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February 28 2023, No.833
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2022」(2)
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW 833です。
こないだの日曜日に、フルマラソンを走りました。「世界遺産姫路城マラソン
2023」です。
延期や中止が続いていたので開催は4年ぶり。僕にとっては6年ぶり3回目の姫
路城マラソン。この大会にはいい思い出しかなくて、さらに昨年11月の神戸マ
ラソンのリベンジの気持ちもあったので、12月1月そして2月と、この3ヶ月間、
気合いを入れて走り込みを続けてきました。今度こそサブ4を、それが無理でも
自己ベストを、という目標を胸に。

しかしながら、というか、いつものパターンなのでどっちかというと「案の定」
なんだけど、ハードトレーニングが原因で脚を故障してしまい、レース本番を最
悪のコンディションで迎えることに。さらにもうひとつのいつものパターン、絶
対無理とわかっているのについつい目標達成にチャレンジしてしまうという悪い
クセ。脚の痛みを無視してスタートから当初の設定どおりのレースペースで突っ
込んで行ってしまったのです。その結果、28キロあたりで脚に限界が来て大失速。
そのあとはほんとにもう、苦行というか拷問です。最後の14キロは「歩いたほ
うが速いんちゃうか」くらいのヨチヨチペースでしか走れませんでした。はたか
ら見れば笑っちゃうくらいブサイクな姿だったと思うけど、そんなことを気にす
る余裕はなく、とにかく必死、ひたすら足を前に出しました。「ラン、ドント・
ウォーク(走れ、歩くな)」は、僕にとっては記録よりも大事なテーマなのです。

というわけで、なんとか、4時間半をちょっと回るタイムでしたが、どうにかこ
うにか完走。目標を30分もオーバーしてしまったけど、今回もとにかく歩かな
かった。12回目のフルマラソン完走です。

今回つくづく思ったのは、

「練習しすぎで本番前に故障してしまう」
「そんな状態でもプランの修正をせずに本番を走って自滅」
「それを性懲りも無く何度もなんども繰り返す」

この3つって、良くも悪くも僕自身なんだろうなあ、ということ。自分でも「あ
ほちゃうか」と思うんだけど、たぶんこれは治らない。学習なし。反省なし。だ
からきっと今後も同じ失敗を繰り返すことになるはず。ほんまにあほやな。でも、
3回に1回、あるいは4回に1回くらい、うまく行くかもしれない。それを楽し
みに、これからもチャレンジをし続けようと思ってます。

● ● ●

「おぼえがき:ビートルウィーク2022」の第2回を書きました。今回も長いで
す(たぶん無駄に長い……)。しかもマニアック。どうぞ覚悟して読んでくださ
いね。あ、ランニングの話もちょろっとあります。

「おぼえがき:ビートルウィーク2022」は去年のお話ですが、今年のビートル
ウィーク観賞ツアー「スカウスハウス・ツアー2023」の参加者を募集中です。
 https://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2023.html

「スカウスハウス・ツアー」は、8月にリヴァプールで開催される「インターナ
ショナル・ビートルウィーク2023」の鑑賞パッケージです。
聖地・リヴァプールで、世界中からビートルズ・ファンやトリビュート・バンド
が集まって開催される、地球規模のビートルズ・フェスティヴァル。今年は日本
から4バンドをエントリーしていて、スカウスハウスとしてもとびきり忙しい、
でも愉しいフェスティヴァルになりそうです。たくさんのかたにご参加いただけ
るとうれしいです!

● ● ●

「今週のフォト・アルバム」では、連載「おぼえがき:ビートルウィーク2022」
の写真を紹介しています。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo833.html 

                        --- Kaz(28/02/2023)


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▼連載:「おぼえがき:ビートルウィーク2022」(2)
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「おぼえがき:ビートルウィーク2022」 / Kaz

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo833.html ≫

<8月23日(火)>

午前8時。ランニングに出発。曇り空の下、マウント・プレザント、ロドニー・
ストリート、デューク・ストリート、アルバート・ドック、ピア・ヘッド、マ
シュー・ストリート、セント・ジョンズ・ガーデンを走って、アダージョに戻っ
た。後半は気持ちのいい青空になっていた。走行距離は約5km。所要時間はおよ
そ1時間…って、おそい! それはリヴァプールの空気や景色を味わいながら、
のんびり楽しんで走ったし、止まっている時間も長かったから。ランニングとい
うよりはジョギングだな。

