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January 16 2024, No.854
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼エコーのエコー:2つの質素な家と2つの古い病院を、歴史的建築物に
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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NLW No.854です。

2024年最初の話題は、ビートルズ4人が生まれた建物を歴史的建築物として保
護しよう、というお話。年末に「リヴァプール・エコー」に掲載された記事を、
「エコーのエコー」で紹介しますね。

この活動をしているSAVE Britain's Heritageというのは、かなり大きな非営利
団体で、歴史的価値のあるイングランドとウェールズの建造物の保護に取り組ん
でいます。現在進行中のキャンペーンは、ビートルズ4人の生誕地を含めてなん
と300近くもあるようで、ちょっとびっくり。行政や世論を動かすパワーも持ち
合わせているこういう団体が本気になってビートルズのヘリテイジを残そうとし
てくれていることには、素直によろこびたいです。

ただまあ、欲を言えばというか、せっかくならあと2つ、ジョージとリンゴが少
年時代を(ビートルズとしてロンドンに移住するまで)過ごした家も仲間に入れ
てもらえるといいんだけどなあ、と思ってしまいます。ジョンとポールの家はす
でにナショナル・トラストが管理・保存しているので、4人の生誕地と合わせて
ジョージとリンゴの家が重要建築物として指定されれば、ビートルズの家は(と
りあえず)コンプリート。我々ファンとしてはすっきり安心です。

ん? 
あ、そうか。
たったいま「すっきり安心です」などと書いたばっかりではあるんだけど、もう
ひとつ、というか、もうひとり、仲間に加えなくちゃいけないのでは、と気がつ
きました。

ブライアン・エプスタインです。

ロドニー・ストリートの4番地。
かつて産院だったこの場所で、1934年9月19日、ブライアンは生まれました。
よく知られているように、ビートルズの成功はブライアンなくしては成り立たな
かった、と言ってもいいと思います。ビートルズのメンバーではないけれども、
あえて言えば、メンバー以上の存在。
この建物も歴史遺産として指定するべきでしょう。そう思いませんか?

あとはええと...ピート・ベストやスチュアート・サトクリフの名前も浮かびま
したが、彼らの生誕地はリヴァプールではないので、とりあえずオッケー(な
にがオッケー?)。
じゃあピートのお家である「カスバ・クラブ」はどうでしょう。
ビートルズが始まった場所と言ってもいい超重要スポットですが、どうぞご安心
を。こちらはすでに、ええと2006年9月15日に、「グレードII」に指定されて
います。さすが。

ちょっとばかし話がそれてしまいました。「エコー」の記事に戻しましょう。
この記事にも触れられていますが、リンゴの生家は行政が取り壊しを決定したこ
とがありました。ポールの生まれた病院もかつては取り壊しの話がありましたし、
ジョンの生まれた産院は建物は健在ですが、学生寮としてのセキュリティが強化
されて、部外者は近づくことができなくなっています。ジョージの生家は...あ
そこだけはなんだか何十年も時間が止まったような佇まいなんですよね、ジョー
ジらしいというか。

そうそう、文中に出てくる「アビー・シネマ」は、そのジョージの生家のすぐ近
くにある大きな建物です。当時は映画館で、ガキ大将ジョンは近所の子分たち
(ピート・ショットンとかアイヴァン・ヴォーンとかレン・ギャリーとか、ビー
トルズ史を彩る面々ですね)を引き連れて、土曜日の西部劇を観に通っていたそ
うです。

そうだ、この(元)アビー・シネマについて、ちょっと書いておきましょう。
シネマとしてオープンしたのが1939年だそうで、ということはジョンやジョー
ジが通っていた頃はまだまだ新しい、地元の人たちにとってはポッシュな娯楽施
設であり、カラフルな社交場でもあったんじゃないかと想像できます。おめかし
した可愛い女の子もたくさん集まって来ていたのでしょう。それを目当てにジョ
ンたちワルワル組もここに大集合。バルコニー席に陣取って、映画そっちのけで
階下の女の子たちの品定めを...なんていう「いかにも」なエピソードも伝えら
れています。

アビー・シネマが閉館となったのは1979年。ちょうど40年の歴史だったわけで
すね。最後に上映された映画は、「タワーリング・インフェルノ」だったそうで
す。あの、ポール・ニューマンとスティーヴ・マックイーンによる大作ですね。
1974年公開のこの米国映画がファイナル・フィルムに選ばれたのにはなにか理由
があるんだろうか...と、ちょっと考えてみたんですが、よくわかりませんでし
た。もちろん僕はこの映画大好きではあるんだけど。

