May 05 2020, No.741
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2019」(7)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.741です。
みなさん、ご無事でしょうか。
隔週発行のNLWですが、「おぼえがき:ビートルウィーク2019」第7回の原稿が
書きあがったので、先週に続けての発行となりました。
できれば来週も発行したいと思っています。なにしろいまスカウス・ハウスは開
店休業状態で、時間はたくさんあるので…。

● ● ●

少し、暗い話になります。
昨日、ランニングを終えて帰宅途中、うちの近所の路上の30mくらい向こうでネ
コらしきものが横になっているのが目に留まりました。住宅街の、車線のない狭
い道路です。向こうから車がやってきて、道路のほぼ真ん中に横たわるその物体
を慎重にかわして通り過ぎました。もしやと思って近づいてみるとやはりネコで、
まったく動きません。昼寝をしているわけではなく、眼球が飛び出ていて、頭か
ら血を流しています。車に轢かれてしまったのは一目瞭然、絶望的な気持ちにな
りました。

放っておくとさらにたくさんの車に轢かれることになるので、とりあえず道の端
に運びました。大人の雄ネコで、両手で抱えてみると、体はまだあたたかく、き
れいなキジトラの毛並みもつやっとしています。全身がぐにゃっというくらいに
やわらかかったです。轢かれたのはほんの数分前のことかもしれません。少し離
れたところで、友達らしいネコが心配そうにこちらをじっと見つめています。

近所の人に訊いてみると、この子は飼いネコではなく、このあたりにいる数匹の
「地域ネコ」のうちの1匹だということでした。「道路緊急ダイヤル(#9910)」
に電話をかけて事情を説明し、行政のほうに引き取りの依頼をしてもらいました。
道路緊急ダイヤルに連絡するのはこれが4回目かな。いつも丁寧な対応をしても
らえます。でも、ほんとうは、ちゃんと葬ってあげたいんだけど。ごめんね。

まる1日経った今も、あのネコを抱いた感触が手に残っています。かわいそうで
なりません。
事故を目撃したわけではないので、避けられた事故なのかそうでなかったのかは
わかりませんが、ブレーキの跡のようなものはまったくなかったし、轢いたあと
そのまま知らんぷりして走り去ることができるものなんだろうか、なんてことを
考えると、つくづくどんよりした気持ちになります。
道路緊急ダイヤルの担当者によると、僕が電話をする少し前にも、市内の別の場
所で同じような事故の連絡があったそうです。

僕は車を運転しません。免許も持っていません。
たまに「どうして免許取らなかったの?」と訊かれることがあって、「車が好き
じゃないから」とか「動物や人を轢きたくないから」と答えます。真面目にそう
考えているんだけど、2番目の答えを口にすると、ときどき笑われることがある
んですよね。

車を運転するみなさん、どうか、どうか、気をつけてくださいね。

● ● ●

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                         ― Kaz(05/05/2020)


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▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2019」(7)
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「おぼえがき:ビートルウィーク2019」 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo741.html ≫

<8月24日(土)>

朝5時半ごろに目が覚める。寝たのは2時ごろだから、3時間半ほどしか寝てい
ない。もうちょっと寝なくちゃとベッドの中でねばってみるが、目はますます覚
めるばかり…ああ、いつものビートルウィークだ。朝を迎えて細胞がウキウキし
ている。

9時20分。アデルフィ・ホテル到着。「ビートルズ・ツアー<マニアック編>」で
ある。参加者はほぼ全員ダウン・ビート関係者で、予約は7名だったんだけど、
5名になった(二日酔いで来られなかった人、約2名)。
このツアーは去年にふと思い立って企画したもので、「マニアック編」というタイ
トルにもなっているように、普段のツアーでは地理的に遠くて案内しない、地味
だけど重要なビートルズ・スポットをめぐるツアーだ。去年初めてやってみて自
分でも結構楽しかったので今年も継続することにしたのである。

ドライヴァーはテリー。車は昨日のツアーとはうってかわって16人乗りのミニバ
スである。遠方に点在するスポットを訪ねるツアーなので、車に乗っている時間
が長くなるんだけど、天気もいいし(暑いくらいだ)、ちょっとしたピクニック気
分、な感じ。ジョニー黒田さんの機嫌もいいし、気心知れた周りの人たちもテン
ション高め。

