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February 27 2024, No.857
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リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World
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     *** http://scousehouse.net/ ***


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼エコーのエコー:グレアム・グールドマン(10cc) インタビュー
 ▽ユナイテッドと親父、そして私:グレアム・グールドマン インタビュー
 ▼スカウスハウス・ニュース
 ▽今週のフォト


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▽フロム・エディター
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やりました! リヴァプールFC、今季まず1冠です!
2月25日・日曜日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたカラバオ・
カップ(イングリッシュ・フットボール・リーグ・カップ)決勝で、延長戦の末
にチェルシーFCを1-0で下して優勝です。おめでとう!

金曜日と土曜日にJリーグの今季開幕戦(サンフレッチェvsレッズ、ジュビロ
vsヴィッセル)、土曜夜に女子サッカーのパリオリンピック最終予選(北朝鮮vs
日本)を観戦(もちろんTVやインターネットで)していて、そのどれもがいい
試合ではあったのですが、このカラバオカップの決勝は最初の最初からまったく
別物のように思えました。とにかく速い、強い。そして連動・反応・展開の驚異
的なスピードとクォリティの高さ。もう画面上でついて行くのもたいへんです。
やっている方もそうだろうけど、観ている方だって一瞬も気が抜けない緊迫感。
ずっとドキドキの2時間強でした。

多くの主力が怪我で離脱中のリヴァプールはベストにほど遠い布陣だったんだけ
ど、ベストメンバー(たぶん)のチェルシーと互角に渡り合っているのはさすが。
両チームとも、VARで取り消しになったゴールがあり、バーやポストを直撃した
シュートがあり、GKのスーパーセーブが(たくさん)ありました。

118分に我らがキャプテン、ファン・ダイクがスーパーゴールを決めて決着をつ
けたわけですが、まさに死闘と呼ぶにふさわしい、素晴らしいゲームだったと思
います。遠藤航選手も重要なポジションで獅子奮迅の働きでした。日本代表キャ
プテンとしてアジアカップをフル出場し、リヴァプールに戻ってからも出ずっぱ
り。この決勝も120分間プレイし続けて、終了後は足を引きずっているように見
えました。このあと中2日でFAカップの5回戦、週末はリーグ戦があるんだけ
ど...だいじょうぶかな。リヴァプールでもすっかり代替不可能な存在になっ
ちゃったサムライ遠藤選手ですが、どうか水曜日の試合は休ませてあげてくださ
い、クロップさん。

● ● ●

「リヴァプール・エコー」に、グレアム・グールドマンさんのインタビューが掲
載されました。今週の「エコーのエコー」で翻訳版を掲載しますね。さらに、翻
訳作業中にたまたま見つけた別のインタビューもついでに訳してみました。マン
チェスター・ユナイテッドのオフィシャルサイトの記事なんですが、こっちのほ
うが面白いです。

インタビューの中に、彼らが設立したレコーディング・スタジオの話が出てきま
す。その「ストロベリー・スタジオズ」という名前は、ビートルズの名曲「スト
ロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」にちなんでつけられたそうですよ。名
付けたのは共同出資者のひとりエリック・スチュアートで、グレアムとエリック
はそのあとケヴィン・ゴドレイとロル・クレーム(のちのゴドレイ&クレーム)
を加えて10ccを結成、世界的な人気を博すことになります。

エリック・スチュアートといえば、80年代中盤におけるポール・マッカートニー
のソングライティング&レコーディング・パートナーとして記憶しているビート
ルズ・ファンも多いことでしょう。
そしてゴドレイ&クレームはミュージック・ヴィデオの制作チームとして超有名
ですよね。数々の傑作を世に送り出しています。ビートルズ関係では、リンゴの
「ザ・クーラー」(ポールも出演)、ジョージの「FAB」があって、さらにゴドレ
イ単独の監督作としてはなんとズバリのザ・ビートルズ「リアル・ラヴ」も。ゴ
ドレイはポールの「カモン・ピープル」も監督しています。

