June 19 2007, No.302
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン 〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜 ― 第94号 / 「 Trees & Flowers 」 ― ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish94_photo.html ≫ こんにちは。 今週の前半は夏のような晴天と暑さでしたが、後半は雨が続き気温も グッと下がりました。 6月とはいえまだまだ油断はできません。日本はそろそろ梅雨入りで しょうか? 今週は、日本で活躍しているシンガー・ソング・ライターのAkeboshi君 がリヴァプール入りしていました。 先週の日曜日に突然連絡が入って、共通の友人である晴美さん& ガイ夫妻と一緒に、彼の滞在先にて再会しました。 LIPAで留学していたAkeboshi君と晴美さんとは、97年に私が初めてリ ヴァプールに遊びにきたときに会いました。今はなきBerry Streetのミ ンキーという中華料理屋さんで食事をしたのですが、その時まだティー ンエイジャーだった彼がひと回りも年上の学友たちを相手に容赦ない ツッコミを入れている様子をみながら、キモの据わったおもしろい子だ なあ、きっと大物になるに違いない! という印象を得たのを覚えてい ます。 そのダイナミズムは音楽にも反映されていて、年齢や国籍を超えた 様々なバックグラウンドをもつミュージシャンとのセッションを通じて、 幼少から学んでいるピアノを基礎にフォーク、アイリッシュ・トラッド、 ジャズ、エレクトロニカなどを大胆かつナチュラルに取り込んだ独自の 音楽の世界を創っています。 Akeboshi君のプロフィールを少々。 LIPA在学中の2002年にインディーズからミニアルバム『STONED TOWN』(ジャケ写はホープ・ストリート!)でデビューし、LIPA卒業後帰 国。 2005年にはEpic Records Japanからインディーズ時代の作品よりセレ クトしたフルアルバム『Akeboshi』をリリース。 昨年発表の『Yellow Moon』のタイトルトラックには、作詞に井上陽水を 迎える。 いわゆる普通のコンサート会場だけでなく、カフェライブなども各地で 展開しています。 8月には新作、『Colorful drop』 というミニアルバムがリリースされる予 定ですので要チェック! 月曜日に、ハープ奏者のStanと一緒にSt. James' Garden(アングリカ ン大聖堂のふもとの墓地公園)で撮影をするというので、私も見に行き ました。 Stanは、渡英してまもないAkeboshi君がフォーク音楽やアイルランドの ケルト音楽に強く傾倒していくきっかけとなった人物です。 この日は天気がよく、新緑がまぶしく、撮影日和。 どこで演奏しても絵になるStanですが、樹木に囲まれて弾く木製の ハープは音的にもヴィジュアル的にも自然になじんで格別でした。 観客は私のほかには、たまたま通りすがって近くに腰を下ろしたのス カウサーのお兄ちゃん。一見イカツい感じだったこの男性は、音楽を 聴きながら表情を和らげ、 「いい音だネエ、この楽器は何て呼ぶんだ?」 と話かけてきました。撮影の邪魔にならないようにと私が小声で 「ハープだよ」 と応えると、変わらぬ声のトーンで 「おー、そうか、何でここで演奏してるんだ?」 「あそこにいる若い日本人のミュージシャンのビデオ撮影のためだよ」 変わらずひそひそ声で答える小心者な私でしたが、 「おー! そいつは有名なのか?」 という問いかけに、終いには 「そりゃあ有名よ!」 とボリュームアップしてしまいました。 そのお兄ちゃんは思いがけない昼下がりのライブに最後まで耳を傾け 楽しんでいた様子で、終わった後StanやAkeboshi君たちと会話を交わ して別れました。 その晩は、Akeboshi君の友達のミュージシャン、Steveが '3345' でライ ブをするというので、観にいきました。 Stanもやってきて観客席に座りました。ミュージシャン入れ替えのとき にMCが 「次のアクトに移る前に、"Scouseology Awards" で特別賞を受賞した Stan Ambroseに拍手〜!」 とコメントし、観客から拍手喝采。 今年で19年目を迎える "Scouseology Awards" は、リヴァプール文化 に貢献した人々に授与される賞です。 今年は、バンドThe Zutons、LFCキャプテンSteven Gerrard、コメディ アンKen Dodd、新人賞に舞台女優Leanne Bestなどが選ばれました。 また今年はBBC Radio Merseyside設立40周年記念ということもあって、 36年間もフォークミュージックを紹介している長寿番組 "Folkscene" を 担当するStanとGeoff Speedがその功績をたたえられられたというもの です。 またStanは、若いバンドから多大なリスペクトを得ていて、アヴァンギャ ルドな即興バンドSuper Numeriや他の若手バンドにも参加するなど、 知れば知るほど多彩です。 BBC Radio MerseysideのStanのページはこちらから。番組も聴けます。 