で、最初のスポットは、ハイトンにあるスチュ・サトクリフのお墓。20年ぶりの
訪問だった去年はお墓を見つけるのに時間がかかってしまったが(えりさんに見
つけてもらったんだった)、さすがに今年はだいじょうぶ。ちゃんと場所を憶え
ていた。
次はノリス・グリーンにある旧ニュー・クラブムーア・ホール。1957年10月
18日、ポールが初めてクォリー・メンのメンバーとしてステージに立った場所だ。
今もブロードウェイ・コンサヴァティヴ・クラブという名前で営業中なのだが、
門は閉まっているので外からの案内。

またまた長いドライヴのあと、ウォルトンにある元ウォルトン・ホスピタル。
ポールが生まれた病院だ。そしてその近くにある、ポールの生家へ。この時点で
もう11時半近くになってしまったので、アンフィールド・スタジアムをバスの
中から見て、シティ・センターへ戻る。ほんとうはもう1,2ヶ所追加したかっ
たんだけど(ビートルウィークが始まる前に下見は済ませてあったのだ)、結局去
年と同じ内容になってしまった。ちょっと残念。でも、バスの中ではジョニーさ
んを中心に(この人はいつも中心だけど)いろんな話で盛り上がって、笑いの絶
えないツアーだった。ジョニーさんに感謝である。あ、いつもニコニコなドライ
ヴァーのテリーにも。

12時前にアデルフィ・ホテル到着。そのままBBキャッツと合流して、ウエスト・
ダービー・ヴィレッジ行きの専用シャトル・バスに乗る。「Casbah/West Derby
60th Festival」のために用意されたものだ。バスの乗り場にはニールがいた。
マジカル・ミステリー・ツアーのガイドで、キャヴァーンの人気DJであり、
ビートルウィークのナンバー・ワンMCだ。BBキャッツに向かって、「リヴァ
プールへヨウコソ」。

「カスバ/ウエスト・ダービー60周年記念フェスティヴァル」は、ウエスト・
ダービーにあるクラブ&パブ4ヶ所・7会場でライヴ・イヴェントが行われる。
目玉はもちろんカスバ・クラブで、BBキャッツはビートルズが演奏した伝説の
「スパイダー・ルーム」でのラインナップに入っているのだ。実に名誉なことで
あるが、これはやはりビートルズのアーリー・イヤーズに特化したバンドのコン
セプトが、まさにカスバにぴったりだった、ということだろう。ちょうど60周年
の年にエントリーしたのはまったくの偶然なんだけどね……ん? まさか、BB
キャッツ、狙ってた?

カスバに着いたのは12時40分。BBキャッツのギグは1時からである。カスバ
では2ステージが進行中で、アウトドア・ステージではハンガリーのThe Bitsが、
スパイダー・ルームではセルビアのThe Bestbeatが演奏していた。スパイダー・
ルームを仕切っているのは、ローリー・ベストだった。ピートの弟で、ベスト家
の次男である。病気がちでいつも顔色が悪い(いちど、スカウスハウスの団体を
案内している最中に倒れたことがある…)。
「やあローリー、おととい来れなかったBBキャッツだよ。楽屋はどこ? 上の
リヴィングルーム?」
「ああ、そうだよ。場所、知ってるよな」
「うん、すぐに用意するよ」
「アーライ、カズ」

というわけで、狭い狭い階段をのぼって、普通の人は入れない、ベスト家のファ
ミリー・スペースへ。以前(2015年だ)、The Cloverがカスバ主催のライヴ・イ
ヴェント「Best Fest」に出演したことがあるので、バンドの楽屋として使われる
リヴィングルームはわかっている(BBキャッツのモモはクローバーのメンバー
でもあるので、この部屋を使うのは2度目だ)。
この原稿を書いているのは2020年の5月なんだけど、つい最近、カスバのリヴィ
ングルームでリハーサルをしているジョン、ポール、ジョージの写真が発見され
た。クォリーメン時代のものである。もしかしてあの部屋かなと期待したけれど、
ローグ(ベスト家の3男であり、現在のカスバのボス)によると、リヴィング
ルームは2部屋あって、当時楽屋として使われたのは今とは別の部屋なんだそう
な。残念。

