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November 04 2025, No.897
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼エコーのエコー:リヴァプールの詩人ブライアン・パッテン死去 ▽スカウスハウス・ニュース ▼今週のフォト ------------------------------------------------------------------------ ▽フロム・エディター ---------------------------------------------------------------- NLW □ NLW No.897です。 もうひと月以上も経ってしまったのですが、ブライアン・パッテン死去の記事 を今号で紹介します。 ブライアン・パッテンは1960年代に若者世代に圧倒的支持を得たリヴァプー ル三大詩人のひとりです。当時、1950年代アメリカの、「ビート・ジェネレー ション」のリヴァプール版とでも言うべきムーヴメントがありました。ご存じ のようにアメリカの三大ビート詩人といえばアレン・ギンズバーグ、ジャック・ ケルワック、ウィリアム・バロウズですが、リヴァプール版はロジャー・マ ゴーフ、エイドリアン・ヘンリ、そしてブライアン・パッテンでした。 「リヴァプール・エコー」に掲載された記事を紹介することにしたのですが、 翻訳しながら気がつきました。 この記事には、「リヴァプール・シーン」のことがひと言も触れられてません。 マゴーフ、ヘンリ、パッテンの3人の詩集『ザ・マージー・サウンド』と同じ 1967年、『リヴァプール・シーン』という詩のアンソロジーが出版されました。 エドワード・ルーシー=スミスの手により、この3人を中心にしたリヴァプー ルの詩人たちの作品が編纂されています。 ついさっきなんですが、「そうだ、我が家には本のほうの『リヴァプール・ シーン』があったな」と思い出して、本棚をあれこれ引っ掻き回して、ようや く見つけ、パラパラと眺めているうちに、「そうだ、ひとつ翻訳してみるか」 と思い立って、わりと短めのを選んで、ささっと仕上げました。うまく日本語 にできたかどうかあんまり自信はないけれど、紹介しますね。 -------------------------------------------- リトル・ジョニーの最後の伝言 母さん、 今夜は戻りません。だから 心配しないでください。あわてて捜索願いを出すのもやめて 運河をさらって僕を見つけようとしないで 僕は生き続けることに決めました。だから 森を探したりしないで。かくれんぼをしてるわけじゃない 僕はただ、人目に触れないでいたいだけ 僕の下着を干しっぱなしにしないで もうこそこそしたくない 僕の写真を世間にさらさないで 一人前の男になろうとしてるんだ とにかく今は目立ちたくない うまくやれてるよ。半ズボンだって脱いだ 長ズボンをはいてる これから街に入って行くんだ。だから 心配しないで。あわてて捜索願いを出すのもやめて 'Little Johnny's final communication' by Brian Patten (From the book 'The Liverpool Scene - recorded live along the Mersey Beat; edited by Edward Lucie-Smith, 1967' ) -------------------------------------------- この本『リヴァプール・シーン』がきっかけになったのだと思いますが、参加 した詩人たち(3大詩人は全員)にアンディ・ロバーツらを加えて、音楽グ ループの「リヴァプール・シーン」が結成されます。彼らは定期的にアルバム をリリースし、ライヴ活動も精力的に行いました。大学を中心に英国をツアー し、さらにはUSツアーまで。そういえばですが、先日観に行った映画『レッ ド・ツェッペリン:ビカミング』。ツェッペリン1969年UKツアーのポスター が画面に映し出されたのですが、前座として「Liverpool Scene」の名前が けっこう大きく印刷されていたのを、僕の目はしっかりキャッチしました。 このバンドのほうのリヴァプール・シーンはその後、スキャッフォルドやグリ ムズといったバンドにも派生していきます(ブライアン・パッテンはグリムズ のほうに参加)。 そう考えるとリヴァプール・シーン、英国の音楽シーンにも 大きな影響を与えてますよね。 ● ● ● 【お知らせ】 *** スカウスハウス通販:「英国盤レコード」を更新しました ****** ひとまず、「2025 The Beatles (LP)」というコーナーをリリースです。 今夏リヴァプールで買い付けてきたアイテムを追加しました。 <通販トップページ> https://scousehouse.net/shop/records2025.html <通販商品ページ> https://scousehouse.net/shop/record_beatles2025.html <オーダー・フォーム> https://scousehouse.net/shop/orderform_ukrecords2025.html このNLWの読者限定で、プロモーション・コードを用意しました。 オーダーの際にご利用ください。一律で「5%オフ」とさせていただきます。 <プロモーション・コード> ※有効期限:2025年11月30日 **** ウェブ版には非掲載 **** ● ● ● 「今週のフォト」は、今年8月に行われた『International Beatleweek 2025』 の写真を紹介します。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo897.html --- Kaz(04/11/2025) ------------------------------------------------------------------------ ▼エコーのエコー:リヴァプールの詩人ブライアン・パッテン死去 ---------------------------------------------------------------- NLW □ 2025年9月30日付「リヴァプール・エコー」に掲載された記事を翻訳して紹 介します。 ----------------------------------------------------------------- リヴァプールの詩人ブライアン・パッテン死去 ウェズレー・ホームズ 2025年9月30日 ブートル生まれで、リヴァプールの文学界で最も高い評価を受けた詩人の一人 が死去した。ブライアン・パッテン。1967年に出版した『ザ・マージー・サウ ンド』で全国的な知名度を獲得。この詩集は国内で何百、いや何千ものライ ターに影響を与えた。 ブライアンは1960年代に頭角を表したクリエイティヴ集団「リヴァプール・ ポウイッツ」のひとりで、1950年代の「ビート」カルチャーに影響を受けてい る。彼がロジャー・マゴーフ、エイドリアン・ヘンリと共に書いた『ザ・マー ジー・サウンド』は批評家からも絶賛された。 ブライアンは昨日、9月29日に亡くなった。79歳だった。 代理人は「エコー」の取材にこう語った。 「非常に悲しいことですが、ブライアンが亡くなったことを認めます。彼の妻 であるリンダ・クックソンが今朝、私たちに連絡をくれました。彼は昨夜の10 時55分、トーベイの病院で、夫人の腕の中で息を引き取ったということです」 マージーサイドのブートルで生まれたブライアンだが、何年も前に、最寄りの 川をマージーからダートに変えた。リヴァプールからデヴォンの緑豊かな丘陵 地帯に移住したのだ。しかし彼が少年時代のことを忘れたことはない。祖父母 と暮らしたウェヴァトリーのローレンス・ロードにあった家や、彼が詩人にな るまでに関わったたくさんの人々のことを。 2013年のインタビューで、彼は「エコー」にこう語っている。 「あの家にはね、ベッドルームがひとつと、物置がひとつだったな。もうない けどね。消えてしまった生活のことを記録に留めておきたがる人の気持ち、よ くわかるよ」 「一緒に暮らしてた僕のおばあちゃんはリジー・ハムレットっていうんだけど、 もうひとり、キッチンの椅子で寝てる年配の女性がいて、彼女もまたリジーっ ていって。その人は親戚でもなんでもなくてね。あのオールド・メグの詩は 知ってる? ”オールド・メグ、シー・ワズ・ア・ジプシー”っていう(訳 注:19世紀の英国の詩人、ジョン・キーツの詩)。あれだよ、彼女はちょっと そんな感じだった。今思い返してみてあらためてなるほどと思ったんだけど、 彼女、ほんとになんにも持ってなかったんだよね」 「何年も経ってから思い返してみると、前とは違った光の中にそれが見えるこ とがある。まるで曲がり角の向こうが見えるみたいにね」 詩への傾倒が始まったのは、セフトン・パーク中学校の最終学年のころだった。 卒業後ブライアンは、ブートル・タイムズ紙のレポーター見習いとして働いた。 そこで彼はポップ・ミュージックのコラムを書いたり、文芸誌の編集を担当し た。「アンダードッグ」というその雑誌にはロジャー・マゴーフとエイドリア ン・ヘンリが詩を発表していた。地下にあった「ストリーツ」というコーヒー バーで、彼はリヴァプールの新進詩人2人に会った。 「僕の詩にこんな一節があるんだけど」彼は言っている。 「野うさぎの息が雪を溶かす。溶けた雪はやがて雪崩を起こす」 「ていうのはだね、あの新聞社で面接を受けたのは僕が15歳のときだ。面接 をした男、まったく、神のみぞ知るやり方で僕にチャンスを与えてくれたんだ よ! 僕のスペリングなんてすべりまくりだったしね、もっと育ちがよくて高 学歴の子を採用することだってできたはずなんだよ。でも彼はそうせずに僕を 採用した。なんて素晴らしい人だろう」 18歳になったブライアンは仕事を辞め、ボヘミアン生活に身を投じる。パリに 移住し、路上で通行人を相手に、地面に色チョークで詩を書く生活に没頭する。 1967年、ロジャー・マゴーフ、エイドリアン・ヘンリとの共著『ザ・マージー・ サウンド』を出版。批評家から「20世紀で最も重要な詩集」との評価を受け、 新たな読者層を獲得する。同年、ブライアンは単独での初の詩集『リトル・ ジョニーズ・コンフェッション』を上梓。 ほかの著作としては、『ノーツ・トゥ・ザ・ハリーイング・マン』(1969)、『ジ・ イレレヴァント・ソング』(1971)、『ヴァニッシング・トリック』(1976)、『グ レイヴ・ゴシップ』(1979)、『ストーム・ダメージ』(1988)、そして『アーマー ダ』(1996)がある。1983年には、マージー・サウンドのトリオは、続編の 『ニュー・ヴォリューム』を発表している。 ブライアンはまた、1970年から2015年までに、13冊の子供向けの本や詩集を 執筆しており、最も新しいものは2015年出版の『ガーグリング・ウィズ・ジェ リー』である。 キャリアを通じて、ブライアンはいくつもの賞を受けている。主なものとして、 チョルモンドリー詩賞(英国作家協会から詩人に与えられる賞)、児童向け小 説『ミスター・ムーンズ・ラスト・ケース』で全米ミステリー作家協会からの 特別賞がある。2002年にはリヴァプール市から自由市民賞が授与された。彼は また、王立文芸協会やリヴァプール大学、リヴァプール・ジョン・ムーアズ大 学、ジ・オープン大学のフェローを務めていた。 Original Liverpool poet Brian Patten dies aged 79 Brian Patten was one of the most highly-regarded voices of Liverpool's literary world https://www.liverpoolecho.co.uk/news/liverpool-news/original-liverpool-poet-brian-patten-32579674 ------------------------------------------------------------------------ ▽スカウスハウス・ニュース ---------------------------------------------------------------- NLW □ *** スカウスハウス通販:「英国盤レコード」を更新しました ****** ひとまず、「2025 The Beatles (LP)」というコーナーをリリースです。 今夏リヴァプールで買い付けてきたアイテムを追加しました。 <通販トップページ> https://scousehouse.net/shop/records2025.html <通販商品ページ> https://scousehouse.net/shop/record_beatles2025.html <オーダー・フォーム> https://scousehouse.net/shop/orderform_ukrecords2025.html *** 現地ビートルズ・ツアー:改訂しました ****** リヴァプール&ロンドン現地ガイドツアーの、時間や料金を改訂しました。 2025年10月16日以降のお問い合わせ&ご予約に適用します。すでに受付済み のご予約には影響しません。 <Liverpool> リヴァプール・ビートルズ・ツアー http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html ビートルズツアー+ランチ&名所観光 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool02.html 伝説のカスバクラブ・ツアー http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool03.html <London> ロンドンのビートルズ・ツアー(3種) http://scousehouse.net/beatles/guide_london_beatles2023.html ロンドン特別ツアー(シャーロック・ホームズ&パブ) http://scousehouse.net/beatles/guidetour_london2.html *** 現地ビートルズ・ツアー ****** スカウス・ハウスでは、ビートルズ・ファンの「聖地巡礼」の旅をサポート しています。リヴァプールでは、22年目となった「リヴァプール・ビートル ズ・ツアー」、名所観光とランチがプラスされたお得な「ビートルズツアー+ ランチ&名所観光」、「伝説のカスバクラブ・ツアー」をご用意。「現地英語ツ アー(Magical Mystery Tour, Mendips & 20 Forthlin Road Tour)」の代行予 約も承ります。 ロンドンのビートルズ名所を訪ねる「ロンドン・ビートルズ・ツアー」も大好 評。イギリス旅行の際にはぜひご利用ください。 http://scousehouse.net/beatles/beatlestour_liverpool01.html http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm *** PLAY AT THE CAVERN! ****** スカウス・ハウスでは、リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライヴをア レンジしています。もちろん現地コーディネートつきです。 ウェブサイトの「for ビートルズ・バンド - PLAY AT THE CAVERN!」ページを ご覧ください。 ビートルズ・バンドのみなさん、「リヴァプールのキャヴァーン・クラブで演 奏する」という夢をぜひかなえてください! http://scousehouse.net/beatles/playatthecavern.html *** スカウスハウス通販:シルバー・アクセサリー ****** スカウスハウス通販「シルバー・アクセサリー」のアイテムは、すべてスカウ スハウス・オリジナルです。いちばんのおすすめは「Lennon-NYペンダント」 が入荷しています。ジョン・レノンがニューヨーク時代に愛用していたペンダ ントをイメージしたアクセサリー。チェーンの太さ&長さはお選びいただけま す。オーダーをいただけるとうれしいです! https://scousehouse.net/shop/silver.html *** 原稿募集中 ****** NLWでは、読者のみなさんからの投稿を募集しています。 旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、あるいは 英国に関するものなら何でも歓迎です。 お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。 ------------------------------------------------------------------------ ▼今週のフォト ---------------------------------------------------------------- NLW □ 「今週のフォト」は、今年8月に行われた『International Beatleweek 2025』 の写真を紹介します。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo897.html ■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *** 隔週火曜日発行 *** □■ 第897号 ■□ ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス) ◇編集 山本 和雄 ◆Eメール info@scousehouse.net ◇ウェブサイト http://scousehouse.net/ ◆Facebook http://www.facebook.com/scousehouse.net ◇お問い合わせフォーム http://scousehouse.net/liverpool/form.html ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお聞かせください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行しています。 配信の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイトからどうぞ。 ◆まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000065878.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2025 Scouse House |