メルマガ購読・解除
 
October 18 2022, No.824
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼「ラヴ・ミー・ドゥ」60年に寄せて
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


--------------------------------------------------------------------------
▽フロム・エディター
------------------------------------------------------------------ NLW □

もう2週間近くが経ってしまいましたが、2022年10月5日は、ザ・ビートルズ
のファースト・シングル「ラヴ・ミー・ドゥ」がリリースされてちょうど60年、
つまりはビートルズのデビューから60年というおめでたい日でありました。

イギリスの高級紙「ザ・ガーディアン」に、「ラヴ・ミー・ドゥ」60年を記念し
た記事がいくつか掲載されたのですが、その中に、この曲について有名ミュージ
シャンたちに語ってもらったものがあります。
これがなんとも面白かったので、翻訳して紹介することにしました。ぜひ読んで
みてください。

この「ラヴ・ミー・ドゥ」、みなさんは好きですか? 僕はずっとキライだった
んですよね、ホントに。
リアルタイム世代ではない僕がこの曲を聴いたのは、ほかの超スバラシいキラッ
キラのビートルズ・ナンバーをたっぷりと浴びたあと。なので、「ビートルズと
いえどデビュー曲はなんとも地味で凡庸で単純で面白くない曲だったんだにゃ
あ」と思っちゃったのでした。それ以来たいして気に留めることもなく、いや
どっちかというと敬遠してました、レコードはともかくCDで再生するときには
迷わずスキップ……すみません、バチあたりな聴き方(聴かない方?)をしちょ
りました。

しかし、です。
2012年のビートルウィークでちょっとしたことがあって……えーと、簡単に言
うと、イギリスの某国営放送局から「ラヴ・ミー・ドゥ」の映像が撮りたいと
いう要請があって(10年前だからリリース50周年ですよね)、急遽、日本代表
バンドのミズウリ&クローバーにステージで演奏してもらったのです。そのとき
のオーディエンスの盛り上がり方がなんとまあ尋常じゃなくて(ラヴ・ミー・
ドゥでですよ?)、バンドのパフォーマンスも最高に素晴らしくて……あのハー
モニカのフレーズはもちろん、ベース&ドラムスのヘヴィーな低音、軽快なギ
ター、そして必殺のヴォーカル・ハーモニー! 
「うわあ、この曲、カッコいいじゃん」と、あっさり改心することになったの
でした。

僕は以前、神戸の「よみうり文化センター」(悲しいことに今はもうなくなって
しまいました)というところでビートルズ&リヴァプールをテーマにした講座
を持っていました(通称:ビリ講)。2年半くらいやってたのですが、その間に
2回、「ビートルズのデビュー曲はなぜ『ラヴ・ミー・ドゥ』でなくてはならな
かったのか」というテーマを取り上げました。

今、そのときの資料を探してみたのですが、残念ながら見当たらず(…ちゃん
と管理しとかんかい!)。そのときに披露したネタのひとつを、うろ覚えな記憶
だけを頼りにちょろっと書いてみます。

「ビートルズの人気は次の『プリーズ・プリーズ・ミー』からで、デビュー曲
の『ラヴ・ミー・ドゥ』はあまりぱっとしなかった」
「マネージャーのブライアン・エプスタインがレコードを買い占めたおかげで
チャートの17位にやっと滑り込んだ」
……なんてことが定説のように語られているのはファンのみなさんならご存知
でしょう。

「ラヴ・ミー・ドゥ」は、ほんとうに「たいしてヒットしなかった」のか。
当時のUKのヒットチャートを調べてみたところ、「ラヴ・ミー・ドゥ」のチャー
ト最高位は、たしかに17位。17位では大ヒットとは言えません。中ヒット、と
は言えるかもですが…。
でもですね、この曲、ヒットチャートから消えないんです。下がったり上がった
りを繰り返して、ず~~~~っと、トップ30(トップ40だったかな)に留まり続
けているんです。最高位は17位ですが、いっぺん沈んで、また上がって17位に
返り咲いたりしてます。そしてそのまま、翌年1月に「プリーズ・プリーズ・
ミー」がリリースされてチャートに入って来たときも、「ラヴ・ミー・ドゥ」は
まだチャートインしていたのです。

