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February 09 2021, No.777
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2月4&8日>
 ▽NLWアーカイヴ:#13「さよならボブ・ウーラー」(2002)
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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「リヴァプールFCが復活です」と嬉しそうに書いたのはつい先週のこと。その
あとまさかの2連敗で、しかもどちらもホームゲームでした。ホームでの無敗記
録が68でストップしたと思った途端に3連敗するなんて、こんなの誰も予想でき
なかったと思います。先週もちょろっと書きましたが、レッズの調子が狂ってし
まったのは無観客試合になってから。早く満員のファンの前でプレイする日が来
てほしいです。

リヴァプールの南野選手がサウサンプトンにレンタル移籍しました。そのデ
ビュー戦でいきなりゴール。1試合を通してアグレッシブでクレバーでスリリン
グなプレイを見せてくれました。イキイキしてましたね。観てるこっちはワクワ
ク。「やっぱりやるじゃん」と思った人、多いんじゃないでしょうか。これから
もサウサンプトンの試合、楽しみです。

● ● ●

昨日、2月8日は、ボブ・ウーラーさんの命日でした。
亡くなったのは2002年のことですから、早いものでもう19年。20回忌…とい
うのはないので、3年前が17回忌、3年後が23回忌、になるわけですが、それ
は仏教の話。法要の心配は不要でした。

前にも書いたことがあるんじゃないかと思うんだけど、1990年代~2000年代は
じめごろのビートルウィークは、ボブさんをはじめビートルズ史を彩った「伝説
の生き証人」たちが勢ぞろいでした。アラン・ウィリアムズ、ベリル・アダムズ、
チャーリー・レノン、アリステア・テイラー、サム・リーチ、アルフ・ビックネ
ル…ほかにもいらっしゃるかもですが、当時のコンヴェンションのレギュラーメ
ンバー(というか)で今は亡くなられているかたがたです。まあ、「知る人ぞ知
る」というか、一般的には「知らない人のほうが圧倒的に多い」とも言えるマニ
アックな有名人(ん?)なのですが、ビートルウィークに集まってくるファンた
ちにとってはそれはもう、信じられないくらいに豪華な顔ぶれだったのです。ボ
ブさんと初めて会ったのはコンヴェンションの会場でした。えらく緊張したのを
昨日のことのように思い出します。

19年前のNLWを探して見てみたら、かなりのボリュームでボブさん訃報を記事
にしていました。NLWアーカイヴ第13回として紹介します。
NLW No.40(2002年2月12日発行)に掲載したもので、「フロム・エディター」
全文と「ニュース」から2本を抜粋してお届けします。
ボブさんの最晩年は「恵まれた老後」とはほど遠いものでした、それはこのあと
のチャーリーやベリル、アランやサム、アリステアにも言えることで、みんなそ
ろって、「世界一のバンド」ビートルズの恩人にしてはあまりにも寂しすぎる最
期です。悲しすぎます。切なすぎます。

● ● ●

「今週のフォト・アルバム」は、昨年・2020年に紹介した写真の中から選んで
お届けします(パート5)。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo777.html

                         ― Kaz(09/02/2021)


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▼リヴァプール・ニュース <2月4&8日>
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*** 2月4日(木) *******************************

【イングランド・プレミアリーグ 2020/2021】

2月3日、エヴァトンはリーズ・ユナイテッドと敵地で対戦し、1-2(前半:
0-2)で勝ちました。
エヴァトンのゴールは、ギルフィ・シグルドソン(9分)、ドミニク・カル
ヴァート=ルーイン(41分)によるものです。リーズの得点は、ハフィーニャ
(48分)が記録しました。

リーズのマルセロ・ビエルサ監督は、試合後にこう振り返っています。
「2つの失点は防ぐことができたな。最初の30分は良かった。セカンド・ハー
フもね。3点目は許さずに得点のチャンスをいくつも作れていた。結果的には2
点目を取ることができなかったが」
「彼らがエネルギッシュな戦いをしていたことは事実だ。ただ、彼らがリードし
たことで、我々がイニシアチヴを取ることができた」
「2点を取ってからの彼らはボール保持をせずに自陣に引いて守りだした。あれ
だけたくさんの得点チャンスを演出したことを考えれば、ドローか勝ちに持って
行けたんではないかとは思う」

