June 09 2009, No.385
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第157号 /
     DREAM in St Helens / Make Do and Mend - DIY in Liverpool ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish157_photo.html ≫

こんにちは。
前回紹介した《Hub Festival》の日から、20度を超える晴天が1週間続きまし
た。
この素晴らしい天候をフル活用しようと休みをとった友人がいるほど珍しいこと
だったのですが、この週末は何事もなかったように、いつもの肌寒く、グレーな
空に逆戻りです。

5月31日(日)、リヴァプール近郊セント・へレンズの炭鉱跡地Sutton Manor
にて、巨大なパブリック・アート<Dream>の完成を祝う式典が行われました。
元炭鉱夫によるブラスバンド、合唱団、メイ・クイーン(地元で選ばれた10代
の女の子が「五月の女王」となって、メイ・デイの行進の先頭を歩くという風習
があります)、セント・へレンズの市民、そしてこの彫刻の噂を聞きつけた市外
からの人々もが集い、彫刻のある丘の上までパレード行進しました。
この日は雲ひとつなく、26度を記録する暑さで、お祝いには相応しい佳い日と
なりました。

<Dream>は、高さ21mもある、夢をみている9歳の女の子の顔のオブジェです。
英テレビ局Channel 4の<The Big Art Project>の一環で、元炭鉱労働者が中心
となった地元市民と、スペイン人アーティストJuame Plensaがミーティングを
重ねてコンセプトを固め、セント・へレンズ・カウンシルがコミッションして
実現しました。
プロジェクト進行はLiverpool Biennialが担当。他にも、イギリス全土7ヶ所
でこうしたパブリックアートのプロジェクトが計画されましたが、すべてが実現
したわけではなく、しかもこのスケールで完成したのはセント・へレンズだけ
だったようです。

セント・へレンズは炭鉱とガラス産業で栄えた工業地帯で知られていましたが、
この炭鉱は1991年に閉山となり、翌年にはこの地域の炭鉱は完全に姿を消しま
した。
ガラス産業もかつてほどの輝かしさではありません。
低迷したこの町に誕生した希望と未来への願いがこめられたこのオブジェは、セ
ント・ヘレンズの人々の心をひとつにし、人々に帰属した真の意味での「パブ
リック・アート」だと思います。

Channel 4のテレビ番組<The Big Art Project>のなかで、構想段階の2005年か
ら完成までのドキュメンタリーが放送されたのを見ました。
<Dream>は、アーティストの単独アイディアだけで実現したわけではなかったよ
うです。当初アーティストが提案したオブジェは、巨大な炭鉱用の安全灯でした。
しかし、元炭鉱労働者のGary Conleyが語ったのは、「過去の遺産を反映するだ
けでなく、未来に向けた作品を希望している」。

死んでしまった炭鉱に、平凡な炭鉱用ランプの彫刻では何のひねりもないし、し
かも過去に縛られてしまう。アートが公共にインターヴェンション(介入)する
ことで、限界を未来の方向に向かって押し広げるような作品を、というヴィジョ
ンをはっきりと描いていたGary Conleyさんのアーティスティックな発想に、思
わず拍手を送ってしまいました!

ダメだしの後、こうした意見を汲み上げて出来上がったプロポーザルが<Dream>
です。
これには元炭鉱労働者グループも、「本当にブッ飛んだ」とこの企画に大賛同し、
市議会も全会一致で計画許可を承認して、建設のゴーサインが出たとのことです。

お披露目の式典は<Dream>の彫刻の下で、炭鉱労働者代表のGary Conleyによる
進行で行われました。
アーティストのJaume Plensa、元炭鉱労働者で現在は市議会リーダーのBrian
Spencerその他関係者、アーティストによるスピーチの後、元炭鉱夫のBrian
Salkeldによる詩の朗読、地元の合唱団Sing Out Choirが'Dream Dream Dream'
を合唱。
最後に進行役のGary Cornleyが、「そしてついに、夢が現実となりました」と式
を締めくくりました。

丘の天辺に聳え立つ彫刻には、純粋に圧倒されるものがあります。空に映し出さ
れたホログラムのようにも見え、見る角度によって異なる表情を見せます。

式典が終わった帰りがけに、<Dream>の模型を持ちながら歩いている男性がいた
ので話かけてみると、この彫刻の建設を担当したEvans ConcreteのGarry
McBrideでした。
素材はコンクリートとスパニッシュ・ドロマイト(白雲石)で、向こう120年間
耐久し、変色することなく、この白さはキープされるとのことです。
この日のような青空の日よりも、曇り空のほうがこのオブジェの輝きが更に増す
んだよ、とも語ってくれました。
まさに暗闇を照らす灯台のようです。

リヴァプールLime Street駅から、電車で20分のRainhill、または25分のLea
Greenで下車。そこからSutton Manorまでバスが運行しています。
曜日と時間によってはバスの本数が非常に限られていますので、マージートラベ
ル( http://www.merseytravel.gov.uk/ )もしくは、Travel Line
( http://nw.aimwebsites.co.uk/ )などで時刻やルートを下調べしてからお出
かけください。

 <Dream>
  Sutton Manor Colliery Site
  Sutton Woodland, Jubits Lane, St.Helens, Merseyside WA9 4BB
  電話: 01744 676731
  ホームページ: http://www.dreamsthelens.com/ 
          http://www.bigartsthelens.com/ 

