November 29 2016, No.656
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2016」(2)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▽フロム・エディター
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

3週間ぶりのNLWです。みなさんお元気ですか?
11月20日の神戸マラソン、なんとか完走できましたよ!
いやあほんっとにキツい42.195キロメートルでした。覚悟はしていたつもり
だったけど、ぜんぜん足りませんでした、覚悟。前回の姫路城マラソンより数倍
苦しかったような気がします(単に姫路の苦しさを忘れてしまっているだけかも
しれないけれど…)。

姫路とのいちばんの違いは、レースの規模でした。参加ランナーの数がなんと2
万人です。姫路の3倍以上! …とすれば当然のことなんでしょうけど、スター
トからゴールまで、ず~~っと集団ランニングでした。

これが想像以上に走りにくくて、特に最初の10キロくらいは圧迫感を覚えるほ
どの団子状態。しかも異常なくらいゆったりスローなペースだったので、ほんと
うに困りました。あとから考えたらそこで無理するべきではなかったのですが、
「こんなところで埋もれていられない」という焦りから、ついつい前に出ようと
してしまったのが大失敗。常にきょろきょろ周りをチェックして、通り抜けられ
るコースを見つけると素早くスプリントし、前につっかえるとブレーキをかける。
その作業をえんえんと繰り返しているうちに、気がつくと僕の脚は取り返しがつ
かないくらいにダメージを受けてしまっていたのです。

「あ、これはやばいかも」と気がついたときには完全に手遅れでした。10キロの
時点でもう20キロ以上走ったような疲労状態。20キロで足先がひどい痛みを訴
え、35キロで左ひざが言うことをきかなくなってしまいました。そこからはほ
んとに必死のランニングです。心の中であらゆるものに悪態をつきながら(もち
ろん僕自身にも)、とにかく脚を前に出しました。よく言われる「ランナーズ・
ハイ」なんてものは僕には縁がないようで、ついぞお目にかかったことがありま
せん。ひたすら辛い、ひたすら苦しいだけの時間に耐えて走り続けて、どうにか
こうにかゴールにたどり着きました。長かったぁ~~。

姫路もそうでしたが、神戸マラソンのオーガナイズも素晴らしかったです。
沿道での応援もやはり感動的でした。ボランティアのみなさんにもほんとうに感
謝です。応援に駈けつけてくださった野口みずきさんや有森裕子さん(ラストの
直線でのハイタッチに感激!)にもたくさんの元気をいただきました。
そうそう、僕はリヴァプールFCのユニフォームを着て走ったのですが、いろん
な人に声を掛けてもらえて嬉しかったです。
6~7年前の古いユニフォームだし、胸のロゴ(カールスバーグ)はゼッケンで
かくれてるし、左胸のLFCエンブレムは沿道から見て遠いほうにあるし、そもそ
も一瞬で通り過ぎちゃうというのに、パッと見て「リヴァプーーーール!!」っ
て叫んでくれるのです。ヴィッセル神戸のホーム、ウイングスタジアムの近くで
は、僕の姿を見た瞬間にリヴァプールの応援チャントを歌ってくれた人がいまし
た。大感動、大感激でしたよ。ありがとう!

走っているときには思いっきり後悔していた神戸マラソン。「もうマラソンはこ
りごり。姫路も走りたくない!」と何度心の中で叫んだことか…。
でも、やっぱり走ってよかったなと思っています。
目標タイムには遠く及ばなかったけれど、前回の記録を2分半ほど上書きできた
(ちっちゃい更新だなぁ)のも、結果オーライ。1週間が過ぎた今では、「来年
の姫路でリベンジだぁ!」とか思っちゃってる自分が不思議です…おめでたい、
というべきか。

まだ両足の親指は仲良く内出血してるし(ツメ真っ黒!)、膝も足首もかかとも
痛いし、喉もヒリヒリしてるしで、ジョギングすらいつ開始できるかわからない
状態なんだけど、でもまあ、あと3ヶ月あるから、きっとだいじょうぶでしょう。
2月26日の姫路城マラソン、がんばるぞ~!

                         ― Kaz(29/11/2016)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2016」(2)
――――――――――――――――――――――――――――――――― NLW □

「おぼえがき:ビートルウィーク2016」 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo656.html ≫

<8月25日(木)>

マンチェスター空港、ターミナル3。
フクスケの乗ったBA便は10分ほど到着が遅れていた。到着ゲートの前にあるカ
フェでカプチーノを飲みながら待つが、到着後30分経っても誰も出てこない。
もうひとつの東京のバンド、リヴァプール・ガイズは17時ターミナル1に到着
しているはずだ。もう5時半だから、ゲートを出ているかもしれない。
迷ったが、とりあえずターミナル1へ走る。5分もあれば移動できる距離なのだ。

