January 09 2018, No.682
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2018年1月9日>
 ▽「ビリ講」アーカイブ
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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2018年です!

ビートルズ界(ってなんだ?)では年末年始、おめでたい出来事がありました。
そうです、リンゴ・スターの「ナイト」爵位叙勲のニュースです。

ポールがナイトになってから21年。ついにリンゴも「サー」の称号をつけて呼
ばれるようになるのです。
「ポールの業績ってビートルズのも含まれるわけで、ビートルズの業績ってリン
ゴの仕事も含まれるわけだから、ポールだけ『サー』なのはおかしいだろ~!」
と、夜も眠れないほど憤っていたので(わざわざ断るまでもないけれど、ウソで
す)、個人的にはいいことだと思うし、多くのビートルズ・ファン、音楽ファン
にも祝福されているようですが、ことリヴァプールにおいては賛否両論、いや、
否定的な意見がどうしても目立ってしまっています。そう、リヴァプールではリ
ンゴはあまり人気がない…というか、かなり嫌われてしまっているのです。

ことの発端は2008年、リヴァプールが「ヨーロピアン・キャピタル・オブ・カ
ルチャー(欧州文化首都)」となった記念すべき年です。そのキックオフのビッ
グ・イヴェントに招かれて大観衆を前にライヴを行ったリンゴが、1週間後の
TV番でリヴァプールについては“missed nothing”と言ったと報じられたことで
スカウサーたちの怒りを買ってしまい、バッシング騒動にまで発展。それをずっ
と引きずって今にいたってしまっているわけです。2008年で2018年だから、あ
あ、もう10年も。

そのときのインタビューは、こんな感じだったようです。イギリスのTV番組
『ジョナサン・ロス・ショウ』で、インタビュアーは番組のホスト、ジョナサン・
ロス。2008年1月18日(金曜日)の放送です。

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ロス:リヴァプールについて恋しいと思うものは何でしょう。そこにいないとき
   に。

リンゴ:(笑う)

ロス:笑うようなことでは…リヴァプールについて恋しいと感じるものはありま
   すか?

リンゴ:え~と、ノーかな。あのね、僕はリヴァプールが大好き。リヴァプール
    にいたときは子どもで、リヴァプールで育った。リヴァプールには僕の
    ファミリーメンバーたちがいる。でもほら、ねえ…。(キャピタル・オ
    ブ・カルチャーのオープニング・セレモニーでは)まるで家に帰って来
    たみたいで、すごくエキサイトしたから、オーディエンスたちにはそれ
    を伝えずにいられなかった。とにかく先週末はあそこでグレイトな時間
    を持つことができたんだよ。うまくできたと思う。
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・・・と、いまちょっと調べてわかるやりとりはこれだけですが、う~ん、リン
ゴはやはり口下手というか、言葉足らずというか…。
リヴァプールの人々がムカっとするのはわかるけれど、バッシングするほどでは
ないと僕は思います。なぜならリンゴは、リヴァプールが嫌いと言っているわけ
ではなくて、たぶん、リヴァプール時代の自分が好きではないのです。そう言っ
ているように僕には思えます。
戦争から60年代までの、リヴァプールにとって最も過酷な時代、中でも最も
ハードボイルドな地域で生きたリンゴですから、つらいことや思い出したくない
こともたくさんあるに違いありません。

2008年リヴァプールの「08イヤー」のスタートにあわせるかのように、リンゴ
は最新アルバム『Liverpool 8』をリリース(「8」はリヴァプール8区の意味で
すが、見事なシンクロですよね)し、デイヴ・スチュワートと共作したタイトル・
チューンでは、「リヴァプールよ、オレは街を離れたけど、決して裏切ったりは
しないぜ」と歌っています。しかもその曲を実際にリヴァプールで、数万人の
オーディエンスの前で熱唱したのです(もちろんたいへんな盛り上がりでした)。
ライヴの前の記者会見や地元紙のインタヴューでも、リンゴはリヴァプールへの
愛着を率直に語っています。

それだけのことをしながら、些細なひと言をさらに曲解されて総スカンを食らっ
てしまうなんて、リンゴ自身がいちばんショックだったはず。
バッシングが起きて以来、リンゴはリヴァプールには帰っていないんじゃないか
なあ…溝はますます深くなるばかり。
誰か何とかしないと…ポールさん、そろそろ出番ですよ!