これって、すごいことだと思いませんか? あの入れ替わりの激しい英国チャー
トで3ヶ月以上もトップ30の座をキープしたのです。「たいしてヒットしなかっ
た」なんてとんでもない。立派なロングセラーじゃん。

マーク・ルーイソン先生の「ビートルズ史」にも記述があったように(…これも
うろ覚え)、ビートルズのサウンドはとにかく風変わり、それまでになかったも
のであるがゆえに、即座に大衆に受け入れられたわけではなく、それでも「こ
こにはなにかがある」と気がつく人がじわじわと、しかし確実に増えて行った、
ということなんだろうと思います。ヘンなサウンドの魅力をキャッチする人が
着実に増え続けたことがロングセラーにつながり、次の楽曲への期待をふくら
ませることになって、そして「プリーズ・プリーズ・ミー」がリリースされた
途端に着火~一気に爆発! という流れですね。「ラヴ・ミー・ドゥ」という
お膳立てがあってこその、「プリーズ・プリーズ・ミー」という大ホームラン。

もしかすると、ビートルズがいきなり「プリーズ・プリーズ・ミー」でデビュー
していたら、あまりにぶっ飛びすぎていて誰もついて行けず、ぜんぜんヒットし
なかった…かも??

● ● ●

スカウスハウス通販「英国盤レコード」を更新しました!
今夏リヴァプールで買い付けてきたアイテムは、「2022新入荷」というコーナー
で紹介しています。少数精鋭というか、貴重盤と珍盤が目立つラインナップと
なりました。リヴァプールならでは、なものもいくつかあり。
オーダーをいただけるとうれしいです。
 http://scousehouse.net/shop/records2022.html 

● ● ●

「今週のフォト」は、前回に続いて、僕が今年のビートルウィークで観たライヴ
の写真をいくつか掲載します(パート3)。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo824.html 

                        --- Kaz(18/10/2022)


--------------------------------------------------------------------------
▼「『ラヴ・ミー・ドゥ』60年に寄せて - スターたちからの祝辞」
------------------------------------------------------------------ NLW □

10月3日付「ザ・ガーディアン」紙に、「ラヴ・ミー・ドゥ」60年を記念して、
有名ミュージシャンたちへのインタビューが掲載されました。翻訳してお伝えし
ます。

-----------------------------------------------------------------

「『ラヴ・ミー・ドゥ』60年に寄せて - スターたちからの祝辞」
 インタビュアー:デイヴ・シンプソン

ジョー・エリオット(デフ・レパード)
「ラヴ・ミー・ドゥ」が出たとき俺はまだ3歳と2ヶ月だった。でもおもちゃの
ギターを持ってたからね、ラジオであの曲がかかりゃいつでもスツールの上に
立って一緒に歌ったもんさ。他の曲じゃそんなことはしない。あの曲だけがなぜ
か俺のハートをがっちり掴んだんだ。生まれて初めて歌った曲だよ。ハーモニカ
のイントロがサイコーだよね。それまで知ってたハーモニカの歌って、フランク・
アイフィールドの「アイル・リメンバー・ユー」くらいだ。あとフレディ・アン
ド・ザ・ドリーマーズとかジェリー&ザ・ペースメイカーズとかいろいろなグ
ループが似たような曲を出したけど、「ラヴ・ミー・ドゥ」ははるかに上を行っ
てた。レノン・アンド・マッカートニーのヴォイスはあのころ流行りのエコー処
理がされてなかったし、なんてったってメロディーのセンスが並外れてたよね。
そのあと彼らが成し遂げたことを考えればだね、「ラヴ・ミー・ドゥ」なんてロ
ケットが軌道に乗る前に切り離される残骸みたいなものかもしれない。でもそれ
がなけりゃ宇宙へ飛び出すことはできないんだよ。いまでも俺はあの曲を聴くと
微笑んでしまう。そしてこう考える。あの曲は俺にとっての発射台だったんだっ
てね。


