July 18 2006, No.259
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第55回 / 「 ゴーゴー・リヴァプール!」 ― 

ここ2週間のリヴァプールは、いろいろありました。
先週のあたまに、2008年 "European Capital of Culture" の仕掛け人
となっている、Culture Company のアーティスティック・ディレクター、ロ
ビン・アーチャーが辞任しました。これは自己都合なのか、クビだった
のかといったゴシップや、代わりは立てるのか、今後の2008年までの
文化事業はどうなるのかなど、この話題で持ちきりです。
ロビンさんのようなダイナミックなカリスマ性のある指導者がいなくなっ
たのは残念ですが、同時に、オーディエンス層を無視したイベントプラ
ニングと、外国からのインプットばかりで、リヴァプールのもつ独自の
文化色が生かされていないという批判の声も高かったので、今後バラ
ンスのいい企画がなされることを願います。
でもアーティスティック・ディレクターのいないイベント企画なんて船頭の
いない船?! ちょっと心配です。。。

グッドニュースが2つ♪
毎年ロンドンのテート・ブリテンにてイギリスの現代アートに顕著な活動
をし貢献したアーティストに贈られるターナー賞の授賞式が、来年2007
年にテート・リヴァプールで行われることが決定しました!

ターナー賞は、単なるアートのコンペの域を超えていて、2003年の女
装男性陶芸アーティスト、グレイソン・ペリー(テート・リヴァプールにも
作品が展示されています)や、有名なところでは、1995年のデミアン・
ハーストの牛のホルマリン漬けのオブジェなどセンセーショナルな作品
が取り上げられています。
授賞式には著名人やセレブまで出席し、その模様はテレビでゴールデ
ンタイムに放映されるほど、イギリス国民の注目度の高い重要なイベ
ントです。これがロンドン以外の場所で行われるのは史上初、しかもリ
ヴァプールで、というからスゴイことですね。
そのほかにも、複数の大型イベントの候補地にリヴァプールが選ばれ
ているそうなので、その辺も期待したいところです。

そして2つ目のグッドニュースは、高級アパートに取って変わられるか
もしれない?! という危機にさらされていた 'Parr Street Studios' が
存続することが金曜日に確定しました!
6月の中旬に、建物のオーナーであるジェネシスのチャリティー団体
'The Genesis Pension Fund' から全テナントに対して立退き通告が出さ
れ、今月いっぱいで閉鎖になってしまうと誰もが諦めモードで、来週の
土曜日にはさよならパーティーまで企画されていたところでしたので、
驚きのニュースでした。

これはひとえに救世主である地元の起業家 Gary Millar とミュージシャ
ンの Steve MacFarlane 、そして '3345' の経営者でありミュージシャン
の Thomas Lang の粘り強い交渉と、市、地元の政治家、メディア、銀
行、テナント、そして民間の声援があってかなったものです。
今後は、Gary Millar がCEO、そしてディレクターに Steve MacFarlane 、
Thomas Lang で運営されます。

33-45 Parr Street のこの建物には、レコーディングスタジオ、バー
'3345' 、エコー&ザ・バニーメンの事務所 'Porcupine Music' 、コールド
プレイの事務所 'Oxygen Music' 、デザイン事務所 'Plast-c' 、ボーカ
ルトレーニングの 'Sense of Sound' 、それに宿泊施設があり、これら
がすべて救われたことになります。

このスタジオは、イギリス地方都市最大のレコーディングスタジオで、こ
れまで Coldplay, Embrace, Charlatans, Badly Drawn Boy, Echo & The
Bunnymen, The Zutons などのブリットポップバンドから Diana Ross な
どの大御所まで、多くのミュージシャンが作品を生み、同時にリヴァ
プールの音楽シーンを支えてきました。

本当にタイミングのいいことに、この決定が下された金曜日に 'Domino
Gallery' (グリーンフィッシュカフェ)のギャラリーオープニングに行った
ら、'Parr Street Studios' レスキューチーム3人組みのうちの2人、
Gary Millar 氏と Steve MacFarlane 氏が現れました! 
展覧会のアーティストそっちのけで、みんなで祝杯をあげました。
(写真は、左が Steve MacFalane 、右が Gary Millar です)

Gary さんもこの日にこのような出来事が起こるとは考えてもいなかっ
たらしいです。
「普段はちゃんとスーツ着てるのに、こんなカジュアルな格好をしてると
きに限って呼び出されて、契約を結んで、そのあとシャンペンで乾杯し
てるところを新聞社に撮られて困ったよ!」とぼやきながらも、嬉しそう
でした。
Gary さんは本当にフレンドリーで、熱意があって、ビジョンを持った頼
もしい人という印象を受けました。

Garyさんいわく、
「この場所を救わなければと思ったのは、ただ単に過去の栄光への感
傷ではなく、将来の The Coral や The Zutons などを生み出す場所を
失うことは音楽業界にとって大きなロスであると考えたから」
そして、
「このスタジオは、バイオリンでいうストラデヴァリウスみたいで、サウン
ドマン達にとって、"あ、コレだ!" とピンとくるクオリティーを持ってい
る」
とも言っていました。

今後のプランについては、「 'Parr Street Studios' にゆかりのある
ミュージシャンに声をかけて、ミュージック・フェスティバルを行うこと、コ
ンピレーション・アルバムとか作れたらいいよね。それと、宿泊施設は
改装して拡大して、名前は、'Zsleep Hotel & Studios' って決めてるん
だ。ちなみに最初の文字は、zzzzz....のZだよ。フューチャリステックで
カッコいい内装にして、部分的にカプセルホテルみたいにするのも面
白いよね! あとはアートギャラリースペースももちろん作るよ。音楽
だけじゃなくて、総合的なクリエイティブなセンターを目指しているんだ」
と言っていました。
ホテルは本当に楽しみです。ビートルズにちなんだ 'Hard Days Night
Hotel' もできますし、リヴァプールに音楽をテーマにしたホテルが増え
て楽しみですね。
今後の展開については、また追ってレポートします!