● ● ●

というわけで、今週は久しぶりに「リヴァプール・ニュース」を。
地元紙『リヴァプール・エコー』は報じた記事、「リンゴのナイトフッドに対す
るスカウサーの反応――まさに予想通り」の翻訳(Kaz版)をお届けします。

2008年のリンゴのリヴァプール訪問については、NLW No.327(2008年1月15日
発行)でけっこう詳しく掲載しています。こちらをどうぞ。
 http://scousehouse.net/magazine/magazine327.html 

「今週のフォト・アルバム」では、その2008年のリンゴの写真を。撮影はミナ
コさん。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo682.html 

● ● ●

2018年インターナショナル・ビートルウィーク観賞パッケージ「スカウスハウ
ス・ツアー2018」は、早ければ今週中にウェブサイトにアップします。お楽しみ
に!

                         ― Kaz(09/01/2018)


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▼リヴァプール・ニュース <2018年1月9日>
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*** 2017年12月30日(土) *******************************************

【サー・リンゴ vs スカウサー】

<リンゴのナイトフッドに対するスカウサーの反応――まさに予想通り>

ビートルズのドラマー、リンゴ・スターが、ナイト爵位(ナイトフッド)を授か
ることになった。しかし、彼の名前が新年の叙勲受章者名簿に含まれたことにつ
いて、スカウサーたちには言いたいことがたくさんあるようだ。

77歳のリンゴは、長年の音楽活動に対して「サー」の称号を得る。マージーサイ
ドのすべての人が彼に与えられる名誉を祝福するわけではないとしても。

リンゴは2011年(編注:実際は2008年)、彼の生まれた街について「恋しく思
うことはない」と発言して大きなバッシングを受けた。しかしその後、「傷つけ
てしまった人に謝ります。リヴァプールの街に住んでいる人に。他の街ではなく」
と謝罪した。
彼の本名はリチャード・スターキー。残された2人のメンバーのうちの一人であ
るビートルズのドラマーは、音楽界への貢献を認められて新年の叙勲受章者名簿
に掲載された。

ポール・マッカートニーや故ジョン・レノン、故ジョージ・ハリスンの影に隠れ
がちではあるけれど、リンゴは彼のジェネレーションで最も才能あるドラマーの
ひとりであるとされている。

「リヴァプール・エコー」の読者は、リンゴのナイト爵位受章のニュースを聞い
て、すぐにソーシャルメディア上に彼らの意見をアップしている。

スティーヴ・ノーブルはこう言っている。
「なんで? 彼が何をした? 生まれ故郷リヴァプールに対してなんにもしてな
いどころか、最後のコメントは控えめに言っても侮辱としか取れないだろう? 
ナイトフッドにふさわしいわけないじゃないか」

エレイン・カーダーはこう書いた。
「現実世界とはかけ離れた存在でしょ。私たちNHS(国民保健サーヴィス)のス
タッフやドクターやエマージェンシー・サーヴィスの従事者はホンモノのヒー
ローだし、よっぽどナイトフッドに見合うはずよ」

ケヴィン・バリーは別のアイデアを披露する。
「スピード・ミック(エヴァトニアンのチャリティ活動家)にナイトフッドを。
ずっとふさわしい」

スザンヌ・ガスケルも否定的だ。
「もっとふさわしい人はぜったいいる。彼は自分が生まれた土地のことを思い出
す必要があるわね。自分を育ててくれた街を」

ジーン・レディントンも厳しい。
「それに見合う何をしたっていうんでしょうね? 『機関車トーマス』のナレー
ションをやったからかな。彼のドラミングが理由ではありえないから」

少数ながら、こういった反対意見には同意せず、ナイトフッドにふさわしいとリ
ンゴを擁護する人もいる。

モーリーン・アイヤーズはこう言っている。
「彼はこの街を馬鹿にしたりしたことは一度もないわ。リヴァプールの生活が懐
かしくないかと訊かれて、ただシンプルに、正直に、ノーと答えただけじゃない」
「だってもう50年も住んでない場所なのよ。無理もないことでしょう。いつま
でも根に持つべきじゃないわ。リンゴはキャリアでたくさんのことを成し遂げて
きた。アメイジングな才能を持ったドラマーよ」
「この街で生まれた人がこんな栄誉にあずかるのは、私にとっても誇らしいこと。
ピース&ラヴ!」

