March 29 2011, No.453
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第193号 / Liverpool For Japan ―

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish193_photo.html ≫

東日本大震災の犠牲になられた方々への御冥福を心からお祈りいたします。
そして被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます。一日も早い被災地の復興
と、笑顔と平穏な日々が戻ることを願う気持ちでいっぱいです。

3月11日の英国時間の朝、携帯電話には友人達からテキストメッセージが数件
入っていて、慌ててパソコンを立ち上げ、テレビをつけて日本で大震災が起こっ
たことを知りました。
実家からは、電話は通じないけれども無事だというメールが入りましたが、その
実態が明らかになるにつれて、この震災に対するショッ ク、恐しさ、不安、悲し
み、案ずる気持ちと、祈る思い、遠くにいることの無力さと歯がゆさなどが入り
混じる一方で、リヴァプールの友人・知人から私の家族や友人や、被災者の方々
を思う本当に温かいメッセージをもらっては、また泣いて、の連続でした。

ニュースやツイッターなどを通じて、この厳しい状況下で冷静に秩序を保ちなが
ら、あらゆるレベルで地域のために、復興のためにがんばっている母国の様子を
知り、こんな遠くにいる自分に一体何ができるのかと、考えさせらえました。ブ
リティッシュ・レッド・クロスに義援金を寄付しても何か足りない、何かしな
きゃと気持ちばかりが先走りします。

それは私だけではありません、他の邦人もみんな同じ気持ちです。私の頭の中は
震災後一週間は完全に日本時間で、リヴァプール内の情報を自動的にシャットア
ウトしていたようで気づかなかったのですが、リヴァプールでも日本の犠牲者を
悼む行事や、様々なチャリティイベントが企画されていることに徐々に気がつき
はじめました。

リヴァプール市のタウンホールでは、3月14日から19日まで追悼記帳所が設置
されていました。私は18日になって記帳に行ったのですが、私達の前にいた地
元のご夫婦が私が日本人であることに気づくと、「大変なことになったしまった
わね。何と言う人類の悲劇なの」と涙ぐみました。
そこでハッとさせられました。世界の反対側のよその国で起こった出来事を可哀
想にと思うのではなく、これは人類すべてが共有する悲しみであるということ。
それは、追悼帳に書かれたメッセージの数々にも見られました。哀悼の意と希望
に向って一緒に歩いていこうという気持ち。まさに<You'll Never Walk Alone>
です。

この曲がこんなにも心に大きく響いたことはありませんでした。それまでも聞く
だけでグッとくるものはありましたが、今回は本当に特別です。
また私の親戚もラジオで今回の被災に英国リヴァプールのサッカーチームから
<YNWA>のメッセージが届いたと聞いて感動したという話から始まって、今やフッ
トボールに疎い私の家族の間でもすっかりモットーになっています。

大聖堂でも25日に<Players for Japan(日本への祈り)>という日が設けられ、
ここでも追悼記帳所が設けられていました。
この日の後も、暫くは記帳を受け付けているようです。

Liverpool John Mooresでは、大学学生達がいち早く様々な募金運動やイベント
を展開し、地元の音楽シーンではバンドが集まってチャリティ・ギグの開催を発
表したり、ほかにもリヴァプールの人達や在英邦人の人達が、日本を支援するた
めの様々なイベントの準備を進めているということが耳に入って来ました。
そして私が知っている小さな交友関係の輪の外にも、地道な募金活動やイベント
に取り組んでいる人達もたくさんいるんだと思います。

自分にできること。
自分のいる環境だと、アート関係でなにかイベントができるかもしれないとまず
は思いました。周りからも何かするなら是非協力したいと言ってくれるメッセー
ジもたくさん頂いてました。
でもツイッターで読んだ、ゴッサンという方の「復興への手助けは早押しクイズ
ではないと思います」という言葉が異常に心に焼きついていて、たとえ単発のイ
ベントに注力しても、それが終わったらおしまいというのもどうかと。いずれ何
かやるかもしれませんが、今ほかに何かやることがあるような気がしました。

イギリスでは日に日に日本のニュースが入りにくくなっています。思い返せば、
ニュージーランドやオーストラリアで起こった天災もつい最近起こったことであ
るにも関わらず、このところほとんど聞くことはありません。
今回の日本での震災で、復興への長い道のりは今から始まるのだと実感し、それ
なら、長期的に取り組めて、風化していくことを少しでもストップできることは
何か、と思ったときに、<Liverpool for Japan>のホームページのアイディアが
浮かびました。

ベースには、旦那と私でやってる<Artinliverpool>と似ているのですが、いろい
ろな人達がそれぞれの発想で日本のために行っている募金活動やイベントを私達
ももっと知りたいし、そうした活動のお手伝いをしたい、そしてひょっとしてそ
れを発信することで、またそこから新しい活動に繋がっていくかもしれない、と
いうのが理想です。
どこまでできるか確信などありませんし、自分が直接収益を上げているわけでも
ないし、こんなことやって役に立つのかと考えこんでしまうことも毎日のように
ありますが、でもやってみないと分からないですよね(と自分に言い聞かせてみ
る)。
少しずつですがポジティブなコメントも頂き、チャリティイベントのために何か
を提供したいという人や、手伝いをしたいという人からのメッセージも入って来
つつありますので、できることからやっていきます。

いくつかイベントに参加しましたが、それについてはまた改めてレポートしたい
と思います。

リヴァプールで、日本と共に頑張って、それぞれの形でアクションを起こしてい
る人々の情熱が伝わりますように。
Liverpool for Japan: http://www.liverpoolforjapan.com

そして、ホープストリート地区から母国の日本へ、希望を込めて。

ミナコ・ジャクソン

 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish193_photo.html ≫


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