May 12 2020, No.742
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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 ▽フロム・エディター
 ▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2019」(8)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.742です。
みなさん、ご無事でしょうか。
今日の早朝(日本時間)に、International Beatleweek 2020の開催断念が、主催
者よりアナウンスされました。
今年8月のビートルウィークは、ありません。

連日報道されるイギリスの、そして世界の状況を見ていて、「これはちょっと無理
かなあ」ということは感じていたのですが、いざそうなると、ボーゼンとしてし
まいます。
ビートルウィークのない1年なんて……脱力。ぐったり。腰くだけ。ふにゃふ
にゃ。バッタリ(あ、倒れた)。

ただいまNLWでは「おぼえがき:ビートルウィーク2019」という、去年のフェ
スティヴァルのレポートを連載しています。
いわゆる「三密」のお手本のようなシーンの連続で、書きながらとても不思議な
気持ちになります。今の我々の世界とのギャップが大きすぎて。
三密って、密閉、密集、密接、ですかね。密閉はともかく、密集や密接って、
やっぱり大事だよなあと、つくづく思います。人間が人間らしく生きるために。

個人的には、ロックダウンや外出自粛とか、それからえーと、マスクとか消毒と
か、ソーシャル・ディスタンシングとかステイホームとか、そういうのって本当
に効果があるの? とかなり疑問に思っています。
いや、はっきり言うと、どれも逆効果でしかなくて、かえって感染者や死亡者を
増やしているのでは、と考えています(あくまで個人の意見です)。こういった対
策のおかげで、ウィルス感染だけじゃなくて、ウイルス以外の死亡者も増やして
しまうのでは、という心配もあります。というか、実際、厳格なロックダウンを
実施した英国では、コロナ以外が原因での死者が記録的な数になっているそうで
す。コロナが原因での死者数も3万人超とたいへんなことになっていますが……。

もちろん英国だけがどうこうという話ではないでしょう。日本だって、どれだけ
の人がこの苦境を乗り越えられるのか、楽観的な材料はひとつもないように思え
ます。
スカウスハウスも危機的状況ですが、とりあえず今できることは、自滅しないこ
と。元気に過ごすこと。なので、やっぱり毎日ランニングをしています。
みなさんもどうか、心と体の健康に留意して、できるだけストレスのないように
お過ごしください。がんばりましょう!

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                         ― Kaz(12/05/2020)


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▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2019」(8)
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「おぼえがき:ビートルウィーク2019」 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo742.html ≫

<8月24日(土)>

13時50分。セフトン・アームズに到着。かなり広いパブで、「The Casbah/West
Derby 60th Festival」のために、インドア&アウトドアの2ステージがセットさ
れている。店の中もバックガーデンも人でいっぱい。

ダウン・ビートは14時からインドア・ステージで演奏することになっている。メ
ンバーも日本から同行したファンもみんなそろっているし、えりさんもさおり
ちゃんも来てくれているのだけれど、ステージではまだ前のバンドSgt Pepper
(ブラジル)が演奏していた。MC担当のポール(The Cavern Club Beatlesのバ
ンマスでジョージ役)に訊いてみる。
「カズ、ダウン・ビートは次だよな。ごめんごめん、もうすぐ終わるよ」
結局、14時近くになってステージは終了。ダウン・ビートのセッティングも機材
の不調で時間がかかり、彼らのサード・ギグは15分押しでのスタートとなった。

スタートのちょっと前、ジョニー黒田さんからリクエストが。
「カズ、今回夫婦一緒で俺たちについてきてくれているFさんなんだけどな、実
は旦那さん、今日が誕生日なんだよ。それで、このステージで彼のために1曲歌
うことにして、本人からリクエストはもらってるんだ」
「なるほど」
「でさ、ステージでそのことを披露して、お客さんみんなにお祝いしてもらう
のってどうかな? ハッピーバースデイを歌うとか」
「にゃるほど、いいですねそれ」
「Fさんにはサプライズで。いい誕生日プレゼントになると思うんだ」
「うんうん、きっと盛り上がりますよ」
「でさ、それ、カズがステージに上がって説明してくれないか?」
「え? お、オレ?」
「オレ無理だもん」
「ん~、僕にとってもムズカシイっすよ。でもだいじょうぶ。MCのポールに
やってもらいます」
「オッケー、タイミングだけ考えといてくれ」

● ● ●

ギグは「A Hard Day's Night」でスタート。「Things We Said Today」「Any Time
At All」とアルバム『A Hard Day's Night』からのナンバーが続く。そのあいだ、
僕はMCのポールに相談。
「もちろんいいよ、カズ。いつやる?」
「ステージの最後がいいと思うんだよ。Get Backでいったん締めるから、アン
コールの前にハッピーバースデイ、それからアンコール1曲。どう?」
「いいね、問題ないよ。で、その誕生日の人はどこ?」
「あそこの窓際の、キャップをかぶった人」
「アーライ、カズ、任しといて」
「サンキュ、ポール」