13時。簡単なサウンドチェックのあと、BBキャッツのギグがスタート。MCは
ローリー。
今日のBBキャッツは、バッチバチの化粧に金髪カツラ、おそろいの赤Tシャツ
(今年のビートルウィークのオフィシャルグッズ)&ジーンズといういで立ち。
午前中に買い物に走り回って調達したそうだ。Tシャツとジーンズはともかく、
厚化粧とウィッグは……んー昨日のほうがずっといいのでは……個人の感想です。

1曲目は「Ain't She Sweet」。ドスの効いたモモのヴォーカルがカッコいい。続
いてドラムのミイが歌う「Match Box」、ベースのムーミン「Red Sails In The
Sunset」、ジョージ役ロレッタ「Take Good Care Of My Baby」という流れ。最初
の4曲で4人全員がヴォーカルを披露するセット構成である。このコンセプトは
以後もキープされることになる。

次のナンバーは「To Know Her Is To Love Her」。お客さんはぎっしり満員で、サ
ウンドも問題なさそうだったので(決していいわけじゃないけど)、ローリーに
「グッジョブ」と合図して、僕は外に出た。カスバのバックガーデンのステージ
ではThe Norwegian Beatlesが演奏していた。こっちも盛り上がっている。スパ
イダー・ルームが超タイニー・スペースで聴衆が入りすぎると危険なため、今日
のカスバは、時間帯で区切って入場を制限するシステムになっているんだけど、
それでもこりゃすごい人である。と、その群衆のなかから、熊ががばっと立ち上
がってこっちに走って来る。
「ヘイ! カズ!」
(あ、熊じゃなくてローグだ)と思った途端、強烈なハグ。ガシッという音がし
たような気がした。
「ローグ、どうもありがとう。BBキャッツは観ないの? 今演奏してるよ」
「ああそうか、だいじょうぶ、ちゃんと観るから」
「しかしいい天気になってよかったね」
「そうだな、でもちょっと暑すぎるなこりゃ」
「暑すぎるなって、あんた、革ジャン着てるじゃん」
「ははは、たしかに」
「ははは(なんでこのヒトいつも革ジャン着てるんだろ??)」
「そうだカズ、いまピートがサイン会やってるぞ」
「え? いま?」
「そうそう。あそこのテントで」
「そっか、行ってみるよ」
「アーライ、あとでな」
「うん、あとで」

アウトドア・ステージの横にあるテントでは、確かにピート・ベストがサインを
していた。でもさすがにたくさんの人が取り囲んでいて、サインをもらうにはか
なり長い間待たなくてはならない。あきらめるしかないなあ。そういえばなんだ
けど、20年前のビートルウィークで、カスバ・クラブ40周年のイヴェントがや
はりこの場所で開催されて、そのときは並んでサインをもらったっけ。ライヴは
スパイダー・ルームだけで行われて、鳥取の「The くらよしBeetles」が演奏し
たのだ。あれから20年か……。

● ● ●

スパイダー・ルームへ戻る。BBキャッツのギグも終盤に入っている。「I Got A
Woman」。もう14曲目だ。「Twenty Flight Rock」そして「Too Much Monkey
Business」。これで本編終了。彼女たちが用意していたアンコールは1曲だけだっ
たが、もうちょっと時間がありそうだったので、ローリーに確認。
「あと2曲いい?」
「いいよ」
「ありがとー」

ローリーのMCでアンコール。「Leave My Kitten Alone」そして「Some Other
Guy」。グレイトなショウだった。
しかしゆっくりしている時間はなくて、ムーミンからベースギターのシールドを
もぎ取り、カスバを後にした。このシールドはダウン・ビートのシノさんのもの
で、ムーミンに貸していたんだけど(ムーミンのシールドは消えたスーツケース
の中)、ダウン・ビートのギグがもうすぐ始まるのだ。カスバを出て、走る。ダウ
ン・ビートの会場は近所の大きなパブ、セフトン・アームズ。3分で着いた。

(つづく)

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