―――――――――――――――――――――――――――――― ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ 〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜 ― 連載第26回 / 「リヴァプール・バイエニアル」 ― NLW読者のみなさま、こんにちは! 現在ワタクシ日本に帰国中にて、久々に秋の味覚を楽しみ、鈴虫の 声などを聞きながら、日本の季節感の素晴らしさに改めて感銘を受け ております。 しかし留守にしている間に、紙幣は変わっているわ、実家のまわりが 様変わりをしているわで、キツネにつままれたような感覚で、帰ってき たという実感がわきませんでした。そのショックからあまり地元から出 ていなかったのですが、ここ数日やっと、リハビリがてら都内をうろつ いたり、横浜トリエンナーレを見に行ったりし始めたところです。 私の実家周辺は、さいたま新都心という名のもとに大々的なリジェネ レーションが進んでいて、最寄り駅の北与野駅は、以前は埼京線で最 も降車率の低い駅だったにもかかわらず、5年前に官庁施設の一部 が移転され、さいたまスーパーアリーナがオープンし、スマップやレッ チリまで来てコンサートしちゃう?! という昔では考えられないような 変貌ぶりです。 そしてこのアリーナの敷地内には John Lennon Museum があります。 実家から徒歩5分のところに! しかも現在『ジョン・レノンとリバプー ル』展が開催中で、中の展示はまだ見てないのですが、帰国翌日に 入り口付近をぶらぶらと見にいったら、どどーんと巨大なピアヘッドの 写真や、リヴァプールの地図、ジョンレノンの愛したパブということで Ye Cracke や Philharmonic Pub の映像が流れていて、リヴァは私か ら離れません。すっかりあっちの日常に引き戻され、リヴァプールにい るような錯覚におちいってしまいました。来週の10月9日と10日に 『ハッピー・バースデー、ジョン!』というイベントが行われるそうなの で、その時にじっくり見に行こうかと思ってます。 さてさて、現在このような状況でアップデートは残念ながらできないの で(すみません。。。)、これからしばらく、まだお見せしていなかった写 真などを交えて、この一年間にリヴァプールであったイベントを振り 返ってみたいと思います。 昨年の9月といえば絶対に外せない、リヴァプール・バイエニアル(公 式サイト http://www.biennial.com/ そして Ian Jackson 氏によるブロ グも必見! http://biennial2004.blogspot.com/ )。 昨年の9月から10週間に渡って行われた2年に一度のアート・フェス ティバル。街中に張り巡らされたオノ・ヨーコさんの作品の『 My Mummy Was Beautiful 』の巨大なバナーが物議をかもしていたことで記憶にあ る方もいらっしゃるかもしれませんね。 こないだ横浜トリエンナーレを見て、改めてリヴァプールのバイエニア ルの凄さを再確認しました。ハマトリもとっても見ごたえがあり楽しめま したが、入場料1800円、山下埠頭の倉庫2棟をメイン会場とし、その 他中華街、山下公園など数箇所にオブジェが点在していたのに対し、 リヴァプール・バイエニアルでは、50を越える展示会場が設置され、 テ−ト・リヴァプールや、ウォ−カー美術館や中小のギャラリーに加え、 ジャマイカ・ストリート近辺の倉庫街をギャラリースペースにしたイン ディペンデント・ディストリクト、そしてタウンホール、ライム・ストリート 駅、大聖堂、教会、カフェ、レストラン、ホテル、カレッジやピアヘッドや 公共スペースなども巻き込んだ、まさに街をあげてのアートの祭典でし た。 殆どの展示会場が入場無料で、普段美術館までわざわざ足を運ぶこ とのない人達でも、日常の中で何かしらのかたちで無意識に作品に触 れることができ、地元の人達の意識のすぐ近くにあるのです。 そして、毎回ストリート・ファニチャーなる公共スペースに設置されたオ ブジェがバイエニアルの置き土産となっているのも興味深いです。 2004年は Parr Street を下った Wolstenholme Square にある Penelope 、2002年はお馴染みの Super Lamb Banana でした。 バイエニアル開催期間中は、常になにかしらのスポットイベントがあっ たり、新しい展覧会がスタートしたりと、最後の最後まで気が抜けない ラインアップで、クロージングパーティーでは正直終わってホッとしたの は私だけではなかったと思います。 スポットイベントのひとつで、思いで深いのが、毎週土曜の午前中に 行われた、ア−ティスト・ツアー。ミニバスに乗ってシティーセンター内 外のギャラリーをアーティスト自身が紹介してくれるというもので、あの セックス・ピストルズやトランスヴィジョン・ヴァンプなどのアルバムのデ ザインを手掛けた、ジェイミー・リードが来る! というので行ってきま した。ツアーは、Bold Street から一本入ったところにある Egg Cafe → インディペンデント・ディストリクトの火付け役となったギャラリー Jump Ship Rat、そして最後は Lark Lane の Old Police Station にて解散と いうルートでした。 ジェイミー・リードは私が初めてアートにガツンとやられたきっかけと なったアーティストで、それまでは学校でも美術なんてつまらない! と 思っていたのですが、1990年の東京渋谷のパルコ・ギャラリーで行わ れた『 Up They Rise 展 』に行って、アートって実はこんなのもありなわ け?! と人生観をねじ曲げられた展覧会だったんです。作品の前で 体育座りで眺めてしまいました。いまでも当時のチラシ(写真)を記念 にとってあります。このジェイミーさん、てっきりロンドンに住んでるのだ と思ったら、現在リヴァプール在住なんですね。 しかも Egg Cafe の下に事務所を構えてるっていうからこれまたびっく り。ジェイミーに「1990年の東京での展覧会に行って、とっても衝撃を 受けました」と伝えたら、ジェイミーもいたく感動して、「あのときの東京 は最高だったよ!」と喜び、一瞬気が難しそうな人だと思ってました が、まわりの人達に「このお嬢さんはねえ、僕の東京の個展に来てく れたんだよ」なんて自慢げに話していたのが微笑ましかったです。 次のバイエニアルは来年の2006年。既に着々と準備が始まっていま す。 2008年の European Capital of Culture に向けて、さらにパワーアップ していくことが予想されます。10月7日には John Moores 大学で、バ イエニアルのアップデート・イベントが行われるそうですので、興味の ある方は話を聞きにいってみるのもよろしいかと思います。 http://www.biennial.com/?q=node/66 まだまだ書き足りないのですが、今週はこんなところで。。。 また来週〜! 追伸: そうそう、先日の、シンシア・レノンの本のサイン会と同日に、チャー チ・ストリートの WH Smith でロビー・ファウラーの新しい本のサイン会 がで行われたそうです。イアン・ジャクソン氏から写真が届きましたの で、せっかくだから今週の唯一のアップデートということで、皆さんにも お見せしたいと思います。 Cheers Ian! ウエダミナコ ―――――――――――――――――――――――――――――― |