February 14 2023, No.832
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2022」(1) ▽スカウスハウス・ニュース ▼今週のフォト -------------------------------------------------------------------------- ▽フロム・エディター ------------------------------------------------------------------ NLW □ NLW 832です。 前号でもお知らせしましたが、「スカウスハウス・ツアー2023」を企画し、参加 者の募集をスタートしました。 https://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2023.html 「スカウスハウス・ツアー」は、8月にリヴァプールで開催される「インターナ ショナル・ビートルウィーク2023」の鑑賞パッケージです。 聖地・リヴァプールで、世界中からビートルズ・ファンやトリビュート・バンド が集まって開催される、地球規模のビートルズ・フェスティヴァル。今年は日本 から4バンドをエントリーしていて、スカウスハウスとしてもとびきり忙しい、 でも愉しいフェスティヴァルになりそうです。たくさんのかたにご参加いただけ るとうれしいです! ● ● ● 今年のツアーのことでいろいろやっているうちに、ふと、去年のツアーのレポー トを書いていないことを思い出してしまいました。 もう半年近くが経っちゃってますが、ぼちぼちと書いて、お伝えして行きますね。 タイトルはいつものように「おぼえがき:ビートルウィーク」です。 第1回は、僕がリヴァプールに到着した日のお話を。いつもはたぶん、フェス ティヴァルの始まる水曜日あたりからスタートしていたんじゃないかと思うんだ けど(よくおぼえてない…)、今回はついつい月曜日から始めてしまいました (しかも無駄に長い…)。なので、ビートルウィークのレポートが始まるのはま だまだ先です。フェスティヴァルの終わりにたどり着くのにもかなり時間がかか りそう……夏までに書きあげられるかな?? ● ● ● 「今週のフォト・アルバム」では、連載「おぼえがき:ビートルウィーク2022」 の写真を紹介しています。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo832.html --- Kaz(14/02/2023) -------------------------------------------------------------------------- ▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2022」(1) ------------------------------------------------------------------ NLW □ 「おぼえがき:ビートルウィーク2022」 / Kaz ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo832.html ≫ <8月22日(月)> 午後4時半にリヴァプール・ライム・ストリート駅に到着し、ザーザーと降る雨 の中をよろよろ歩いておよそ10分、アダージョ・アパートホテルに到着、チェッ クイン。家を出たのが昨日の昼の2時で、今が日本時間で夜の11時だから、え えと、33時間、か。関空、成田、ドーハ、マンチェスター……やれやれ、思い返 すのも勘弁してほしいくらいの長い長い旅だった。 初めて泊まるアダージョ。案内された部屋はそこそこ広めで、冷蔵庫やキッチン に鍋やフライパンや食器、マイクロウェーヴも完備。これからの4日間、まずま す快適に暮らせそうだ。まあ、調理をするつもりはないけれど。というか、部屋 にいる時間もあんまりないか。 荷物をほどいて、外に出る。3年ぶりのリヴァプールだが、久しぶりとか懐かし いとか、ぜんぜんそんな感じはしない。でも、帰って来たぞ、とはちょっと思う。 リヴァプールの街のにおいも空気もノイズも、建物も道も、人もカモメも、寒さ や風や雨さえも、すべてがしっくりと感じられる。それはまあいつものことなん だけど、今回は特に、「ああ正しい世界に戻って来たなあ」という感慨もあるか な。いまの日本は正気を保つのが難しい社会になっているので。 ● ● ● まずはビヤで乾杯をと、お気に入りのパブ「ザ・グローブ」へ。床が傾いている ことで有名な、古い、小さなパブだ。リアルエールの中からランドロードという ビールを選ぶ。お金を払うときに、現金を1ペニーも持ってないことに気がつい た。そうだった、すっかり忘れていた。ビール代はクレジットカードで支払う。 パブを出ると、雨はかなり小降りになっていた。少し歩いてみよう。 まずチャーチ・ストリートのATMでポンドを引き出して、マシュー・ストリート へ。端から端まで歩いてみる。うん、いい感じだ、とひとりごちる。ヴィクトリ ア・ストリートを通ってウィリアムソン・スクエアへ。いつの間にか、空には晴 れ間が見えている。まだ子どもなのだろうか、茶色い模様のある小ぶりなカモメ が2羽、こっちに寄ってきた。 「ロブスター・ポット」でテイクアウェイ。フィッシュ&チップスにカレーをか けてもらう。セインズベリーでビールと赤ワインを買って、部屋で夕食。でもと ても全部は食べきれない。これでスモールサイズかよ、とひとりでツッコミを入 れる。 さて、ここからが難しい。時間は午後7時。長時間の移動で疲れきっているのだ から、さっさとシャワーを浴びて、ベッドに入ってしまいたい。切実に、そう思 う。横になるのは42時間ぶりくらいだろう。ああ、早くごろんとしたい。 しかし、である。今日はこれからプレミアリーグの試合があるのだ。「ナショナ ル・ダービー」と言われる、リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドの対 戦。にっくき宿敵同士の、因縁の対決。部屋のテレビでは観ることができないの で、観戦したければ外に出るほかない。 ● ● ● というわけで、シャワーとベッドはあきらめ、夜のリヴァプールへ。さあ、どこ で観よう。テレビモニターで試合を流しているパブはたくさんあるけれど、なに しろこっちは疲労でグダグダなので、混み合っていたりうるさいところはなるべ 避けたいなあと思ってスレーター・ストリートを歩いていると、まさに理想的な パブに行き当たった。フィッツジェラルド・アイリッシュ・バー。あのジャカラ ンダのとなりだ。店内に客は2人しかいない。もちろんテレビで試合を流してい る。ちょうど、ピッチに選手たちが出て来て、横に並ぶころだった。 中に入ると、バースツールに座っていた赤いシャツの兄ちゃんが不機嫌そうに立 ち上がり、カウンターの中へ入った。店員さんだったらしい。ということは、客 は僕を入れて2人だけ、ということになる。うーん、月曜日とは言えずいぶんと 人気のないパブなんだなあと少し心配になった。 アイリッシュ・パブであるからここはやはりギネスを注文して、テーブル席に座 る。そのタイミングで試合が始まった。 その試合はなんというか、実に予想外の展開となった。ここ最近のパワーバラン スでは、たとえアウェイであってもリヴァプールがボコボコにしてもおかしくな いと予想していたのだけど、なんかおかしいなあかみあってないなあ眠たいなあ と思ってるうちにあっさりと先制されてしまった。そしてそのとき、なぜこの時 間にこのパブの客が少ないのかがわかった。ユナイテッドの得点の瞬間、さっき の赤いシャツの兄ちゃんが歓声を上げたのだ。一瞬耳を疑ったのだけれど、彼は ガッツポーズまでしている。よくよく見ると兄ちゃんの赤シャツはユナイテッド のユニフォームである。え? まさか? マンチェスター・ユナイテッドびいき のパブ? リヴァプールの中心に? ありえへん、ありえへんって! しかもよ りによってそんなパブに入るかオレ?? さすがにちょっと目が覚めた。リヴァプールの選手たちも先制されたことで目を 覚ましてくれと期待する。フツーにやりさえすれば、すぐに逆転できるって。で も、そうはならない。フツーにならない。いらいらする状況は相変わらずだ。そ のまま1?0で前半終了。 ● ● ● 空になったグラスをカウンターに戻して、パブの外へ出た。場所替えだ。もうこ んなバチあたりなパブには用はない。赤シャツの兄ちゃん、さようなら。 しかし、デューク・ストリートやシール・ストリートでいくつかのパブに入って みたものの、人でいっぱいで座れなかったり、そもそも椅子がほとんどなかった り、座れてもテレビ画面が見えなかったりで、どうもいい物件にめぐり会えない。 そうするうちにまたスレーター・ストリートに戻って来てしまった。セカンド・ ハーフももう始まっている時間だ。むむ、仕方がない。観念して、またバチあた りパブに入った。 赤シャツの兄ちゃんはカウンター席に座って、数人の友人らしき仲間と試合に集 中していた。バーの中にはさっきはいなかったスタッフ。黒シャツだ。オーケー、 ギネスを頼むよ。 そういえば、と思い出したのだが、僕はいまリヴァプールのシャツを着ているん だった。でもそれはウインドブレーカーにすっぽりと隠れている。寒いのでずっ とジッパーを上げたままなのだが、いまここでウインドブレーカーを脱いだらど うなるだろうと、ちょっと考えた。ユナイテッドびいきのパブでリヴァプールの ユニフォームを堂々と披露するのだ。それは挑発、と言える行為かもしれない。 でもそれを言うなら、リヴァプールの街のど真ん中で堂々とユナイテッドびいき のパブが存在していることだって挑発だ。革命的な挑発だ。とすると、革命的な 挑発的存在における反逆的な挑発的行為、ってことになるのかな。 などどどうでもいいことを考えている間に、あろうことか、ユナイテッドに追加 点が入った。歓喜に沸くバーカウンター。寒気で沈む僕。それにしても、リヴァ プールのこのちぐはぐさはどういうことだろう。ポゼッションはとっているが、 ボールを持たされているという感じ。シュートも打つけど、点が入りそうな気が しない。あきらかにユナイテッドのほうがいいゲームをしている。店にはさらに ひとりふたりと客が入り、赤シャツの兄ちゃんと一緒に試合を見守っている。あ あ、やはりユナイテッド・ファンなのねみなさん。 試合終了。2?1でユナイテッド。2022-23シーズン開幕以来これで2分け1敗 と、リヴァプールはまだリーグ戦の勝利がない。つい数ヶ月前のあの無双ぶりか らすると、まったくウソのようだ。まったく現実味がない。僕の観戦環境だって 負けず劣らず超現実的だったけど。バチあたりパブ…いやほんと、シュールすぎ るって。 とぼとぼ歩いて、アダージョへ帰る。足が重い。気分も重い。こんなことなら部 屋でじっとしてればよかった、という気持ちがどうしても沸いてくる。でも、い やいやこれはこれで面白かったかも、という気持ちも少し、ある。うん、想像の ナナメ上を行く体験だったことは確かだ。3年ぶりだろうがなんだろうが、リ ヴァプールはやはりリヴァプールなのだった。 (つづく) ≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo832.html ≫ -------------------------------------------------------------------------- ▽スカウスハウス・ニュース ------------------------------------------------------------------ NLW □ *** Beatleweek 2023 スカウスハウス・ツアー:参加者募集中! ****** 今年8月にリヴァプールで行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」 観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2023』の参加者を募集中です。 聖地リヴァプールで開催される世界最大のビートルズ・フェスティヴァル「イ ンターナショナル・ビートルウィーク」。