March 08 2022, No.809
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼リヴァプール・ニュース <2月25日~3月8日> ▽スカウスハウス・ニュース ▼今週のフォト -------------------------------------------------------------------------- ▽フロム・エディター ------------------------------------------------------------------ NLW □ NLW No.809です。 「リンゴランド」ディングルのシンボルとも言えるパブ「エンプレス」が、ビー トルズをテーマにしたホテルに生まれ変わることになりました。 このあとの「ニュース」でお伝えしてますが、この建物の横壁には、リンゴの顔 をあしらった巨大な壁画(ミューラル)が制作され、大きな話題になっています。 リンゴ・ミューラルは先週末にほぼ完成したようで、インターネットの記事や SNSの写真を見ると、リンゴの大きなポートレイトの背後には映画「イエロー・ サブマリン」でのビートルズや敵キャラが描かれていて、文句なく楽しい、ポッ プな作品になっています。これがもうほんに最高。今すぐにでも観に行きたいく らいです。 記事にもありますが、今年の夏にはホテルとして完成するそうなので、8月の 「ビートルウィーク」で訪れる際に泊まってみるのもいいかなあ、なんて考えて います(とんでもない競争率になりそうだけど……予約できるかな??)。 このエンプレス・パブには、個人的にいくつも思い出があります。 僕が通っていた頃(もう20年以上も前ですが)は、「超」をつけてもいいくらい のローカルさでした。地元民以外、ましてや観光客にとっては入りにくいことこ の上ない、おそろしく敷居の高~いパブだったのです。 僕も初めて訪れたときはさすがに緊張しました。 まずもってですね、入り口がわからない。正面の、ドアがあるべきところにドア がない。ドアかなと思ったら取っ手はなく、引くことはできないし、押しても開 きません。横にスライドするわけでもないです当然。 建物の横に回ったところに出入り口を発見して中に入ってみると、右手には実に 殺風景な「パブ」エリア。場末感100%です。左手はというとほんの少しシック なサルーンっぽいエリアになっていてテーブル席がいくつかあるものの、誰もい ません。パブエリアのバーカウンターでビールを注文するのですが、カウンター で立って飲んでいるのはいちいち確認するまでもなくどっからどう見ても地元近 所の人オンリーです。みんな中高年でいかつい顔をしていて無愛想。誰もこっち を見ようともしない……。 すごすご引き返すわけにもいかないので、とりあえず店の外に看板があったテト リーズを注文してお金を払って(シティ・センターのパブよりもずっと安かった)、 無人のサルーン席に座ります。カウンターから聞こえてくるのはもちろんばりば りのスカウスで、何をしゃべっているのかさっぱりわかりません。 僕の横の壁にはリンゴのイラストが飾ってあります。どうやらそれがこの店内で 唯一の、「リンゴのパブ」である証明書のようでした。 完全アウェイの居心地の悪さを感じながらもビールがやたらと美味しかったので (テトリーズを飲んだのはこの時が初めてだったと思う)、ちびちびとやってい ると、奥のトイレに向かう人が何人も、僕の横を通ります。自然と視線を合わせ ることになるわけですが、ご存知のように欧米ではこういうときに目で挨拶する (できればニッコリ笑う)のがマナー。人が通るたびにそれをやっていると、そ のうちに「どっから来たの?」「このパブどう思う?」みたいな会話が始まり、 気がつけば僕の向かいに人が座り、しまいにはお代わりのビールまで出てくると いう、実にリヴァプールらしい展開になっていたのでした……。なあんだ、みん な見かけによらずめちゃフレンドリー。優しい人ばっかりじゃん。 次からはもちろん、すっかり常連気取りで(おいおい)最初からカウンターで立っ て飲むようになったわけですが、当時の店主リンダさんや常連のみなさんにはい つも歓迎してもらえました。エンプレスでは嫌な目に遭ったことがありません。 いつもいつも、ほんとうに幸せな時間を過ごせました。 「今日はジム来てないの?」 「まだやな、ちょっと呼びに行ってくるわ、カズ来たぞーゆうて」 とか、 「おうカズ、帰りにちょっとうち寄ってお茶でも飲んでけよ」 「……は、はい」 みたいなこともあったなあ……。 当時出会った人の多くは、きっともう存命ではないはず。そう思うと、なんだか しみじみしてしまいます。いちばん親しくしてくれたご夫婦は2人とも、ずいぶ ん前に旅立ってしまいました。 ホテルに生まれ変わるエンプレスですが、さて、パブとしてのエンプレスは残る のでしょうか。 記事では上階がホテル、地下がショップ、としか書かれてません。でもたぶん、 グラウンド・フロア、つまり1階はパブのまま残される、ということなんだと思 います。きっとそうだ。 とにかく、リヴァプールにまたひとつ素晴らしい名所が、しかもディングルにで きるというのは、僕としてはとってもハッピーです。 リンゴのミューラルの写真、ニュース記事の下につけてるオリジナル記事のリン クから見ることができます。まだのかたはぜひどうぞ。 ● ● ● 「今週のフォト・アルバム」には、パブ「エンプレス」の写真をたくさん掲載し ます。2003年から2019年までの、外観の移り変わりをどうぞ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo809.html ● ● ● 募集延長です! ≪Beatleweek 2022:出場バンド募集中!≫ スカウス・ハウスでは、2022年のインターナショナル・ビートルウィーク (8月24日~30日)に、日本代表として出場するビートルズ・トリビュー ト・バンドを募集します。出場を希望されるバンドは、info@scousehouse.net までご連絡ください。