実は僕はケヴィン・ゴドレイさんには一度会ったことがあって...という話は前
にも書いたかな、とっても気さくなおじさんでした。

● ● ●

「今週のフォト」は、久しぶりにリヴァプールFCの写真を。今シーズンのプレ
ミアリーグ第4節、ホーム・アンフィールドでの対アストン・ヴィラのマッチ・
フォトを紹介します。僕が撮影しました。遠藤選手も最後にちょろっと出場。
 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo857.html 

● ● ●

<<Beatleweek 2024 スカウスハウス・ツアー:参加者募集中!>>

今年8月にリヴァプールで行われる「インターナショナル・ビートルウィーク」
観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2024』の参加者募集をスタートしまし
た。
おなじみのビートルズ・コンヴェンションやアデルフィでのオールナイト・パー
ティー、キャヴァーン・クラブでのライヴはもちろん、レトロな雰囲気のグラン
ド・セントラル・ホールでのハイ・クォリティなコンサートやマージー河向こう
のニュー・ブライトンでの大きなイヴェント、ファブ・フォー4人の母校でのラ
イヴ、さらにはあの伝説の「マシュー・ストリート・フェスティヴァル」プチ復
活の野外イヴェントなどなど、これでもかというくらい盛りだくさんの企画が用
意されています。
もちろんスカウス・ハウスのオプショナル企画も充実。リヴァプールとフェス
ティヴァルを満喫していただけるラインナップを考えています。
初めてのかたもリピーターも大歓迎。聖地リヴァプールで開催される世界最大の
ビートルズ・フェスティヴァルに、あなたもぜひ! この夏、ぜひリヴァプール
でお会いしましょう!
 http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2024.html 

                        --- Kaz(27/02/2024)


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▼エコーのエコー:グレアム・グールドマン(10cc) インタビュー
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2024年2月18日付「リヴァプール・エコー」に掲載されたグレアム・グールド
マンのインタビュー記事を翻訳して紹介します。
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グレアム・グールドマン(10cc) インタビュー

 ライアン・パトン(SEOライター)
 2024年2月18日・リヴァプール・エコー

音楽界において、グレアム・グールドマンほど伝説的なキャリアを歩んで来た人
間はそう多くはいない。グレーター・マンチェスター(当時はランカシャー)の
サルフォードで生まれ育ち、現在77歳の彼が初めてその才能を世に知らしめた
のは、1965年にザ・ヤードバーズに書き下ろした「フォー・ユア・ラヴ」だっ
た。その時わずか18歳。そして彼はアイコニックなバンド10ccを結成し、今日
までミュージックシーンのトップにとどまり続けている。

デビュー・アルバムをリリースして50周年となる今年、10ccはそのマイルス
トーンを記念するコンサート・ツアーに出発した。3月12日に組まれたフィル
ハーモニック・ホールでのステージを前に、グレアムは「リヴァプール・エコー」
の取材に答えて、「自分の音楽を追求する原動力がビートルズだったから、マー
ジサイドには特別な思い入れがある」と語った。

「リヴァプールはとにかく私の心の中で特別な場所なんだよ。言うまでもないこ
となんだけど。あそこに戻れるのはいつだって嬉しいよ。10ccのオリジナルメン
バーはだね、それぞれみんな別々のバックグラウンドを持ってたんだけど、ビー
トルズが大好きだってことは共通していた。ビートルズがいなかったら10ccも
存在していない。だからリヴァプールは特別なんだよ」

結成後間もなく、10ccはリヴァプールでライヴを行なっている。それは1973年
のことで、前座を務めたのはクィーンだった。マージーサイドのオーディエンス
の歓迎ぶりにはいつも感激させられたとグレアムは語る。

「面白いもので、北へ行けば行くほどオーディエンスは解放的になるんだよ。ロ
ンドンじゃみんなクールだからね、『じゃあまず、どんなもんか観せてもらおう
か』って態度なんだな。その点北部は反応が早いよ。すぐに盛り上がってくれる。
まあでも、どこで演ろうが、結果的にはきっちり盛り上がる。結局はこっちが勝
つってわけ。だから気にならない」

