July 25 2006, No.260
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


――――――――――――――――――――――――――――――
▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
          〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

  ― 第56回 / 「デジタル・ノースウェスト!」 ― 

今週は、まずはひとつ告知から。

Art in Liverpool プリゼンツ 『デジタル・ショー(www.digitalshow.co.uk)』!

ということで、デジタルアート作品の募集です。
今年もまた秋に、リヴァプール・バイエニアルがやってきますが、その
インディペンデント部門の一環として、『デジタル・ショー』という、イン
ターネット上でのコンピューターアート(静止画)の展覧会を企画、作品
を公募しています。
テーマは 'FUN' で、締め切りは8月31日、展示期間はバイエニアルの
会期と同様、9月16日から11月26日までです。
作家の国籍および活動拠点を問いませんので、日本からのエントリー
も大歓迎です。楽しい作品をご応募ください!

日本語版の応募方法は、www.digitalshow.co.uk トップページの、
Japanese Version HERE というところから日本語版の詳細がダウン
ロードできます。作品送付、お問い合わせは、info@digitalshow.co.uk
まで日本語でどうぞ。


今週末は、'Futuresonic' (http://www.futuresonic.com) という電子音
楽&アートのイベントのために、マンチェスターにいました。
「泥なし、テントなし」の都市型フェスティバル。Castlefield の 'The
Museum of Science and Industry' と運河近辺、そしてオルタナティブ・
カルチャーの発信地である Northern Quarter のエリアにある複数の
バーやショップも巻き込んで行われました。

このフェスティバルも今年で10周年を迎え、年々その規模も大きくなっ
ていて、プログラムも、ダンス系のパーティーからアカデミックなワーク
ショップやカンファレンスまで充実していて、内容もメディアアートと音
楽、テクノロジー、ヘルス、サイエンスなど、これまで以上にクロスオー
バーしています。

オープニングから、いきなり岩井俊雄さんのトークでエキサイトしてしま
いました。
ウゴウゴルーガのキャラクター&CGシステムのデザイン、ゲームソフト
の開発、坂本龍一とのコラボレーションパフォーマンス、東京三鷹の
森ジブリ美術館の映像インスタレーションなどで知られるメディアアー
ティストです。
幼少のころの写真、影響を受けた本、ノートに描いたパラパラ漫画や
発明アイディアなどを盛り込んだ工作ブックをスライドで披露し、その
後どのようにプロジェクトへ展開していったかを紹介してくれました。
電気製品やファミコンや楽器など、使うだけでは飽き足らずにソフトも
ハードも自分で作りたいという創作欲、そして音、光、動き、映像をリン
クした、より新しく、インタラクティブなデバイスの開発への飽くなき探究
心に感動しました。

翌日の 'Academy2' でのライブも凄かったです。
岩井氏の開発した、任天堂DSのエレクトロプランクトン、サウンドレン
ズ、そしてヤマハとの共同開発で作られた Tenori-on を使ったパ
フォーマンスは、電子音楽のステージングの常識を変えるんじゃない
の?! と思ってしまいました。
通常の電子音のライブって、背景にCG映像をプロジェクターで映し出
して、その前でパフォーマーがターンテーブル、ラップトップPC、ミキ
サーのツマミをちょこちょこいじるのが定番ですが、特に Tenori-on
は、ゲーム機みたいに小さくてモバイル性があって、演奏するほうも観
るほうも光と音が楽しめる楽器としてとっても画期的です。

Futuresonicの様子は、岩井さんご本人のブログにもアップされるので
はないかと思います。(http://tenorion.blogspot.com)
Tenori-on 公式サイト:http://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on 
エレクトロプランクトン公式サイト:http://electroplankton.com 


土曜日の午後イチは、本当は Bridgewater Canal(運河)をクルーズす
るボート上での 'aPAtT' のライブが見たかったのですが、ボートがなか
なか到着せず、やめました。でも待っている間、バンドのリハーサルを
満喫できたのでよかったです。

