November 25 2008, No.366
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第144号 / 世界の国からリヴァプールへ ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish144_photo.html ≫

こんにちは!
11月の中旬は、今年のリヴァプールの欧州文化首都を祝って、様々な
国からの文化交流イベントが集中して行われました。
そのほとんどが、Novas CUC(コンテンポラリー・アーバン・センター)に
て開催され、建物全体が国際色豊かに彩られた2週間となりました。

11月12日は日本のEU・ジャパンフェスト日本委員会が主体となった2つ
のイベントが開催されました。
まずひとつめは、Novas CUCにてオープンした写真展『日本に向けら
れたヨーロッパ人の眼・ジャパントゥデイvol.10』。
1999年から始まったこの写真展ですが、今回で第10回を迎えます。
毎年、ヨーロッパで活躍する写真家を日本の各自治体に招待し、滞在
しながら現在の日本の姿を撮影し、日本という国を身近に感じてもらう
とともに、日本人が見過ごしてしまっている日常を再発見するというプ
ロジェクトです。今年は春に4名の写真家が日本入りしました。

英国リヴァプールからは、ジョン・デイヴィスが静岡県富士市にて、イン
ダストリアルな風景に浮かぶ富士山を捉え、ノルウェーのオスロ在住
のメッテ・トロンヴォルは長崎の五島列島の大自然をバックに海草採り
をする年配の女性たちを撮影。オランダ出身のカリー・マルケリンクは
長崎県長崎市で、街の風景のカラー写真とモノクロの人々のポート
レートのコンビネーションを通じて、街の歴史、記憶、原爆を考えさせる
作品を制作、ドイツ出身ロンドン在住のマルコ・ボーアは、茨城の久慈
郡大子町にて、その土地がモチーフとなった写真や絵画を手に持って
もらい、地元の人々を撮影したものです。

2001年からアーティスティック・ディレクターを務めている菊田美樹子さ
んによるセンスの光るレイアウトで、とてもすばらしい展示となっていま
す。
日本にもいずれ巡回すると思いますので、そのときは是非見に行って
ください。写真プロジェクト詳細はこちらから。
http://www.eu-japanfest.org/program/photo_project.html

この展覧会は、2009年1月9日まで続きます。
  ※同じ建物の5階では、ヨーロッパの6つの港街をつなぐ写真展
   《Cities on the Edge》が開催中で、こちらにもジョン・デイヴィスが
   出展しています!

♪ ♪ ♪

同じく12日の夜は、セント・ジョージズ・ホールのスモール・コンサート・
ホールで『インターナショナル・ユース・イン・コンサート(国際青少年音
楽祭プロジェクト)』が行われました。
日本からは鹿児島県志布志市出身のまつやまキッズ合唱団、2005年
の欧州文化首都だったアイルランドのコークからコーク児童合唱団、リ
ヴァプールからはリヴァプール・ユース合唱団とリヴァプール・スクー
ル・コンサート・バンドが参加し、合計100名ほどの子供たちが共演しま
した。

私はまつやまキッズのメンバーのリヴァプール滞在中、ほとんど密着し
ていました。
小学生5名、中学生5名、高校生6名の計17名で構成されるこの児童
合唱団は、このリヴァプールでのコンサートのために結成されました。

単にコンサートの本番を鑑賞するだけでなく、リヴァプール滞在期間中
に彼らが成長していく過程を見ることができたことを嬉しく思っていま
す。
到着した翌日の10日には地元の高校ブロード・グリーン・インターナ
ショナル・スクールと、老人ホームのマージーケアNHSトラスト・ヘイズ・
コートを訪問して、それぞれの場所で歌を披露し、現地の子供たちや
ご老人たちと、言葉を超えた交流のひと時を過ごしました。
学校での最初の演奏ではイギリスで初めての経験だったこともあって
か、相当緊張しているようでしたが、回を重ねるほどに自信をつけ、
めきめきと上達していきました。

11日は午前中のリハーサルの前にマシュー・ストリートを観光している
と、リヴァプール唯一の公認日本人ビートルズガイドの阿部さんにばっ
たりお会いし、ご好意でキャヴァーン・クラブで詳しい説明までしていた
だきました!
その後ブルーコートにてみっちりリハーサルをした後は、ワールド・
ミュージアム・リヴァプールやビートルズ・ストーリー、大聖堂を見学。
夕方にコークのメンバーもリヴァプール入りをして合流。

