October 14 2008, No.360
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン 〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜 ― 第140号 / Only A Game? / Power Plant / More Biennial! ― ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish140_photo.html ≫ こんにちは。 旦那と私ともどもカゼッピキです。頭が朦朧としているときは、何をやっ てもロクなことがありません。この原稿も80%まで書き上げたところで 誤って3分の2を消してしまいました…。 早く本調子に戻さねばです。皆さんも風邪などひかぬよう気をつけて 下さい。 まずは、ワールド・ミュージアム・リヴァプールにて11日に一般公開の 《Only A Game?》展から。8日に一足先に見に行ってきました。 これは、UEFA(欧州サッカー連盟)、プレストンのナショナル・フットボー ル・ミュージアム、NWDA、ナショナル・ミュージアム・リヴァプールの共 同プロジェクトで、イギリスではリヴァプールのみの開催ということで、 多くのメディアが訪れ、注目していました。 展覧会のタイトル「オンリー・ア・ゲーム?」と疑問符になっていますが、 シャンクリーの引用句「フットボールは人の生死よりも重要なことだ」と まで大事でないにしても、フットボールの意味するものは人様々で、単 なる試合の勝敗以上であることは間違いありません。 特に今年の欧州文化首都で、しかもフットボールが社会や人々に深く 根ざし、生活文化をも形成しているリヴァプールで行われるのは説得 力があります。 この展覧会は、UEFAの代表的なトロフィー、シャツ、メダルや過去50年 間のメモラビリア、写真、音声、映像などで構成され、選手、フットボー ルとUEFAの歴史、ファンに焦点が当てられ、また関連する書籍の閲覧 もできます。 ヨーロッパ全土のフットボールをカバーするだけでなく、もちろんリヴァ プールとエヴァトンのコレクションも展示されています。 <Plunge into the emotions of football>のインタラクティブ・セクションで は、オウンゴール、セレブレーション、ドリブル、ファン、ゴール、エモー ション、セーブ、コメディー、タックルなどのシーンを選んで、ロック、ポッ プ、ジャズ、ヒップホップ、クラッシックなどお好みのサウンドトラックを セレクトすると、独自のビデオクリップが再生されます。 同じシーンでも音楽を変えるだけでムードが変わるものです。 この展覧会は、2009年3月1日まで続きます。ミュージアムの同じフロ アで開催中の50年の音楽の歴史を綴った《Beat Goes On》もお勧めで す! Only A Game?: http://www.onlyagame.info/ < World Museum Liverpool > 住所:William Brown Street, Liverpool L3 8EN 電話: 0151 478 4393 開館時間:毎日午前10時〜午後5時まで 入場無料 (12月25、26日と元旦はお休み、12月24日は午後1時まで) ホームページ: http://www.liverpoolmuseums.org.uk/wml/exhibitions/onlyagame/ ♪ ♪ ♪ 10月8日から12日までの期間、リヴァプール郊外カルダストーンズ・ パークにて行われた《Power Plant》の初日に観に行ってきました。 これはリヴァプールの欧州文化首都公式プログラムの屋外イベントで す。 星の見える晴れた夜の公園を歩いていくと、公園のランドスケープや 植物からインスピレーションを得た26もの光やサウンドのインスタレー ションが待ち受けています。 作品のタイトルも、植物の学名にちなんでラテン風の名前が併記され ていました。 マーク・アンダーソンの<FLORIS FLUCTUATION(キネティック・フラ ワーズ)>は満開に咲き、ぐるぐると回転しながら花壇に動きと彩りを添 えています。 ジャパニーズ・ガーデンでは同じくアンダーソンによる<IGNIFER CONSPIRO(パイロフォンズ)>、ダイナミックな炎がリズムを刻みます。 アン・ビーンの<SPIRITUS TRACTUS(ブリージング・スペース)>では複 数の大きなバルーンがゆったりとはずみ、カーステン・レイノルズの <SUSPIRIA DE PROFUNDIS(サイズ・フロム・ザ・デ プス)>はひっそりと芝生に置かれた朝顔の花のような蓄音機がミラー ボールに照らされて映画のひとシーンのようなファンタジックな雰囲気 をつくりだしていました。 静と動のコンビネーションの楽しめる夜の遊園地でした。 Power Plant: http://www.powerplant.org.uk/ ♪ ♪ ♪ 先週に続いてバイエニアル関連です。 前回ご紹介しきれなかった2名の日本人アーティストの作品から。 