February 28 2006, No.240
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第42回  「スプリング、スプリング!」 ― 

こんにちは!
今週もいろいろありました。まずは月曜日から。
ウォーカー美術館で、シャンプーのキャップとワイヤーでつくる手動の
ロボット作りのワークショップがありました。
これは、現在行われている、Conrad Shawcross のメカニカルな特別
展にちなんだものです。満員御礼で、大人が入り込む余地が皆無だっ
たのが残念でしたが楽しそうでした。
このワークショップの先生は Mike Badger さん。なんと元ラーズのメン
バーだった人で、今でも音楽活動をしています。音源や作品を是非
チェックしてみて下さい!
http://www.mikebadger.co.uk


水曜日、アーティストの Tommy McHugh さんからご招待されていたの
で、バーケンヘッドのご自宅兼アトリエにお邪魔しました。
トミーさんは、2001年に脳卒中で入院、手術を受けて退院後、突然創
造欲に駆り立てられるようになり、しかも人格まで180度変わってしまっ
たという不思議な経験をもつ爆発系アーティストです。
このようなケースは世界でも稀とのことで、メディアや医学界でもとりあ
げられています。昨年の10月には日本からもメディア・チームがやって
きて、取材、撮影が行われたそうです。
DVDが出来上がったら見せてくれるそうなので、そのときにはまたお知
らせしますね。

このトミーさん、脳卒中で倒れる前は、芸術などまったく無縁の生活で、
青年期は犯罪やドラッグに手を染めていた時期もあったそうです。
20代からは建設業に従事していました。手や腕のあちこちの入れ墨や
喧嘩でぼこぼこになったこぶしなどを見せてもらいましたが、今のにこ
やかでおだやかなトミーさんからはまったく想像がつきません。

クリエイティブ・パワーのはけ口を見つけるかのように、部屋、階段の
壁には絵画がダイナミックに描かれ、キッチンは彫刻用の素材や道具
であふれています。
教会の裏の墓地が見える2階の部屋 には、ろうやワイヤー、メタルな
どで作られたオブジェで埋め尽くされています。来る日も来る日も何時
間も絵を描き、彫刻、オブジェを作り、詩を書く日々を送っています。

トミーさんの作品には、多面性が多く含まれていて、ひとつの絵画もし
くは彫刻には、見ればみるほどさまざまな顔や動物や形状が浮かびあ
がってきます。
現在、ロドニー・ストリートの Museum MAN で個展、そしてボールド・ス
トリートから一本はいったところにある Egg Cafe での "ED" という野郎
のみのグループ展に出展しています。

写真は、エッグ・カフェのギャラリー Headspace の主催者 Jo
Derbyshire さんとアーティスト Tommy McHugh さんです。
アーティスト情報はこちらまで。
http://artinliverpool.com/tommymchugh/


木曜日は、"Pubs in Time" に選ばれたパブ、ジャカランダにて、記念プ
ラークのお披露目会がありました。
これはスカウスハウスのニュースでも取り上げられましたね。London
School of Economics が Campaign for Real Ale の協賛を得て、歴史
的に重要なパブに表彰するというもの。全国100ヵ所のパブの選定を
目指しているそうです。

LSE の Simon Davies 氏によると、
「リヴァプールから少なくともあと2,3ヶ所はランクインするのは間違い
ないよ」
とのこと。そう言って早速彼は、
「この後はせっかくだから他のパブを数軒見てくるんだ」
と意気込んでいました。

セレモニーには、ビートルズの最初のマネージャーで、ジャカランダの
オーナーだった Allan Williams 氏とご家族の皆さんも出席していました。
Allan 氏は、「ジャカランダは当初コーヒーショップとしてスタートし、コー
ヒーやペプシなどを出してました。コカコーラよりもペプシのほうが安
かったからね(笑)。ここは、私がビートルズのマネージャーをしていた
時のベースとなった場所です。今でもジャカランダという名前が残って
いることを本当に嬉しく思っています」と言っていました。

プラークは、地下の小さなステージのある壁に飾られています。是非
見に行ってみてください。


金曜日には、Tate Liverpool にて、"Noise Festival" のオープン・セレ
モニーが行われました。
オーストラリアとシンガポールで大成功を収めたこのイベントは、今回
北西イングランドをベースに、イギリス全土の25歳以下の若い才能を
紹介するアート&メディア・フェスティバルです。
参加者はオンライン上でアート、デザイン、文芸、建築、音楽、ファッ
ションなどの作品を登録し、ニューオーダーのアルバム・ジャケットのデ
ザインを手がけた Peter Saville(この日は欠席でした。残念!)、アー
ティスト Stella Vine (写真)、ファッションデザイナー Eley Kishimoto 、
リヴァプール生まれのニューメディア・テクノロジスト Daniel Brown な
ど、各界の名高いエキスパートによる審査を受け、選ばれた作品が、
10月のフェスティバルにてショーケースされます。

このパーティーでは、ビートとメロディーラインを同時に奏でてしまう マ
ルチ・ボーカリスト(人力ドラムマシーン?!)の Killa Kela と、テレビ番組
"X Factor" に出演していた、Angel のパフォーマンスも披露されまし
た。
ここから次のクリエーターが生まれるのが楽しみですね。
http://www.noisefestival.com/


週末は、ロンドンから来客があって天気もすこぶるよかったので、久し
ぶりにクロスビー・ビーチに行ってきました。
クロスビー・ビーチといえば、第19号でお伝えした、Antony Gormley 作
の100体の裸像です。ちょっと肌寒かったのでドレスアップしてあげまし
た。
リヴァプールも少しずつ日が伸びて、花屋さんではラッパ水仙が見られ
るようになりました。春ももうすぐです。

それではまた来週!

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish42_photo.htm )


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