January 13 2009, No.370
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン 〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜 ― 第148号 / Transition:リヴァプール2008→Future ― ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish148_photo.html ≫ 明けましておめでとうございます。 2009年もどうぞよろしくお願いいたします。 イギリスではウールワース、ウィタード、ウェッジウッドといったメジャー な会社までがまさかの破綻に陥り、失業者急増、悪化していく景気対 策に伴うこれまでにない金利引下げ、ポンド安、そしてイギリス以外で はイスラエルのガザ侵攻など、2009年は世界レベルで社会的にも政 治的にも波乱に満ちたスタートとなりました。 世の中は何かを根本的に変えていかなければならないと示唆している のでしょうか。 今年は、まずは何より平和で、健康で、安定した一年となることを願っ ています。 リヴァプールは2008年欧州文化首都を無事に終え、静かな年末年始 を迎えました。 年明けからは路面が凍るほどの寒い日が続いたことも手伝って、もの 寂しい感じがしていましたが、1月10日に行われたリヴァプールが「欧 州文化首都の年」から「環境の年」にハンドオーバーする公式イベント 《Transition》で少し、今年もまだまだ面白いかもしれないというワクワク 感が戻ってきました。 この日は《Transition》とタイアップで、ギャラリー、博物館、ショッピン グ・エリア、ストリートでは昼間から夜遅くまで様々なイベントが催されま した。 すべての会場に顔を出すことはできませんでしたが、どこも10月末の 《Long Night of the Biennial》をしのぐほどの盛況だったようです。文字 通り、街をあげてのお祭りとなりました。ウォーターフロントには、5万 7千人もの人々が詰め掛けたと聞いています。 5時ごろからピアヘッドに張り付いて、この日の立ち位置を決めました。 本当にギャンブルです。 というのは、特に一箇所のメイン・ステージがあるわけではなく、スク リーンも4つほど設置されていて、全体の眺め、花火の位置を考える と、居場所によって見え方も変わってきます。 考えた末、2010年オープン予定のMuseum of Liverpoolの建物に設置 されたスクリーンが見える、運河と川の間に決定。結果的に当たりな 場所でした。 ピアヘッドでは、新しく建設されたカナル・リンクに小さな灯篭が複数飾 られ、有名な3つの建物“スリー・グレーシス”もカラフルにライトアップ されました。 リヴァプール・サンバ・バンドによるドラミング・パフォーマンスとと共に、 灯篭で出来たパペットが練り歩き、'Liverpool Saga' の朗読が流れまし た。 Eight hundred different stories, eight hundred different songs; Eight hundred different cultures, eight hundred different tongues; Eight hundred different rhythms in eight hundred different streets: Eight hundred hundred different hearts all dancing to one beat.... これは2007年のリヴァプール市制800年を祝って書かれた800行の詩 文。 最初と最後のラインをリヴァプール3大詩人の一人そして元スキャフォ ルドのメンバーであるロジャー・マゴフが、そしてそれ以外は一般の 人々から送られた詩をまとめたものです。 この詩のフルバージョンは、BBCリヴァプールのホームページでご覧に なれます。 http://www.bbc.co.uk/liverpool/content/articles/2007/05/18/capital_culture_liverpool_saga_feature.shtml ドックン、ドックン、ドックンと心臓の鼓動が聞こえ、ピアヘッドに建設中 の新フェリーターミナルの建物の上から花火が上がります。 スクリーンには恐竜が歩き回るシーンからリヴァプールが2008年の欧 州文化首都に決定した瞬間までの映像が流れ、続いて昨年1月12日 にEchoアリーナで行われた《Liverpool - The Musical》からNo Fakin DJのミックスに合わせて2008年のハイライト・イベントの様子が写し出 されました。 