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July 06 2023, No.842
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼エコーのエコー:ストロベリー・フィールドを永遠に
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.842です。
ご存知のかたも多いと思いますが、リヴァプールのストロベリー・フィールドは、
2019年の9月からツーリストを受け入れています。ミステリアスな趣のあったか
つての孤児院は、すっきりと整備されたヘルシーな観光施設へと生まれ変わった
のです。

去年の8月に3年ぶりに訪ねて、そのあまりの変容ぶりに僕はびっくりしてしま
いました。正直、「ナンジャコリャ」と思いました。「これがストロベリー・
フィールド?」と。
あの神秘的で、そこだけ空気が違うような、「聖地」という言葉がぴったりな、
「ナッシング・イズ・リアル」な世界は、跡形もなくどこかへ消え去っていたの
です(えーと、個人の感想です)。
そのときはビートルズ・ツアーの一部としての訪問で、しかも時間がかなり押し
ている状況だったので、滞在時間はほんのわずか。なのでもっとゆっくり鑑賞す
ればそれなりに感興も湧いたのかもですが、とにかく違和感しかなくて……グッ
ズショップでたくさんの商品やお客さんの姿を目にしながら、「なんだかエヴリ
シング・イズ・リアルになっちゃったなあ」とボヤいてしまいました。

改装工事が始まったのは2018年だからそれ以前、つまり6年前までのストロベ
リー・フィールドは、まさにパワー・スポット。「異界への入り口」という感じ
がありました。「こっちの世界」と「あっちの世界」の境界線のような。
わび・さびを絵に描いたような佇まいの門。その中には鬱蒼とした森があり、聴
こえるのは鳥のさえずりばかりで、「しーん」という文字が空中に浮かんでいま
す(背後の道路では車がばんばん走ってますがそれは意識からシャットアウト)。
いつも閉じられている赤い門の向こうには、落ち葉に覆われた小径が奥へと続い
ています。手前の森があまりにもウェットで暗いので、小径の先は光の国のよう
に見えます。眩しささえ感じるほどの先には、もしかしてシャングリラが……な
んて妄想したり。

前にも書いたかもですが、ストロベリー・フィールドは昔からパワー・スポット
だったわけではありません。あのような神秘性を纏うようになったのは、ジョン
の死後のことです。ジョンの魂を求めて巡礼に訪れるファンたちの「想い」が積
もりに積もった結果として、「まさに『ストロベリー・フィールズ・フォーエ
ヴァー』の世界そのもの」な、ファンタジックな佇まいになった……のだと僕は
考えています。
それがぜんぶチャラにされちゃったのは心底がっかりではありますが、まあ仕方
がない、あのミステリアスなストロベリー・フィールドは我々の心の中でフォー
エヴァーですよね。
新しいストロベリー・フィールドが、これから訪れるファンの「想い」によって
どう変化していくか、あたたかい目で見守っていくことにしましょう。

6月25日付の「リヴァプール・エコー」に、ストロベリー・フィールドのミッ
ション・ダイレクター、キャシー・ヴァースフェルドさんにインタヴューした記
事が掲載されました。歴史を振り返りつつ、新しいステップを踏み出した経緯に
ついても語られています。今号の「エコーのエコー」で紹介しますね。

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スカウス・ハウスでは、8月にリヴァプールで開催される「スカウスハウス・ツ
アー2023」の参加者を募集中です。
 https://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2023.html 

世界最大のビートルズ・フェスティヴァル「インターナショナル・ビートル
ウィーク」鑑賞パッケージで、今年で21回目、かな。オフィシャル・エージェ
ントとして日本代表バンドのエントリーも担当。今年は日本から、HIPS,
#4 Dream, The Reunions, The beebirdsの4バンドが出場します。オリンピッ
クやWBCのように(とはちょっと言い過ぎか…)、「チーム・ジャパン」のような
雰囲気で、楽しく賑やかにリヴァプールとビートルズを満喫していただけると思
います。
ビートルズゆかりの地を案内するツアー(僕がガイドをします)など、いくつか
オプションも用意しています(去年の「ファナティック・ツアー」では、「ビー
トルマニア誕生の地」リザーランド・タウン・ホールも訪問しました)。
個人でもペアでもグループでも大歓迎。この夏、ぜひぜひリヴァプールでお会い
しましょう!

