November 17 2009, No.398
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ――――――――――――――――――――――――――――――――― NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン 〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜 ― 第167号 / 世界で最古&人々のためのフットボール・クラブ&公園 ― ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish167_photo.html ≫ こんにちは。 11月も後半に入り、リヴァプールのシティーセンターでは、クリスマス・デコ レーションの準備が着々と進んでいます。後はスイッチオンを待つのみです。 今号では、世界で最古の「ピープルズ」フットボール・クラブ(のうちの一つ) &公園についてお伝えしたいと思います。 まずは、現在リヴァプールのCentral Library(中央図書館)のPicton Roomに て開催されている《Everlution: The Everton Collection》という展覧会から。 エヴァートンFCは、1878年にSt Domingo Football Clubというアマチュア・フッ トボールチームとして設立され、メンバーは地元のメソディスト教会に所属する 若者で構成されていました。 次第に教区外からチームに参加を希望する選手を採用するようになったため、翌 年にはエヴァートン(Everton Football Club)に改名。 1885年にFootball Association(FA)が選手のプロ化を公認したことを受けて、 エヴァートンFCもプロのフットボール・チームとなります。 1888年に世界初のフットボール・リーグ(The Football League)が創設された 際には、12のスターティング・チームのうちの一つとなりました。 当時マージーサイドで実力ナンバーワンだったチームは、実はエヴァートンでは なくブートルだったため、エヴァートンのリーグ入りは疑問視されていましたが、 エヴァートンがアンフィールド(現リヴァプール・フットボール・クラブのスタ ジアムのあるまさにその場所。マップが展示されています)に専用のスタジアム を構えていたことから、FAとしては定期的な試合が開催できること、観客動員数 や興行収益といった利点を見込んで、エヴァートンに歴史的なリーグ入りへの切 符が渡ったといわれています。 初年度の実績は芳しくなかったものの、2年目には第2位へ浮上、その翌年には リーグ創設から連続して2シーズンを冠したプレストン・ノース・エンドFCを下 し、優勝。ますます実力を上げていきました。。。 この展覧会では、18000点を超えるメモラビリアのコレクションの中から100以上 のアイテムが展示されています。 例を挙げると、数々のトロフィー、1880年代のマッチ・デー・プログラム(最古 のマンUのプログラムを含む)やチケット、29冊に及ぶ1887年から1964年までの 議事録、アンフィールドからグディソン・パークへの移転に至るまでの詳細が記 録された書類、イングランドのフットボール史上最多のゴールを決めたDixie Deanのメダル、Alan Ballのブーツ、Sandy Brownの着用していたユニフォーム、 サポーターズ・グッズ(応援グッズからティーポットまで)、1895年に暴かれた 「ターンスタイル・スキャンダル」(スタッフが回転式ゲートのカウンターをご まかして、実際の入場数よりも少ない収益を報告し、その差額を騙し取っていた という事件)当時のターンスタイルの現物などを肉眼で見ることができます。 また、選手のチェンジング・ルームやスタジアムの客席スタンドを模した映像 コーナーが設置されていて、臨場感を醸し出しています。 どこのフットボール・チームにも、それぞれメモラビリアが所蔵されていますが、 エヴァートンFCのコレクションの凄いところは、膨大なアイテム数だけでなく、 歴史的意義の高さと幅広い網羅性で、エヴァートンFCのみならず、イングランド のフットボールが進化していった経緯を追う手掛かりとなる貴重なお宝資料です。 これらのコレクションは、The Everton Collection Charitable Trustによって、 昨年初頭にLiverpool Record Office(文書館)へ持ち込まれました。 Heritage Lottery Fund(文化遺産宝くじ基金)からの助成金を得て、すべての アイテムを目録化し、最終的にはデジタルアーカイブ化するという3年がかりの 大プロジェクトです。 アーカイブ化されたメモラビリアは、一般の人々がオンライン上で自由に閲覧で きるようになります。 既に多くのアイテムがホームページにアップされていますので、必見です。 The Everton Collection: http://www.evertoncollection.org.uk この展覧会は、2010年春まで続きます。入場無料。 <Liverpool Central Library (Picton Room, 2nd Floor)> William Brown Street, Liverpool L3 8EW オープン:月曜日−木曜日 午前9.00〜午後6.00 土曜日 午前9.00〜午後5.00、日曜日 正午12時〜午後4.00 展覧会の詳細: http://www.evertoncollection.org.uk/article?id=ART19545 この中央図書館は、来年から大改修工事が予定されています。