戦時中にドイツ軍の爆撃に遭い現在は戦争のメモリアルである「ボム ド・アウト・チャーチ」のニックネームで知られるセント・ルークス・チャー チにて、オノ・ヨーコの<Liverpool Skyladders>。 一般の人々からはしごの寄付を募り、集まったはしごが教会の空洞と なったスペースから空に向かって伸びるように展示されています。 素材も形状もさまざまで、樹木のように見えるのかと想像していました が、動物のようにも見えます。 はしごは一般家庭ではおそらくあっても一本で、万が一の生活必需品 でなかなか寄付しにくいアイテムということもあり、数を集めるのに難航 していたようですが、少しずつですが増えてきました。会期が終了する 頃にはもっと賑やかになるといいですね。これらのはしごは、展覧会終 了後、チャリティーに寄付されるとのこと。 イマジン・ピース: http://www.imaginepeace.com/ 教会から道を渡った角には、こちらも日本が誇る建築家チーム、アトリ エ・ワン(英語ではAtelier Bow-Wow)による<Rockscape>。 私が知っている限りでもここは長いこと空き地で、塀に囲まれていて、 その塀にはバンドの新譜の宣伝やライブ告知のポスターが所狭しと重 ね貼られていて、ある意味、無言の音楽情報の発信地でした。 そこが野外劇場に変身。週末には地元のバンドのライブが企画されて いて、入場無料で楽しめます。段々の客席の一番上からの眺めもなか なかですよ。 アトリエ・ワン: http://www.bow-wow.jp/ 月曜日にテート・リヴァプールのカフェでブッシュ氏とランチ?! そうなんです、カフェの奥のテーブルにルービック・キューブにいそしむ ジョージ・ブッシュが。 これはアリソン・ジャクソンのスカルプチャー<George Bush puzzling over a Rubik's cube>。リアルすぎて逆にシュール、しかも座っている素 振りがあまりにナチュラルなため、一般のお客さんが気がつかずに食 事なりお茶を終えて帰ってしまうほど。 私がカメラを持ってスタスタとブッシュ氏に近づき、前から後ろからバシ バシ撮りはじめると、まわりのお客さんがコソコソと話しだし、そのあと 追随して記念撮影を始めました。可笑しかったです。これは必見です。 アリソン・ジャクソン: http://www.alisonjackson.com/ リヴァプール・バイエニアル:http://www.biennial.com/ 最後は、バイエニアルの公式作品ではありませんが、リヴァプール大 聖堂がコミッションした、トレイシー・エミンの新作<For You>。 ゴシック様式の大聖堂の中にネオン作品ときいて、どんなものかと疑 問に思っていましたが、意外にしっくりきていて素敵でした。 青系のステンドグラスの下のバルコニー部分に細いエミンの手書きの デザインをもとにした細いピンクのネオンライトは、決して華美でなく、 大聖堂の厳かな空気を和らげるようなやさしい作品です。 写真は、9月25日にトレイシー・エミンが大聖堂を訪問した際に撮影し たものです。こちらの作品もバイエニアルの展覧会と同じく、11月30日 まで続きます。 リヴァプール大聖堂: http://www.liverpoolcathedral.org.uk/content/musicandevents/whatson/exhibitions/11/2008.aspx 余談ですが、大聖堂に隣接したオラトリーの鳥の彫刻<ローマン・スタン ダード>が盗まれたお話はゴールドフィッシュ133号でお伝えしましたが、 なんと新しいネオン作品のお披露目の1週間前に再び盗まれました! でも盗まれた鳥は翌日には無事戻ってきたらしく、エミンのリヴァプー ル入りに間に合うようにしっかり修復されていました。 ♪ ♪ ♪ 【今週の告知】 その1: リヴァプール・アイリッシュ・フェスティヴァルがスタートします。 10月17日から11月2日まで、音楽、映画、展覧会やガイド付きウォーク、 ビートルズ・ストーリーではビートルズとアイルランドの関係を追究した 展示、そしてゲイリック・フットボールまで盛りだくさんです。 http://www.liverpoolirishfestival.com/ その2: あと2週間で夏時間が終わり、ぐっと日が短くなります。 10月30日には、<ロング・ナイト・オブ・ザ・バイエニアル>と題して、バイ エニアルの会場となるギャラリーが一日限り夜11時までオープンしま す。 秋の夜長のギャラリー廻りはいかがでしょうか? http://www.biennial.com/content/TalksToursEvents/LongNightoftheBiennial.aspx それではまた来週! ミナコ・ジャクソン♪ ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish140_photo.html ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2008 Scouse House |