ルル
13歳のころの私は、寝ても覚めてもラジオ。今の子たちのTikTokみたいにね。
「ラヴ・ミー・ドゥ」が流れてきたときは一瞬でとりこになったのよ。私の
ティーンエイジ・ホルモンは急上昇。ビートルズはとにかくキュートだったもの。
もう怖いものは何もなしって感じ。彼らが登場する前のブリティッシュ・ミュー
ジックって、アメリカのレコードをソフトに焼き直したみたいなのばっかりだっ
たのよ。でも「ラヴ・ミー・ドゥ」。スピリチュアルな覚醒って感じかしら。私
はビッグ・ママ・ソーントンが「ハウンド・ドッグ」を歌うのを聴いてたし、
バレット・ストロングの「マネー(ザッツ・ホワット・アイ・ウォント)だって
知ってた。「ラヴ・ミー・ドゥ」はそれらに明らかに影響を受けてはいるんだけ
ど、でもぜんぜん違うの。あの3パートのハーモニー、教会で聴く歌みたい
だって思った。ディープ・ソウルね。それに彼らは自分たちで曲を作ってたで
しょ。世界の音楽産業を根底からひっくり返しちゃったのよね。彼らの歌って、
まるでティーンエイジ・ボーイズの代弁だった。愛の言葉とか青春の悩みとか
失恋とか、希望とか。「ラヴ・ミー・ドゥ」はブラック・アメリカンR&Bのビー
トと彼ら自身のオリジナルなものがブレンドされてるのよね。それでね、それ
から2年後に彼らが『レディ・ステディ・ゴー』に出演した時にね、「最近お気
に入りの曲は?」って訊かれたジョンが何て答えたと思う? 「ルルの『シャ
ウト』」って。もうあたし、死んでもいいって思ったわよ。天国に行くんだった
らね。


ミッシェル・フィリップス(ママス&パパス)
「ラヴ・ミー・ドゥ」みたいな2人の男の掛け合いって、あのころのトップ40
では珍しかったのよね。それに“love me do”だなんて、正しい英語とも思え
なかった。でも私は「そんなのどうだっていいわ、私はこれが好き」って思っ
たの。それからは彼らにすっごくたくさんインスピレーションをもらった。
1966年にビートルズをドジャー・スタジアムに観に行こうかってことになった
んだけど、親とかにね、危なすぎるって言われたの。もみくちゃにされるって。
警備員はビートルズを守るのに手一杯だって。私、フォークを落として泣いた
のよ。


ギルバート・オサリヴァン
ビートルズ以前はどのバンドにもリードシンガーがいた。だが彼らは、ジョン
とポール、2人のシンガーが前に並んでいた。彼らはアメリカ産のあらゆるグ
レイト・ミュージックを吸収していた。R&Bやミュージック・ホールもね。でも、
ジョンとポールがギターを手に向かい合って座ると、なんともユニークなもの
が生まれて来た。実に不思議なことに、あの「ラヴ・ミー・ドゥ」という奇妙な
言い回しは、クリフ・リチャードの最初の映画「ヤング・ワンズ」(1961年)の
中でも使われている。ハーモニカのリフを効果的に使うというアイデアは、ブ
ルース・チャネルの「ヘイ・ベイビー」から来ているんだろう。ジョンが特に影
響を受けていたから。「ラヴ・ミー・ドゥ」はシンプルだが心に残る。今もなお
グレイトなレコードだ。だが彼らは数週間後にまたスタジオに入って「プリー
ズ・プリーズ・ミー」に取り掛かった。そしてジョージ・マーティンが「君らの
最初のNo.1の出来上がりだ」と言う。それがテイクオフの合図になったんだ。