映画館としての役割を終えたあと、この建物はビンゴ・クラブとして使われます。
オープニングの主役はあのケン・ドッドさんだったということなので、かなり豪
華なビンゴ・ホールだったのでしょう。しかしそれも2000年代はじめに閉館と
なりました。20年ちょっとの歴史ですね。

そのあとの20年は、スーパーマーケットです。いくつかのチェーン店に引き継
がれて、昨年3月に最後のLidlがドアを閉め、この建物は今はしばしのお休み
に入っています。

この(元)アビー・シネマが「グレードII」建築物に指定されたのは、およそ
3年前。2021年の4月のことでした。
指定の目録にはこう書いてあるそうです。
「シネマと映画館の全盛期に、小さなローカル・インディペンデント・チェーン
のために建てられた、1930年代の中規模な『スーパー・シネマ』の素晴らしい
一例である。このような建築物は、今ではもうほとんど見ることができない」
「ヨーロッパ調をモチーフにしたモダンなデザインを特徴とする堂々たる建築物
で、エレガントなレンガ造りと大胆な構造の組み合わせが最大の効果をもたらし
ている」

● ● ●

「今週のフォト」では、ビートルズ4人の生誕地の写真を紹介します。プラス、
ブライアンも。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo854.html 

                        --- Kaz(16/01/2024)


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▼エコーのエコー:2つの質素な家と2つの古い病院を、歴史的建築物に
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2023年12月28日付「リヴァプール・エコー」に掲載された記事を翻訳して紹介
します。
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2つの質素な家と2つの古い病院を、歴史的建築物に

 ジェス・モリニュー(ノスタルジア・レポーター)
 2023年12月28日・リヴァプール・エコー

ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、そしてリンゴ・
スターは、何十年も前のリヴァプールでバンドをスタートし、音楽を変え、世界
をも変えた。ジョンとポールが1957年にウールトンのヴィレッジ・フェイトで
出会ったことがきっかけであり、1963年にファースト・アルバムをリリースした。

11月に『エコー』でもレポートしたように、ビートルズは最後の曲として「ナウ・
アンド・ゼン」をリリース。ジョン・レノンが残した音源を元に、ポール・マッ
カートニーとジョージ・ハリスン、リンゴ・スターが制作に取り組んでいたもの
で、作曲から40年ののちにポールとリンゴによってついに完成。11月2日につ
いにリリースとなった。

この曲でザ・ビートルズは先月、大西洋の両サイドでチャートのトップに立った。
「ナウ・アンド・ゼン」は彼らの最初シングルから60年ぶりのリリースであり、
最後の全英No.1から54年ぶりの作品となった。54年を経てのナンバーワン獲得
は英国音楽史上での最長記録である。この快挙が、「SAVE Britain's Heritage」
(以下SAVE)の活動を後押しすることになった。彼らは、ビートルズ4人全員の
バースプレイスを、重要建造物として国が指定するべきだと考えている。

SAVEは文化省大臣に宛てて、「ビートルズ4人が生まれた建物は、バンドの歴史
にとってだけでなく、英国の遺産として重要なものである」として、重要建造物
として認定するよう申請書を送った。新たに対象となるのは、ジョージ・ハリス
ンそしてリンゴ・スターが生まれた2つの家と、ジョン・レノンが生まれた産院
である。

ポール・マッカートニーが生まれたウォルトン・ホスピタルはすでに登録されて
いる。しかしそれはヴィクトリア朝建築物としての登録であり、ビートルズ関連
としてのものではない。そこでSAVEは、この建物を含めた4つのランドマーク
をセットで「全てが始まった場所」として認定するべきだと主張している。

SAVEのダイレクター、ヘンリエッタ・ビリングズはこう話している。
「ザ・ビートルズは、世界のポピュラー・ミュージック史上最も影響力の大きい
バンドとして認識されています。これらの建物は、彼ら個人あるいはバンドの歴
史としてもキー・パートを成すもので、だからこそ毎年毎年、世界中からたくさ
んの人々が観光に訪れているのです」
「今のところ公式な認定はされていませんが、それでもこれらの建物が全ての始
まりの場所であったことは事実。私たちは今が行動を起こすチャンスだと考えま
した。私たちから政府へのメッセージはこうです。『これらの建物をあなたがた
のハートに受け入れてください』」