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「今週のフォト」では、ストロベリー・フィールドの写真を掲載します。古いの
から新しいのまで、ストロベリー・フィールドの「いまむかし」なギャラリーに
なる…はず。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo842.html 

                        --- Kaz(04/07/2023)


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▼エコーのエコー:ストロベリー・フィールドを永遠に
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6月25日付「リヴァプール・エコー」に掲載された記事を翻訳して紹介します。

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ストロベリー・フィールドを永遠に

 ジェス・モリニュー(ノスタルジア・レポーター)
 2023年6月25日・リヴァプール・エコー

ザ・ビートルズを目的にリヴァプールを訪れるツーリストは多い。ゆかりの地へ
の巡礼は彼らに欠かせない儀式である。しかし、その最大の名所であり、ビート
ルズの名曲のモチーフとなった場所の背景となる物語は、それほど知られていな
い。
ジョン・レノンによって不朽のアイコニック・スポットとなったストロベリー・
フィールドは現在、新しいヴィジター・アトラクションとして人気を呼んでいる。
しかし数十年前にこの有名な赤い門の向こう側で営まれていたのは、今とは全く
違う日常だった。
ストロベリー・フィールドは、ある裕福な商人の死後、未亡人により1934年に
救世軍に売却された。救世軍はヴィクトリアン・ハウスを改装して、1936年に孤
児院として門戸を開く。それ以降、70年近くにわたって、この場所はリヴァプー
ルにおいて、つらい境遇の子供たちにとっての避難所であり続けた。

元々の建物は1970年代はじめに取り壊され、より小さい機能的な施設に建て替
えられた。孤児院は2005年に閉鎖され、現在は教会とお祈りのセンターとなっ
ている。

この数十年のストロベリー・フィールドの変遷について、ミッション・ダイレク
ターのキャシー・ヴァースフェルドに訊いた。キャシーはECHOの取材にこう答
えている。
「救世軍はもともと、孤児院ではなく、貧しい人々のための住居として考えてい
ました。しかし孤児はもちろんのこと、何らかの理由で親と一緒に暮らせない、
保護者のいない子供が多いという事情が、当時のリヴァプールにはあったのです」
「救世軍はヴィクトリアン・ハウスを改装して40の部屋を作り、家を必要とす
る少女たちを引き取りました。1936年です。救世軍の事務員たちは、それぞれ数
人の少女の里親のような存在だったのです」
「やがて彼らは門戸を少年にも開いて、それが2005年まで続きました。私たち
がここをオープンしたのは2019年ですが、ここで以前働いていたんですよとか、
ここに住んでいたんですと訪ねて来るかたが何人もいらっしゃいます」
「困難な環境にいる子供たちを引き取って、本来得られるはずのノーマルな生活
を提供する。それはたいへんなことだったはずです。トラウマを抱えている子供
もいるし、乗り越えるにはあまりにも過酷な経験をしてきた子供もいる。それで
も、私たちが聴くのは、ここがいかに愛にあふれ、理想的な養育の場だったかっ
ていう話ばかりなんですよ」

ここは、少年時代のジョン・レノンの遊び場でもあった。そしてのちに、ビート
ルズの名曲のひとつのモチーフとなった。あまりにも有名な『ストロベリー・フ
ィールズ・フォーエヴァー』。この曲により、ストロベリー・フィールドは不朽
の名声を与えられることになる。今や、キャヴァーン・クラブやペニー・レーン
とともに、「ビートルズのリヴァプール」という王冠を形づくる宝石のひとつで
ある。

キャシーは続ける。
「ジョンは幼いころに近所に越してきました。ストロベリー・フィールドに暮ら
していたわけではありませんよ。でも彼のおじさんとおばさんの家はこの裏手の
すぐのところにあったんです。ジョンはよく裏の壁をよじ登って入ってきて庭で
遊んでいたそうですね。芝生ではよく救世軍の楽団が演奏していて、それを聴く
のが大好きだったとか」
「それから彼は有名になって、1967年に『ストロベリー・フィールズ・フォーエ
ヴァー』を書いて、それがヒットします。それ以来、ジョンのファン、ビートル
ズのファンはストロベリー・フィールドを目指してやって来るようになりました。
あの赤い門の外に立って、中を見つめるようになったんです」

キャシーは、その1967年に救世軍の新聞で報じられた記事のことを話してくれ
た。ある民生委員が生活に困った母子家庭を訪れ、3人の娘のこの先についての
相談を受けた際のこと。その民生委員はストロベリー・フィールドに預けてはと
提案したそうだ。その理由がふるっている。「あそこに行った子供にはね、ミラ
クルが起きるんですよ」。

キャシーは続ける。
「ジョンやビートルズによって、ストロベリー・フィールドがいつ、どのように
世界的に有名になって行ったかという話は、ほんとうに面白いです。でも同時に、
当時の地元の人々は、ここが子供たちにとって特別な避難場所だと考えていたっ
ていうことですよね。私はこの話が大好きなんです」

