February 11 2025, No.880
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼エコーのエコー:ペニー・レーンに住んでみたら ▽スカウスハウス・ニュース ▼今週のフォト ------------------------------------------------------------------------ ▽フロム・エディター ---------------------------------------------------------------- NLW □ 公開中の映画『MR. JIMMY ミスター・ジミー レッド・ツェッペリンに全てを 捧げた男』を観に行きました。 ご存知のかたも多いと思います。レッド・ゼッペリンのジミー・ペイジと同化 することをライフワークにした日本人、ジミー桜井さんの活動を追ったドキュ メンタリーですね。 ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ジミー桜井さんの生き方も、ペイ ジへの同化ぶりも、世界を舞台にしての波乱万丈のストーリーも、想像を絶す るものがありました。ほんとに面白すぎる。 https://mr-jimmy-movie.com ちょっとだけ、書いちゃおうかな。 映画の冒頭はステージでの演奏シーン。もちろん桜井さんなんですが、まるま まペイジなので、「え? どっち?」となります。ギタープレイはもちろん、 ステージでの立ち居振る舞いもルックスも、ペイジ先生に瓜二つ。まるで生き 写しのよう(今のペイジ先生ではなくてもちろんレッド・ゼッペリン時代の)。 これだけで、ジミー桜井さんがジミー・ペイジ道を極めていることが明白にな るわけですが、ここを起点に、ペイジ道を極めてしまった(と他人には見える) 桜井さんがそこからどういう人生を選び、どう生きようとしているか、に焦点 を当ててドラマが展開します。 でもですね、個人的にはちょっと残念。だって、ジミー・ペイジの演奏ですよ。 あの超絶的にカッコいい、とんでもないプレイを、桜井さんは苦もなく涼しげ にイキイキと完璧に再現しちゃう(レコードはもちろん、何種類もあるライヴ・ ヴァージョンもサラッと弾き分けます)けれど、そもそもそこが不思議。いっ たいどうやって弾けるようになったんだろうとか、マスターするのにどれだけ 苦労したんだろうとか、やっぱりどうしてもそこが気になるし、知りたいです よね。そういう話がひとつも出てこなかったのは、なんか意地悪だなあと思う のです。あ、いや、ひとつだけあったか。確かこんなこと言ってたな、桜井さ ん。 「ジミー・ペイジが使っていたのと同じ楽器を持つことが大事。同じ楽器を手 にすれば、弾き方はその楽器が自然と教えてくれる」 って、いやいや、それじゃ答えになってないんですけど……。同化するにもほ どがある。 この映画を観て考えさせられたことのひとつは、コピー・バンドについて。 映画の中で、日本人のミュージシャンがこんなことを言っていました。 「パワーとかルックスでは我々日本人は勝ち目がない。だから、そこまでやる かっていうくらいに突き詰めて、細部までこだわってコピーする。日本人なら ではの長所であり、彼らと勝負するにはそこしかない」 これはほんとになるほどなあです。 僕はもう20年くらい、リヴァプールの「インターナショナル・ビートル ウィーク」にビートルズ・バンドをエントリーしています。ビートルズ・バン ドには大きく分けて「コピーバンド」と「トリビュートバンド」がありますが、 ビートルズの再現を目指すコピーバンドは、やはりフェスティヴァルには必要 不可欠。毎年1バンドか2バンドはラインナップに入れています。 忠実コピー、完全コピーを目指すバンドにとっては、「どこまでビートルズに 近づけられるか」が重要なテーマなので、人種も言語も大きく違う我々日本人 は最初から大きなハンデがあるんですよね。それをクリアする努力はもちろん ですが、英米のバンドにはない、丁寧で細かい職人的なこだわりは、日本のバ ンドならではの特色であり、魅力なんじゃないかと思っています。魂は細部に 宿る、ですよね。 でもあえて言うと...残念なことに、そこに落とし穴というか、どれだけ上手 にコピーしていても、なんだかあんまり面白くないバンドがあるのもまた事実 なんですよね。単なるモノマネというか、仏作って魂入れず、みたいな。宿っ たり追い出されたり、魂も忙しいね。 忠実・完全コピーというのはやりだすとキリがないし、どうしても限界があり ます。ビートルズ・バンドの世界にも、驚異的な(ジミー桜井さんクラスと 言ってもいいくらいに同化に成功した)リバイバル・バンドがいくつか存在し ていて、ビートルウィークでも圧倒的にリアルな(ややこしい表現だけど非現 実的なほどリアルな)ビートルズのライヴ・ステージを披露してくれますが、 日本のバンドががんばってそのレベルに到達する可能性はゼロとは言わないけ ど、限りなく、限りなく難しい。 では、どうすればいいのか。 あくまでも趣味で、自分たちの楽しみだけでコピーバンドをやっているのなら、 そもそも他人がどうこう言う問題ではないんだけれど、もっともっと上を(世 界を)目指すバンドは、どうすればいいのか。僕なりの考えを。 まずは演奏のクォリティの追求。