そのほか今週は、月曜日に Seel Street にある、'The Liverpool
Academy of Arts' で、このギャラリーのオーナーでもある、June
Lornie による "Lewis Carrol's Wonderland" 展が行われました。
オープニングには、不思議の国のアリスの登場キャラクターに身をま
とった June とその仲間達が来る人たちを出迎え、ステージにはティー
パーティーのシーンにでてくるテーブルまでセッティングされてました。
June は元ファッションデザイナーということもあり、その衣装の出来は
半端ではありません! あ、ちなみにこの展覧会に、ビートルズ元マ
ネージャーの Allan Williams 氏も来てましたよ(酔っ払ってましたけど)。

この展覧会では、彼女の絵画のほか、'Daresbury Lewis Carroll
Society' の好意で不思議な国のアリスに関連する資料、オブジェなど
が展示されています。
この展覧会は、7月28日まで。

The Liverpool Academy of Arts といえば、毎年恒例のビートルズをモ
チーフにした、"Come Together" 展。
今年は、8月15日〜9月15日まで行われます。ビートルウィークの期間
に滞在されている方は是非立ち寄ってみてください。去年の "Come
Together" 展の作品は、こちらから見られます。
http://www.la-art.co.uk/Exhibtions/E094.shtml

 < The Liverpool Academy of Arts >
  住所:1st Floor, 36 Seel Street, Liverpool
  電話番号: 0151 709 0735
  営業時間:月〜金 午後0時〜5時
  ホームページ: http://www.la-art.co.uk 


水曜日は、リヴァプールから電車で20分ほどのところにあるセント・へ
レンズに行ってきました。
St. Helens Central 駅から歩いて3分のところにある '5athegallery' で
開かれていた、地元のアーティストによるオープンコンペ展が、この土
曜日で終了するのであわてて見に行きました。
リヴァプールに比べて小さな街ですが、絵画、オブジェ、ガラスなど多
様性のあるいい作品が揃っていました。

メインのギャラリースペースの隣には、21歳という若さで亡くなった5人
目のビートルズ、スチュアート・サトクリフに捧げられた常設展がありま
す。これは、セント・へレンズに住む スチュアート・サトクリフの妹、
ポーリーン・サトクリフの協力で 2003年に開設したものです。
ここでは、彼の作品のレプリカを販売しています。
(ホームページには現在アップされていませんが、メールで問い合わせ
をすれば購入可能です。 info@5athegallery.co.uk)

 < 5athegallery >
  住所:Bickerstaffe Street, Cultural Quarter, St Helens,
                            Merseyside, WA10 1DH
  電話番号: 01744 20466
  営業時間:火曜〜土曜 午前10時〜午後6時
  ホームページ: http://www.5athegallery.co.uk 


セント・へレンズまで来て、これだけというのもサミシイので、そのほか
に2つほど。
数年前にたまーに通ったレコ屋があります。Kaleidoscope Records 。
たまーにとってもレアな掘り出し物が安く見つかったりするので油断
できません。

 < Kaleidoscope Records >
  住所:30 Westfield Street, St Helens, WA10 1QF
  電話番号: 01744 454190
  ホームページ: http://www.krecords.com 


そして、St. Helens といえば、ガラスの街。こないだ日本板硝子に買収
された、ピルキントン社の本拠地で、ここには、'The World of Glass
Museum' というガラスの博物館があります。是非足を伸ばしてみてくだ
さい!

 < The World of Glass Museum >
  住所:Chalon Way East, St.Helens, Merseyside, WA10 1BX
  ホットライン: 08700 11 44 66
  ホームページ: http://www.worldofglass.com 
  入場料:一般大人5.30ポンド


土曜日。天気が素晴らしかったにもかかわらず、午後をインドアで過ご
しました。St. Georges Hall の2階のコンサートホールで、"Daydream"
という映画の撮影に、エキストラとして参加しました。この映画は、
'Made in Liverpool' をテーマにした映画祭の一環で、リヴァプール・バ
イエニアルの期間中に上映されます。

撮影は、ロックコンサートのリハーサルを観るという3分ほどのシーン
でしたが、3時間くらいかかってようやくOKが出ました。

コンサートホールは最近内装を新たにしたところで、金と白を基調に、
きらきらとしたシャンデリアがゴージャスなデコレーション。これだけで
も見に来る価値ありでした!


【今週の Ye Cracke】

食事は6時までなので、午後5時40分に滑り込んでご飯を食べようと
思ったら、「キッチン、閉めちゃったんだよ!」といわれ、退散。。。
また今週も食いっぱぐれてしまいました。。。


来週は、20日から23日までマンチェスターで行われる、"Futuresonic
2006" という電子音楽&アートのフェスティバルに行ってきます。
ですのでひょっとしてマンチェスターだよりになるかもしれません!

また来週!

ミナコ・ジャクソン♪


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish55_photo.htm )


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