本番当日の12日、午前中は今回のコンサートを取りまとめるアーティス
ティック・ディレクターのサーニャ・キョウさん(ARTlifeCulture)による
ウォーミングアップとリハーサル。
頭で考えるのではなく、体で感じて覚える、ダイナミックなボイストレー
ニングは驚くほど効果的で、サーニャのカリスマ性に脱帽です。子供た
ちの背筋、呼吸、口の形もばっちり整い、声量がグッとアップします。

午後はリヴァプール・バイエニアル主催のウォークツアー。
ハリエットとエマの2人のガイドで、ブルーコート、ピルキントン(草間彌
生の作品が子供たちの間でも大人気!)、ジョイフル・ツリーズ、セン
ト・ルークス教会のオノ・ヨーコの作品、アトリエ・ワンのロックスケープ
などを楽しく回りました。 

コンサート会場に戻り、午後4時からは、まつやまキッズ、コーク、リ
ヴァプールの合唱団が揃っての初の合同リハーサル。
コンサートの最後で発表される曲<When We Sing Beneath a Star>を
練習します。

この曲は、この日のコンサートのピアノを担当している、リヴァプールに
も関わりの深いコーク在住の作曲家、C.S.L.パーカー氏によるもの。
キーが高く、楽曲として難易度の高い上に、もちろん歌詞は英語です
から、まつやまキッズにとってはハードルの高い曲だったことと思いま
すが、他の合唱団に負けていませんでしたよ。

午後6時半に、EUジャパン・フェスト日本委員会の大橋洋治実行委員
長のご挨拶のあと、コンサート本番がスタート。
一番バッターはリヴァプール・ユース合唱団で、コーラス・ラインの
<One>を披露。
次はコーク児童合唱団が6曲のワルツが連なる曲集<Ships and
Waltzes>を歌います。こちらもC.S.L.パーカーによる楽曲で、同じく港街
であるコークで育った子供たちの海の思い出やパーカー氏の実父が
過ごした1950年代のリヴァプールでの回想録が基となったものです。

コーク児童合唱団は、2005年の欧州文化首都の年に立ち上げられ、
この曲集は同年に発表されました。
また、今回のメンバーのほとんどが、2006年には志布志市で行われた
前回の国際青少年音楽祭を経験しているだけあって、成熟したパ
フォーマンスでした。

コークの演奏が終了し、まつやまキッズの子供たちの表情を見ると、
不思議と緊張した様子もなく、むしろ清々しくステージへ向かって行き
ました。
舞台に上がった彼らの表情は、最後のリハーサルからもさらにグレー
ドアップして、パッと輝くような豊かな表情で、元気に『音楽の贈り物』、
『世界がひとつになるまで』、そして志布志市のテーマソング『フロム・
志布志』を歌い上げました。 

続いて、リヴァプール・スクール・コンサート・バンドがビートルズ・メド
レーを演奏。先述のリヴァプール・ユース合唱団とコンサート・バンドは、
ともにリヴァプール・ミュージック・サービスが運営しているリヴァプール
・サタデー・モーニング・ミュージック・センターで毎週レッスンを受ける
児童生徒がメンバーで、これまでも市内のみならず、国内外で公演し
ています。
今年3月には中国公演もあったそうですから、日本で演奏する日も遠
くはないかもしれません! 

最後に、コンサートのクライマックスである<When We Sing Beneath a
Star>を3国の合唱団が一緒に歌い、一時間のコンサートを締めくくり
ました。

コンサートが終わった後の、まつやまキッズの達成感に満ちた顔が印
象的でした。
短い準備期間で一生懸命練習し、異国の地で時差ボケと生活パター
ンの違いとハードスケジュールの中で、最後の最後まで本当によくが
んばったと思います。

また、このコンサートは本当に多くの人たちに支えられて実現しました。
EUジャパン・フェスト日本委員会の事務局の古木事務局長、長谷川さ
ん、引率で来られた志布志市役所の杉田さん、有村さん、やっちく松原
藩初代藩主の松原さん、伴奏の小野さん、今回同行できなかった志布
志の鹿島先生、EUジャパンの箱田さん。コンサートのプログラムを
オーガナイズしたサーニャ・キョウをはじめとしたコークのアーティス
ティック・チーム、リヴァプール・ミュージック・サービス、リヴァプール市、
リヴァプール・バイエニアルなどなど。

皆さんと素晴らしい思い出を共有できて幸せに思います。
この関係が、今後も継続していくことを願っています。
次はどこで開催されるのでしょうか?

