October 30 2018, No.702
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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前号のこの欄で、ランニング練習のことを書きました。
あれから2週間、ほとんど休まずに(週末だけオフ)地道に体力・脚力づくりに
精をだして、なんとかランナーのカラダに仕上がりました(最低限だけど)。で、
やっとこさ昨日、レースに向けた練習にステップアップしたところです。

神戸マラソンまであと20日しかありません。もう、貯水池の外周をぬるぬると
走っている場合じゃない。ロードに出て特訓です。自分でアップダウンのある
コースを設定して走ります。ハードです。今のところは14~15キロですが、今
週中に20キロまで伸ばせるかな? 来週はさらに追い込んで走って、再来週は
疲労回復にあてて、18日の本番レースは自信満々で迎える……ことができたら
いいなあ。

夏からの体調不良や長雨や台風や秋まつりを言い訳にしてずるずると過ごしてい
るうちに、足腰はなまり切って、おなかはたるみ切ってしまって、そんなところ
から6週間でフルマラソンの準備をするというのは、かなりの突貫工事ではある
なあと、今さらながら実感しています。でも、今週と来週のトレーニングを故障
なく乗り切れれば、なんとかギリギリ間に合うはず。自己ベストを更新するぞ!

いつも思うんだけど、フルマラソンを走るということの意味というか価値は、本
番で42.195キロを走ることよりも、それに向けて自分で計画を立てて、自分自
身を調教してランナーのカラダに作り変えて、体力や脚力を限界まで鍛えて、身
体のコンディションを整えて、「やるだけのことはやったぞ」という気持ちを
持ってスタートラインに立つ。そこにこそあるんじゃないかと思います。
何も準備せずに偶然とかまぐれとかラッキーで42キロ走り切れる人はいないは
ず。神戸マラソンは2万人が参加しますが、2万人が2万とおりの準備をして
汗を流して、ひとかたならぬ覚悟を胸に、神戸に集結する。もちろん神戸に限ら
ずですが、スタートラインでは毎回、そのことに感動します。見知らぬ人ばかり
だけど、仲間のような親近感、同志のような連帯感。ウィー・アー・オール・
ウォーター。みんな、がんばろうぜ!

● ● ●

昨年・2017年に走ったリヴァプール・マラソンのことを書きます。
正式には、Rock 'n' Roll Liverpool Marathonという名称で、世界各地で開催さ
れる「ロックンロール・マラソン」シリーズのひとつ。毎年5月に開催されます。
レースコースは、アルバート・ドックをスタートしてピア・ヘッド、グッディソ
ンパーク、アンフィールド、マシュー・ストリート、チャイナタウン、リヴァ
プール大聖堂、セフトン・パーク、ペニー・レーンなどの名所が含まれていて、
個人的にはもうたまりません。素晴らしすぎ。世界最強のマラソンレースコース
なんじゃないかいな。

ランナーとして参加してまず驚いたのが、スタート方式。日本の大きなレースで
は、ウェーヴ・スタートというのが一般的だと思うんだけど、まるで「そんなの
しゃらくせいやい」とでも言うように、2本のロープだけで2万人にも及ぶラン
ナーのスタートをさばくのです。
10人ずつぐらい並ばせて、2列か3列をロープではさんで区切り、10秒間隔で
(15秒かな)次々にスタートさせる。それだけ。それぞれのロープの両端にひと
りずつだからたった4人でやってるんだけど、これがおそろしくスムーズで効率
的でした。渋滞まったくなし。20~30人のグループなので、走りやすい走りやす
い。みんな最初っから高速ランニングです。僕も思わずつられていきなりトップ
スピードで走ってしまいました。
ウェーヴ・スタートは、神戸ではAからHまでかな、ゾーンがあって、そのゾー
ンごとに時間差でスタートなんだけど、要するに4千人くらいが一緒にスタート
するわけで、最初の10キロくらいまではどうあがいてもぎゅうぎゅうのダンゴ
状態です。ゾーンの最前列でスタートしない限りはずっとそのダンゴの一員。前
に行きたくても行けないし、無理して隙間をすり抜けてもすぐにつかえてストッ
プです(それを繰り返して足先に深刻なダメージを負ったのが僕の前回の神戸で
した)。おそろしくストレスが溜まります。日本でもロープでやってくれないか
なあ。

給水も面白かったです。これまで走った日本のレースでは、ミネラルウォーター
とスポーツドリンクが必ず用意してあって、大勢のボランティアのスタッフが紙
コップ(紙じゃなくてエコ素材だっけ?)に1杯1杯注いで渡してくれるのが常
だったんだけど、リヴァプールでは、コップなし。スポーツドリンクなし。用意
されるのはミネラルウォーターの小ボトルのみ。小ボトルだから飲みきるのは簡
単だし、そのまま持って走ることもできるし。何より用意する側の手間が圧倒的
に省略できます。
給食も、日本ではフルーツ各種にはじまって塩とかアメとか昆布とかパンとか
チョコレートとか、それはもういろんな品揃えがあるのですが(姫路ではうどん
もあったなあ)、リヴァプールでは、固形いっさいなし。あるのはエナジージェ
ルのパックのみ。しかも1種類。ゼリーじゃなくて、ジェルです。ミネラルやら
ビタミンやらアミノ酸やらがじゅるっと濃縮されていて、ちゅるっと1回吸えば
終わってしまう小ささ。イナバのチャオチュールの半分くらいかな。にゃお。

