March 28 2006, No.244
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第45回  「ホイレイク→ライムライト→ブラケット・ディス!」 ― 

こんにちは。
イギリスは日曜日から夏時間になり、時計が一時間進みました。
気温もぐっと温暖になり、ラッパ水仙の黄色が鮮やかになってきたリ
ヴァプールです。
日本は今年の桜の開花が例年より早いとききましたが、お花見などで
盛り上がっているのでしょうか??? とにかくいい季節がやってきま
したね。

日本から今、スミレちゃんという、リヴァプール・ミュージック・サポー
ターの女の子がリヴァ入りしています。
彼女は東京に住む大学生、弱冠20歳でありながらあらゆる年代のリ
ヴァプールの音楽シーンに精通していて、単なるバンド好きを超越して
います。DJ、ライブレポート、CDレビュー、レーベル運営などをこなし、
特に The Coral と Dead 60's に並々ならぬ愛情を注ぎ、The Coral の
オフィシャルファンサイトの運営もしています。
http://www.deltasonic.jp/thecoralindex.htm  

毎週木曜日には東京のブリティッシュ・パブ、「HUB渋谷1号店」にて、
"British Pavillion" というDJイベントに登場しているそうなのでチェック。
UKロックがメインのイベントですが、スミレちゃんのDJは、ネオ・マー
ジー・サウンドで炸裂してるとのこと。来月私も帰国するのでそのとき
は遊びに行こうと思ってます!
 イベント詳細:http://www.fusionmusique.org
 毎週木曜日20:00〜23:30 入場無料。
 住所:渋谷区宇田川町3-10 ぽあんしぶやビルB1(03-3496-0765)


水曜日は天気がよかったので、スミレちゃんと一緒に川向こうのホイレ
イクまで行ってきました(運転してくれたイアン、ありがとう!)。
ホイレイクは、7月にゴルフのブリティッシュ・オープンが行われること
で話題になっている場所ですが、実は The Coral のふるさとでもありま
す。
リヴァプールからキングスウェイ・トンネルをくぐってウィラルに入っての
どかな田園風景を抜けると、海辺が広がっていました。
右手にはリヴァプール、左手にはノース・ウェールズの山々が見え、ほ
かに何があるわけではないのですが、思わず伸びをして深呼吸がした
くなるようなオープン・ビュー。
海沿いのプロメナードにはシェルターがあり、The Coral のメンバーが
昔集まって音楽のことを語り合ったり曲を書いたりしたそうです。 それ
らしきシェルターが2つあって、どちらか分かりませんでしたが一応両
方写真に収めてきました。
後でオフィシャル・ホームページ ( http://www.thecoral.co.uk ) のギャ
ラリーページに、そのうちのひとつのシェルターの写真が掲載されてま
した。

海岸を後にして、ローカルパブで休憩。昼間っからビールを飲みなが
ら、地元の常連らしき人達の様子をウォッチング。おそらく開店時間か
ら飲んでいるおばちゃんグループやランチタイムに一杯飲みに来たお
兄さんたち、きっとそんな光景が毎日繰り返されているんだろうなあと
想像して思わずクスッと笑えてしまいました。
リヴァプールの喧騒から離れて、時間が止まったようなホイレイクは、
電車でも簡単にいけます。リヴァプール・セントラル駅、またはライムス
トリート駅から約30分。 Wirral Line の West Kirby 行きで、Hoylake で
下車、もしくは途中の Meols 、Manor Road で降りてHoylake 方面に海
岸沿いを歩くのもいいと思います。
電車路線図:http://www.merseytravel.gov.uk/map_rail-network.html


日付が前後してしまいますが、火曜日、52 Roscoe Street にて、リヴァ
プール・ジョン・ムーア大学の今年卒業予定のアート学生による
"Limelight Art" 展がありました。
これは6月のディグリー・ショー(卒業制作発表会)に向けての資金調
達を目的としたイベントです。
近年、学生達がこのように独自にグループを結成し、卒業後も活動を
ともにしています。以前ご紹介した Myrtle Group もそのひとつです。
Limelight Art のメンバーも結束が固く、特に主体となって動いている
Liz と Dave は熱心に地元のアーティストやギャラリーなどと連携して
がんばっています。
ペインティング、オブジェ、インスタレーションなどバラエティーに富んで
いて、クオリティーも高く、既に地元のキューレーターが有望な学生に
声をかけている姿も見られました。