リッキー・リー・ジョーンズ
いとこのおうちのちっちゃな白黒テレビで観たのよ。エド・サリヴァン・ショ
ウのビートルズを。あの時のことは何から何まではっきりおぼえてるわ。晩ご
はんはチキンとラザロニだったなとかね。ビートルズはね、アメリカ人にイギ
リス人になりたいって思わせちゃったのよ。彼らみたいな服を着たし、リヴァ
プールなまりだって真似したんだもの。英国と違ってこっちでは「ラヴ・ミー・
ドゥ」は最初のシングルじゃなかったのよね。この曲を聴くとお祭りを連想し
ちゃう。あの頃はどこに行ってもビートルズがかかっていたから。あのハーモニ
カって頭から離れないのよね。ハーモニーもそう。低いハーモニーがジョンで、
「ラヴ、ラヴミードゥ、ユーノウ、アイラヴユ」ってポールの下を歌うのとか、
「サムワントゥラヴ、サンバディニュー」のところでバッと変わって、切なさ
全開になるのとか。ミュージシャンとしてあたしが思うのは、彼らには最初から
エモーショナルなボキャブラリーが備わっていたってこと。ジョンもポールも
ティーンの頃にお母さんを亡くしてるでしょ。自然とメランコリーな部分のある
人間になるだろうし、それが音楽にもにじみ出るのよ。「ラヴ・ミー・ドゥ」は
悲しくてワンダフルな歌。あの時代のスピリットを集めたような歌。60年代初
頭のイングランドの切迫感やダークネスをね。そして彼らはそこを飛び出して、
新しい銀河を作っちゃうのよね。


ジーン・シモンズ(キッス)
13歳のオレの耳は、「ラヴ・ミー・ドゥ」をどう聴けばいいかわからなかった。
ハーモニカと2本のギター、ベースにドラム。音が隙間だらけなんだ。そのころ
のアメリカのポップ・ヒットと言やあバックグラウンド・シンガーやらホーン
やらバイオリンやらパーカッションやら、とにかくてんこ盛りだったからな。
でもなんでだかわからんが、この歌には妙に惹きつけられた。何年も後になっ
てからだよ、オレが「ああ、この曲はエヴァリー・ブラザーズのハーモニーへ
のオマージュなんだ」って気がついたのは。「ラヴ・ミー・ドゥ」は、そのあと
の「シー・ラヴズ・ユー」とか「アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハ
ンド」とかみたいな、地球を揺さぶるような歌ではなかった。歌詞はシンプル
そのもので、韻は「ドゥ」「ユー」「トルゥー」と単純なものだ。でもな、この
ヘンな歌こそがオレをがっちり捕まえたんだよな。


パディ・マクアルーン(プリファブ・スプラウト)
「ラヴ・ミー・ドゥ」がリリースされたときは5歳だったな。でも僕はね、彼ら
が北イングランドの片田舎にもたらした影響を示す証拠品を持ってるんだよ。そ
れは小さな白黒写真でね、60年代の初めに撮られたものだ。僕と弟のマーティ
ンはパジャマを着ていて、僕らの母メアリーは前髪を下ろしてビートル・ルック
もどきになってる。で、僕ら3人は何してるかというとだね、鍋とフライパンを
がんがん叩きながら楽しそうに笑ってるんだよ。歌詞の面では、これ以上に
ベーシックなものは彼らの作品にはない。前に僕はマッカートニーから聞いた
ことがあるんだけど、彼とジョンはよくベッドに向かい合わせに座ってお互い
小声で歌いながら曲を作ったって言ってた。そうやってできた曲なんじゃないか
な。出だしからレノンの声はビンビンにエレクトリックだ。天性のものだけど、
もうシビれるような声だよね。ポールはあの顔そのままの、プリティな声だ。
「ラヴ・ミー・ドゥ」はロケット発射に使われる第一段階に過ぎないわけだけ
ど、まだ落ちて来てないんだよね。


ジュディ・コリンズ
ビートルマニア現象って、(60年代の)フォーク・リヴァイヴァルとは対極にあ
るんだけど、でも面白いことに、どっちの音楽も同じような率直性を持ってる
のよね。「ラヴ・ミー・ドゥ」とか「イン・マイ・ライフ」とか、どれも3分に
満たないのに、心がこもってるのよ。思わずギターを手にとって歌ってみたく
なるような。私の「スカイ・フェル」は、実は「ラヴ・ミー・ドゥ」の簡潔さ
に影響を受けてるのよ。とっても。「ラヴ・ミー・ドゥ」っていうフレーズその
ものが短くてスウィートなの。誰かをバー・スツールから立ち上がらせたり、
誰かの腕の中にすっともぐり込んでいくような、そんなフレーズなのよ。