メール件名は「IBW22バンドエントリー」とし、本文に は、バンド名と簡単なプロフィール、代表者のお名前・住所・電話番号・PC メールアドレスをご記入ください。折り返し、募集要項をメール添付送信い たします(募集要項の内容をご検討のうえ、あらためてお申込みください)。 エントリー申し込みの締め切りは3月21日(月)です。 ― Kaz(08/03/2022) -------------------------------------------------------------------------- ▼リヴァプール・ニュース <2月25日~3月8日> ------------------------------------------------------------------ NLW □ *** 2月25日(土) ******************************* 【リンゴの巨大壁画】 リヴァプールのアーティスト、ジョン・カルショーは、リンゴ・スターを描いた 壁画の制作に取り組んでいる。 トクステス地区のハイ・パーク・ストリートにあるパブ「ジ・エンプレス」は、 ビートルズをテーマにしたホテルとして改装中であり、建物横の壁一面を使って ビートルズのドラマー、リンゴ・スターの巨大な顔をフィーチャーすることにし た。 リンゴが少年時代を過ごした家のすぐ近くにあるこのパブは、1970年3月にリ リースされたリンゴ・スターのファースト・ソロ・アルバム『センチメンタル・ ジャーニー』のカヴァー・ジャケットに使われた。以来、リヴァプールを訪れる ビートルズ・ファンたちのお目当てのスポットであり続けている。 ジョン・カルショーは『エコー』のインタヴューにこう答えている。 「ザ・ビートルズを描くのは最高さ。彼らのビッグ・ファンなんだから」 「彼らはさ、世界のアイドルになり、音楽の歴史を変えたのもすごいんだけど、 俺としては、リヴァプールを世界地図に乗っけてくれた存在だな。この街に産業 をもたらして人々が生きていけるようにしてくれたんだよ」 「壁画はもう10日かそこらで完成すると思うよ」 Giant mural of Ringo Starr appears on Toxteth pub - The Empress pub in Toxteth is to be transformed into a Beatles themed hotel By Chris Grundy, 22 Feb 2022, Liverpool Echo https://www.liverpoolecho.co.uk/news/liverpool-news/giant-mural-ringo-starr-appears-23184286 *** 3月1日(火) ******************************* 【ウクライナのリヴァプール・ホテル】 ロシアによるウクライナへの侵攻は、世界中にショックを与え、大きな反発を招 いている。 しかし、ほとんど知られていないことだが、ウクライナ東部のまさに紛争地域で あるドネツク市には、リヴァプールとビートルズをテーマにしたホテルがあった。 まさかこんなところにと思うかもしれないが。 「ザ・リヴァプール・ホテル」は、フードマーケットとホテルとライヴ・ミュー ジック・バーが一体となっていて、レセプション・エリアにはファブ・フォーの 壁画や銅像が誇らしくフィーチャーされ、客室の多くはビートルズゆかりのイン テリアで飾られている。 しかしながら、100の客室を備えたこのホテルは今、思い出の中にしか存在しな い。侵攻が始まる少し前、ロシアとウクライナ間の紛争が起きた初期の段階にお ける、最初の犠牲者のひとつとなってしまった。グーグル・サーチにおけるステ イタスは、「完全に閉鎖」とされている。 オンラインに残っているあるレヴューは、こう綴られている。 「戦争の前は、ここはドネツクで最も活き活きとしてクールな場所だった。ドネ ツクに行くたびに通ったものさ」 ただ、ホテル自体はいくぶん雑多な印象を受ける。ビートルズとリヴァプールが 主なテーマであるのは確かだが、一方ではユニオン・ジャックがでかでかと飾ら れたり、英国万歳的な面も見受けられる。 The Liverpool and Beatles-themed hotel which now sits in a war zone - The hotel shut down during earlier hostilities between Russia and the Ukraine By Alan Weston, 27 Feb 2022, Liverpool Echo https://www.liverpoolecho.co.uk/news/liverpool-news/gallery/liverpool-beatles-themed-hotel-now-23204247 *** 3月8日(火) ******************************* 【新エンプレス続報】 ビートルズをテーマにしたホテルへの改装を計画しているトクステスに地区のパ ブ「ジ・エンプレス」の壁に、リンゴ・スターをあしらった大きな壁画が登場し た。 ハイ・パーク・ストリートにあるこのパブは、リンゴが少年時代を過ごしたエリ アにある。 「インサーヴィス・プロパティ・グループ」の共同オーナーを務めるジョー・ マッカーシーによると、上階はホテルに、地下はビートルズのギフト・ショップ になるようだ。 ジョーは「エコー」紙の取材にこう話している。 「最初はね、この建物の壁にビートルズのサージェント・ペパーズのアルバムカ ヴァーをってことになってたんだがね、でもこのエリアに住んでたのはリンゴで、 彼本人もこの建物にゆかりを持ってるわけだろ。じゃあ、もっとリンゴな感じに しなきゃってことになってね」 「計画では上の階をホテルに、下の階をビートルズ・グッズを売るギフトショッ プにする予定だ」 「道の反対側の建物にもいくつかアートワークを施すつもりだよ。