ソングライターの殿堂入りも果たしているグレアムは、60年にわたるキャリアの
中で、数々の著名ミュージシャンとも共演している。中でも彼自身が最もスペ
シャルなコラボレーションだと認めるのが、リンゴ・スター&ヒズ・オールス
ター・バンドに加わってのコンサート・ツアーだ。

「今でもおぼえてるんだが、彼のプロダクションのマネージャーが電話してきて
ね、こんなバカげたことを訊いてきた。『リンゴ・スターと一緒の仕事なんだけ
ど、いかがでしょう?』」
「そんなもの、1000分の1秒も考えることじゃないよな。いやほんと、嬉しいな
んてもんじゃなかった。彼との仕事は実際ファンタスティックだったよ。リン
ゴってやっぱり人間的に素晴らしいし、寛大だし、ファニーなんだ。他人を馬鹿
にしたりしない。いや、私のことをってわけじゃなくてね、とにかく他人を見下
したりしないんだよ。だからこそ彼はリンゴ・スターなんだなって」

リンゴとのステージはグレアムにとって光栄だったばかりでなく、ファブ・
フォーの音楽のパワーを眼前で見せつけられたこともあった。

「オーディエンスの中に、リンゴを熱い視線でじっと見つめる女性が目に止まっ
たんだ。その人は80代くらいでね、でも、まるで15歳みたいに見えた。そこで
踊っているのは、ビートルズやリンゴに恋に落ちた少女そのものだったんだよ。
自分たちが曲を演奏することで、人々に音楽や思い出をよみがえらせることがで
きる。こんなにありがたくて素晴らしいことってないんじゃないかって。ほんと
うに美しい光景だった。あれは忘れられない」

グレアムの音楽はタイムレスであり、10ccのフィルハーモニック・ホールのチ
ケットはすでにソールド・アウトになっている。彼らのヒット曲のひとつ「アイ
ム・ノット・イン・ラヴ」がマーベル映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラク
シー」のサウンドトラックに収録されたことで、新しいジェネレーションのファ
ンも増えている。

なぜ特定のバンドや歌がジェネレーションの壁を超えることができるのか、グレ
アムは音楽の持つある種のマジックだと説明する。

「いくつかのレコードがそのXファクターの恩恵にあずかるわけだけど、それが
何なのかは私にもわからない。狙ってできるものではないしね。たまたま神に選
ばれて素晴らしいクォリティを獲得し、人々にとって特別な歌になり、長く歌い
継がれる、としか言いようがない」

現在の10ccは、オリジナル・メンバーで残っているのはグレアムただひとりと
なった。音楽へのパッションを失うことなく、彼は自身のインクレディブルな
キャリアの新しいチャプターを綴り続けている。

「正直言って、仕事をしてるって感覚はない。私の音楽ライフというのは、曲を
書く、レコーディングする、バンドと一緒に演奏する。この3つだけで成り立っ
てるんだからね、ラッキーだなあと自分でも思うよ」
「しかもそれが収入になる。これ以上何を望む? こんな生活を送れるなんてな
んと恵まれてるんだと、とにかく感謝する毎日さ。なかなかないよね。ほんとう
にありがたい」

Legendary musician taken aback by 'stupid question' after phone call
                           from The Beatles
 -10cc singer Graham Gouldman spoke to the ECHO in an exclusive
       interview ahead of the band's gig at the Philharmonic Hall

 By Ryan Paton, SEO Writer
  18 FEBRUARY 2024, Liverpool Echo

https://www.liverpoolecho.co.uk/whats-on/whats-on-news/legendary-musician-taken-aback-stupid-28648321


