March 05 2019, No.711
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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3月3日の日曜日、『篠山ABCマラソン』を走りました。
兵庫県篠山(ささやま)市(今年5月から「丹波篠山(たんばささやま)市」に
改称)で行われる、出走者1万人規模のマラソンレースです。なんと今年で第
39回という老舗大会。ABCというのは大阪の放送局「ABC朝日放送」のことです。

たぶん生まれて初めて足を踏み入れる篠山だったのですが、我が家で日ごろ食べ
ているお米が篠山産なので(もう10年以上、篠山の農家から送ってもらってま
す)、以前から親近感はありました(ご飯炊くのは週に2回くらいだけど)。

で、実際に行ってみた感想はというと、もうほんとに篠山、いいところです。人
も、景色も、もちろん大会も、何もかもホノボノしていて、とても気持ちよく過
ごすことができました。
特に印象的だったのは、ボランティアの中学生たちの表情。男の子も女の子もみ
んな、素朴で可愛らしいったらなかったです。沿道の小学生たちも元気でカワイ
かったなあ。マラソン大会自体も、長年の積み重ねのせいか、無理やり感や背伸
びしたところもなく、とても自然でリラックスした運営だったように思います。

僕自身のレースはどうだったかというと……。
大失敗に終わった昨年11月の神戸マラソンのオトシマエをつけようと鼻息荒く
エントリーして、12月はまずまずの調整ができていたものの、正月早々に風邪
を引いてしまい、しかもそれがなかなか治らず、しびれを切らして見切り発車的
にランニング練習をスタートさせたのが、節分も過ぎた2月7日のことでした。
ブランクは40日以上も空いていて、本番は3週間と3日後。もうリベンジもな
にもあったのものではなく、「とにかく完走だけは」との思いで走り込みを続け
ていたのですが、本番1週間前に風邪が急に悪化。慌てて病院に行くことになっ
てしまいました。レース本番も風邪薬と抗生剤を飲んでの出走という情けなさ。

心配していた雨も降らず、薄曇りの中でのスタートでした。神戸マラソンのよう
な群衆状態ではないので、スタートからすいすいと走りやすかったです。でも、
それがかえってよくなかったかも。完走が目標だったはずなのに、「どれだけイ
ケるかやってみちゃおっかナ」というギャンブルっ気を抑えることができず、
ついつい、自己ベストも狙えるペースで走ってしまったのです(バッカだね
え…)。案の定、15キロを過ぎたところで右脚の付け根から「いいかげんにしろ
バカヤロウ」と怒号が上がりました。続いて右の膝からも「もうカンベンしてく
ださい」と悲鳴が。それからは改心してゆっくりペースに変更したものの、22
キロあたりからお決まりの左膝が、ついに力尽きたという感じでキリキリと痛み
出してしまいました。まだ半分も残っているというのに……。

今回練習で走ったのはわずか13日間、総走行距離はたったの127キロです。い
つもは250キロくらいは走るので(これでもたぶん少ないほうです)、その半分
程度しか鍛えられていません。レースの半分で限界がやって来たというのは、実
に理にかなっているなあと、思わず感心してしまいました。

それからは苦行のようなレースになりました(ああまたしても…)。
しかも、制限時間に追われるという、初めての体験までも加味されて、予想外の
スリルも体験することに。
24キロのところで、「あと15分でーす」という声が聞こえて、「ん? 15分? 
はて??」と思っていたら、そこに「関門」というものが現れました。そこには
13時30分を指す時計と、「閉門時間 13:45」の表示が。そ、そうか、「あと15分」
とは、「15分後に門を閉める」ということなのでありました。強制打ち切りです。
これには心底びっくり。そういえば篠山マラソンの制限時間は5時間なんだっ
た…。東京や神戸は7時間、姫路城マラソンでも6時間だから、篠山はかなり厳
しい時間設定なのですね。エントリーの時には気にも留めなかったけど(何しろ
4時間を切るつもりだったので…)、手負い(というか足負い)のランナーに
とっては差し迫った大問題です。この調子でペースを落として行ったら、次、あ
るいはその次の関門は超えられないかもしれない……。

雨も降りだして、暗い気持ちになりながらも、気持ちや体勢を立て直し立て直し
して、前に進みます。ABC「おはよう朝日です」の野々村マコトくんにあっさり
と抜かれたのは26キロあたりだったかな。
次の関門は30キロ地点。ここでは「あと7分でーす」という声を聞きました。
とりあえずクリアだけど、次はどうなるか……あといくつ関門あるのかな。