でも、正確さ、丁寧さだけでリアリティを生 み出せればいいけれど、それに限界があるなら、ひとつでもふたつでもストロ ング・ポイントを作って、そのバンドにしかない個性を獲得すること(忠実コ ピーを目指していない「トリビュートバンド」はこれが最優先事項になりま す)。まずはそこからです。 次にやっぱり、エンターテイメント性。ディテールも大事だけど、オーディエ ンスも大事にしないといけません。観ていて楽しい(愉しい)ステージを。 ...うーん、エラそうに書いてるわりに、なんだかありきたりだなあ。「個性っ てなんやねん、エンタメってなんやねん」という声が聞こえてきそうですが、 そこはまあ、自分たち自身で生み出すしかないです。そのためには、閉じこ もってるんじゃなくて、外の世界をたくさん見る・知るのがいいんじゃないか な。例えば、世界じゅうから60バンドくらい集まって来るビートルウィーク は個性的なバンドの見本市、最高のショウケースです。お手本やヒント、イン スピレーションはごろごろ転がってます。トレンドみたいなものも感じられる はず。ぜひぜひウエルカム(スカウスハウス・ツアーにようこそ!)。 リヴァプールに行くのが難しいのなら、過去のビートルウィーク日本代表バン ドのステージを観に行ったり、アドヴァイスを求めてもいいと思います。どん な計画を立ててどういう準備をして、本番では実際どうだったのか、うまく 行ったこと行かなかったこと、技術的なことやそれ以外のこと...どのバンド も、それこそ両手いっぱい胸いっぱいの経験を抱え込んでいるはず。貴重な財 産を活かさないともったいないですよね。もちろん僕に訊いてもらってもいい ですよ。 ついついビートルウィークの話になってしまいました。 前にも書いたかもですが、今年も4バンドが日本代表としてリヴァプールのス テージに立ちます。プレッシャーをかけるみたいになっちゃうけど、本番まで のこれから半年間でどれだけレベルを上げることができるか、「世界最高のス テージ」に全力でチャレンジしてほしいと思います。 バンドのみなさん、まずは『MR.JIMMY』を観に行きましょう。 ● ● ● 毎年恒例、リヴァプールで開催されるビートルズの祭典「インターナショナル・ ビートルウィーク」。その観賞パッケージ「スカウスハウス・ツアー2025」が できあがりました。参加者募集中です! (ただいま早期予約割引期間中!) http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2025.html ● ● ● 「今週のフォト」は、前々号、前号に引き続き、昨年・2024年のビートル ウィークの写真を掲載します。カスバ・クラブでの日本代表バンドと、ペニー・ レーンです。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo880.html --- Kaz(11/02/2025) ------------------------------------------------------------------------ ▼エコーのエコー:ペニー・レーンに住んでみたら ---------------------------------------------------------------- NLW □ 2025年1月25日付「リヴァプール・エコー」に掲載された記事を翻訳して紹 介します。 ----------------------------------------------------------------- ペニー・レーンに住んでみたら ミーガン・バナー 2025年1月25日 リヴァプール・エコー ペニー・レーンはおそらく、リヴァプールで最も有名な通りだろう。ザ・ビー トルズが1967年に発表した歌によって、不朽の名声を与えられることになり、 今ではリヴァプール市の文化遺産の中でも重要な位置を占めている。 では、これほど有名な通りに住んで人生を送るというのは、いったいどういう ものだろう? たとえば66歳の住人ベーニー・モロムは「エコー」に、カ フェもバーもその他のお店にも囲まれていて、この通りでの生活は「グレイト」 だと証言した。 「1987年からここで暮らしてるんだが、いいところだわな。ペニー・レーンは ぜんぜん変わらんね。まあお店は入れ替わるしツアーのバスも多くてツーリス トはたくさんやって来るけど、ペニー・レーン自体は変わらんね。そりゃあ世 界で最も有名な通りのひとつだからな、お住いはどちらって誰かに訊かれてペ ニー・レーンだって答えたら、『え? それってあのペニー・レーンですか?』 『そうだよ』なんてことになる」 観光のホットスポットであるだけに、これまでいろいろなツーリストがここに やって来た。長年の住人であるベーニーにもいろいろな思い出があるそうだ。 「そりゃツーリストに関するネタはたくさんあるわな。あるとき家のリフォー ムをやってたらだね、作業に来てもらった兄ちゃんが中に入って来てこう言っ た。『なんかビートルズについて質問があるって言ってるんですけどね、外の 人が。ちょっと出てって答えてやってもらえます?』とね。だからそうした。 その観光客、『あの横断歩道はどこにあるんでしょうか』と来たもんだ。ああ そりゃこっから200マイルくらい向こうだよと親切に教えてやったんだが、 その男、キョトンとしてたな。