ターミナル1の到着ゲート。リヴァプール・ガイズのフライトは先ほど到着した
ようで、バゲージ・クレーム中だった。やれやれ、こっちも遅れている。
外に出て、手配していたチャーターバスをキャッチ。ドライヴァーにフライトの
遅れを伝えて、待機場所を確認。雨が降り出している。

18時ごろ、ようやくリヴァプール・ガイズが姿を見せた。ほぼ同時に電話が鳴
る。フクスケのバンマス、ヨシタケさんからだ。メンバーのヨシダさんのギター
がロスト・バゲージに遭ったためにアライヴァル・ゲートを出てくるのが遅く
なってしまったとのこと。そこで待つように言って、ターミナル3へ走る。

フクスケのメンバー4人をターミナル3から1へ引率。雨はけっこう激しくなっ
ている。
やっと全員が揃い、チャーターバスにリヴァプール・ガイズ&フクスケ一行とた
くさんの荷物を載せてリヴァプールに出発。18時半。予定より1時間も遅れてい
る。
それぞれの宿泊先であるホテルや学生寮にチェックインしてから「カスバクラブ・
ツアー」の予定だったが、時間がない。カスバクラブに直接向かうことにした。
リヴァプールで待っているスタッフのさおりちゃんに連絡。
ここでひとつ問題発生。ひとりだけ前日に到着しているフクスケのモリヤマさん
と連絡が取れないのだ。

● ● ●

19時半。小雨の中、カスバクラブ到着。さおりちゃん&スカウスハウス・ツアー
のお客さんもちょうど着いたところだった。撮影に来ると言っていたキャヴァー
ンの専属カメラマン、アランの姿がない。まあいいや。ビートルズのオリジナル・
メンバーだったピート・ベストの弟・ローグが笑顔で迎えてくれた。

20時半。カスバクラブ・ツアー終了。きょうのガイドはローグ・ジュニアだった。
ローグの息子だ。去年まではさわやか系なルックスだったのに、今年はまるで
チェ・ゲバラのようなあごひげ姿である。似合ってるんだか似合ってないんだか。
よく見るとお腹まわりもかなり立派になっている。まだ20代だというのにおじ
さん化が急速に進んでいるぞ。

カスバ・クラブは、ビートルズがビートルズになる前、まだクォリーメンと名
乗っていたころにオープンしたライヴハウスである。ジョン、ポール、ジョージ
はそのときに壁や天井のペインティングを担当。その後オーナーのモナ・ベスト
の息子・ピートを加えてビートルズとなった彼らはハンブルグで飛躍的な成長を
遂げ、リヴァプールへ戻るとこのカスバをホーム・グラウンドとして活動。マー
ジーサイドで指折りのビート・グループとなって行った。
…という伝説のヒストリーを、まさにそれが起きた場所で体験できるのがカスバ
クラブ・ツアーのスペシャルなところである。ビートルズが使っていたピアノや
アンプやマイクまで残っているのだ。

ローグ・ジュニア(ガイド)&さおりちゃん(通訳)というコンビでのツアーは
およそ1時間で無事終了。
そのあとはなんと、デビュー前のビートルズが演奏していた「スパイダー・ルー
ム」でリヴァプール・ガイズとフクスケが数曲ずつ演奏する。繰り返すが、ビー
トルズが実際に演奏していた伝説のステージである。ビートルズ・バンドにとっ
てはまさに夢のような瞬間…。

しかし残念ながら、僕だけは彼らの演奏を聴くことができない。これからもうひ
と組のバンド、ファブリック一行をマンチェスター空港に迎えに行かなければな
らないのだ。
ローグに呼んでもらったタクシーに乗って、マンチェスター空港へ急いだ。

● ● ●

21時20分。思ったより早くマンチェスター空港ターミナル3に到着。ファブ
リックのフライトは定刻通りの運行のようだ。21時半到着だが、アライヴァル・
ゲートを出てくるのは22時ごろだろう。この隙に晩ごはんを食べておこう。
ターミナル1のレストランJoe's Kitchenでライム&レッド・チリ・カラマーリ
を注文。イカフライだ。もちろんパイント・オブ・ビターも。

22時前にターミナル1に戻ってファブリックが出てくるのを待つ。なかなか出
てこない。チャーターバスのドライヴァーが様子を見に来た。夕方と同じジョン
さんだった。
「やあジョン、またあんたが担当なんだ」
「おおカズ、お前どうやって来たんだ?」
「タクシーだよ」
「莫迦だな、俺に言えば連れて来てやったのに」
「はは、タダで?」
「なわけないだろ」
「じゃあ意味ないじゃん!」
「で、フライトは?」
「オンタイム。ヒースローから飛んで9時半着だから、もう出て来ていいはずな
んだけど」
「そうだな、遅いな」

そこで電話が鳴った。ファブリックからだった。経由地での出発が大幅に遅れて、
ヒースロー発の便に乗れなかったとのこと。
「え? てことは今はロンドン??」
「はい、まだヒースローの中です」
「………」
「明日早朝の便でマンチェスターに飛ぶことになりました」
「………」