リヴァプール・ジョン・ムーア大学のアート部門はかなり定評があり、グ
ラフィックアート学科からは、The Coral 、The Zutons 、The Dead 60's
などのアートワークを手掛けた Juno ( http://www.junostudio.co.uk/ )
や、前々回ちょろっとご紹介した ')Bracket THIS(' を主催する、Mercy
などを輩出しています。
おっ! というような作品にめぐりあえたりしてしまうので、意外にこの
ディグリー・ショーはあなどれないんですよ。また6月に本番のショーに
ついて触れたいと思います。


Mercy がでてきたところで、)Bracket THIS( の続報。
まずは8日の Fiction Night 。
Fiction は、今回の展覧会のキューレーターである、Nathan Jones が
主催するポエトリーのイベント。Mana Bohzo の息のぴったり合ったア
フリカンドラム・セッションからスタート。Nafe ( Nathan Jones )、バイオ
リンをバックグラウンドに歌うように物語る Eleanor Rees の詩がとても
心地よく響きました。
そしてドイツ人のスタンドアップ・コメディアン、The Great Gonzo の
ウィットに富んだ、ハイパーなステージが会場を沸かせました。最後の
Dave Bamford の始まる前に退散してしまいましたが、どうやら相当よ
かったらしいです。

12日のアコースティックナイトは、雪が降っていて私は欠席しましたが、
John Smith のステージがあったそうです。
John Smith は今注目を浴びているリヴァプール在住のフォークシン
ガーで、John Martyn との全英ツアーも控えています。以前ほかのハ
コで見たことがありますが、とっても渋くていいですよ。音源はここで聞
けます。http://www.myspace.com/johnacousticsmith

17日には、リヴァプール・ホープ・ユニバーシティ企画のショート・フィル
ムの上映、そしてエレクトロニカ集団、Hive Collective のライブ&DJが
続きました。
ショートフィルムは、現在のリヴァプールの再開発を反映した、アーバ
ン・ランドスケープをテーマにしたもので、4本が上映されました。
Inger Lise Hansen によるコマ撮りの "Talking To a Stone" 、1985年の
作品にしては斬新な Henry Hills の "Money" などが面白かったです。

最終日の24日は、こんなにヒトで埋めつくされたアリーナ・ギャラリーは
見たことない! と思うほどの超満員で、このイベントが大成功を収め
たことを証明しました。素晴らしい!
最初のアクトの女の子2人組みの Kinetic Fallacy は凄く良かったで
す。ラップトップ・ミュージックにバイオリンとマリンバの生音が乗っかっ
たビートが気持ちよく、またバックグラウンドの映像もカッコよかったで
す。音源はここから聞けます。http://www.myspace.com/kineticfallacy 

肝心のアートの展示ですが、日を改めてじっくり見てきました。
各作品の脇に、キャプションの代わりに中国語でタイトルとアーティスト
名が筆で書かれており、当然こちらの人は読めませんですので、来場
したひとたちは地図を渡され、それをたよりに作品を鑑賞していまし
た。
リヴァプールに住む異なる国のバックグラウンドをもったアーティストの
作品をぐるっと一回りすると、なんだかいろんな国に旅をしてきたよう
なそんな気分にさせられます。
そして、サブ・テーマの "Going Native" は、各アーティストのいろんな
状況をあらわしています。国を追われてここに難民として来た人、家族
が移民として渡英し、ここで生まれた人、イギリスという国と祖国の2つ
のカルチャーのギャップの中でアイデンティティを見出そうとする人、そ
してたまたまリヴァプールを旅してこの土地に居ついてしまった人。。。
日本人である自分とリヴァプールの関係は何なんだろうと考えてみた
いと思います。

)Bracket THIS( の一連のイベントは、こちらのブログでも追っかけられ
ます。
')Bracket THIS(' Blog - http://www.artinliverpool.com/bracketthis/


ホープ・ストリートにスーツケースが戻ってきました!
LIPAやフィルハーモニックホールの前もだいぶきれいになってます。
ホープストリートの Big Dig が終わった暁には、もしかしてお祝いのイ
ベントを開催しようか! という話も持ち上がっています。楽しみです
ね。

それではまた来週!

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish45_photo.htm )


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