まあこういう面白いことはちょいちょいある よ」 「知り合いの家族が来たときにやね、一緒にバスツアーに参加したことがある。 最前席にアイルランドからの夫婦が座っておった。で、俺はドライヴァーに 自分はペニー・レーンに住んでるって伝えてあったんだが、バスがペニー・ レーンに着いたときにそいつはマイクでそれをアナウンスしよったんだわ。そ れでどうなったと思う? そのアイリッシュの兄ちゃん、俺んとこに来よった わ。一緒に写真を撮らせてくださいって。国に帰ったら自慢するんだとよ。ペ ニー・レーンに住んでる人とのツーショットだぞって」 ここ数年、学生たちに人気の居住エリアは、スミスダウン・ロードからペニー・ レーンに移りつつある。ノース・ウエールズ出身で22歳の学生エマ・ギブソ ンは、この有名な通りでの暮らしを自分がどれほど気に入っているかを力説す る。 「リヴァプールの中でもとってもいいところなのよね。トラブルとかぜんぜん ないし、静かだし、お隣さんたちともほんとに仲良くしてもらってる。スミス ダウンとかセフトン・パークとか、グリーンバンク・パークだってそんなに離 れてないし。パブならその辺にいくつもあるし、歩ける距離でなんだって揃っ てるのよ。それに、スミスダウンよりはるかに静かで、安心して暮らせるのよ ね」 この通りとは切っても切れない伝説的なステータスについては、エマは特にな んとも思っていないと言う。 「私の故郷の友人に『ペニー・レーン』の歌が大好きな子がいてね、自分の犬 にも『ペニー』って名前をつけてて。ペニー・レーンに住んでるのよってその 子に言ったら『オー・マイ・ゴッド!』みたいになってたけど。でもね、みん な大げさに考えすぎなのよ。そんな特別なところじゃないわ。そりゃいつも ツーリストがいて、写真を撮ったりしてるけどね、でもそれを除けばいたって 普通の通りなのよ」 最近大学を卒業したばかりの22歳、メイジー・クーパーは、住民の誰もがペ ニー・レーンでの生活を気に入っていると太鼓判を押す。 「みんなここが大好きなのよ。スミスダウンからこっちに引っ越して大正解だ と思ってる。家族で住んでる人が多いし、セフトン・パークにも近いし。学生 が多くて何かと評判の良くないスミスダウンよりもずっと安全だわ。学校が あってファミリーのお家がたくさんあって、とっても住みやすいエリアなのよ」 「それになんて言ってもここはペニー・レーンなのよね。ペニー・レーンが嫌 いな人なんていないわよね。実際、ペニー・レーンに住んでるって人に言える のって、クールだわ。いつもそこらじゅうで写真を撮ってるツーリストでいっ ぱい。ツアーバスもひっきりなしに出たり入ったり。でもみんな、そういうの を含めて気に入ってるのよ。ほんとにラヴリーなエリアなんだもん」 'People say 'oh my god' when I tell them where I live, but to me it's just ordinary' −"It doesn't feel like we live anywhere out of the ordinary, but people are obsessed' Megan Banner 25 January 2025, Liverpool Echo https://www.liverpoolecho.co.uk/news/liverpool-news/people-say-oh-god-tell-30807601 ------------------------------------------------------------------------ ▽スカウスハウス・ニュース ---------------------------------------------------------------- NLW □ *** Beatleweek 2025 スカウスハウス・ツアー:参加者募集中! ****** 今年8月にリヴァプールで行われるインターナショナル・ビートルウィーク観 賞パッケージスカウスハウス・ツアー2025の参加者募集をスタートしました。 おなじみのビートルズ・コンヴェンションやアデルフィでのオールナイト・ パーティー、キャヴァーン・クラブでのライヴはもちろん、ホープ・ストリー ト・フェスティヴァルや豪華なフィルハーモニック・ホールでのハイ・クォ リティなコンサートやマージー河向こうのポート・サンライトでの大きなイ ヴェント、さらにはあの伝説の「マシュー・ストリート・フェスティヴァル」 プチ復活の野外イヴェントなどなど、これでもかというくらい盛りだくさんの 企画が用意されています。 もちろんスカウス・ハウスのオプショナル企画も充実。リヴァプールとフェス ティヴァルを満喫していただけるラインナップと自負しています。 初めてのかたもリピーターも大歓迎。聖地リヴァプールで開催される世界最大 のビートルズ・フェスティヴァルに、あなたもぜひ! この夏、ぜひリヴァ プールでお会いしましょう! http://scousehouse.net/beatleweek/scousetour2025.html *** スカウスハウス通販:英国盤レコード ****** スカウスハウス通販「英国盤レコード」を更新しました! 「2024 The Beatles (LP)」というコーナーで販売開始。