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May 23 2023, No.839
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼エコーのエコー:
       リヴァプールの伝説的レコード店は、1990年代まで健在だった
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.839です。
今号の「エコーのエコー」で、先日「リヴァプール・エコー」に掲載されたブラ
イアン・エプスタインの記事を翻訳してお届けします。
ブライアンが経営していたレコード店NEMSの成り立ちをメインに、彼の功績に
あらためて光をあてるもので、記事の最後の最後に、ブライアンの銅像が設置さ
れたことが紹介されています。

このブライアンの銅像、実現までにはかなり長い年月がかかっています。僕が憶
えている限りでは、少なくとも2016年にはプロジェクトが始まっていました。
ということは、関係者は6年以上も努力を続けて来たわけですね。いちビートル
ズ・ファンとして、心から感謝したいです。

銅像の除幕式には、僕も現場に駆けつけました。
2022年8月27日、ブライアンの55回目の命日です(エコーの記事にはこの大事
な日付のことが書かれていなかったので、翻訳では僕が付け加えました。他にも
ちょこちょこと補正を加えてます)。
ホワイトチャペルに着いたのは午前10時50分ごろ。セレモニーは11時からと
聞いていたのですが、当然ながらもうすでにたいへんな人だかりです。銅像には
青い幕がかかっていて、スピーカーからビートルズのヒットソングが途切れるこ
となく流され続けています。もちろん集まった人々は、それに合わせて歌うウタ
ウうたう。ヒア・カムズ・ザ・サン、イン・マイ・ライフ、ヘイ・ジュード...

11時になって、代表者のスピーチが始まりました。かなり後ろだったので最初は
気がつかなかったのですが、黒のジャケットに黒のハット姿、長髪三つ編みのそ
の紳士はにゃんと、トム・カルダーバンクさん。わあ、トミー、すごいなあ、と
思わず声に出してしまいました。

熱心なLFCファンであり、長年ローカルな遺産や文化の保存活動に携わっている
トミーは、リヴァプールではちょっとした有名人です。もうずいぶん前だけど、
このNLWにもリヴァプールFCのマッチレポートを書いてくれたことが何度かあ
りましたよね。そういや僕は彼のお家に泊めてもらったこともあったっけ。なつ
かしいなあ...なんて考えてるうちにセレモニーは進みます。何人かのゲストの
スピーチが終わると、その場にいる全員のカウントダウンで、銅像の幕がめでた
く取り払われました。と同時に、スピーカーからは「ウィズ・ア・リトル・ヘル
プ・フロム・マイ・フレンズ」が。やあ、なんとも粋な演出ではありませんか。
みんなの助けがあったからこうやって実現したんですよ、というメッセージなん
でしょう。そりゃもちろん全員で合唱です。ピース!

そのあと、キャヴァーン・クラブの真向かいにあるキャヴァーン・レストランで
昼ご飯を食べていると、トミーを始め、プロジェクトの関係者がやって来て、2
階に上がって行きました。さらにはクォリーメンやフリーダ・ケリーさんやらの
ビートルズゆかりの人々、そしてキャヴァーンのダイレクターのみなさんも。ど
うやらこれから盛大にレセプションが開かれるもよう。残念ながら僕は招待され
ているわけではないので、おとなしくテラス席です。ビール&ブラインド・スカ
ウス(ヴェジタリアン用のスカウス)で、銅像プロジェクトの成功とブライアン
の人生を祝って、ささやかに乾杯しました。

● ● ●

「今週のフォト」では、昨年8月27日に行われた、ブライアン・エプスタインの
銅像の除幕式の写真を掲載します。除幕式の前夜の写真や、数日後に撮った写真
も紹介しますね。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo839.html 

                        --- Kaz(23/05/2023)


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▼エコーのエコー:
      リヴァプールの伝説的レコード店は、1990年代まで健在だった
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5月18日付「リヴァプール・エコー」に、ブライアン・エプスタインについて
の記事が掲載されました。翻訳して紹介します。

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リヴァプールの伝説的レコード店は、1990年代まで健在だった 

 ジェス・モリニュー(ノスタルジア・レポーター)
 2023年5月18日・リヴァプール・エコー

リヴァプールの歴史を語るうえで欠くことの出来ない伝説のレコード・ショップ
は、1990年代まで健在だった。
何十年にもわたって、NEMS (North End Music Stores) は、マージーサイドにと
どまらず周辺地域からも、あまたのミュージック・ラヴァーズを惹きつけるレ
コード店だった。

ブライアン・エプスタインのファミリーが創業したこの店は、元々の家具店の拡
張によって作られた。
リヴァプール・ミュージアムによると、リヴァプールのシティ・センターへの進
出を決めたエプスタインの父親が、グレート・シャーロット・ストリートに支店
をオープン。新店舗は長男のエプスタインと次男クライヴに任せることとし、エ
プスタインはグランド・フロアのレコード・セクションの責任者に就くことと
なった。

1950年代、16歳のエプスタインはウォルトン・ロードの本店で働き始める。18
歳で一旦は軍隊に徴兵されたものの、精神的・情緒的に不適格とされ、10ヶ月
後に除隊となった。家業に戻った彼は1955年まで両親の元で働き、NEMSのダイ
レクターになったのは21歳の時だった。