イアン・ブロウディー(ライトニング・シーズ)
ソングライターとしてビートルズにはマジックがあったよね。彼らはソングラ
イティングのルールをぶち壊したし、彼ら自身がルールになっちゃったわけだ
から。「ラヴ・ミー・ドゥ」は他のどの曲にも似ていない。その後のビートルズ
自身のも含めてね。限りなく地味なようでもあるけれど、それを超えてブリリア
ントでもある。非常にモダンなレコードだよ。まずビートとキャッチーなリフレ
インで始まって、ヴァースの前にコーラスが入って来るんだから。クリーン・エ
アみたいにクリアだよ。60年が経ってもピチピチだ。だから今でも18才のキッ
ズたちが彼らのレコードに夢中になるんだよ。ホコリをかぶった博物館の陳列品
としてじゃなくて、イカした現代のギター・サウンドとしてね。


スティーヴ・ジョーダン(ローリング・ストーンズで演奏するドラマー)
「ラヴ・ミー・ドゥ」のオリジナル・デモはピート・ベストがドラムを叩いてる
んだが、テンポはずいぶんとスローでなんだかメランコリーなカントリー・ソン
グのように聴こえる。1962年にパーロフォンでシングルをレコーディングする
頃には、リンゴが入っていた。彼はコンポーザーのようにドラミングを考える。
なので彼はギターのフックを取り入れて、ドラムにアクセントを加えた。そう
することで「ラヴ・ミー・ドゥ」はずっと良くなった。しかしそれまでポップ・
レコードを作ったことがなかったジョージ・マーティンは彼のドラムに満足し
なかった。リンゴは加入したばかりで、ほかのメンバーほどスタジオの経験が
なかった。当時のレコーディングはライヴ演奏で、時間との戦いだった。なの
で、ジョンとポールのパフォーマンスもイマイチな出来だった。じゃあってこ
とで1週間後に彼らはもう一度レコーディングを行う。マーティンのアシスタ
ントだったロン・リチャーズはセッション・ドラマーのアンディ・ホワイトを
手配していた。リンゴは例のフックをタンバリンで叩いた。現在みんなが親し
んでいるのは(ビートルズのファースト・アルバムに収録され、アメリカでの
シングルに採用された)このヴァージョンだ。テンポはより早くなっていて、
ヴォーカルも良くなった。ドラムビートもかなりいい。彼自身は叩いてないに
しても、これはリンゴのものだ。彼は確実に「ラヴ・ミー・ドゥ」におけるクリ
エイティヴDNAの一員だ。3つの過程を経て、「ラヴ・ミー・ドゥ」はめでたい
デビュー曲になったってこと。その後まもなくリンゴは、ラディックのドラム・
キットを手に入れる。彼の望むサウンドがそれだったし、ラディックはリンゴ
のトレードマークになった。その後はヒストリーだよね。


カレブ・ニコルズ(シンガー・ソングライター)
わたしは11歳で、シングルマザーの母親と一緒にカリフォルニアの片田舎で暮
らしていた。ゲイであることをカミングアウトしたら、わたしは矯正施設に入
れられそうになった。おそらく母はわたしの問題をある程度理解していたんだ
と思う。彼女はビートルズのコンピレーション・アルバムの『パスト・マスター
ズ』をわたしに与えてくれた。そしてわたしは、まったくの突然に、孤独から解
放されることになったんだ。「ラヴ・ミー・ドゥ」はサイド1のトラック1だ。
全身でそのサウンドを感じられるよう、わたしは大音量でそれをかけた。あの2
つのヴォイスがわたしを引き入れ、そしてギターやドラムの感触に浸る。おそら
く彼らはティーンエイジャーの視点で書いたんだと思うけど、この曲には尋常で
はない切迫感があって、それはわたしにも通じるものだった。ブライアン・エプ
スタインをはじめ、彼らの周りにはたくさんの同性愛者がいた。リトル・リ
チャードが大好きで、自分たちと違う人々への関心を持っていた。わたしは
「ラモン」という曲で「ラヴ・ミー・ドゥ」を引用しているし、「リッスン・
トゥ・ザ・ビートルズ」という曲も作った。「ありがとう」という気持ちを表し
たかったんだ。彼らの曲を聴いて、彼らはわたしの仲間だとわかったから。