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▽ユナイテッドと親父、そして私:グレアム・グールドマン インタビュー
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2023年6月28日付マンチェスター・ユナイテッドのオフィシャルサイトに掲載
されたグレアム・グールドマンのインタビュー記事を翻訳して紹介します。
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ユナイテッドと親父、そして私:グレアム・グールドマン インタビュー

 ジョー・ガンリー
 2023年6月28日・マンチェスター・ユナイテッド・オフィシャルサイト

グレアム・グールドマン。
たとえこの名前を聞いたことがなくても、彼が音楽界に残した名曲群のうちのい
くつかには、きっと聴き覚えがあるはずだ。サルフォード生まれのソングライ
ターのグールドマンは、まだティーンエイジャーだった1960年代半ばにキャリア
をスタートさせ、ヤードバーズやホリーズといったグループに楽曲を提供。次々
にヒットを生み出していった。

1970年代には自身のグループ10ccで人々の記憶に残る数々のヒットを記録。世
界的な賞賛を浴びた。「アイム・ノット・イン・ラヴ」や「デッドロック・ホリ
デイ(邦題:トロピカル・ラヴ)」などがチャートのナンバーワンを獲得してい
るが、後者の「クリケットは好きじゃない、いや、大好きです!」というおかし
なリフレインはポピュラー・カルチャーで長く生き残っている。

グレアムの作品でスポーツに関するものが登場するのはこれだけではない。あま
り知られていないが、「デッドロック・ホリデイ」よりも10年も前に、彼自身の
ローカル・チームであるマンチェスター・ユナイテッドに捧げた歌詞を持つ曲が
あるのだ。

「イッツ・ナイス・トゥ・ビー・アウト・イン・ザ・モーニング」は、マンチェ
スターのバンド、ハーマンズ・ハーミッツがレコーディングし、1968年の8月に
リリースされた。レッズ(マンチェスター・ユナイテッド)がヨーロピアン・
カップにおいて、英国勢で初めての優勝を飾った数ヶ月後のことだ。この歌には
こんなラインがある。

“United's ground where the champions score
“A hundred goals to the Reds stand's roar,
“And Bobby Charlton, Best and Law...
“It's a most fantastic day when they play.”

“ユナイテッドのグラウンドでチャンピオンたちが得点を決める
“何百ものゴールにスタンドは大歓声
“ボビー・チャールトンにベスト、それからロウ...
“彼らがプレイする日は最高にファンタスティック”

当時のマンチェスター・ユナイテッドの練習場ザ・クリフから1マイルも離れて
いないところで育ったことが、この曲におけるグールドマンの創作に反映されて
いるのは明らかなように思われる。しかしロンドンの家(グレアムは1986年に
マンチェスターを離れている)で彼が私たちに語ったところでは、それは彼の父
親だということだ。このフットボールに関するくだりを書いたのは、レッズ狂の
父・ハイムだったのだ。

「あの歌はハーマンズ・ハーミッツがやった映画のために書いたものだ。『レッ
ツ・ゴー!ハーマンズ・ハーミッツ』(原題:Mrs Brown, You've Got a Lovely
Daughter)っていう。あの映画にはたくさん曲を書いたんだけど、その中のひと
つが『イッツ・ナイス・トゥ・ビー・アウト・イン・ザ・モーニング』だった。
それでね、私の親父はマンチェスター・ユナイテッドの熱狂的な信者だったんだ
けど、彼が歌詞を書いたんだよ。曲は私が全部やったんだが、歌詞は親父。ほと
んどね。もちろんプロの作詞家なんかじゃないよ。でもあれで結構印税稼いだけ
どね。とにかくほんと、親父は歌詞や小説を書くのに熱心だったなあ」

「残念ながら今ここにはいないけどね、でももしいたらたいへんだよ。自分がい
かにユナイテッドを愛してるかさんざん聞かされる羽目になるよ。なにしろ究
極って言っていいほどのフットボール狂だもん。試合を観に行った親父が帰って
くるなりだね、ジョージ・ベストがどんなボールタッチをやってのけたかとか、
よく力説していたな。それがまた詩的な表現でね。フットボール・プレイヤー
じゃなくてバレエ・ダンサーの話じゃないかって思っちゃうほど。たぶん親父は
ちょっと違う目を持ってたんだろうな、ほかの人間とは。ポエティックなフット
ボールっていうか、まるで高尚なアートみたいに見えてたのかも」

