいか、入ろっか、カズ」とニール。
「オッケーオッケー」と僕。

しかし時間がないので、エリナー・リグビーのお墓だけの案内にとどめることに。
ジョージおじさんのお墓やファーザー・マッケンジーのお墓もカット…ごめんね、
みなさん。また来てください。

そして次は、説明不要のメモリアル・プレイス、ストロベリー・フィールド。
ここはいつ来ても俗世から切り離された気持ちになる。
少し雨が降り出してきたが、それがまたなんとも言えない情緒を醸し出している。
…などと、しみじみと空気を味わいたいところではあったのだけど、なにしろ時
間がない、みんなでババババッと写真を撮りあって、バスに戻った。ほんの5~
6分の滞在だった。ええんかいな。

バスが発車して、ニールが時計を見ている。
「どうする、ニール? もう街に戻る?」と訊くと、「いや、だいじょうぶだ」
との答え。ツアーは続く。

ジョン・レノンの家・メンディップスの前でバスを停めて、車内で説明。現在隣
の家が売りに出ていて、なかなか売れなくて値下げになったそうだ。いくらだっ
たか忘れちゃったけど…。

そして最後の訪問スポット、フォースリン・ロードのポールの家へ。
ここは通常通りバスを降りて、家の前までみなさんを案内。無事に終わってバス
に乗り、シティ・センターに戻る。雨がだんだんと強くなってきた。

午後5時50分ごろにハード・デイズ・ナイト・ホテル到着。ツアー終了。ちょ
うど2時間のマジカル・ミステリー・ツアーだった。
セント・ピーターズ教会のホールに入ることができたのは超ラッキーだったし、
ジョンの家もポールの家もカットしなくて済んだのだから。レイさんとニールの
仕事はすばらしかったと言っていいと思う。
バスの前でみんなを並ばせて、ニールが記念撮影。この写真はキャヴァーンの
Facebookやニュースレターに掲載された。

ちなみにだけれど、大急ぎでツアーを終わらせなければならなかったのは、実は
ニールの都合だった。
彼の10歳の息子を、スイミング・スクールに迎えに行く用事があったからなの
だ。ちびニールは和太鼓も習っているそうだ。
ニールはうちのチビの面倒もよくみてくれる。僕なんかよりよっぽど子煩悩な
のである。

(つづく)

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