2005年、子供たちをケアする方法として、大きな施設からより小さいファミリー・
グループへとトレンドは移っていた。救世軍はストロベリー・フィールドで綴っ
てきたチャプターを閉じることを決めた。ローカル・コミュニティのニーズは、
これからは障がいを持つヤング・アダルトのためのトレーニング・センターへと
シフトして行くという調査結果がでていた。若者が実践的なスキルを身につける
ための施設として再出発することに舵を切った。
キャシーによると、今も1936年と変わらず、同じようなことをやっているつも
りだそうだ。子供たちの世話をして、社会に出て生きていけるよう手助けをする。
やり方はいくらかモダンになっているけれど。そして以前と違うのは、ヴィジ
ターのための施設でもあるところだ。ツーリストは敷地の中に入って、オリジナ
ルの門やガーデンを見学することができる。バンド用のステージもあれば、ウク
ライナのためのピース・モニュメントもある。カフェやショップも。

キャシーが説明してくれる。
「もともとストロベリー・フィールドの門は、一般の人には閉じられていました。
孤児院でしたからね。部外者が中に入って歩き回るなんてことはできなかったん
です。180度の転換ではあるんですけど、今の時代ならではのニーズに寄り添い、
人々を力づけたいというのが私たちの願いです」

「ジョンが1980年に亡くなってからは特に、ここはファンにとって特別な場所
になりました。人々は門のところに立って、ジョン・レノンとのつながりを感じ
ていたのです。でも今は、彼が遊んだ地面を歩くことができます。彼が目にした
であろう木々を眺めることができます。ほんとうにスペシャルな場所です」

キャシーと彼女のチームは、この施設での訓練を終えて自分の夢に向かって巣
立って行った子供たちのことを誇りに思っている。

キャシーは続ける。
「ロックダウンのあとのオープンのとき、海外からの旅行者は皆無でした。来た
くても来られない時期で。でも、地元の人たちが来て、カフェで朝食やランチを
とってくださったんです。それで何とか乗り切れたんですよ。新しいセンターを
オープンしてからずっと、地元の人たちの愛情に支えられていると感じています」
「いろいろな人に支えられています。ほんとうにありがたいです。リヴァプール
はアメイジングな街ですよね。自分のことを、この街に養子で来た娘みたいに
思ってます。私たちにできないことなんてないって思ってます。ジョンと救世軍
のレガシーをこれからもセレブレイトし続けますよ。いつまでも」


Life behind famous red gates where hundreds of children once lived
 - Its name is now known across the globe

 By Jess Molyneux, Nostalgia Reporter
  25 JUNE 2023, Liverpool Echo

https://www.liverpoolecho.co.uk/news/nostalgia/life-behind-famous-red-gates-27167742?


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▽スカウスハウス・ニュース
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***  Beatleweek 2023 スカウスハウス・ツアー:参加者募集中! ******

今年8月にリヴァプールで行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」
観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2023』の参加者を募集中です。
聖地リヴァプールで開催される世界最大のビートルズ・フェスティヴァル「イ
ンターナショナル・ビートルウィーク」。今年・2023年は、おなじみの「ビート
ルズ・コンヴェンション」やアデルフィでのオールナイト・パーティー、フィ
ルハーモニック・ホールでのハイ・クォリティなコンサートやすっかり名物と
なった「ルーフトップ・コンサート」、さらに昨年に続いてマージー河畔のヨッ
ト・クラブでもイヴェントが開催されるほか、ホープ・ストリートやヨーコ・レ
ノン・センターでの新企画も登場。輪をかけて盛りだくさんの内容になっていま
す。
もちろんスカウス・ハウスのオプショナル企画も充実。各種ビートルズ・ツ
アーに、マージー・フェリー乗船、ウェルカム&フェアウェルパーティーなど
でリヴァプールとフェスティヴァルを満喫していただきます。

初めてのかたもリピーターも大歓迎! この夏、ぜひリヴァプールでお会いし
ましょう!
 http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2023.html 


***  スカウスハウス通販:英国盤レコード ******

スカウスハウス通販「英国盤レコード」では、昨夏リヴァプールで買い付けてき
たアイテムを、「2022新入荷」というコーナーで紹介しています。少数精鋭とい
うか、貴重盤と珍盤が目立つラインナッ
プとなりました。リヴァプールならでは、なものもいくつかあり。
オーダーをいただけるとうれしいです。
 http://scousehouse.net/shop/records2022.html 


*** 現地ビートルズ・ツアー ******

スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートし
ています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートルズ・
ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ
&名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー
(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も
承ります。
ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好
評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア
レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを
ご覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演
奏する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ******

スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウス
ハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」が入
荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダントを
イメージしたアクセサリー。チェーンの太さ&長さはお選びいただけます。
現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を
プレゼント中。オーダーをいただけるとうれしいです!
 https://scousehouse.net/shop/silver.html 


*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは
英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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「今週のフォト」では、ストロベリー・フィールドの写真を掲載します。古いの
から新しいのまで、ストロベリー・フィールドの「いまむかし」なギャラリーに
なる…はず。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo842.html 


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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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       *** 隔週火曜日発行 ***


□■ 第842号 ■□

◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス)
◇編集 山本 和雄
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