今年・2023年は、おなじみの「ビート ルズ・コンヴェンション」やアデルフィでのオールナイト・パーティー、フィ ルハーモニック・ホールでのハイ・クォリティなコンサートやすっかり名物と なった「ルーフトップ・コンサート」、さらに昨年に続いてマージー河畔のヨッ ト・クラブでもイヴェントが開催されるほか、ホープ・ストリートやヨーコ・レ ノン・センターでの新企画も登場。輪をかけて盛りだくさんの内容になっていま す。 もちろんスカウス・ハウスのオプショナル企画も充実。各種ビートルズ・ツ アーに、マージー・フェリー乗船、ウェルカム&フェアウェルパーティーなど でリヴァプールとフェスティヴァルを満喫していただきます。 初めてのかたもリピーターも大歓迎! この夏、ぜひリヴァプールでお会いし ましょう! http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2023.html *** スカウスハウス通販:英国盤レコード ****** スカウスハウス通販「英国盤レコード」では、昨夏リヴァプールで買い付けてき たアイテムを、「2022新入荷」というコーナーで紹介しています。少数精鋭とい うか、貴重盤と珍盤が目立つラインナッ プとなりました。リヴァプールならでは、なものもいくつかあり。 オーダーをいただけるとうれしいです。 http://scousehouse.net/shop/records2022.html *** 現地ビートルズ・ツアー ****** スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートし ています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートルズ・ ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ &名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー (Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も 承ります。 ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好 評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm *** PLAY AT THE CAVERN! ****** スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。 ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを ご覧ください。 ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演 奏する」という夢をぜひかなえてください! http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html *** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ****** スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウス ハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」が入 荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダントを イメージしたアクセサリー。チェーンの太さ&長さはお選びいただけます。 現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を プレゼント中。オーダーをいただけるとうれしいです! https://scousehouse.net/shop/silver.html *** 原稿募集中 ****** NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。 旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは 英国に関するものなら何でも歓迎です。 お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。 -------------------------------------------------------------------------- ▼今週のフォト ------------------------------------------------------------------ NLW □ 「今週のフォト・アルバム」では、連載「おぼえがき:ビートルウィーク2022」 の写真を紹介しています。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo832.html ■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *** 隔週火曜日発行 *** □■ 第832号 ■□ ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス) ◇編集 山本 和雄 ◆Eメール info@scousehouse.net ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/ ◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net ◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。配信 の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。 ◆まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000065878.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2023 Scouse House |