ティジンダー・シン(コーナーショップ)
僕が「ラヴ・ミー・ドゥ」に出会ったのは、全校集会で音楽の指揮をするって
いう映えある役割を仰せつかったときで、8歳だった。タクトをさっと上げて、
下ろすタイミングでカセットテープを再生したんだよ。ハーモニカのあの高音
はまるで警笛みたいだよね。バッキング・ヴォーカルを従えた歌声には親密な
響きがある。あのベースは思わずワルツを踊りたくなるよね。一瞬止まって再
開のところがあるからぼんやりできないし。アメリカのゴスペルやカントリー
で流された汗に、小さなクラブで流れた汗、それからヨーロッパ由来のいろん
なものが混ざり合って出来上がった結晶がこれなんだよ。


アンディ・マクラスキー(オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク)
「ラヴ・ミー・ドゥ」って、習作みたいなものだと私は思うな。大工だって、
でかいキャビネットを作る前に小さな引き出しを作るだろう? 天才としての旅
の、最初のちっちゃな1歩ってところかな。ハーモニカのパートは確かに大きな
魅力のひとつだけど、ソングライティングはまだ稚拙だ。G, D, C, G, D, C, G
のたどたどしいベースラインもね。1年か2年後のマッカートニーは素晴らしく
メロディックなカウンター・ハーモニーのベースラインを書くようになるんだ
が。歌詞は、同じものが4ヴァース。唯一のブレイクが「サームワントゥラ
ヴ...」のところで、コードも変わる。とはいえ、おそろしくキャッチーな曲で
あることは確かだ。リード・ヴォーカルが2人というのもこの曲が先駆けだろ
う。このあとに続いて行くシングルはまさに天才のなせる技だ。だから私にとっ
てこの「ラヴ・ミー・ドゥ」は、洗礼者ヨハネ的シングルなんだよ。(ヨハネが
イエスの登場を予言したように)これからすごいのが来るぞって予言している
んだよ。

The Guardian
‘My teenage hormones were raging!’: stars salute the Beatles’ Love Me Do at 60
Interviews by Dave Simpson, Mon 3 Oct 2022.

https://www.theguardian.com/music/2022/oct/03/the-beatles-love-me-do-at-60-first-single


--------------------------------------------------------------------------
▽スカウスハウス・ニュース
------------------------------------------------------------------ NLW □

***  スカウスハウス通販:英国盤レコード ******

スカウスハウス通販「英国盤レコード」を更新しました!
今夏リヴァプールで買い付けてきたアイテムは、「2022新入荷」というコーナー
で紹介しています。少数精鋭というか、貴重盤と珍盤が目立つラインナップと
なりました。リヴァプールならでは、なものもいくつかあり。
オーダーをいただけるとうれしいです。
 http://scousehouse.net/shop/records2022.html 


*** 現地ビートルズ・ツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートして
います。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートルズ・ツ
アー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ&
名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー
(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も承
ります。
ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好評。
イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをアレ
ンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページをご
覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演奏
する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** スカウスハウス通販(1) ******

英国盤レコードの通販です。「ビートルズ」「ビートルズ(ソロ)」「ビートル
ズ関連」「ブリティッシュ・ロック」「シングル&EP」の5カテゴリー。リヴァ
プールで仕入れたアイテムばかりです。オーダーいただけるとうれしいです!
 http://scousehouse.net/shop/records2021.html 


*** スカウスハウス通販(2) ******

スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」を更新しました。永らく品切
れになっていたLennon-NYペンダントが入荷しています。チェーンの太さ&長
さにいくつかのヴァリエーションがあって、お好みのタイプをお選びいただけ
ます。
現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を
プレゼント中。オーダーをいただけるとうれしいです!
 https://scousehouse.net/shop/silver.html 


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは
英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


--------------------------------------------------------------------------
▼今週のフォト
------------------------------------------------------------------ NLW □

「今週のフォト」は、前回に続いて、僕が今年のビートルウィークで観たライヴ
の写真をいくつか掲載します(パート3)。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo824.html 


■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第824号 ■□

◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
◇編集 山本 和雄
◆Eメール info@scousehouse.net
◇ウェブサイト http://scousehouse.net/
◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net
◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html

ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。配信
の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。

◆まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000065878.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2022 Scouse House