36キロの関門。ここでも「あと7分でーす」。やれやれオッケー。ゴールまであ
と6キロだからもう関門はないんじゃないかなとふと気が緩みそうになったんだ
けど、よく考えるとゴール自体も関門のはず。フィニッシュ寸前で「はいここま
ででーす」と閉められたりなんかしたらそれこそ悲劇です。いや喜劇かな。どっ
ちでもええって。とにかく完走だけは何としても死守せんと。力の入らない足を
無理やり踏ん張って、必死でペースをキープです。最後の200メートルくらいは
余力をふりしぼり切ってダッシュです。はたから見たらたぶんダッシュには見え
なかっただろうけど。

結果。完走はしたものの、見事に自己ワースト更新。
でも、限られた条件の中でベストは尽くしたこと、最低目標「歩かずに完走」は
クリアできたこと、については納得しています。
今回つくづく思ったのは、フルマラソンを完走するのって、ほんとうにたいへん
なことなんだなあということ(今ごろかいな)。さっき大会の公式ページを
チェックしてみたんだけど、今年の篠山ABCマラソンの完走率は82.9%だった
そうです。スタートしたのが8,888人で完走者は7,367人。つまり1,521人がリ
タイア(強制終了を含む)だったということになります。制限時間5時間の篠山
ABCマラソンにエントリーするのは、5時間で走りきれる自信がある人ばかりの
はずなんだけど、この低い完走率。過去の記録を見てもほとんど同じような結果
で、もっと低いことも多いようです(ちなみに、東京や神戸はいつも完走率は
95%以上です)。あらためて、自分がリタイア組に入らなかったことに安堵して
います。ああよかった。

ではここで、篠山ABCマラソンのレース中にハッピーな気持ちになったこと、ベ
スト3を紹介しましょう。順不同。

<ドント・ストップ・ミー・ナウ>
8キロあたりだったか、民家の2階の、左右の窓にスピーカーがのぞいていて、
そこからクイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が爆音で放たれていま
した。

俺は空を引き裂く流星だぞ。めちゃ楽しんでるんだぞ。誰にもストップできない
ぜ。止まってたまるかぁぁぁ!

「そうだそうだそうだ!」と、思わず『路上』(ジャック・ケルアックね)の
ディーンのように叫びそうになりましたよ。フルマラソンを走っているランナー
を勇気づけるのに、これ以上のロック・チューンがあるでしょうか。最強です。
まあフレディはランニングを念頭にこれを作ったわけではないとは思うけれど、
走りながら胸がじーんと熱くなりました。どうもありがとう!
惜しむらくはこれを聴いたのがレース序盤で、まだぜんぜん元気だったこと。あ
れがもし終盤だったら、フレディとディーンの相乗効果でもっと走れたかも。


<丹波の黒豆入りのおにぎり>
20キロを過ぎたところで、地元農家のみなさんが、名物の黒豆が入ったおにぎり
を、ほうじ茶とともに振る舞ってくださいました。なんと美味しかったことか! 
ごちそうさまでした。


<やぎ>
35キロくらいだったか、沿道に2頭のヤギが。おじさんがヒモを引いて。驚い
たことに、ヤギたちも応援してくれるんですよ。「メエェェ~~~~~~ッ!!」
と、かなりの大声で。お茶目で可愛かったです。メエ。

● ● ●

「今週のフォト・アルバム」では、久しぶりに下村えりさんの写真を。3月3日、
マージーサイド・ダービーの日のジョン・レノン像とグッディソン・パーク・ス
タジアムの写真です。試合の結果は、スコアレス・ドロー。おかげでリヴァ
プールはマンチェスター・シティに対して1ポイントのビハインドとなり、リー
グ順位は2位となってしまいました。でもあの内容では仕方がないですよね。エ
ヴァトンの選手たちのファイトには脱帽です。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo711.html

                         ― Kaz(05/03/2019)


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▼「ビリ講」アーカイブ
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『ビートルズを愉しむ』講座・アーカイブ ------------

【第57回(2019.02.20)】
テーマ:「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ」Part 2 & B.B.Cats

前回につづいて、1972年リリースのジョン&ヨーコのアルバム『サムタイム・
イン・ニューヨーク・シティ』を特集。
まずはこのアルバムのアウトテイクを。ボックスセット『ジョン・レノン・アン
ソロジー』のDisc 2「ニューヨーク・シティ」に、5曲・6テイク収録されて
います。まずは「女は世界の奴隷か」のデモ・ヴァージョンとライヴ・ヴァー
ジョン(ワン・トゥ・ワン)。そして「ニューヨーク・シティ」のホーム・デモ、
「アッティカ・ステイト」のライヴ(アポロ・シアターでのチャリティ・コン
サート)、「ラック・オブ・ジ・アイリッシュ」「ジョン・シンクレア」のライヴ
(ジョン・シンクレア支援コンサート)。こうして通して聴くと、まるでドキュ
メンタリーを観ているよう。等身大のジョンとヨーコがここにいる。続いてD面
のフランク・ザッパ&マザーズとの共演を、ジョン盤、ザッパ盤で聴き比べ。通
して聴く時間はないのでかいつまんで。これが同じ音源かというほど印象が違う
のにあらためて感心。ザッパ編集のヴァージョンは1992年リリースの『プレイ
グラウンド・サイコティクス』の一部として収録されています。このCDのライ
ナーに、「あの晩ショウのあとでジョンとオレは、それぞれのヴァージョンでリ
リースすることで合意して、マスター・テープのコピーをやつに渡した。で、
これがオレたちのヴァージョンってわけだ。やつらがリリースしたのとはまるっ
きり違うミックスになってる」とザッパは書いています。

