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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第32回 / 「 from past to present 」 ― 

みなさんこんにちは!
いろんな出来事やステキな出会いであふれた2週間でした。が、あまり
にもいろいろなことがありすぎた上に、その場でエキサイトしきって、消
化する前に忘れてしまうという性格なので、本当に困りました!
どこからお伝えするか悩むところですが、撮った写真をたよりに記憶を
たどってみたいと思います。

先週の火曜日に行われた、Site Sight 主催のパラダイス・ストリート・
ピクニック第2弾(編注:第1弾はゴールドフィッシュ第14号をご覧くださ
い。http://scousehouse.net/magazine/goldfish14_photo.htm )。
今回は午後6時にアルバート・ドック近くの Pump House Inn というパ
ブ前で待ち合わせし、そこから秘密の場所に移動するとのこと。冬に
ピクニックということ自体ナゾだった上、夕方から開始というので、どこ
に連れて行かれるのかと思ったら、Liverpool City Centre Fire Station
(消防署)でした。
参加者はホットワインでもてなされ、消防署長さん自らが点火する焚き
火(これも珍しい!)を囲んで、暖をとりました。
消防署の中にも案内され、2階に上がると、スタンバイの消防士たち
のための古いビリヤード台やサッカーゲームがあり、設立当初の1970
年タイムスリップしたようなレトロな雰囲気。
このビルも、再開発のあおりで来年10月に取り壊されるとのことです。

水曜日は、マージー川を渡ったポートサンライトにある、Lady Lever
Art Gallery でパジャマ・パーティー?!
実際のパーティーは日曜日で、しかも7歳以下対象です。さすがに年
齢をごまかしようがないので、せめてプレス向けのフォトセッションだけ
でも、ということで見に行ってきました。
ナショナルミュージアムのスタッフと、小学生の子供たちが、パジャマ
姿で駆ずりまわっていて微笑ましい光景でした。

現在ここでは、Peter Ellis によるオブジェや巨大なソックスの展覧会が
開催されています。
通常は特別展コーナーが設けられるのですが、今回は、エドワード時
代やヴィクトリア時代の絵画、調度品の常設展にまぎれて Peter Ellis
の作品が点在していて、地図を片手にオリエンテーリングのように作
品を探し当てながら鑑賞することができます。
Peter Ellis 展は1月8日まで開催です。

この Lady Lever Art Gallery は National Museums Liverpool
( http://www.liverpoolmuseums.org.uk/ )のひとつです。
元々は、ユニリーバ(編注: Unilever 。世界的な企業です。日本では
おなじみ「日本リーバ」ですね)の前身である Sunlight Soapを築き上
げた Leverhulme 卿の邸宅だったそうです。
ギャラリーの周辺には、かつての従業員の宿舎が立ち並んでいるの
ですが、いわゆる単なる社宅ではなく、本当に可愛らしい家々で、しか
も重要建築物として指定されていて一見の価値ありです。

< Lady Lever Art Gallery インフォメーション>
 Port Sunlight Village, Wirral CH62 5EQ
 Tel: 0151 478 4136
 http://www.liverpoolmuseums.org.uk/ladylever/index.asp


他にもいろいろ展覧会やパフォーマンスなどがあったのですが、今回
は、先々週にお約束していた、Liverpool Music Week についてお伝え
します! ( http://www.liverpoolmusicweek.co.uk )
昨年 T-Rocks という名前で Tea Factory で行なわれたフリー・ミュー
ジック・イベントが、今年は名前を改め、すっかりグレードアップして開
催されました。
8ヶ所の会場で、150組のバンドやミュージシャンによる、9日間にわ
たってのライブ。私が個人的に目をつけたバンドは、ウィガン出身の
VCs 。メンバーそれぞれのキャラが強くてビジュアル的にも面白く、音
はギター、ベース、ドラム、シンセにときどきテルミンまで登場して、ス
ペーシーでひねりのはいったギターポップ。メインアクトに負けない観
客の反応の良さも将来性の高さを示していました。
それと、4日目の The Wombats 。第7号でお伝えした、One Music at
Cavern にも出演していましたが、あれからびっくりするほど上手くなっ
ていました! CDが近々出るらしいので楽しみです。