● ● ●

午前10時半。行きつけのレコードショップへ。3年ぶりだけど、憶えていてく
れた。元気でよかったねとお互いの無事を喜び合う。ここに来たのはスカウスハ
ウス通販の商品の買い付けのためなんだけど、今回はかなり予算が厳しい。なの
で厳選しなくちゃと思っていたのだけど、次から次へとレア・アイテムがザクザ
クと……大物重量級のお宝がいっぱいである。あれこれ試聴させてもらって選別
にかかるも、聴けば聴くほどここに置いて行くのが惜しくなってしまうという悪
循環(?)。
結局、20万円オーバーの出費になってしまった。おいおい。もちろん支払いはク
レジットカードである。引き落とし、だいじょうぶかな。

● ● ●

午後1時。「インターナショナル・ビートルウィーク」を主催するキャヴァーン・
シティ・ツアーズのオフィスへ。2年前くらいに移転したので、新オフィスへは
初めての訪問。前のオフィスも広くて明るかったけど、ここもいい感じだ。そし
て、3年ぶりに会うスタッフのみんながみんな、再会を喜んでくれた。僕の大好
きな人たちの、以前と変わらない元気な顔を確認できて、僕も嬉しい。いや、ひ
とり、ジョン・キーツだけは風貌がえらく変わっていた。ヒゲもじゃで誰だかわ
からなかった。

「ハロー、カズ」
「ハロー、………? ??」
「わっはっは」
「あ、ジョ、ジョン?」
「わっはっは、カズ、わかんなかったか」
「わかんなかった。『あんた誰?』って言いそうになった」
「わっはっは、お前の顔がそう言ってたよ。サイコーだった」

豪快に笑われてしまった。

「(バンド担当者の)クラークはあっちで今ごちゃごちゃやってるけど、もうす
ぐ終わると思う。そこでポールと一緒に待っててくれ」

● ● ●

ジョンに言われて窓際のソファーセットに座る。向かいにはポール・キドル。
トーテムポールみたいな木彫り顔をした大男で、長いもみあげと頰ひげ、するど
い眼、そして太い腕に刺青。いかつさを絵に描いたようなミュージシャンである。
いや、ただのミュージシャンではない。ストリート・ミュージシャンだ。もっと
正確に言うと、「マシュー・ストリートのバスカー」である。彼はひとりで、
キャヴァーン・パブの外にあるジョン・レノンの銅像のそばで演奏しているのだ。
ギターにアンプ、マイク。毎日毎日、来る日も来る日も、たったひとりで、延々
とビートルズ・ナンバーを演奏をしている。朝とか夜はさすがにいないけれど、
昼間なら必ず、いつ通りかかっても彼はそこで演奏し、歌っているのだ。まさに
鉄人である。彼を最初に見たのは2015年だったか、2016年だったか。決して美
声とか歌が上手いとかではないのだが、とにかくいつもそこに居て、真剣にパ
フォームしている。ほとほと感心してしまって、彼と目が会うたびにサムアップ
をしたり、ひと声かけたりするようになった。でも、ちゃんと話したことは一度
もない。

やあと挨拶をして、問われるままに自己紹介。日本から来たと言うと、ポールは
我が意を得たりという顔で話し出す。
「オレは日本と日本人を尊敬している。ライスとミソスープは毎日欠かさない。
お茶はもちろんグリーン・ティーだ。たまにだが、サケも飲むよ。日本食は体に
も精神にもいい。世界一だ。そうだろう?」
「……(唖然)。そ、そうだね、確かに。しかしまたなんで日本食?」
「オレはアルゼンチンで生まれ育ったんだが、日本の古武道を収めているんだ。
沖縄のナガハマムネノブ先生のね。今も尊敬している」
「古武道、ナガハマ先生……。沖縄には行ったことは?」
「ない。日本にも行ったことはない。いつか行ってみたいね」
「しかしびっくりしたな。でも、わかったよ。僕は君のことをストロングなアイ
アンマンだって思ってたんだけど、その強さがどこから来ているのかが、よくわ
かった。体もスピリットも、とんでもなく強いよね」
「武道をやっていれば、体もメンタルも強くなれる。でもそのベースになるのが、
食べ物だ。何を食べるか、何を食べないか、それが大事なんだよ」
「なるほど」
「それに、武術は身を助けてくれる。あんなところで日がな演奏してりゃ、いろ
んなヤツが来る。ヨッパライやらヤバいヤツやらね。何かありゃ反撃できる自信
はあるし、その自信が顔つきや態度に出てるから、滅多なことではトラブルにな
らない」
「うん、その通りだな。まさにそれがポール・キドルだ」
「ありがとう」
そう言って、ポールは合掌した。僕も合掌。ポール・キドルは鉄人で哲人だ、と
思った。いや、武士か。

