―――――――――――――――――――――――――――――― ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ ― 連載第15回 / 「 HOTFOOT 2005 特集」 ― NLW読者の皆さん、こんにちは! 私のばたばたの根源であった『 Hope Street Midsummer Concert: HOTFOOT 2005 』が6月13日月曜日にフィルハーモニックホールで行 われ、おかげさまで大盛況に終わりました。 この2ヶ月間は日夜これにかかりっきりでしたので、全てが終わってし まって、興奮と疲れと歓びと緊張から解き放たれた解放感が入り混 じって、ホッとしたような、ちょっとさみしいような複雑な気持ちです。 今年のリヴァプールは「海の年」ということで、HOTFOOT も海にちなん だ曲目が中心となりました。 そのメインとなるのは、リヴァプールフィルのメンバーとアマチュア・ コーラスとオーケストラそして子供たちによる『 Trade Winds 』のプレミ ア公演。 この楽曲は、私の上司 Hilary のお母さま Peggy Bartlett さんが女学 生の頃、学校で表彰を受けたときの賞品として受け取った John Masefield の詩集(Photo1)から誕生しました。 Hilary がこの1930年の詩集の中にある『 Masque of Liverpool 』と 『 Liverpool 1930 』を発見し、これをもとにリヴァプール・フィルのコン ポーザー・イン・レジデンスである Richard Gordon-Smith に作曲を持 ちかけたことから、このプロジェクトがスタートしました。 4月下旬に曲が書きあがり、5月に入ってからリハーサルがスタートし ました。 6月13日のコンサートまで週一ペースのリハーサルでこの40分に及ぶ 新しい作品をこの人数で仕上げるのは、容易なことではなく、最後の 最後まで気が緩まりませんでした。 参加者はアマチュア楽団や合唱団経験者からコンサート未経験の学 生、社会人までさまざまなバックグラウンドをもった人たちで構成され、 もちろん途中でドロップアウトもでてくるわけで、パフォーマーたちのモ チベーションを下げないようにするのも重要。 作曲家であり指揮者でもある Richard は本当によくまとめ上げたと思 います。 最終的に子供100人、大人120名ほどが参加しました。 当日は、午前11時に会場入りしてセットアップを開始。写真(Photo2) は、左後列から、私の上司である Hilary Burrage(HOPESのチェア ウーマン)、その旦那さんで、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニッ ク・オーケストラのバイオリニストであり、このコンサートのコンサートマ スターの Tony Burrage 、Hilary のお母さまの Peggy Bartlett、そして 今回のコンサートに遠方から駆けつけてくれた Tony の義理の姉妹 Pat と Sue。 サウンドチェックやゲストへのチケットの手配、楽屋の準備など、こまご まとした準備をしているうちに、ぞくぞくと参加者たちが会場に集まりま す。少しして観客もぼちぼち到着し始めたところで、この日ボランティア をかってでてくれた10名ほどの人たちと一緒に、寄付金の呼びかけや ラッフルチケット(福引)の販売などを開始。ロビーには想像した以上 にたくさんの観客で賑わっていて、ひとまず一安心。 7時半からショーがスタート。 BBC Radio Merseyside の Roger Phillips がプレゼンターで、今回のコ ンサートのラインアップ、ホープストリートの現状、HOPESについて紹 介。その中で「日本からはるばるHOPESの活動の支援をしているミナ コ・ウエダ!」とアナウンスされ、ちょっと照れくさかったです。 前半は、オーケストラによるハンデルの『 Water Music 』、カチャトリア ンの『 Spartacus 』、そしてスペシャルゲストに元 Spinners の Hughie Jones を迎え、海の男のフォークソングが演奏されました。特に、 『 The Leaving of Liverpool 』では会場も大合唱でした。 前半の締めくくりは、ヘンリー・ウッドの『 Sea Songs 』と『 Rule Britannia! 』。 「ゴールドフィッシュだより」連載第11回の Static Gallery でのイベント でも登場した Sarah Helsby-Hughes が、真っ赤なドレスにユニオン ジャックをまとって登場。まさに「歌姫」という名にふさわしい存在感あ る歌声でした。 『 Rule Britannia! 』ではオーディエンスも立ち上がって一緒に盛り上が りました。 後半に入る前にラッフル(福引)の抽選、私は裏手でスタンバイをして いたら、ソロ・シンガーの Tayo Aluko 、水色のドレスに着替えた Sarah と作曲・指揮者の Richard Gordon-Smith が出てきたので、記念撮影 (Photo3)。 メインの『 Trade Winds 』が始まりました。私は後方のボックス席から 観賞。 この曲は、コンテナポート、紡績糸、東の商人、貿易風、南の商人、 セーラー、リヴァプール 1930、ピアヘッド・コーラスなど、John Masefield のオリジナル詩に Richard のタッチが加えられた詩から成り 立ち、ところどころ中国、スペイン、アフリカ、エジプト、アメリカなどエキ ゾチックな香りもする音作りです。 パフォーマーのほとんどが、おそろいのTシャツを着用。子供たちは各 国の衣装をまとい、ステージに上がります。 ソロの Tayo の力強く温かみのあるバリトン、Sarah のツヤのあるメゾ ソプラノが耳に心地よく、コンテナポート、Spunyarn(紡績糸)の歌では、 オーケストラとコーラスに一体感があり、ドラマチックな音の展開となり ました。 ラストの15分では、ポールマッカートニー創設の大学、LIPAのダンサー がステージを舞います。一部音量のバランスがあやしいところもありま したが、そんなことは気にならないくらい観客の反応は抜群で、パ フォーマーたちも達成感に満ちた様子でした。 これまでも何度かコンサートのオーガナイズをしましたが、ショーが終 わって帰宅の途につく観客のハッピーな表情を見ることほど嬉しいこと はありません。 今回は公的な財政的支援が得られず、かなり予算が厳しかったので すが、民間のスポンサーや当日集まった多くの寄付金により、なんと か無事終了しました。 コンサート終了後は、作曲家の Richard も含めて友人たちと Magnet で祝杯をあげました。よく冷えたビールがうまかったこと! ひとつ残念なのが、クライマックスの『 Trade Winds 』の様子を写真で お見せできないこと。 現在英国では、未成年の写真を一般公開することに関して異常に神 経質で、父兄、学校からの正式な許可がないと掲載不可なのです。ご めんなさい! 前半の子供抜きの写真から様子を感じとっていただけ ればと思います。 (編注:と言いながらミナコさんは、掲載許可を申請してくださっていま す。もしかしたら今後、追加で掲載できるかもしれません…) また、Daily Postのレビューがオンラインで見れますので、これもチェッ クしてみてください。 それではまた来週! ウエダミナコ ―――――――――――――――――――――――――――――― |