「親父はよく私をオールド・トラッフォード(マンチェスター・ユナイテッドの
ホーム・スタジアム)に連れて行った。でもね、きっと隔世遺伝ってことなん
じゃなかろうか。私にはあんまりフットボールは面白いと思えなくて、でも二人
の息子はどっちも大好きなんだ。ひとりはユナイテッド、もうひとりはアーセナ
ルのサポーターになっちゃった。まあ興味ない人間のほうが少ないけどね。私の
友人とかもみんな夢中になってるし。ほとんど宗教みたいだ。その気持ちはわか
らんでもないけれど、私自身はそうはなれない。そういう血を受け継いでないっ
てことかな。親父の血は私をスキップして息子たちに行っちゃったんだね。寂し
いっちゃ寂しいけど」

「そういや親父に言われたよ、ずいぶん後になってだけど。せっかくスタジアム
に連れて行っても、私はゲームをほとんど観てなかったらしい。ずっと周りのス
タンドを見ていたと。まあそうだな、周りの人々やらスタジアムの建築や構造の
ほうがよっぽど面白かったんだろうね」

「でもひとつだけよく覚えていることがある。ひどく悲しい思い出なんだけど。
あの『ミュンヘンの悲劇』(訳注:1958年2月、マンチェスター・ユナイテッド
はヨーロピアン・カップの試合に向けての移動中に航空機事故に遭い、選手を含
む関係者23名が死亡、7名が重傷を負った)のときの、うちの親父とお隣さん
の姿だ。悲報を聞いた親父は隣に住む仲間の家を訪ねて行った。そしてお互いの
腕に顔をうずめてただただ泣いていた。彼らの人生でユナイテッドがどれほど大
事なのか、あの時に痛いほどよくわかったんだよね。あれって何年だっけ? 
1958年か。じゃあ私は12歳だ。まわりの誰もがショックを受けていたよ。あれ
はある意味、うちの親父のような人たちにとってはケネディ暗殺よりも大きな出
来事だったと思う。家族を亡くしたのと同じことなんだ」

1963年にデビューしてユナイテッドで大活躍、フットボールの枠を超えてポッ
プスター並みの人気を博したジョージ・ベストについては、彼はどう思っている
のだろう?

「ジョージはとにかくカッコよかった。あのルックス(訳注:長髪にハンサム)
じゃあそりゃあ『5人目のビートル』って言われるよ。ま、彼みたいにフット
ボールができるビートルズはいなかったし、ジョージだってギターが弾けたとは
思えないけど」

「冗談はともかく、共通しているのは、まったく新しい世代が革命的なことを
やってのけたってことだと思う。音楽でビートルズが革命を起こして、さらにビ
ジネスやスポーツやアートや、とにかくあらゆる分野でティーンエイジャーや20
代前半の若者がいきなり主役に躍り出て行ったんだから」

「子供が大きくなったらそのまま大人になるんじゃない。その間があるってこと
にみんなが気がついたんだな。人生の中でその年代がどれほど特別かってことに
ね。その扉を開いてくれたのがビートルズなんだよ。ある意味フットボールもそ
うかもね」

「イッツ・ナイス・トゥ・ビー・アウト・イン・ザ・モーニング」がリリースさ
れた1968年は、グレアムが出資にも参加した(訳注:ビリー・J・クレイマー&
ザ・ダコタスのロードマネージャーだったピーター・タタソール、そして後にグ
レアムと10ccを結成することになるエリック・スチュアートと共同出資)スト
ロベリー・スタジオズがマンチェスター近郊のストックポートに誕生した。