そしてやはり凄かったのは、言うまでもなく、Liverpool Music Week
Finale …なのですが、その前に…。

話はそれますが、その日はひょんなことから、先にキャバーン・クラブ
に寄ることになりました。Sound of 60's という、マージービートの時代
のミュージシャンによる演奏が聞けるとのこと。
でもそこに着いたらそれらしい音が聞こえてこなかったので、バーのス
タッフに尋ねにいこうとしたら、どっかで見た顔が。
マシュー・ストリート・フェスティバルで会った(というか、ステージまでご
案内させていただきました)Kingsize Taylor さんが飲んでいたので、話
しかけてみました。
毎週日曜日に、60年代にキャバーンで演奏したミュージシャン達が集
まって、ジャムセッションを行なっているそうです。また、キャバーンの
ステージの奥の壁には、60年代当時にキャバーンで演奏したバンドの
名前が書かれているとのことですが、そこには勿論、Kingsize Taylor
さんの名前も確認できます。

ここでは、マージービートやロックンロールのスタンダードナンバー、そ
してスキッフルが演奏されました。
スキッフルについては話ではきいていましたが、実際に洗濯板が楽器
として使われているのを初めて見て少し感動。そしてトリで Kingsize
Taylor さんが登場、貫禄ありました。

そしてその後、Liverpool Music Week をキャッチするため、
Tea Factory に向かい、一杯飲み終わった丁度その頃に、このイベン
トのヘッドライナーである、John Power が登場。
John Power は 80年代末から90年代初頭にかけて、高い評価を受け
ていたにもかかわらず、一枚のアルバムを残して消滅してしまった伝
説のバンド、La's のギタリスト。そしてその後、Cast を結成しボーカル
をとり、ソロ活動も行なっています。

そんなビッグネームがこのフリー・ミュージック・イベントに参加するだ
けでも驚きなのに、ステージが始まってまたビックリしたのが、La's の
ボーカリスト Lee Mavers がドラマーとして登場! 
Lee Mavers は La's を去り、公式の場から一切身を隠してしまい、バ
ンド存続に危機をもたらしましたが、そんな彼が再び姿を表し、10年以
上たった今年の夏に奇跡とも思える La's の復活が果たされ、夢の来
日公演が行なわれて話題になりました。
シークレット・ゲストがいるはきいてましたが、まさかこんな秘密兵器を
用意していたとは!
(ベーシストがかがんだ隙に撮った写真に Lee が奥の方に写ってます)

入場制限にあうほど会場は超満員。こんなに熱気にあふれてしかも至
福な日曜の夜はなかった気がします。そして、60年代から2005年まで
のマージーサウンドという音のトンネルを体験としてくぐり抜けたような
一日でした。

今回のミュージック・ウィークでは、John Power, Ian McNabb,
The Kooks などの名の知れたアクトから( The Stands は解散してし
まったため残念ながらキャンセル)、インディ・バンド、アコースティック、
エレクトロニカ、レゲエ、ヒップホップ、ジャズ、ワールドミュージックなど
幅広く、しかもほとんどが、リヴァプールを拠点として活動するバンドで
構成されていることから、今のリヴァプールの音楽シーンの多様性を
表しています。
ローカルエリアに留まらずに、今度はイギリス国内や海外で(もちろん
日本でも!)リヴァプールのバンドに触れることのできるイベントが展
開されたらいいと思います。

またこの時期に、ジェネレーションもバックグランドも全く異なる3組の
日本人の方々とお会いする機会がありました。興味深いのは、この時
期に共通して、リヴァプールのバンドの足跡をたどるというテーマと、
並ならない情熱をもって渡英し、しかもほぼ同時期にこの場所に集
まったことです。皆さん素敵な方々でした。

改めてこの街が、本気で何かを求める人達を絶妙なタイミングで呼び
寄せてしまう不思議な磁力のある場所であることを再確認しました。本
当なんですよ。

それではまた来週! 

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/goldfish32_photo.htm )


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