セント・ジョージズ・ホール前の広場で行われたオープニング・イベント からアンフィールドで開催された《Liverpool Sound》、ブルーハーハ、 トール・シップ、La Machine、バイエニアルなどなど。 そしてリヴァプールからオーストリアのリンツ、リトアニアのヴィルニス へ欧州文化首都のタイトルが正式に受け継がれ、リヴァプールの「環 境の年」が始まります。 2008年のリヴァプールのキーワードのひとつともなったザ・ファームの 『オール・トゥゲザー・ナウ』、そしてロイヤル・リヴァプール・フィルの演 奏に合わせてビートルズの『ヒア・カムズ・ザ・サン』で観客は大合唱し、 マージー川から花火が上がります。 『フェリー・クロス・ザ・マージー』、『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダ イアモンズ』、『イマジン』、『ゼア・シー・ゴーズ』、『ライフ・オブ・ライ リー』、『リラックス』といった代表的なリヴァプールのヒットソングをバッ クに、最後のエコー&ザ・バニーメンの『ナッシング・ゴナ・ラスツ・フォ エヴァー』が止まると、花火の音だけが響き、大きくゆったりと夜空いっ ぱいに花火が花開きました。余韻の残る良い演出だったと思います。 旦那が撮った花火の映像がこちらからご覧になれます。 http://uk.youtube.com/watch?v=P7c_SBV7sFk 政治家やセレブリティー無しのこのイベントは、副題に書かれていると おり、 'The People's Celebration'。 人々が集まり、2008年を振り返って気持ちをひとつにして将来に向けて 歩き始める、そんな意図が込められていたのでしょうか。 《Transition》の終了した後、凍りそうな足を暖めるために日本食レスト ランEtsuで軽く腹ごしらえ(Etsuといえば、Liverpool.com誌の選ぶ2008 年レストラン・オブ・ザ・イヤーに堂々輝きました!)。 そしてストリートに繰り出しました。ショッピング・センターLiverpool One では、ブラジリアン・ドラムでお馴染みのBatalaが力強いビートで行進 し、パラダイス・ストリートではダンボールを使った不可思議なパフォー マンス。 大きな風船を追ってチャーチ・ストリートへ入ると絵を描く狼や、廃材を 使ってドラミングを楽しむ人々など。ただそこにいるだけでも気持ちが 高まりました。 その後は、ブルーコートのパフォーマンス・ルームで、スティーヴ・ピル グリムのライブを観ました。 ドラマーとしても引っ張り凧で、昨年はポール・ウェラーの世界ツアー・ メンバーとして過密なスケジュールをこなしていたスティーヴですが、シ ンガーとしても素晴らしいので、もっともっと活動してもらいたいです。 今回はまずは日本のシンガー・ソング・ライターAkeboshiとの共作『アウ ル・オン・ルーフ』をアコギ一本で歌い、その後徐々にコーラス、ダブル ベース、トランペット、ドラムが加わり、最終的に5ピースのバンド編成 でより厚みがあり、ダイナミックなパフォーマンスとなりました。 Steve Pilgrim Myspace: http://uk.myspace.com/stevepilgrim 当初は2〜3曲聴いて他の会場に移動する予定でしたが、あまりにも 良い雰囲気に包まれていたので、この日の晩はここで楽しみ締めくくり ました。。。 2008年のビッグ・イヤーを終えたリヴァプールは過渡期に入ります。 European Capital of Cultureの王冠は返還され、08マークも過去のも のとなりますが、欧州文化首都をきっかけにブレイクしたカルチャー・ パワーが末永く泉のように噴き続けてほしいものです! ♪ ♪ ♪ 【今週の告知】 1月25日(日)、恒例のチャイニーズ・ニュー・イヤーのお祭りがシティー センターにて行われます。今年もドラゴンや獅子が舞うストリート・パ レード(11:30から)、太極拳デモンストレーション、ワークショップ各種な どが行われます。詳細は、こちらのPDFから。 http://www.lcba.net/images/CNY_information_in_English.pdf それではまた! ミナコ・ジャクソン♪ ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish148_photo.html ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2009 Scouse House |