――――――――――――――――――――――――――――――
▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第24回 / 「怒涛のバンクホリデーウィークエンド」(2) ― 

FACTで行われた、5人の日本人アーティストによる『 Rock The
Future 』展のオープニング。
この展覧会に向けて、FACTから「できるだけ多くの日本人の人たちに
観てもらえるように協力してほしい!」という依頼を受けて、マーケティ
ング部のお手伝いをしたのですが、これをきっかけに、参加したアー
ティストだけでなく、多くの在リヴァプールの日本人の方、旅行者の方
に会うことがことができました。

前日にお会いした「ジャパン・ソサイエティ」の方々はじめ、ロンドンか
らは、『フォグレス』という数少ないイギリス発日本語アートメディアを
運営しているアート・ライターのトコさんも駆けつけてくださいました。
(とっても充実したウェブサイトです。要チェック!
http://www.fogless.net/ )

さて、オープニングの始まる前に、アーティストとのインタビュー。
15分の限られた時間の中でコーヒーをすすりながら、クワクボ・リョウ
タさんと、エキソニモの千房さんと赤岩さんから作品について伺いまし
た。
このインタビューは、Art in Liverpool のホームページに掲載される予
定です。アップされたら逆和訳しなきゃですね。

クワクボ・リョウタさんは、私も個人的に大好きな明和電機のビットマン
にも関わっていた人で、普段はデバイスアーティストとして、メカを駆使
した作品が多いとのことですが、グランド・フロアの Media Lounge で
展開されている今回の作品は、靴を脱いで(これが日本的でウケがい
い)青い部屋に入ると、定期的に天井からぱらりと一枚ずつ小さな紙
がぱらりと落ちてくるというもの。
この紙きれには、ネット上のニュースのヘッドラインが印刷されていて、
中にいる人はそれを、拾うもよし、読むもよし、捨てるもよし、踏みつけ
るもよし、ポケットにしまうもよし。

クワクボさん曰く、これは通常私たちがニュースや情報にふれるとき
の頭の中で行われる動作を、この部屋では、情報という紙を手にする
ことにより、自然と身体で体験している、とのことです。この紙は展覧
会開催期間中は片付けられることなく2ヶ月間蓄積されるそうですが、
これを機会にニュースの紙きれに埋もれながら情報との付き合い方を
考えてみるのもいいかも知れません。

Gallery 1 では、るさんちまんによる ikisyon 15 というインスタレーショ
ン。
リヴァプールの現地の人々に呼びかけて集められた日用品やオブ
ジェで構成され、設置された2つの回転するカメラが物体とオーディエ
ンスの映像と音を捉え、別室のスクリーンにビデオクリップのように映
し出されるという、インタラクティブな作品です。

上の階の Gallery 2 で展示されているのが、エキソニモの作品
「 Shikaku no mukou 」 という、「向こう」と「無効」をひっかけたテーマ
で、独自に開発したドローイングのソフトウェアとペンタブレットを使っ
たもの。
黒白の斜めのストライプに塗られた部屋の中央に置かれたパソコン
で、線を描きなぐると、その動きに反応した落雷のような音がとどろき
ます。描いたラインは画面から瞬時に消えてしまうのですが、隣の部
屋のスクリーンに、描かれた線が映し出されます。全てのラインは時
系列に記憶されていて、これはインターネットでも見ることができます。
ちなみに、9月3日午後12時9分43秒を見たら、私が走り描きした絵
が残ってました!( http://exonemo.com/MUKOU/drawings/index.html )

遊び心のあふれる作品の数々が展示されたこの『ロック・ザ・フュー
チャー』展は、10月30日まで続きます。

< FACT インフォメーション>
 88 Wood Street, Liverpool, L14DQ
 T: +44 (0)151 7074444
 E: info@fact.co.uk
 url: http://www.fact.co.uk

次回は、いよいよマシュー・ストリート・フェスティバルのお話です!

(つづく)


――――――――――――――――――――――――――――――