エヴァトンのカルロ・アンチェロッティ監督はこう話しました。
「格別だよ。難しいチームを相手の難しいゲームだったから。ファースト・ハー
フは非常にうまく行った。セカンド・ハーフは、早い時間に失点したことで非常
に苦しくなった。リードを試合の終わりまで保つのは簡単ではないね」
「サクリファイス、コンセントレーション、そしてモチヴェーション。すべて良
かった。ニューカッスルに負けた(ホームで0-2)あとのリアクションとして
は本当にうれしく思う」
「ゲームのプランは、インテリジェントに戦うことだった。しっかり守ってカウ
ンターアタックのチャンスを狙う。向こうの選手たちはどんどん前に出てくるか
らね」
「1点を返されてからは少しだけ動揺があったように見えた。だがこのチームは
守りに徹したときこそカンファタブルになる」
「我々はアウェイではツキがあるようだ。次はマンチェスター・ユナイテッドか。
彼らがサンサンプトン相手にゴールを全部使いきってくれてるといいね(今節
9-0で大勝)」

エヴァトンの次節は2月6日土曜日、マンチェスター・ユナイテッドとのアウェ
イ・マッチです。

● ● ●

同じく2月3日、ホームにブライトン&ホーヴ・アルビオンを迎えたリヴァプー
ルは、0-1(前半:0-0)で黒星を喫しました。
ブライトンのゴールは、スティーブン・アルザテ(56分)によるものです。

ブライトンのグラハム・ポター監督は試合後にこう語りました。
「ファイトしなければならないときにファイトした。チームとしてブロックし、
守り切った。それだけじゃない。勇気を持って果敢にボールを取りに行った。自
分たちのクォリティを見せることができたと思う」
「ここ(アンフィールド)でこの結果を得るには、ほとんどパーフェクトに戦わ
なければならない。それができたと思うよ」
「ファンタスティックなパフォーマンスだった。選手たちはアメイジングだ。な
んという勇敢さ、クォリティ、そして一体感。全員が全力を出し切ったね。ア
タックし続けた。プレイし続けた」
「3ポイント獲れたことは非常に大きい。こういう戦いを続けて行かなければ。
うまく行かないときは落ち込みすぎないように、うまく行ったときは浮かれすぎ
ないように。それがこのリーグで戦うコツだ。物事はすぐにひっくり返るから」

リヴァプールのユルゲン・クロップ監督はこうコメントしました。
「がっかりしている。スマイルできることは何もない。受け入れがたい。実にタ
フな1週間だった。2つの激しいアウェイ・マッチを戦ったあとで、今日はメン
タルもフィジカルもじゅぶんに回復できていなかったと思う」
「ボールを簡単に失うシーンがあまりにも多かった。ボーイズはメンタル的に疲
れているようだった。ブライトンにとっては戦いやすい状態だったと思う。しか
しもちろん、彼らも非常に良かった」
「ブライトンは勝利に値した。それは間違いない。私としては、何が起きたのか
を理解し、なぜこのゲームに負けたのか、しっかり分析することが重要だ。言い
訳の利くような内容ではない」

1月21日のバーンリー戦でホームでの無敗記録が68でストップしたリヴァプー
ルですが、まさかのホーム連敗となりました。アンフィールドでのリーグ戦連
敗は、2012年9月以来のことです。

リヴァプールの次節は、2月7日・日曜日。首位マンチェスター・シティをホー
ムに迎えます。


*** 2月8日(月) *******************************

【イングランド・プレミアリーグ 2020/2021】

2月6日、マンチェスター・ユナイテッドとアウェイで対戦したエヴァトンは、
後半ロスタイム・最後のワンプレイでのゴールにより、3-3の引き分けに持ち
込みました(前半:2-0)。
エヴァトンのゴール・スコアラーは、アブドゥライェ・ドゥクレ(49分)、ハメ
ス・ロドリゲス(52分)、ドミニク・カルバート=ルーイン(90+5分)でした。
マンチェスター・ユナイテッドのゴールは、エディンソン・カバーニ(24分)、
ブルーノ・フェルナンデス(45分)、スコット・マクトミネイ(70分)によるも
のです。

マンチェスター・ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督は試合
後、こう振り返りました。
「我々が勝つにふさわしいゲームだったが、これがフットボールではある。チャ
ンスは生かさなければならないし、どんなシュートも打たせてはならない」
「ファースト・ハーフ、うちは特別に良かったとは思えなかったがファンタス
ティックなゴールで2点取った。2-0のリードでブレイクに入ったときもうま
く行っているとは思えなかった。しかし2-2にされてからは非常に良かったと
思う。そして最後のあのキックで奈落の底。うなだれて帰ることになってしまっ
たね」
「チームとしての底上げを徹底して行かなくては。もっとゴールを決められた。
もっとチャンスを作れた。ゲームを支配していたのはうちのほうだ。勝ち切らな
いと。ファンに前に進もうとしている姿を見せないと。3-2で勝っていても4
点目を奪いに行かないと」