国際青少年音楽祭の詳細:
 http://www.eu-japanfest.org/program/13/japan/music_festival_3.html 

EU・ジャパンフェスト日本委員会リヴァプールでの支援プロジェクト:
 http://www.eu-japanfest.org/program/16/liverpool_2008.html 

♪ ♪ ♪

その他の国際イベントを駆け足でお伝えします。

11月13日から3日間、《Live from Korea》と題した、FACTでの韓国映
画祭とNovas CUCでのパフォーマンス、プラスFACT、A Foundationで
開催中の韓国人作家による展覧会とStatic Galleryのサムジ・ストア&
ヌードル・バーとタイアップしたコリアン・フェスティバルが行われました。

これは、今年1月にロンドンにオープンしたばかりの<Korean Cultural
Centre(KCC)>と在英韓国大使館の主催で行われたイベントです。
この私は、14日にNovas CUCで行われたUniversal Taekwondo
Federationによるテコンドーのデモンストレーションとレセプションに
行ってきました。

テコンドーのデモンストレーションでは、古典的なテコンドーの基本の
型を見せるだけだろうと思ったら大違いで、途中からダンスミュージッ
クにガラリと変わり、衣装もシーンもストリートの喧嘩や映画007ばりの
セッティングやヒップホップにテコンドーの技を組み込んだ、現代風の
アレンジのパフォーマンスで会場は沸いて大盛況でした!
レセプションでは、韓国料理でもてなされ、韓国風海苔巻きとキムチで
舌鼓を打ちました。

Live from Korea:
 http://www.liverpool08.com/stage/events/details.asp?id=TMP-223451 

17日月曜日からは、《Romanian Connections》と題したルーマニアから
のフェスティバルがこちらもNovas CUCにてスタートしました。
どんなコネクションかといいますと、昨年の欧州文化首都がルーマニア
のシビウで、今年がリヴァプールというつながりです。
初日のレセプションでは、Paprika Balkanicusによるライブ。メンバーが
ルーマニア、セルビア、スロベニア出身なので、ひっくるめてバルカン
地方のジプシー音楽をハイパーに演奏し、観客をすっかり飲み込んで
踊らせていました。寒い冬の夜も乗り切れるようなホットなパフォーマン
スでした!
Paprika Balkanicusマイスペース: http://www.myspace.com/paprikabalkanicus 

18日火曜日は、シアターパフォーマンス『ザ・ボール』、20日木曜日に
は『ゴドーを待ちながら』の舞台がNovas CUCにて開催されました。

Romanian Connections:
 http://www.romanianculturalcentre.org.uk/connections/ 

♪ ♪ ♪

20日からは、北から南から。Novas CUCの地下階、Bluecoatその他会
場にて北欧の音楽、アート、デザインを紹介するNICE08、そしてNovas
CUCの3階にて東南アジアの大型絵画展Tenggaraが同時スタート。
しかも、同じ日にシアタースペースでは、ゴドーが、そして3階の別の部
屋ではもちろん日本の写真展も見れる(!)というマルチナショナルな
夕べでした。 
Tenggara展は、Novas とMatahatiグループの共同開催で、マレイシア、
インドネシア、フィリピンからこれまで東南アジア以外で紹介されること
のなかった現代美術をショーケースしています。
既に確立された作家から新鋭のアーティストまで、33名の絵画が展示
されています。
Tenggara: http://www.artinliverpool.com/index.php/maingalleries/cuc/1017-cuc-tanggara

この展覧会に合わせて、Novas CUCの5階には、マレイシア料理のレ
ストランもオープン! とどまるところを知らないこの巨大文化センター
からは目が離せません!  

< Novas CUC (Contemporary Urban Centre)>
  41 - 51 Greenland Street L1 0BS
  電話: 0151 708 3515
  ギャラリーオープン:水−土 11:00-18:00、日曜日11:00-16:00
        月曜休み。火曜日は要予約。
  ホームページ:
  http://www.novasscarman.org/contemporary-urban-centres/north-west/novas-galleries-cuc-north-west,60,IN.html

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
《マジカル・クリスマス・モーメンツ》
今年は、地元セレブやフットボーラーによる派手はクリスマス・ライトの
スイッチ・オンのイベントはありませんが、クリスマスまでの毎週木曜日
のシティーセンターではレイト・ナイト・ショッピングとリンクした夜の催し
物や、12月5日から21日までクリスマスマーケットが開催されます。
円高で、しかも12月からはイギリスでは消費税カットになるようですし、
旅行で来られる方には朗報ですね。
詳細はLiverpool08ウェブサイトから。
 http://www.liverpool08.com/streets/ChristmasEvents/index.asp 

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish144_photo.html ≫


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