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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第18回 / 「 KOPスタンドから 〜 LFC VS TNS戦 」 ―

NLW読者のみなさん、こんにちは!
このところのリヴァプールは信じられないほど天気がよく、リヴァ焼け
までしております。
以前にもご紹介したパブ Ye Cracke の奥にあるオープンエアの裏庭
が最高なスポットで、今週は7日中6日通いつめてしまいました。
常連のおじさんからは帰りがけに「また明日〜!」と声をかけられて照
れ笑いで返す今日この頃です。

今週は、チャンピオンシップ開幕戦特集ということで、水曜日にアン
フィールドで行われた Liverpool Football Club 対 TNS の試合に行っ
てきました!
その前々日にメルウッドの練習場見学を初体験し、そして試合では
KOP スタンドデビュー。またまた勝ち試合で、ついでにスティーヴン・
ジェラードの初ハットトリックまで見せてもらって、好調なスタートです。

まずは、月曜日の午前中、ジリジリとした日差しのなかメルウッドの練
習場にて練習風景を見学。
コンクリートの塀で覆われている練習場に着いて、まず目にしたのが、
キャスターつきの紫色のゴミ箱を付近の家から調達して、その上に
乗っかって塀の上からグランドを見下ろす子供たち。
そう、見学といっても中に入れるわけではないので、基本的に塀の隙
間や上から覗き見るかたちなのです。
その後ぼちぼちと車が歩道に乗り上げて駐車し、その上に乗っかって
見物する家族連れも見られました。
壁の穴からは遠めに選手たちの練習風景がかろうじて見える程度で
したので、私もゴミ箱に乗っけてもらいました。結構よく見えましたよ!

そして試合当日。
初めての KOP Grand Stand から眺めるピッチは、正方形に見えまし
た。
サポーターの声援が前回のチャンピオンシップの準決勝、決勝に比べ
てゆるかったにもかかわらず、360度から聞こえてくるチャントの音量
はやはり半端ではなく、耳にびりびりと振動を感じました。
もしこないだのチャンピオンシップのクォーター・ファイナルやセミ・ファ
イナルでKOP席にいたら相当すごかったんだろうな、と想像します。

また、これまではKOPスタンドを流れていく巨大な旗を遠目に見るだけ
だったのですが、今回初めてその旗に埋もれることができました。これ
は感動でした!

ロンドンでの爆弾テロの追悼をこめて1分間の黙祷が行われ、試合開
始。

試合開始から断然リヴァプールが優勢で、8分後にはジェラードが
ゴール! お約束のようにジェラードをたたえる応援歌が鳴り響きま
す。その後も好調な動きを見せて、21分目でジェラードの2度目のゴー
ル。正直なところもっと盛り上がるのかな、と思っていましたが、おそら
くサポーターの心の底で、勝って当然という余裕があったのでしょうか。
その後は何度かゴールのチャンスがありながらなかなか得点に結び
つかないままハーフタイム。

後半では、リヴァプールが攻めるTNSのゴールがKOP側に変わりまし
た。
後半も決定的な瞬間には欠けたものの、リヴァプールの攻撃が続いた
ので、その様子が間近で見られるのは、KOPスタンドの醍醐味でした。
また、ゴール脇でウォーミングアップをする選手も見られました。

後半は試合の展開もサポーターの応援も非常にゆる〜く、 KOPスタン
ド後方で数名チャントを歌い始める人たちがいましたが、会場全体を
巻き込むまでには至らず。
後半20分ほどで新メンバー、ゼンデンが投入され、その後10分ほどし
てシセが入り、ピッチに活気が戻りました。
試合終了に近づき、観客が席を立ちはじめた90分目で、ジェラードが
ハットトリック!
本当にこのチームは見せどころを心得てますよね。欲をいえば、あと
2,3点はいけたかな、なんて思ってしまいますが。。。

今回は、「ゴールドフィッシュだより」にも何度か登場している 「アート・
イン・リヴァプール( http://www.artinliverpool.com/ )」のイアン・ジャク
ソン氏と一緒に観戦しました。
アート好きはサッカー嫌いが多いのですが、イアンは10代からのレッ
ズファンで、昔はKOPスタンドで立ち見で観戦をしたそうです。

「KOPは1900年代に南アフリカでたくさんのマージーサイドの兵士たち
が戦い、命を落としたボア戦争の舞台になった丘、Spion Kop にちな
んで名づけられたんだよ。キックオフの前にレフリーがコインを投げて
攻める方向を決めるとき、レッズはたいてい後半戦にKOP側に攻めこ
むこと好むんだ。Spion Kop はアフリカーンス語で『 Vantage point (見
晴らしのいい場所、有利な地点)』を意味するらしいけど、試合のクラ
イマックスに熱狂的な Kopite たちを正面にプレイをするのはそれこそ
選手たちにとってまさに Vantage point だよね。 轟くようなリヴァプー
ルのサポーターたちの声援を背に独り立たされる敵のキーパーには
気の毒だけど。でもKOPにいるサポーターたちもそれを知ってて、後半
戦のはじまりにキーパーがゴール前についたとき、拍手で迎えいれて
いたんだよ」

なーるほど。まだまだ私はサッカーについては青二才でありますが、
試合を見たり、チームやスタジアムの伝説的なストーリーを耳にするた
びに、ますますリヴァプールというチームの魔法にかけられたような魅
力に惹きつけられます。
今シーズンもまたまた新しいドラマを繰り広げてくれることを期待しま
しょう!

それではまた来週。。。

ウエダミナコ


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