今夏リヴァプールと ハンブルグで買い付けてきたアイテムを紹介しています。 少数精鋭というか、貴重盤が目立つラインナップですが、リヴァプールやハン ブルグの香りを少しでも感じていただければうれしいです。 ビートルズLP以外のカテゴリーもただいま準備中です。 http://scousehouse.net/shop/records2024.html *** 現地ビートルズ・ツアー ****** スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポート しています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートル ズ・ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ ランチ&名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツ アー(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予 約も承ります。 ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好 評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm *** PLAY AT THE CAVERN! ****** スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。 ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを ご覧ください。 ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演 奏する」という夢をぜひかなえてください! http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html *** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ****** スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウ スハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」 が入荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダ ントをイメージしたアクセサリー。チェーンの太さ&長さはお選びいただけま す。 現在、アクセサリー全アイテムを対象に、お手入れ用磨き布(研磨剤入り)を プレゼント中。オーダーをいただけるとうれしいです! https://scousehouse.net/shop/silver.html *** 原稿募集中 ****** NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。 旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは 英国に関するものなら何でも歓迎です。 お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。 ------------------------------------------------------------------------ ▼今週のフォト ---------------------------------------------------------------- NLW □ 「今週のフォト」は、前々号、前号に引き続き、昨年・2024年のビートル ウィークの写真を掲載します。カスバ・クラブでの日本代表バンドと、ペニー・ レーンです。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo880.html ■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *** 隔週火曜日発行 *** □■ 第880号 ■□ ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス) ◇編集 山本 和雄 ◆Eメール info@scousehouse.net ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/ ◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net ◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。 配信の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。 ◆まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000065878.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2025 Scouse House |