● ● ●

クラークが姿を現した。片手にバタートースト。おいおい、いま朝ごはんかよ。
ポールと僕はクラークからバンド用のパッケージをもらって、ひととおりの説明
を受ける。
そのときやっと気がついたのだが、今回ポールはフェスティヴァルで演奏するの
だ。ストリートではなく、キャヴァーンその他の会場で演奏する。なんと。一介
の(と言っては失礼か)バスカーからスタートして苦節ええと6年かな、7年か
な。ひたすらマシュー・ストリートで歌い続けて来た彼が、ついにインターナ
ショナル・ビートルウィークのステージを踏むのだ。わお、おめでとう。
「ありがとう。でもな、オレひとりじゃないんだ。ステップスって言ってな、娘
のマルチナとユニットを組んでるんだ」
「娘さんと? そりゃファンタスティックだね!」
「ありがとう。ほら、これがギグのリストだ。ぜひ観に来てくれ」
「もちろん。あ、僕のバンドも観に来てもらえる? ザ・ビーチックスっていう
んだよ」
「オーケー、もちろん観に行くよ」

● ● ●

クラークとはランニングの話も。
「カズ、走ってるか?」
「もちろん。今朝も走ったよ」
「こっちでも走ってるのか!」
「もちろん、だってリヴァプールだぞ。大聖堂からチャイナタウンからアルバー
トドックからピアヘッドから、もうどこ走っても景色サイコー。めちゃ気持ちい
いじゃん」
「そりゃそうか。じゃ、今度一緒に走ろうか」
「おお、イエ……ス、じゃなくてノー!」
「ん? なんで?」
「なんでって、君は速すぎる。絶対ついていけない」
「ははは、そんなことないって」
「そんなことあるよ! キロ4分半とか絶対ムリ!」
「ははは」

● ● ●

キャヴァーンのオフィスを出ると、もう1時50分を回っていた。や、これは危
ない。急がなくては。
僕はそのままダッシュした。ホープ・ストリートを目指して。

(つづく)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo833.html ≫


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▽スカウスハウス・ニュース
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***  Beatleweek 2023 スカウスハウス・ツアー:参加者募集中! ******

今年8月にリヴァプールで行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」
観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2023』の参加者を募集中です。
聖地リヴァプールで開催される世界最大のビートルズ・フェスティヴァル「イ
ンターナショナル・ビートルウィーク」。今年・2023年は、おなじみの「ビート
ルズ・コンヴェンション」やアデルフィでのオールナイト・パーティー、フィ
ルハーモニック・ホールでのハイ・クォリティなコンサートやすっかり名物と
なった「ルーフトップ・コンサート」、さらに昨年に続いてマージー河畔のヨッ
ト・クラブでもイヴェントが開催されるほか、ホープ・ストリートやヨーコ・レ
ノン・センターでの新企画も登場。輪をかけて盛りだくさんの内容になっていま
す。
もちろんスカウス・ハウスのオプショナル企画も充実。各種ビートルズ・ツ
アーに、マージー・フェリー乗船、ウェルカム&フェアウェルパーティーなど
でリヴァプールとフェスティヴァルを満喫していただきます。

初めてのかたもリピーターも大歓迎! この夏、ぜひリヴァプールでお会いし
ましょう!
 http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2023.html 


***  スカウスハウス通販:英国盤レコード ******

スカウスハウス通販「英国盤レコード」では、昨夏リヴァプールで買い付けてき
たアイテムを、「2022新入荷」というコーナーで紹介しています。少数精鋭とい
うか、貴重盤と珍盤が目立つラインナッ
プとなりました。リヴァプールならでは、なものもいくつかあり。
オーダーをいただけるとうれしいです。
 http://scousehouse.net/shop/records2022.html 


*** 現地ビートルズ・ツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートし
ています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートルズ・
ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ
&名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー
(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も
承ります。
ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好
評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア
レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを
ご覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演
奏する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ******

スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウス
ハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」が入
荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダントを
イメージしたアクセサリー。チェーンの太さ&長さはお選びいただけます。
現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を
プレゼント中。オーダーをいただけるとうれしいです!
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*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは
英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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「今週のフォト・アルバム」では、連載「おぼえがき:ビートルウィーク2022」
の写真を紹介しています。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo833.html 


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□■ 第833号 ■□

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