エヴァトンのカルロ・アンチェロッティ監督はこう話しました。
「ワオ、なんというゲームだ。ファンタスティックなエモーションだったよ。ほ
かに何と言えばいいかな?」
「ファースト・ハーフは慎重になってしまったが、セカンド・ハーフではもっと
勇気を持ってプレイできた。前からプレスをかけて攻めた。その結果として1ポ
イントがついて来たんだと思う」
「ファースト・ハーフのスタートは統制が取れて悪くなかったんだが、前へパス
するより後ろへパスするようになってしまった。選手たちにはもっと強気で行け
と指示をしたんだが、セカンド・ハーフは相手のほうがそうなっていたね」
「(2-2となる同点ゴールを決めたハメス・)ロドリゲスは前半の終わりにふく
らはぎがつって、問題を抱えていた。それでもトライしたいと言うので引っ張る
ことにしたんだ。リスクはあったが、彼のことは信頼しているから」
「まるで勝ったような気分だが、1ポイントを得ただけだ。プレミアリーグのベ
ストチームのひとつとしっかり渡り合えた。同じレベルになったというわけでは
ないが、そういう相手ともファイトできるし、クォリティでは決して負けていな
い。私のチームを誇らしく思うよ」

エヴァトンの次節は14日・日曜日、トテナムをホームに迎えます。

● ● ●

2月7日・日曜日、ホーム・アンフィールドに首位マンチェスター・シティを迎
えたリヴァプールは、1-4(前半:0-1)の大敗を喫しました。
リヴァプールのゴールは、モハメド・サラーによるものです(63分・PK)。シ
ティのゴールは、イルカイ・ギュンドアン(49分、73分)、ラヒーム・スターリ
ング(76分)、フィル・フォーデン(83分)が記録しました。リヴァプールに
とっては、GKアリソンのパスミスからの2失点(73, 76分)が致命傷となりま
した。

リヴァプールのユルゲン・クロップ監督はこう振り返っています。
「私が目にしたのは素晴らしいゲーム、そして大きなミステイクだ。どんなゲー
ムでもあのようなミスは失点につながってしまう」
「ファースト・ハーフが素晴らしいゲームだったことは明らかだと思う。お互い
がお互いを攻略すべく仕掛けるシーンがたくさんあった。ああいうのを見るのは
大好きだ」
「セカンド・ハーフで、彼らはシステムを変えてきた。我々はミッドフィールド
で動きすぎないようにした。1点返して同点になってからは、うちのペースで
ゲームを進めることは可能だったと思う。しかしアリソンの2つのミスが大き
かった。あれで2点を献上することになって、そのあとは天才フィル・フォーデ
ンにとんでもないのを食らってしまった」
「先日のゲームで自信が揺らいだ面はあったと思う。しかし今晩のチームには自
信がみなぎっていた。正直私はそう感じていた。今日選手たちが見せてくれた
フットボールを私は気に入っている。4-1という結果を説明するのは非常に難
しい」

マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督はこうコメントして
います。
「感情の浮き沈みが激しいゲームだったよ。あまりにもたくさんのことが起きた
から。ギュンドアンがペナルティをミスしたけど――リヴァプール相手のルー
ティンみたいだね――、スタートはとてもとても良かった。やろうとすることが
できていた」
「セカンド・ハーフでは、失点後の我々のリアクション、そしてプレイのクォリ
ティが明暗を生んだと思っている」
「何年もここでは勝てていなかった。できれば次は観衆の前で勝ちたいね。アン
フィールドのおそろしく威圧的な観衆の前でね」

リヴァプールの次節は13日土曜日のランチタイム、レスターとのアウェイ・
マッチとなります。


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▽NLWアーカイヴ:#13「さよならボブ・ウーラー」
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過去のNLWからピックアップしてお届けするアーカイヴ・コーナーです。
第13回は、ボブ・ウーラー死去直後に発行したNLW No.40(2002年2月12日
発行)より。


「さよならボブ・ウーラー」(2002年)---------------------------------------

≪≪≪ NLW No.40 - February 12, 2002 ≫≫≫

<フロム・エディター>

ボブ・ウーラーさんが亡くなりました。
7日の「ニュース」でお伝えしましたが、彼の晩年はあまり恵まれたものではな
かったようです。最後の最後になっても、つらい日々を送らねばなりませんでし
た。

何ともやり切れない気持ちです。
アランやベリルが憤るのも当然だと思います。
リヴァプールは今、「世界一の音楽の街」を自認しています。その功労者のひと
りとして、彼の功績はもっと称えられてしかるべきであったのにと思うと、残念
でなりません。