http://www.bbc.co.uk/liverpool/content/articles/2006/04/18/radiomerseyside_pres_folkscene_feature.shtml そしてSteve Pilgrimが登場。彼は普段はドラマーとして活躍しています が、歌も凄くいいんだよ、という話はきいていましたが、非常にヤバイ です。 この日は、他にも数人のシンガーがステージに立ち、ギターや歌のテ クニックもなかなか良くて、渋いねえ、巧いねえ、とイージーな構えで聞 いていたのですが、Steveの澄みきった歌声とギターを聞いた途端、 ぐっと感情のボルテージが上がって、これは気を許したら泣く、と思い ました。 何というか、作為性がなく、純粋に全身からほとばしる音で、ハートに 触れるものがあります。是非是非聴いてみてください! Steve Pilgrim Myspace: http://www.myspace.com/stevepilgrim 1週間のリヴァプール滞在の後、Akeboshi君は2週間のアイルランド 「音探しの旅」に発ちました。 今回の滞在から生まれた新しい音楽を聴くのがとても楽しみです! Akeboshi 公式ホームページ: http://www.akeboshi.com ♪ ♪ ♪ この週末は、アルバート・ドックではTall Shipが入港し、セフトン・パーク では毎年恒例のアフリカン・ミュージック・フェスティバル "Africa Oye" 、 カルダーストン・パークでは "International Tennis Tournament" (ビョーン・ボルグが出ることで話題になりましたが、犬に噛まれて残念 ながらキャンセル。。。)とアウトドア・イベントだらけのリヴァプールです が、この週末に敢えて私が行ったところは、Woolton Villageの St. Peter's Church。 St. Peter's Churchは、言うまでもなくジョンとポールが初めて出会った 場所。 Woolton in Bloom が主催する、"Beatles Flower Festival" というイベン トが開かれていました。 これは、地域の学校やリヴァプールの教会などが参加してビートルズ の曲にちなんだお花のディスプレイをし、その出会いから50周年記念 をお祝いするというもの。 前の晩に知り合いのおばさまから、 「いいわよ〜、見に行ってらっしゃ〜い」 という熱烈な勧めを受けた時は、一瞬ベタだなあと流していたのです が、日曜日に突然思い立って興味本位で行ってみました。 門をくぐると 'Long and Winding Road' 、教会の入り口には 'Eleanor Rigby' がお出迎え。 教会の中は、花の甘い匂いで立ちこめていました。 ペニー硬貨で道を作って、その脇には消防車や床屋さんなども置いて あったりしてアイディアを凝らした 'Penny Lane' 、アルバムカバーをイ メージした 'Sgt Pepper's' や古いタイプライターにお花をあしらった 'Paperback Writer' 、ギターの形の 'Help!' 、ジョンが乗っていたという サイケデリックな車のデザインを基にした 'Drive My Car' などなど、な かなかの力作もあったりして、期待以上に楽しめました。 実際のジョンとポール出会いの記念日は7月6日で、10年前の40周年 記念では3500名ものファンが詰めかけたといいますから、半世紀を迎 える今年はどうなることやら?! St. Peter's Churchホームページ: http://www.stpeters-woolton.org.uk ♪ ♪ ♪ 【今週の告知】 その1; 英国ポップアート界ゴッドファザー、ビートルズの "Sgt. Pepper's" のア ルバムのジャケットをデザインしたことでも有名なPeter Blakeの回顧 展が、6月29日から9月23日までTate Liverpoolで行われます。 'On the Balcony'(1955-57年)'The Toy Shop'(1962年)、'The Beatles' (1963-68年)から、近年の 'Marcel Duchamp World Series' などが展 示されます。 Tate Liverpool ホームページ:http://www.tate.org.uk/liverpool/exhibitions/peterblake その2; フェスティバル・シーズン到来! "Africa Oye" の後は、"Arabic Festival" 。 まずは7月1日(日)午後12.30から、セフトン・パーク内のPalm Houseに てオープニングイベントが行われます。 音楽やダンスのパフォーマンスのほか、アラビック・ヘルス・フェアやア ラビック・バザーなども同時開催です。入場無料。 その後も2週間に渡って各地でイベントが続きます。 Arabic Festivalホームページ: http://www.arabicartsfestival.co.uk 来週は、ヴェネチア・ビエンナーレに行ってきますのでお休みします。 それでは再来週、Ciao! ミナコ・ジャクソン♪ ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish94_photo.html ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2007 Scouse House |