その後、Pete Hindle の "Duelling Etch-A-Sketches" のプレゼンを見
にいきました。
'Etch-A-Sketch' は日本では『ピカソくん』として親しまれているおもちゃ
ですが、私も子供のときに赤いのを買ってもらって、5年くらい前まで
現役で遊んでいました。
このアーティストは、それにダイアルをさらに2つ追加して、動きにあわ
せて、へっぽこテクノサウンドを創り出すというインスタレーションを発
表。2台置いてあって、どっちのが音を出してるのかがいまひとつ不明
でしたが、面白かったので許します。

この夜のハイライトはなんといっても、Cobra Killer のライブ。過去にソ
ニックユースの前座も務め、彼らに「完全にノックアウトされた!」と言
わせるほどのパワフルな、ベルリン出身の超ぶっ壊れ系女の子2人
組のユニット。
ワインボトル2本持参で登場し、自分たちのアタマにワインをドボドボ
かけて、パフォーマンスがスタート。
音は、アングラ+キャバレー系エレクトロパンクとでも形容すればいい
のでしょうか。ものすごく強いドイツ
語訛りの英語でナンセンスなことを連発するわ、DJやカメラマンにから
むわ、客に向かってダイブするわ、最後にはフラフープを回すわ、とい
う大暴れなパフォーマンス。熱波の影響で蒸し風呂のようなライブハウ
スが、とてつもない狂気と熱気であふれた忘れがたい夜となりました。

知り合いのドイツ人のソニックアーティスト Alex DeCoupigny に、前日
偶然チャイニーズレストランでばったり会って、「明日、僕達も
'Futuresonic' でプレゼンするよ」と言われていたので、翌日の日曜日
行ってきました。
これはリラクゼーション・セラピストで特に脳の研究をしている専門家
の Greg Byatt とのコラボレーション。頭にパッチのついたヘッドバンド
をつけて、脳波をオーディオ化&ビジュアル化するというものでした。
うちの旦那ちゃんもトライしました。写真の左側が旦那の脳波で、右側
が Alex です。2人ともとっても穏やかな性格なのですが、波長まで似
ていて驚きました!

会場から外にでると、'Wrong Music Mobile Disco'
(www.wrongmusic.co.uk) による 'MIDI Karaoke' 。
笑える格好をした男子数人が、カラオケのCDにサンプリング&おも
ちゃの音を乗せてカラオケ大会をしていました。
Pet Shop Boys の "West End Girls" を、"Chip Shop Boys 〜 Mushy
Peas 〜♪" とむちゃくちゃな歌詞で歌っていて腹を抱えて笑わせても
らいました。
Google Videoに、Bryan Adams の "(Everything I do) I Do it For You"
を歌ってるシーンを撮ったムービーをアップしますので、是非ご覧くだ
さい。
http://video.google.co.uk/videoplay?docid=447784991076395570


せっかくですので、マンチェスターでのお気に入りのお店をご紹介しま
す。
High Street にある 'Oklahoma' 。
ここは、ポップでキッチュな雑貨屋さんと、オーガニックのカフェがあっ
て、マンチェスターに来るときには絶対にはずせないスポットです。
WIFIアクセスもありです。
カフェのとなりには、エレクトロニカ系の音源が充実したレコード屋さん
'Pelicanneck Records' も入っていて、欲しいものだらけで非常に危険
です。

 < Oklahoma (オクラホマ)>
  住所:74-76 High Street, Manchester, M4 1ES
  電話:01618341136
  営業時間:月〜土 午前10時〜午後6時、日曜日 午後12時〜5時


また来年の 'Futuresonic' も楽しみです。来週は通常のリヴァプール・
ゴールドフィッシュだよりに戻ります。

それではまた!

ミナコ・ジャクソン♪


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish56_photo.htm )


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
無断での転載を禁じます。  Copyright(C) 2001-2006 Scouse House