♪ ♪ ♪

一方、リヴァプールでは、今年のテーマが「環境年」であること、そして6月5
日が世界環境デーだったこともあり、「環境」、「リサイクル」、「DIY」のキーワー
ドが顕著に見られた2週間でした。
また、現在の不景気を反映してか、戦中戦後のスローガン'Make do and mend'
(=「あるものでまかない、繕え」)が絶妙にマッチして、リサイクル・DIYの
イベントやワークショップが行われました。

5月29日(金)は、Liverpool Oneのオープン一周年記念の催しが華やかに行
われる一方で、1マイル離れたA Foundationでは、《Collage(n) Party》が開催
されました。
「コラーゲン・パーティー」という名前が笑えますが、来客者が机の上に山盛り
になった新聞や雑誌、壁紙やじゅうたんなどを切り抜いて貼って、思い思いのコ
ラージュを作るというDIYイベント。

参加者は、黙々と切り貼りを繰り返す人、雑誌を読みふける人など様々。私と旦
那は、あくまでも参加者の制作の様子を傍観するつもりでしたが、ついつい乗せ
られて制作に参加してしまいました。
木工用ボンドで手がべたべたになりながらも、結構はまります。

締めくくりには、アーティストで、ロンドンのゴールド・スミス・カレッジで教
鞭をとるJesse Ashがリヴァプール入りして、独断と偏見で優秀な作品を選んで
授賞式を行いました。
金賞を受賞者したLouise Lynnさんは、18歳のアート・ファウンデーション・
コースの学生さんでした。
彼女のホームページはこちらです。
http://www.louiselynn.com/post/115496593/taxed-collage-n-party

Collage(n) Party at A Foundation:
http://www.afoundation.org.uk/afoundation/news.php

♪ ♪ ♪

5月30日(土)には、FACTにて《Sustainable Fashion Show》が開催されまし
た。
リサイクル素材を駆使した地元のアーティストやデザイナーがファッション・
ショー。
「私は昔カーテンでした」とか「私は不要な服でした」などといったラベルを頭
に貼ったモデルさんがキャットウォークを歩き、その他、古いデニムを細く切っ
てつなげ合せたワンピースや、ゴミ袋や新聞紙でできたドレスなども披露されま
した。
ファッション・ショーの様子は、FACT TVでご覧になれます。
FACT TV: http://www.fact.tv/videos/watch/586

♪ ♪ ♪

6月3日から7日にかけてSt Luke's Churchでは、アーティスト・グループ
Shrew Collectiveによる《Make Do and Mend》イベントが行われました。
来客者が祈りの旗を作り、平和のメッセージを書いたり、1940年代のカーテン
でバッグを作ったりしながら、当時の精神を呼び戻し現代社会をより良くしてい
こうという、ローキーですがピースフルで、説得力のある催しものでした。

St Luke's Churchマイスペース: http://www.myspace.com/lunchatstlukes

♪ ♪ ♪

6月6日(土)には、毎年恒例のLord Mayor's Pageant(市長就任を祝うパレー
ド。今年の市長は、元市議会リーダーのMike Storeyです)が行われましたが、
残念ながら見逃がしてしまいました。
今年は「エコ」をテーマに、すべて人力の山車になると聞いていたのですが、私
たちが到着したときには既に終わっていました。
寒くて雨の降る悪天候の中、どうやら急ぎ足で市内を駆け去ってしまったようで
す。
残念でした。でも周辺イベントとして、市内あちこちで展開されたリサイクル素
材を使ったワーク・ショップを楽しむことができました。
リヴァプール市のYear of The Environmentホームページに、環境に関する
ニュースやイベント情報が掲載されています。ご参考まで。
http://www.ourcityourplanet.co.uk/

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
前回号で新生ピア・ヘッドをお伝えしましたが、関連ニュースを2つほど。

その1;新しくできたターミナルビルの中に、ビートルズ博物館Beatles Story
が、ショップに続いて展示スペースを6月17日にオープンします。
第一弾はなんと《White Feather: The Spirit of Lennon》。
前妻のCynthiaと長男Julian Lennonの所有する、John Lennonにまつわる未公
開メモラビリアや写真とともに、Cynthia とJulianとのインタビューを通じて
Lennon家の記憶、歴史をパーソナルに、そしてエモーショナルに綴る展覧会と
なります。
詳細はこちらから。 http://www.whitefeatherexhibition.com/ 

その2;この夏、ウォーター・フロントが無料で楽しめるシアター、ギャラリー、
そしてシネマとなります。
Culture Liverpool(リヴァプール市の文化機関)とWalk The Plankが共同プロ
デュースの《On The Waterfront》プログラムが7月末から9月末にかけて展開
されます。詳細はこちらから。

<Music on the Waterfront>(7月31日〜8月2日)
http://www.visitliverpool.com/site/whats-on/music-on-the-waterfront-p238001

<Art on the Waterfront>(8月14日〜16日)
http://www.visitliverpool.com/site/whats-on/art-on-the-waterfront-p238071

<Film on the Waterfront>(9月25日〜27日)
http://www.visitliverpool.com/site/whats-on/film-on-the-waterfront-p238041

それではまた再来週!

ミナコ・ジャクソン♪

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