ボブは、当時リヴァプールで生まれつつある新しいビートにこそ未来があると確
信し、同じ信念を持つビル・ハリーと共に懸命にPRに努めました。
そして、その「マージー・ビート」は、現実に世界を席巻するムーヴメントとな
りました。

ボブは、まだまだ原石だったビートルズの才能を最初に発見した人間のひとりで
した。
1960年、初めてのシングル盤「マイ・ボニー」を持ってハンブルグから帰っ
て来たビートルズは、最初の1枚をまずボブにプレゼントしました。そしてもう
1枚を、「マージー・ビート」紙のヴァージニア・ソウリー(後のビル・ハリー
夫人)に贈りました。
そしてボブは、リザーランド・タウン・ホールでのビートルズの凱旋コンサート
を企画しました。世界で最初の「ビートルマニア」が誕生することになった、歴
史的なコンサートです。これをきっかけとして、ビートルズは地元で圧倒的な存
在となって行きます。

キャヴァーンの専属DJだったボブは、クラブにいつも最新のレコードを揃えて
いました。それは客を楽しませただけでなく、バンドがレパートリーを増やすの
に大きな助けになりました。

ボブは、若いミュージシャンたちへのサポートを惜しみませんでした。当時数百
もあったビート・バンドの、保護者のような存在だったそうです。
1961年、ビートルズがブライアン・エプスタインとの初めてのミーティング
に臨む際に、ジョン・レノンに頼まれて付き添って行ったのも、彼でした。

ビートルズをはじめとして、成功したバンドが続々とロンドンに移って行ってし
まった後も、ボブはリヴァプールに残って街の音楽界のために尽くしました。

当時キャヴァーンでは、誰のステージであろうと、エンディングにはいつも同じ
レコードが流れたそうです。
ボブがかける、ボビー・ダーリンの「アイル・ビー・ゼア」でした。

                         Kaz(12/02/'02)


2002年2月7日(木) -------------------------------------------

【伝説のDJが…】
元 Cavern Club のDJ、Bob Wooler が、Royal Liverpool Hospital に入院しま
した。
病状は深刻で、彼は親しい人には「もう死にたい」と洩らしているということで
す。

Sir Paul McCartney は、病院の彼の元にお見舞いの大きな花束を届けました。
カラフルな花束にはカードが添えられていて、ポールの手で “Get well soon,
you lovely man” と書かれていました。
しかしボブの親しい友人たちに言わせると、このポップ・スターは「まるでわ
かっていない」のだそうです。
かつて Brian Epstein にビートルズを紹介した男が、今どんな厳しい状態にある
のかを。

ボブの長年の友人であり、ビジネス・パートナーでもある Allan Williams
(ビートルズの最初のマネージャー)は、彼の病状は人々が考えるよりもずっと
深刻であると語りました。

先月に76歳になったボブ・ウーラーは、友人たちの手で病院に運ばれました。
連絡が取れなくて心配した友人達が警察を呼んで、ボブの自宅のドアを壊して中
に入ったのだそうです。そして、彼が床に倒れているのを発見しました。
心臓の状態が良くない上に糖尿病を患っているボブは、突然具合が悪くなること
がこれまでにもよくありました。

溢れるほどたくさんの、彼へのお見舞いのメッセージが病院に届きました。その
中には、地元の著名人からのものも少なくありませんでした。
ポールの弟 Mike McCartney や、サーチャーズの Chris Curtis 、Radio
Merseyside の Billy Butler 、ミュージシャンの Mike Byrne 、さらには不運の
シンガー Rory Storm の妹、Iris Caldwell からも届いています。

ボブの元妻の Beryl Adams (ブライアン・エプスタインの最初の秘書)は、彼
が入院して以来、ベッドサイドにつきっきりで看病しています。
ボブの手を握り、涙をこらえながら、ベリルはこう語りました。
「私たち、最初はこのことを報道してほしくなかったのよ。ボブはとてもプライ
ドの高い人だし、この一般病室にはプライヴァシーなんてないから」

彼女の目から見て、ウーラー氏の衰弱は日に日に進んでいるということです。
「腎臓と肝臓の検査を受けたんですが、どこがどう悪いのか、まだ正確にはよく
わからないんです。スタッフのみなさんは一生懸命にやってくれているんですが」
「最後の日々をこんなふうに過ごさなければならないなんて、本当に悲惨だと思
います。昼も夜もテレビの音が鳴り響く一般病室でじっと横たわってなくちゃな
らないなんて」
「それに彼は歩けませんから、ベッドの上で体を拭いてもらわなくてはなりませ
ん。他の患者さんの目の前でですよ。気を利かせてカーテンを閉めてくれる人は
誰もいませんね。ボブにとっては屈辱的なことです」