電話を切って、ジョンに言う。
「今ロンドンだって」
「は?」
「乗ってなかったんだ。出てこないはずだよ」
「??」
「明日来るって」
「………」
「…ごめん、ジョン。僕ひとりで悪いけどリヴァプールまで送ってくれる?」

がっかりするジョン。僕もがっくり。完全な無駄足だ。我々は何しにここに来た
んだ…もっと早く連絡してくれよお。
もうかれこれ10年くらいバンドの空港送迎をやっているけれど、楽器や荷物が
届かないことはこれまでもちょくちょくあった。今日だってフクスケのヨシダさ
んのギターが出てこなかった。でも、人間がゲートを出てこなかったのは初めて
のことである。やれやれ。

16シートもあるバスにジョンと2人ぽっちで乗る。外は真っ暗だ。ジョンの真
後ろの席に座って、お互いのことを話しながらのドライヴ。2人とも言葉の端々
に疲れがにじみ出ている。
さおりちゃんに電話をすると、なんとまだカスバにいた。ローグに呼んでもらっ
たタクシーで順次帰路に着いているということだった。それじゃあとアデルフィ
で落ち合うことにした。
僕がカスバを後にしてからもう2時間が経っている。リヴァプール・ガイズとフ
クスケは何曲演奏したんだ??

● ● ●

23時すぎにアデルフィ・ホテル到着。ちょうどさおりちゃんとフクスケもカス
バから着いたところだった。タクシーに入りきらなかった楽器や荷物はローグ&
ローグ・ジュニアがベスト家の車で運んでくれた。ありがたい。リヴァプール・
ガイズも彼らのホテルに戻ったとのこと。

これからフクスケはバンド宿泊所である学生寮にチェックインするのだが、先乗
りしているモリヤマさんとはまだ連絡が取れていない。
部屋で寝ているのか、バンドやカスバのことをすっかり忘れてどこかで楽しんで
いるのか、あるいは何かよからぬ事件にでも巻き込まれて……。
僕とさおりちゃんで学生寮のセキュリティ・スタッフに掛け合い、モリヤマさん
の部屋に連れて行ってもらった。

セキュリティがドアをノック。ドンドンドン! 返事がない。ドンドンドン! 
反応なし。3回目のドンドンドン!!
今度は反応があった。中から「ふはい」と声がして、ガチャリとドアが開いた。
モリヤマさんだ。焦点の合わない目をこすりながら、なにがどうなっているのか
わからない、という表情で立っている。やっぱり寝てた…。

というわけで、やっとフクスケ全員がチェックイン。もうほとんど12時である。
やれやれ。長い1日だったなあ。さおりちゃん、おつかれさま。
雨はいつの間にか止んでいた。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo656.html ≫


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▽スカウスハウス・ニュース
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** リヴァプール現地ガイドツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの個人旅行をサポートしています。
15年目となったロンドンとリヴァプールの「ビートルズ・ツアー」はいずれも
大好評。
「リヴァプール・ビートルズ・ツアー」は、名所観光とランチをプラスして
「ビートルズツアー+ランチ&名所観光」にすることも可能です。また、「伝説
のカスバクラブ・ツアー」や、2つの「現地英語ツアー(Magical
Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」など、旅行スケジュールや
マニア度に応じたオプションも用意しています。
詳しくはそれぞれの案内ページをご覧ください。

ロンドン・ビートルズ・ツアー
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm

リヴァプール・ビートルズ・ツアー
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html


*** スカウスハウス通販 ******

スカウスハウス通販「リヴァプールみやげ2015」では、昨年リヴァプールで仕
入れてきたグッズを集めています(一部例外あり)。
Beatleweek関連商品やSteven Gerrard関連本など、ちょっとレアでマニアック
なものばかりです。オーダーをいただけるとうれしいです!
 http://scousehouse.net/shop/2015mo.html

ビートルズをはじめとする「英国盤レコード」の通販はこちらから。
リヴァプールで仕入れたレコードたちです。オーダーをいただけるとうれしいで
す!
 http://scousehouse.net/shop/records2015.html


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをアレ
ンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページをご
覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演奏
する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアーをアレン
ジしています。ロンドンには「ポールゆかりのレストランでランチ」という新企
画も登場。ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧くだ
さい。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▼今週のフォト
――――――――――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** 今週のフォト・アルバム ******

「今週のフォト・アルバム」では、連載「おぼえがき:ビートルウィーク2016」
の写真を紹介しています。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo656.html 


■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第656号 ■□

◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
◇編集 山本 和雄
◆Eメール info@scousehouse.net
◇ウェブサイト http://scousehouse.net/
◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net
◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html

ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。配信
の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。

◆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000065878.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2016 Scouse House