今の姿を見納めが てら是非寄ってみてください。 ♪ ♪ ♪ Birkenhead Park(バーケンヘッド・パーク)は、世界で最初の公(おおやけ) のガーデン=「公園」です。 その昔、庭園は裕福な慈善家によって寄付するケースが主でしたが、この公園は、 国会の承認を得て公的資金が投入されて土地を購入し、造られた世界最初の 「人々のための庭園」です。Sir Joseph Paxtonによって設計され、1843年から 1847年にかけて造られました。 水はけの悪い湿地だったこの土地に、建築と造園と計画的な植林を組み合わせる というアイディアは、当時としては野心的なプロジェクトだったことでしょう。 土を掘ったところを湖にし、掘り出した土を湖の周りに盛り上げて丘にすること で周辺のオープンスペースと湖を隔てています。 公園の周囲を走る道路の端に、当時としては画期的だった配水管を設置すること で、水はけを良くする整備もなされました。 オープンスペースには少数本の木がランダムに植樹され、公園の外周には特定の 場所に雑木林が植えられています。 都市環境において田園風景を再現したこのような風景式庭園は当時としては珍し く、1850年に、後にニューヨークのセントラル・パークを手掛けたアメリカ人設 計士のF.L. Olmstedがヨーロッパ視察の一環でここを訪れた際に大変感銘を受け、 この公園の特長をセントラル・パークに取り込んだということで有名です。 グランド・エントランスと呼ばれる門を入ると、突き当たりには、この公園のプ ロジェクトを推進した人物を称えるジャクソン・モニュメントが建っています。 その裏には、ロウワー・レイクと呼ばれる曲がりくねった湖があり、1847年に建 てられたボート・ハウス、スイス・ブリッジをはじめとした3つの橋が掛かって いて、公園にいながらにして世界を旅した気分になれるというコンセプトのもと に造られたとのこと。 また、公園内には6つのロッジ、クリケット・クラブ、ラグビー・クラブ、フッ トボール・ピッチ、ボウリング・グリーン、テニスコート、子供用の遊び場と いった建造物や施設があります。 今世紀に入ってこちらもHeritage Lottery Fundからの助成金により、公園内の 建造物は大掛かりな修復・改築がなされ、2006年には新しいパヴィリオンが建設 され、カフェとギャラリーなどで散歩の後に寛げるスペースもオープンしました。 ところどころモダンな建物もありますが、全体的な雰囲気としては、19世紀の古 きよきイギリスの庭園です。 ベンチやゴミ箱さえも趣があって、タイムスリップさせるものがあります。また、 アヒルやガチョウ、そしてリスがひょっこり姿を現していて、可愛らしかったで す。 肌寒い時期ですが、ところどころ紅葉が綺麗で、より色鮮やかな風景を楽しむこ とができました。 公園内のマップはこちらから(PDFファイル): http://www.wirral.gov.uk/LGCL/100006/200029/749/A3_map_annotated.pdf <Birkenhead Park> 住所:(The Grand Gate) Park Road North, Birkenhead CH41 4HD アクセス: (電車)Liverpool Central駅またはJames Street駅より、Mersey Railの Wirral Lineで、Birkenhead Park Station下車。 (バス)Birkenhead Central Bus Stationからバス437番で、Birkenhead Park下車。バスは15分に1本出ています。 Birkenhead Park: http://www.wirral.gov.uk/lgcl/100006/200073/670/content_0001109.html Friends of Birkenhead Park: http://www.friendsofbirkenheadpark.org.uk/ この公園は、1977年に保護地域として指定された後、1995年には政府機関イング リッシュ・ヘリテージにより、第一級景観保護地域として指定されました。 また公園の周辺のOxton Villageも保護地域として指定されてから今年で30周年 を迎えますが、古い邸宅や建造物が残されていて、こちらも興味深い散策ルート です。 Oxton Society: http://oxtonsociety.org.uk/ ♪ ♪ ♪ 11月22日から1月10日まで、リヴァプールの街のあちこちに、様々な姿にペイン トされたペンギンが出現します。 昨年のGo Superlambananasで大成功を収めたWild in Artが主催するペンギンの ウィンター・トレイル《Go Penguins》です。 私と旦那で運営しているArt in Liverpoolのスペシャル・ペンギンもホープ・ス トリートに現れますので乞うご期待。 Go Penguins: http://www.gopenguins.co.uk/site/ また、今年の冬のもう一つの目玉は、ショッピング・センターLiverpool Oneの 観覧車。かなり夜遅くまで運行するようです。こちらも楽しみです! http://www.liverpoolonewheel.co.uk/ それではまた再来週! ミナコ・ジャクソン♪ ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish167_photo.html ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2009 Scouse House |