というわけで、ランナーへの支給は、ボトルの水とジェルだけ。シンプルすぎる
ほどシンプルだけど、この潔さはいいなあと感心しました。
「そうだよな、我々は走るために走っているのだから、それが当たり前だよな。
なぜチョコレートがいる?」
と、深く納得です(いや、でも、あったらあったでうれしいんだけど…)。

あ、今思い出した。
生ビール1パイントのフリーチケットがもらえたんだった。もちろんありがたく
いただきましたよ、ゴールした後に。おいしかった~。
生ビールのサーヴィスは日本ではあんまりないかもですね。さすがリヴァプール。

それから…そうそう、困ったのがマイル表示。イギリスなのでメートルシステム
じゃなくてマイルシステムなんですよ。フルマラソンは26.2マイル。1マイル
進むごとに表示があるんだけど、そのたびに「えーと1マイルは1.6キロメート
ルだからええとええと…」と走りながら暗算です。これがとっても難しい。まだ
元気なうちはいいけれど、へろへろになっているときは頭もうまく働かないから
だんだんうんざりしてきます。それで思い出したんだけど、30キロを過ぎたレー
ス終盤、オターズプール・パークの森のようなところを走っていると、腰に手を
あてて歩いているランナーが見えてきました。彼が、後ろから迫ってくる僕に向
かって、スマートフォンをかざしながら、「あと7キロメートルだよ!」と教え
てくれたのです。こっちも疲れてるからうまく言葉を返すことができなくて、サ
ムアップで応えるのがせいいっぱい。でも、あと7キロとわかったのはラッキー
でした。「いつも走っている貯水池を3周半すればゴールだ」とイメージできた
のです。心も脚も限界に来ているけど、だいじょうぶ、7キロならなんとか走り
きれるはず…。
しかし、しかし、ここは「どんでん返しのパワー・スポット」と表現しても過言
ではないリヴァプール。そう簡単にはハッピーエンドはやって来てくれませんで
した。

最終盤、マージー河の長いプロムナードに入り、このままとにかくまっすぐ河沿
いに北上すればゴールのエコー・アリーナにたどり着くのはわかっているんだけ
ど、これがほんとうに長かった。途中でスポーツ・バイクに乗ってえりさんが応
援に来てくれて(ヘルメット姿がかわいかった!)、ちょっと元気をもらったけ
れど、走れども走れどもゴールが見えない。「あそこであと7キロならもうそろ
そろゴールちゃうんかいっ!」とだんだん腹が立ってきた頃に、エコー・アリー
ナの隣にあるプルマン・ホテルが見えて喜んだのもつかの間、あろうことかコー
スが右折して、壮大な迂回旅行がはじまりました。距離の調整だかつじつま合わ
せだかただのイジワルか知らないけれど、これはキツかった。
「もうどうにでもしてくれ」と半ばヤケになりながらも必死で食らいついていく
うちにコースはようやくプロムナードに戻って、ラストのヴィクトリー・ロード
(って、僕が勝手につけたんだけど)へ。両サイドは応援の群衆でいっぱいです
(途中のコースでもたくさんのスカウサーのみなさんに声援をもらいました)。
ハイタッチを交わしながらのゴールはそりゃあもう気持ちよくて、疲れも一気に
吹き飛びました。そして完走後のビールを飲みながらiPhoneを取り出して自分
のランニング記録をみて、びっくり仰天。GPSで観測したランニング距離は、な
んと46.68キロメートルと記録されていたのです。「あれ? フルマラソンって
何キロだっけ?」と一瞬考えてしまいました。4キロ半近くも余計に走ってま
す。10%以上も割り増しで走ってます。1キロくらいなら笑って済むけれど、4
キロはさすがにあり得んだろう……。さっき一気に吹き飛んで行った疲れが一気
に戻って来たのは言うまでもありません。さすがリヴァプール。

今のところの僕の最後のフルマラソンレースが、この1年半前のリヴァプールで
す。とんでもなく苦しいレースであり、(自分で言っちゃうけど)とんでもなく
がんばったレースでもあります。また走ってみたいなぁ。

20日後の神戸マラソンはどんなレースになるのか、これを書いているうちに楽し
みになってきました。明日からも練習がんばらねば。
……とエラそうに書いてるけど、僕はフルマラソンを走り始めてまだ3年足らず
です。4回走っているのでビギナーとは言えないかもだけど、自分ではまだ「駆
け出しランナー」の範疇かなと思ってます。タイムもぜんぜん速くないです。い
つも完走者リストでは半分より下に名前が載ってるんだもん(くやしい)。

● ● ●

「今週のフォト・アルバム」では、2017年の「ロックンロール・リヴァプール・
マラソン」の写真を紹介します。
ほとんど僕のiPhoneで撮影したものです(レース途中で撮ったものもあり)。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo702.html 

● ● ●

昨年6月6日発行のNLW No.669に、リヴァプール・マラソンのことを書いてい
ます。あわせてどうぞ。
 http://scousehouse.net/magazine/magazine669.html 

                         ― Kaz(30/10/2018)


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▽今週のフォト
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*** 今週のフォト・アルバム ******

「今週のフォト・アルバム」では、2017年の「ロックンロール・リヴァプール・
マラソン」の写真を紹介します。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo702.html


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