March 09 2010, No.409
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第173号 / Change of the Seasons ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish173_photo.html ≫

3月に入り、寒さは続いてますが、一気に春めいてきました。
季節にあわせて、リヴァプールの街もいろんな意味で節目を迎えているような感
じも伺われます。

♪ ♪ ♪

まずは、毎年恒例のチャイニーズ・ニュー・イヤーから。
春節とも呼ばれる旧正月、今年は2月14日でしたが、リヴァプールでのお祝い行
事は、1週間遅れの2月21日に行われました。
年々規模が大きくなっているこのお祭り。今年も恒例の龍や獅子の舞いや爆竹、
太極拳、書のデモンストレーションなどが行われました。

リヴァプールの中華街のチャイニーズアーチは、中国本土以外のチャイニーズ
アーチととしては最大を誇り、200匹もの龍の彫刻が施されているとのこと。
そのうち188匹は普通の龍ですが、12匹は身ごもった雌の龍で、これは上海とリ
ヴァプールの相互の繁栄を願ったシンボルなんだそうです。
その願いのとおり、建設から10年経った今もこれまで以上に良好な友好関係が続
いています。

今年2010年は、リヴァプールと上海の姉妹都市締結とチャイナタウンの門の完成
から10年記念を迎える年です。
その記念の年に上海で開催される国際博覧会で、リヴァプールはパヴィリオンを
構えることになっていて、リヴァプールでも徐々に上海フィーバーがじりじりと
盛り上がりつつあります。

5月から10月まで開かれる上海国際博覧会ですが、リヴァプール・パヴィリオン
では、マルチメディアを駆使して、リヴァプールの暮らし、文化、スポーツ、歴
史、ビジネスといったテーマに重点を置いたつくりとなるようです。

中でも目玉としては、実物大のキャヴァーンクラブがパヴィリオン内に復元され、
去年発表された<Beatles Rock Band>のゲームを通じてキャヴァーンでのパフォー
マンスを疑似体験できるというもの。
もちろんフットボールのコーナーもあり、「バーチャルリアリティーでマージー
サイドのゴールキーパーを相手に勝負」といった参加型の展示も設けられるとの
ことです。

上海でどんなふうにミニ・リヴァプールが繰り広げられるのかが楽しみですね。
どなたか行かれる方がいらっしゃれば是非お話を伺いたいです。

そのリヴァプール・パヴィリオンの公式トラベルパートナー<KLM>が、リヴァプー
ル発着のフライトを5月から1日4便に増発するとの発表があったばかりです。
リヴァプールからアジアや他の目的地へのアクセスが便利になるのは嬉しいこと
ですね。

Liverpool Shanghai 2010: http://www.liverpoolshanghai2010.com/

♪ ♪ ♪

チャイナタウンの門から道を渡ってすぐの角にある、ネコのようなネズミの壁画
が描かれた廃屋がオークションにかけられ、予想価格7〜8万ポンドを大きく上
回り、11万4000ポンドで落札されました。

このジョージアン様式の建物はかつてパブでした。築200年の歴史があり、重要
建築物グレードIIに指定されていますが、長年廃墟となっていました。
この壁画は、2004年の《Liverpool Biennial》がかの有名なグラフィティ・アー
ティストのバンクシーにコミッションした作品です。

この建物が競り落とされて間もなく、新しいオーナーがひょっとしてこの壁画を
塗りつぶしてしまうかもしれない、という噂が立ちました。
単に立地条件と値段が良いという理由でこの建物を購入しただけで、モダンアー
トには興味がないとのこと。

この壁画は、英国におけるバンクシーの壁画の中でも最も大規模な作品の一つと
して知られています。
バンクシーの壁画を保存すべきだと声高々にキャンペーンを立ち上げる人々がい
る一方で、Liverpool BiennialのダイレクターでCEOのLewis Biggsのコメントは、
「われわれのコミッションするアートは一時的なものほとんどですし、都市に変
化はつきものです。ポジティブな変化であれば受け入れるべきでしょう。アート
の真の価値は人々の記憶に存在します。バンクシーはどう思っているのでしょう
か」と意外に冷静でした。