リヴァプールの都市計画およびツーリズムのエキスパートで、SAVEの申請に協
力したジョナサン・ブラウンはこうコメントしている。
「世界的に見れば、ファブ・フォーすなわちリヴァプールであり、ファブ・
フォーすなわちイングランドでもあるわけです。いくつかの旅行サイトでは我々
の国は『シェイクスピアとビートルズを生んだ国』というくくりになってるわけ
で。ヒットチャートへの返り咲きという驚くべきことが実現したこのタイミング
で、SAVEはあらためて国に、ビートルズ4人全員のバースプレイスを指定建築
物として認定するよう働きかけることにしました。彼らの歴史的、文化的、芸術
的な価値の大きさや息の長さが認められればと思っています」
「残されたバンド・メンバーやその家族が、地元から、国中から、世界中から、
より一層の敬意や愛情に浴することができれば、という気持ちもあって、このこ
とが迅速に実現することを願っています」

SAVEが申請中の建造物は以下のとおり。

9 Madryn Street L8 3UT
サー・リチャード・スターキー(リンゴ・スター)の生誕地(1940年7月7日生
まれ)

このヴィクトリアン・ハウスは、「リヴァプールで最も多作で重要な建築家」の
ひとりとして知られるウェールズ生まれの建築家リチャード・オーエンズによっ
て建てられた8,000戸のうちのひとつ。この家を含むウェルシュ・ストリート
一帯は、リヴァプール市議会が下した数百ものテラス・ハウスの取り壊し計画の
対象となり、SAVEはその廃止を求めるキャンペーンを展開、「タイムズ」紙が
「現時点で今世紀最大の都市計画バトル」と表現したこの戦いに勝利した。ビー
トルズ関連であるだけでなく、悪政に対する勝利の象徴としての意義も強調して
いる。


12 Arnold Grove L15 8HP
ジョージ・ハリスンの生誕地(1943年2月25日生まれ)

赤レンガ造りのヴィクトリアン・テラスハウス。ハリスンは最初の7年間をここ
で過ごした。


Oxford Street Maternity Hospital L7 7BN
ジョン・レノンの生誕地(1940年10月9日生まれ)

このクラシカルで立派な赤レンガの建物は、1926年に産院としてオープンした。
1983年にはウォルトンの6つ子がここで生まれている。世界で初めての、死産の
ない女性の6つ子だった。この病院は1995年にクローズ。そのあとは学生寮に
改装された。


Walton Hospital L9 7LJ
サー・ポール・マッカートニーの生誕地(1942年6月18日生まれ)

堂々としたクロック・タワーが目印のこの元病院は、ヴィクトリア時代に救貧院
として建てられた。その建築物的価値からすでに「グレードII」の建造物に指定
されているが、ビートルズとの関連は認定の理由には含まれていない。


SAVEには、ビートルズだけでなくリヴァプールの建築遺産の保護に取り組んでき
た長い歴史がある。主なものでは、ジョン・レノンとポール・マッカートニーが
育ったそれぞれの家(251 Menlove Avenueと20 Forthlin Road)の認定や、ジョ
ン・レノンやジョージ・ハリスンの思い出の場所であるアール・デコ調の「ア
ビー・シネマ」(ジョンは「イン・マイ・ライフ」の歌詞第1稿で、ジョージは
「アンソロジー」冒頭で言及)の保存にも成功している。

SAVEの2011年の申請では、ビートルズの家のほか、華麗な装飾が施されたスト
ロベリー・フィールドの門も含まれていた。しかしこちらは、「イングリッシュ・
ヘリテージ」からの登録推薦を引き出すことには成功したものの、当時の文化省
大臣ジェレミー・ハントに却下されている。

しかしSAVEは2015年、リヴァプール市議会が決定した都市計画の対象となった
リンゴ・スターの生家を含むウェルシュ・ストリート地域を、公開調査を勝ち取
ることによって取り壊しから救うことに成功した。

ジョナサン・ブラウンは続ける。
「生誕の地4つと少年時代を送った家を一括して保護することの価値は、ただ単
に何千人ものヴィジターを見込めるというだけでなくて、指定を受けることで、
つい最近の2016年にあった、リンゴが生まれた家の取り壊しを決めるなんてい
う愚かな政策から今後も守ることができる。そこにあると考えています」


Two unassuming houses in Liverpool are 'reminders of where it all began'
 - Calls have been made for their "official recognition"

 By Jess Molyneux, Nostalgia Reporter
  28 DECEMBER 2023, Liverpool Echo

https://www.liverpoolecho.co.uk/news/nostalgia/two-unassuming-houses-liverpool-reminders-28357297


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