エプスタインは店をどんどん拡張した。ピアノや無線ラジオから蓄音機レコード
まで取り扱うNEMSは、瞬く間に北部イングランドきっての大型店に成長する。

しかし、ザ・ビートルズの初期に重要な役割を果たしたのはこの店ではなく、続
いてオープンした2号店である。ホワイト・チャペル12-14番地。キャヴァーン・
クラブから投げた石が届くほどの近さだったため、ザ・ビートルズは演奏の合間
に頻繁に立ち寄った。彼らがブライアンとの最初のマネージメント契約にサイン
したのも、この店の上階のオフィスである。1962年だった。

ホワイトチャペルのNEMSを経営していたエプスタインは、ザ・キャヴァーンで
観たこのバンドのパフォーマンスに圧倒され、マネージメント契約を決意したと
言われている。また彼は、ビートルズのランチタイム・ギグのために出来た長蛇
の列が、キャヴァーンへぞろぞろと流れて行くさまを、自分のオフィスの窓から
眺めていた。その光景は、彼らに大きな可能性があることを感じさせた。

ザ・ビートルズを端緒とし、ジェリー・アンド・ザ・ペースメイカーズやシラ・
ブラック、ビリー・J・クレイマー・アンド・ザ・ダコタスなどのスターを育て
たエプスタインは、敏腕マネージャーとしての名声を確立させた。NEMSのほうは、
ムーアフィールドにも新店舗を出し、さらにロンドンのアーガイル・ストリート
にも進出した。

音楽界で巨大な成功を収めたエプスタインだったが、彼は1967年8月27日、ド
ラッグの過剰摂取により32歳の若さで亡くなってしまう。

ホワイトチャペルのNEMSはその後も生き残り、1990年代まで健在だった。しか
し閉店してからのその場所は、外見をさまざまに変化させることになってしまう。
最も風変わりだったのはセクシー・ランジェリー・ショップ「アン・サマーズ」
だ。そして最後の日々は、リヴァプールの著名な弁護士レックス・メイキンの事
務所として存在していた。

2011年の12月、新しく衣料品店を作るため、このビルが取り壊されることが報
道された。2500万ポンド(およそ43億円)を投じるプロジェクトで、格安服の
リテイラー「フォーエヴァー21」の旗艦店が新しく建てられることになった。

「ファブ・フォー」のエキスパートにしてマシュー・ストリートの「ザ・ビート
ルズ・ショップ」の店長スティーヴン・ベイリーは、当時ECHOの取材に応じて、
こう語っている。
「悲しいね。NEMSってのはブライアン・エプスタインの場所だ。ここで彼はザ・
ビートルズのドライヴィング・フォースになった。彼が彼らを、スターダムへと
続くレールに乗せたんだ」
「そのへんの不良どもをまとめ上げて完璧なパッケージに仕立て上げた。彼にし
か出来なかった。どうか新しいオーナーさんたちにはやるべきことをやってほし
いもんだね。新しいビルの外にプラークをつけて、ここで何が起こったかを後世
に伝えてほしい。このビルが無くなってしまうのは悲しいことだ」

新しく建てられたビルにプラークが設置されることはなかったが、ブライアン・
エプスタインのレガシーを残し、偉業を称えようという動きは絶えることはな
かった。
そして彼の55回目の命日である2022年8月27日、ホワイトチャペルのNEMSが
あった場所の目の前に、ブライアンが銅像となって戻って来た。リヴァプールに
おいて、史上初のLGBTQ+の銅像である。


Famous Liverpool record store was 'still going strong' till the 90s
 -For many, they were "sad to see it go"
 By Jess Molyneux, Nostalgia Reporter
  18 May 2023, Liverpool Echo

https://www.liverpoolecho.co.uk/news/famous-liverpool-record-store-still-26926417?


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▽スカウスハウス・ニュース
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***  Beatleweek 2023 スカウスハウス・ツアー:参加者募集中! ******

今年8月にリヴァプールで行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」
観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2023』の参加者を募集中です。
聖地リヴァプールで開催される世界最大のビートルズ・フェスティヴァル「イ
ンターナショナル・ビートルウィーク」。今年・2023年は、おなじみの「ビート
ルズ・コンヴェンション」やアデルフィでのオールナイト・パーティー、フィ
ルハーモニック・ホールでのハイ・クォリティなコンサートやすっかり名物と
なった「ルーフトップ・コンサート」、さらに昨年に続いてマージー河畔のヨッ
ト・クラブでもイヴェントが開催されるほか、ホープ・ストリートやヨーコ・レ
ノン・センターでの新企画も登場。輪をかけて盛りだくさんの内容になっていま
す。
もちろんスカウス・ハウスのオプショナル企画も充実。各種ビートルズ・ツ
アーに、マージー・フェリー乗船、ウェルカム&フェアウェルパーティーなど
でリヴァプールとフェスティヴァルを満喫していただきます。

初めてのかたもリピーターも大歓迎! この夏、ぜひリヴァプールでお会いし
ましょう!
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スカウスハウス通販「英国盤レコード」では、昨夏リヴァプールで買い付けてき
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うか、貴重盤と珍盤が目立つラインナッ
プとなりました。リヴァプールならでは、なものもいくつかあり。
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*** 現地ビートルズ・ツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートし
ています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートルズ・
ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ
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ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好
評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
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***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア
レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを
ご覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演
奏する」という夢をぜひかなえてください!
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*** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ******

スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウス
ハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」が入
荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダントを
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NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは
英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
------------------------------------------------------------------ NLW □

「今週のフォト」では、昨年8月27日に行われた、ブライアン・エプスタインの
銅像の除幕式の写真を掲載します。除幕式の前夜の写真や、数日後に撮った写真
も紹介しますね。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo839.html 


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       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第839号 ■□

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