リンゴのト レードマークの『ピース&ラヴ』をテーマにしたものをね」 「ここはビートルズ・ツアーのルートだから、毎日まいにち、10台も20台もバ スやタクシーがこの建物の前に止まるんだよ。みんなが記念写真を撮ってる」 「寄付金を募るコーナーも設けようと考えてるんだ。ローカルのチャリティやコ ミュニティの助けになるようにね」 「すべて順調に進んでるよ。夏までには完成して、オープンできるはずだ」 Old Toxteth pub with Ringo Starr mural share exciting Beatles plans - The Empress pub in Toxteth is to be transformed into a Beatles themed hotel By Chris Grundy, 7 Mar 2022, Liverpool Echo https://www.liverpoolecho.co.uk/whats-on/old-toxteth-pub-ringo-starr-23308372 -------------------------------------------------------------------------- ▽スカウスハウス・ニュース ------------------------------------------------------------------ NLW □ ≪Beatleweek 2022:出場バンド募集中!≫ スカウス・ハウスでは、2022年のインターナショナル・ビートルウィーク (8月24日~30日)に、日本代表として出場するビートルズ・トリビュー ト・バンドを募集します。出場を希望されるバンドは、info@scousehouse.net までご連絡ください。メール件名は「IBW22バンドエントリー」とし、本文に は、バンド名と簡単なプロフィール、代表者のお名前・住所・電話番号・PC メールアドレスをご記入ください。折り返し、募集要項をメール添付送信い たします(募集要項の内容をご検討のうえ、あらためてお申込みください)。 *** スカウスハウス通販(1) ****** 英国盤レコードの通販です。「ビートルズ」「ビートルズ(ソロ)」「ビートル ズ関連」「ブリティッシュ・ロック」「シングル&EP」の5カテゴリー。リヴァ プールで仕入れたアイテムばかりです。オーダーいただけるとうれしいです! http://scousehouse.net/shop/records2021.html *** スカウスハウス通販(2) ****** スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」を更新しました。永らく品切 れになっていたLennon-NYペンダントが入荷しています。チェーンの太さ&長 さにいくつかのヴァリエーションがあって、お好みのタイプをお選びいただけ ます。 現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を プレゼント中。オーダーをいただけるとうれしいです! https://scousehouse.net/shop/silver.html *** スカウスハウス通販(3) ****** 「Beatleweekグッズ」の通販です。品ぞろえはこじんまりとしていますが、 オフィシャル・プログラムやTシャツなど、これまでのビートルウィーク会場 で仕入れたアイテムばかりです。 ほとんど1点ものの限定販売。オーダーいただけるとうれしいです! http://scousehouse.net/shop/bwgoods.html *** 原稿募集中 ****** NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。 旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは 英国に関するものなら何でも歓迎です。 お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。 -------------------------------------------------------------------------- ▼今週のフォト ------------------------------------------------------------------ NLW □ 「今週のフォト・アルバム」には、パブ「エンプレス」の写真をたくさん掲載し ます。2003年から2019年までの、外観の移り変わりをどうぞ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo809.html ■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *** 隔週火曜日発行 *** □■ 第809号 ■□ ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス) ◇編集 山本 和雄 ◆Eメール info@scousehouse.net ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/ ◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net ◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。配信 の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。 ◆まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000065878.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2022 Scouse House |