マーク・ポターも同じく賛成する。
「みんな彼がこの街をヘイトしてる、この街に対して何もしてくれないって言う
けど、まるでわかってないよな。ザ・ビートルズのおかげでこの街がどれほど恩
恵を受けているか」
「彼はこの街を嫌いだとは決して言ってない。ただ単に、またここに住みたいと
は思わないと言っただけだ。あれほどのミリオネアがケンジントン地区の上2部
屋下2部屋の長屋に住みたいと思うほうがよっぽど異常だろうよ」

リンゴ自身は、こう短い声明を公表している。
「グレイト! 僕の音楽やチャリティ活動を尊重し認めてもらえたことは光栄だ
し、とても嬉しいこと。どちらも大切にしているから。ピース&ラヴ。リンゴ」

<Liverpool Echo>
Scousers react to Ringo Starr's knighthood - and it's exactly what you'd
Expect

By Emilia Bona
12:53, 30 DEC 2017


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▽「ビリ講」アーカイブ
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『THE BEATLESと英国リヴァプールを愉しむ』講座・アーカイブ ------------

【第30回(2017.12.13)】
テーマ:「1997年のポール・マッカートニー」第4回+ジョン・レノン追悼
 1997年のポール特集、最終回はポールのクラシック作品第2弾、『スタンディ
 ング・ストーン』がメイン。アルバムの後半を聴きつつ、10月にロンドンの
 ロイヤル・アルバート・ホールで行われたワールド・プレミアの模様をお話し
 しました(僕は現場で観賞しました。半分寝てたケド…)。そしてその2日後
 にHMVオックスフォード・サーカス店で行われたポールのサイン会のことも。
 後半はジョン・レノン追悼特集。ちょっと命日から日が経ってしまいましたが、
 やはり12月といえばジョン。やらないわけには行きません。意外な名作であ
 る編集盤『メンローヴ・アヴェニュー』のA面を試聴。ほんとうはみなさんに
 B面を聴いてほしかったんんだけど、時間の都合でどちらかだけ、にゃらばお
 いしいところはまた次回のお楽しみに…という引っ張り作戦です。

CD試聴:『PAUL McCARTNEY'S STANDING STONE』Paul McCartney
レコード試聴:『MENLOVE AVENUE』John Lennon
2次会:なし

<次回予告>
第31回講座(1月17日)の内容はまだ考えていません。何をしようかな??

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神戸元町・南京町の「よみうり文化センター」で、スカウスハウス代表・山本和
雄が講師を務める『THE BEATLESと英国リヴァプールを愉しむ』講座が開講中で
す。
毎月第1・第3水曜日の午後7時からの90分。本やインターネットでは知るこ
とのできないディープな内容ばかりですが、なぜかマニアにも初心者にも好評な
んですよね(自分で言うな)。蔵出し映像や貴重レコード音源も楽しめるのもお
トクです(プレイヤーとアンプ、新調しました)。講座のあとには二次会あり。

入会は随時受付中ですので、ご興味のあるかたはぜひお気軽にご参加ください。
お近くのかたも、お近くでないかたも、ぜひ!
 http://www.oybc.co.jp/event_kobe/detail_11519 

よみうり神戸文化センター作成のリーフレット画像はこちらから。
 http://scousehouse.net/ycc/2016autumn.html 


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▼スカウスハウス・ニュース
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*** 大好評! 現地ビートルズ・ツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートして
います。リヴァプールでは、17年目となった「リヴァプール・ビートルズ・ツ
アー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ&
名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー
(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も承
ります。
ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好評。
イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをアレ
ンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページをご
覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演奏
する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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*** 今週のフォト・アルバム ******

「今週のフォト・アルバム」では、2008年「ヨーロピアン・キャピタル・オブ・
カルチャー(欧州文化首都)」オープニング・イヴェントでのリンゴ・スターの
写真を。撮影はミナコ・ジャクソンさんです。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo682.html 


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       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第682号 ■□

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