今年の「インターナショナル・ビートルウィーク」日本代表バンドのひとつ、
B.B.Catsのライヴ映像を上映。昨年6月10日、「足利ライブハウス大使館」で
の演奏。2,3曲のつもりが、好評につきフルセット(45分)まるまる観てし
まいました。最初期ビートルズに特化した珍しいバンドです。全員女性。

CDリスニング:「Woman Is The Nigger of The World」(demo & live),
 「New York City」(demo), 「Attica State」(live), 「Luck Of The Irish」
 「John Sinclair」(live) - from 『John Lennon Anthology』(disc 2)
 John Lennon (& Yoko Ono).
 「Well」「Scumbag」 - from 『Playground Psychotics』(disc 1) Frank
 Zappa / The Mothers.

レコードリスニング:「Well」「Scumbag」 - from 『Some Time in New York
 City』(side D)John & Yoko with Frank Zappa & The Mothers of Invention.

映像視聴: B.B. Cats live at Live House Embassy of Ashikaga, 10.06.2018

2次会:なし

<次回予告>
第58回講座は、3月6日(水)です。テーマは未定。

<お知らせ>
『ビートルズを愉しむ』講座は、2019年4月より時間を変更して、「毎月第1・
第3水曜日の午後1時からの90分」となります。

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神戸元町・南京町の「よみうり文化センター」で、スカウスハウス代表・山本和
雄が講師を務める『ビートルズを愉しむ』講座(『THE BEATLESと英国リヴァプー
ルを愉しむ』から講座名を変更)が開講中です。
毎月第1・第3水曜日の午後7時からの90分(2019年4月より「毎月第1・第
3水曜日の午後1時からの90分」)。毎回テーマを決めて、ビリ講ならではのユ
ニークな視点で掘り下げます。蔵出し映像や貴重なレコード音源を楽しんだり、
本やインターネットでは知ることのできないディープな情報も。講座のあとには
二次会あり(ないこともあり)。

入会は随時受付中ですので、ご興味のあるかたはぜひお気軽にご参加ください。
お近くのかたも、お近くでないかたも、ぜひ!
 http://www.oybc.co.jp/event_kobe/detail_11519 


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▽スカウスハウス・ニュース
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***  Beatleweek 2019スカウスハウス・ツアー:参加者募集中! ******

今年8月にリヴァプールで行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」
観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2019』の参加者募集をスタートしまし
た。
聖地リヴァプールで開催される世界最大のビートルズ・フェスティヴァル「イン
ターナショナル・ビートルウィーク」。今年も盛りだくさんのイヴェントが企画
されています。
2019年は、カスバ・クラブの60周年やアルバム「アビー・ロード」50周年、
アップル・ビル屋上で行われたビートルズの「ルーフトップ・コンサート」50
周年などなど、例年以上のクォリティです!
そして日本代表として出場するバンドは、Down Beat、B.B.Cats、Strawberry
Twins & Friendsの3グループに決定!
初めてのかたもリピーターも大歓迎! この夏、ぜひリヴァプールでお会いしま
しょう!
 http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2019.html 


*** スカウスハウス通販 ******

ビートルズをはじめとする「英国盤レコード」の通販です。
リヴァプールで仕入れたレコードばかり。レア盤けっこうあります。
オーダーをいただけるとうれしいです!
 http://scousehouse.net/shop/records2018.html 


*** 大好評! 現地ビートルズ・ツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートして
います。リヴァプールでは、17年目となった「リヴァプール・ビートルズ・ツ
アー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ&
名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー
(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も承
ります。
ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好評。
イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをアレ
ンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページをご
覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演奏
する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは英
国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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*** 今週のフォト・アルバム ******

「今週のフォト・アルバム」では、3月3日、マージーサイド・ダービーの日の
ジョン・レノン像とグッディソン・パーク・スタジアムの写真を。下村えりさん
の撮影です。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo711.html


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       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第711号 ■□

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