ステージでは、Everybody's Trying To Be My Baby, I'll Follow The Sun, Eight
Days A Week, Act Naturally, The Night Before, Help!…とメジャーな曲、わかり
やすい曲が次々と披露されて行く。このパブのオーディエンスは、キャヴァーン
やアデルフィとはかなり違っていて、ノリはユルい。ローカルな人々が多く集
まっているからだ。もちろんビートルウィークのファンもいるけれど、ウエスト・
ダービーやその周辺から、地元の人たちが食事がてらやって来て、リラックスし
て楽しんでいるのだ。シリアスな曲よりはハッピーな曲、複雑な曲よりはシンプ
ルな曲、マイナーな曲よりは誰もが知っている曲、がここでは求められているし、
それを見越してのセット・リストなのである。
事実、ライヴは盛り上がった。ユルい盛り上がりだけど、盛り上がった。カスバ
から直行してきたBBキャッツの姿も見える。

「ヘルプ!」の途中で、ジョニーさんのマイクにアクシデント発生。音が出なく
なってしまったのだ。曲が終わると同時にPAエンジニアが復旧作業に取り掛か
る……が、そのまま何もせずに復旧を待つジョニーさんではなかった。やおらギ
ターを持ち上げて、セットリストにはない、「You've Got To Hide Your Love Away」
を弾き始める。そして、歌はオーディエンスに。当意即妙。みんなマイクの故障
のことはわかっているので、ここぞとばかり声を張り上げる。ギター1本の伴奏
で、会場じゅうが大合唱になった。ステージに空白を作らないためのさすがの機
転だ。でも、百戦錬磨のジョニーさんにとっては普通のことなのだろう(それに
しても曲のチョイスが完璧すぎる!)。そして1番が終わるころにマイクの復旧が
完了。ジョニーさんはそれを確認して合唱を終わらせ、スムーズにリスタートに
つなげた。どこまでもプロフェッショナルである。
I Feel Fine, Day Tripper, Nowhere Man, Anna, And I Love Her……。流れが途切
れるようなアクシデントがあったのに、あの合唱によって、逆に一体感が増すこ
とになってしまった。

● ● ●

本編が終わり、アンコール・タイム。打ち合わせどおりポールがオーディエンス
に向けてハッピー・バースデイの合唱を促して、率先して歌う。客席も歌う。ダ
ウン・ビートはすかさず伴奏&コーラス。Fさんには最高のバースデイ・プレゼ
ントになったんじゃないかな。会場にいる全員からの祝福に、とっても嬉しそう
に笑顔で手を振って応えていた。

続いてのアンコール。ほんとうは1曲だけの段取りだったんだけど、ジョニーさ
んがその場で勝手に増やしてしまった。「She Loves You」のラストのコードが鳴
らされ、MCのポールがステージに上がろうと立ち上がったその時、「ラスト・ナ
ンバー、ワン、トゥ、スリ、ジャジャジャーン」と強引にスタート。「I Want To
Hold Your Hand」だ。あっけにとられたポールの顔が忘れられない。おそらく、
ジョニーさんは演奏しながら全体をチェックしていて、次のバンドがまだ来てい
ないことを知っていたのだろう。あと1曲余分に演奏しても問題ないだろう、と。
事実その通りだった。まったく、ジョニーさんには敵わない。マエストロである。
結局ダウン・ビートは15分遅れで始めて、25分オーバーで終了(おいおい)。ほ
ぼ1時間にわたるロング・ステージだった(規定は45分)。

● ● ●

ギグのあとは、メンバーみんなに座ってもらって、ランチ・タイム。えりさん、
さおりちゃんも。遅めのランチだけど、シティ・センターに戻ってからだとディ
ナーになってしまう。それに、このパブはビールの種類もたくさんあるし(リア
ル・エールもおいている)、フードメニューも充実しているのだ。ただし、バー
カウンターはおそろしく混雑していて、注文するのがたいへんだった。大盛況で
ある。

バック・ガーデンのステージでは、青空の下、ブラジルのRubber Soulが演奏し
ていた。さっきまでダウン・ビートが演奏していたインドアのステージでは、
Adelphiという中南米連合バンドのギグが始まった。今年初エントリーのバンド
だナ、と思って観ていたら、どうもヴォーカルの女性に見覚えが。にゃんと、去
年のビートルウィークで、ド迫力ヴォイスとハイパーアクションとセクシーボ
ディで一気にビートルウィーク・ファンのハート(おもに男)をワシヅカミにし
たDark Bluesのガリアさんなのだった。今日はドレスじゃなくて上下ジーンズな
のがちょっと残念。でもさすがのパフォーマンスだった。

● ● ●

17時。フェスティヴァル専用シャトル・バスに乗って、シティ・センターへ。
このバスがまったく最高で、満員のファンたちが次々にビートルズ・ナンバーを
歌いだして、みんなで大合唱状態になるのだ。ジョニーさんも楽しそうに歌って
いる。こんなときでも発声がプロフェッショナルなので、とっても目立っていた。

(つづく)

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