この建物がアパートメントになることはどうやらほぼ確実のようです。今後どう
なるのかが気になります。。。

Banksy: http://www.banksy.co.uk/

♪ ♪ ♪

2月26日からNational Conservation Centreにて、写真展《Lewis's 5th Floor:
A Department Story》がスタートしました。
若手の写真家Stephen Kingがリヴァプールの老舗デパートのLewis's(ルイシズ)
の5階の様子を撮影したものです。

古い写真を見ているかのようにも思えますが、これらはすべて最近撮影された写
真だそうです。

ルイシズの5階フロアにはかつて美容院、カフェテリア、レストランがありまし
たが、1980年代にこのフロアは閉鎖され、倉庫として使われるようになりました。
今でも閉鎖当時から時間が止まったように、内装はそのままで、1950年代風の壁
紙や家具、美容院の設備などが残されているとのこと。

レトロでポップな色、柄、形が幾何学的に捉えられた写真が展示スペースに配置
され、ところどころにタイルの柄を壁紙にして使用したりしていて、全体がグラ
フィックな感じです。
また、この場所にかつての従業員を招待して撮影し、写真の傍らには彼らのルイ
シズへの思い出が引用されています。

何とこの展覧会のオープンした週の頭に、皮肉にもルイシズの閉鎖が発表となり
ました。
この展覧会にいたるまでに着想から2年間かかったとのことですので、まさかこ
のタイミングでルイシズが閉鎖になるとは誰も想像もしていませんでした。

1856年に開店したこのデパートは、これまでも第二次世界大戦や世界恐慌、その
後も幾度かの経営危機を乗り越えてきましたが、今回の打撃は残念ながら決定的
なようです。
セントラル・ステーション付近の新しい大掛かりな都市再開発<Central Village
( http://www.merepark.co.uk ) >がいよいよ着工となるのに際し、ルイシズがこ
れまで通りの営業を続けることは不可能であると判断され、6月に閉鎖すること
に決定したとのことです。

Central Villageは、ショップ、レストラン、シネマ、ホテル、住宅、オフィス
などで構成され、完成の暁には1000名の雇用が発生する見込みです。
一方、ルイシズの閉鎖により、300名が職を失います。それだけでなく、市民に
とって馴染みや思い出の深いデパートですから、センチメンタルバリューは半端
ではありません。
確かに、ここ数年のルイシズの低迷ぶりは見ていて痛々しいものがありましたが、
なんらかの形でまた新たな息を吹き返すことを願っています。

この展覧会は、8月30日まで。
また、ルイシズのデパートのショーウィンドウにも写真が展示されています。

National Conservation Centre:
http://www.liverpoolmuseums.org.uk/conservation/exhibitions/lewiss/

Stephen King: http://www.stephenkingphotography.co.uk/

Lewis's Fifth Floor Blog: http://www.lewissfifthfloor.com/

♪ ♪ ♪

お隣のマンチェスターでも一つ大きな節目がありました。
Urbisが6年間の活動に幕を閉じました。最終日の2月27日に行ってきました。
最後の展覧会はその名も《Urbis has left the building》。6年間に行われた
展覧会の「ベスト・オブ」です。
アーバン・カルチャーをテーマにしたこのスペースは、音楽、アート、デザイン、
ポップカルチャー、環境などを網羅してきましたが、どれも質の高い面白いもの
が多かっただけに、非常に残念です。

来年の春・夏からは、現在プレストンに所在する国立フットボール博物館がこの
建物で新規オープンすることになっています。

Urbis: http://www.urbis.org.uk/
(今後、Urbisのアーカイブは www.urbisarchive.org に移される予定です)

National Football Museum: http://www.nationalfootballmuseum.com/

それではまた再来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish173_photo.html ≫


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