彼の足には慢性的に水が溜まっていて、醜く腫れあがっています。
彼は友人たちにこう洩らしました。
「お迎えが来てほしい。もうこれには耐えられない。今すぐ死んでしまいたい」

ベリルが切実に訴えます。
「せめてこの隣の病室に移してもらえませんかって頼んだんですけどね。そこは
ベッドが2つしかないし、ずっと静かなので。でも、病気がうつるかもしれない
からだめなんですって」
もう10日以上も、ベリルと他の友人たちは必死になってボブのための介護施設
を探しています。彼が最後の日々において尊厳を失わなくて済むような、個人介
護の施設を。
「でもね、そういう施設はとても高いんです。彼にはあまりお金がないですから」

アラン・ウィリアムズも、怒っています。
「このリヴァプールの音楽や文化に、ボブがどれほどの貢献をして来たのか、よ
く考えてみろってんだよ。なんでこんな目に遭わなくちゃいけないんだ? まっ
たくひどい話だよな、死にそうなのにほったらかしだ」
「ボブには、尊厳を持って安らかに最後を迎えてもらいたい。わしらが望むのは
それだけだ。何とかならないもんだろうかね」

ボブ・ウーラーは、キャヴァーンの最盛期の1961年から最初にクラブが閉店
する1967年まで、専属でステージの司会を務めました。まだまだ未熟だった
ビートルズの才能を最初に発見した人間のひとりであり、修行時代のバンドに大
きな影響を与えました。


2002年2月9日(土) -------------------------------------------

【ビートルズを世界に紹介した男】
8日、Bob Wooler が Royal Liverpool Hospital で亡くなりました。76歳でし
た。
彼が60年代にDJを務めた Cavern Club には、たくさんのお悔やみが寄せら
れています。

ウーラー氏は先月にウェヴァトリーの自宅で倒れて以来、入院して治療を受けて
いました。
彼の事務弁護士の Rex Makin は、「マージービートの生みの親のひとりでした」
と言って称えました。
ボブ・ウーラーは1961年から1963年の間、キャヴァーン・クラブのス
テージで400回近くもビートルズを紹介しました。

彼の所有する貴重なビートルズ・メモラヴィリアのコレクションの数は数百にも
のぼるといわれています。しかし、マーキン氏によると、それらを正式に相続す
る人間はいないのだそうです。
ボブは結婚しておらず、家族を持っていませんでした。

ボブは、1960年代のリヴァプールのポップ・ミュージック・シーンについて
の本を書き上げていたそうです。
生きている間は決して出版しないと彼が言っていたその本の捜索も始まりました。

ウーラー氏の生涯の仲間である、ビートルズの最初のマネージャー Allan
Williams はこう語りました。
「長年の間にはいろいろあったけど、わしらはずっと真の友人同士だった」
「ビートルズの後を追ってロンドンに行ってしまったやつはたくさんいたがね、
ボブはリヴァプールに残ることを選んだんだよ」

ウーラー氏と1950年代から親交のあるリヴァプールの音楽プロモーター Joe
Flannery は、こう話しています。
「彼はキャヴァーンのジェントルマンだった。誰からもとても愛されていたよ」
「ビートルズの成功にあれだけ重要な役割を果たしたというのに、ボブは金銭的
には決して恵まれなかった。だが、彼の名前は物語の中で永遠に語られることだ
ろう」

ウーラー氏は、1963年に全国紙の1面を飾ったことがあります。 Paul
McCartney の21歳のバースディ・パーティーで John Lennon に顔を殴られ
た時でした。
彼がレノンに、バンドのマネージャー Brian Epstein とホモセクシャルの仲なの
ではないかと訊いたことが原因だといわれています。

ウーラー氏は、キャヴァーンのDJとフリーランスの音楽ジャーナリストになる
前には、ガーストンの鉄道会社のオフィスで働いていました。
彼は、ビートルズが世界的な名声を得ることになると予言した最初のライターで
した。彼のポップ・ミュージックにおける博識は有名でした。ビートルズは彼か
ら、アメリカのシンガーの曲をたくさん教わりました。そして、それらのナン
バーがキャヴァーン時代のレパートリーとなったということです。

もっとも、ボブ・ウーラーに言わせれば、ビートルズのリヴァプール時代にまつ
わる話は「嘘や誇張だらけ」ということになるのですが。

<Liverpool Echo, 08 Feb 2002>
https://www.liverpoolecho.co.uk/whats-on/music/tributes-flood-cavern-dj-3559492


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