このスタジオは10ccのホームスタジオとして使われただけでなく、数え切れない
ほどのマンチェスターのバンドにレコーディングの機会を与えた。例えば、ロッ
ク史に残る名盤とされるジョイ・ディヴィジョンの『アンノウン・プレジャーズ』
はこのスタジオでレコーディングとミックスが行われている。

ストロベリー・スタジオでは、いくつかのフットボール・ソングも生み出された。

「ほんのいくつかってところだけど。(ユナイテッドのために2曲リリースした
ほかは)シティにひとつ、エヴァトンにひとつ、それだけだよ。ただまあ、ユナ
イテッド・ファミリーから出てきた私が(ライバルのマンチェスター・)シティ
のレコードをやるってのはあんまり褒めてもらえることじゃないけどね。とはい
えスタジオのビジネスとしては仕方がなかったんだよ」

10ccとしての作品や60年代を代表するバンドへ提供した楽曲、そしてストロベ
リー・スタジオでの仕事によって、ポピュラー・ミュージックにおけるグール
ドマンの影響力はこの先の未来にも残り続けるだろう。そして彼は齢77にして
今もツアーに出ている。マンチェスターには来年(2024年)、ブリッジウォー
ター・ホールでのコンサートで戻って来る予定だ。それにしても何故、このマン
チェスターという街は、音楽やアートにおいてこれほどまでに肥沃で豊かな土壌
であり続けられるのだろう?

「それについちゃあさんざん訊かれてきたけど、私にわかることではないって。
リヴァプールの場合は、船乗りたちが大西洋の向こうからたくさんのレコードを
持ち帰ったから、なんてことが言われているわけだけど。だったらまあ、そっか
ら範囲が広がってマンチェスターにも恩恵があったのかもね」

「偉そうに言える柄ではないけれど、マンクニアン(マンチェスター人)って
アート好きの気質があるんだよ。マンチェスターはいつだって文化的な街だった。
ライブラリーにシアター、たくさんのライブハウス。大学の街だったってことも
大きいかも。私が音楽を始めたころには、すでにたくさんのクラブがあった。バ
ンドが演奏するクラブがね。よくライブに行ったもんだよ。バンドの演奏を観て、
大いに刺激をもらったな」

「とはいえ、マンクニアンはこうだって断言はできないけどね私には。ただ言え
るのは、マンチェスターとリヴァプールってのは、このポピュラー・ミュージッ
クの世界では一頭地を抜く存在ではあるよね。マンチェスターに戻るのはいつも
楽しみさ」

Graham Gouldman: United, my dad and me
 By Joe Ganley
 Wednesday 28 June 2023, Manchester United Official Website

https://www.manutd.com/en/news/detail/10cc-songwriting-legend-graham-gouldman-explains-man-utd-inspiration-behind-hermans-hermits-classic


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▼スカウスハウス・ニュース
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観賞パッケージ『スカウスハウス・ツアー2024』の参加者募集をスタートしまし
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ド・セントラル・ホールでのハイ・クォリティなコンサートやマージー河向こう
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***  スカウスハウス通販:英国盤レコード ******

ザ・ビートルズを中心とした、英国盤レコードの通販です。
オーダーをいただけるとうれしいです!
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スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポートし
ています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートルズ・
ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ランチ
&名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツアー
(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予約も
承ります。
ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好
評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。
 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html
 http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm 


***  PLAY AT THE CAVERN! ******

スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア
レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。
ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを
ご覧ください。
ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演
奏する」という夢をぜひかなえてください!
 http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html


*** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ******

スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウス
ハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」が入
荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダントを
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現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を
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*** 原稿募集中 ******

NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは
英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▽今週のフォト
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「今週のフォト」は、久しぶりにリヴァプールFCの写真を。今シーズンのプレ
ミアリーグ第4節、ホーム・アンフィールドでの対アストン・ヴィラのマッチ・
フォトを紹介します。僕が撮影しました。遠藤選手も最後にちょろっと出場。
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□■ 第857号 ■□

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