―――――――――――――――――――――――――――――― ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ 〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜 ― 連載第38回 「 Out of the Pool 〜 北西イングランドの旅」 ― 恭喜發財(コンヘイファッチョイ)! この日曜日は旧正月でした。 チャイナタウンでのチャイニーズ・ニューイヤーの盛り上がりは年々大 きくなっているようですね。この週末はマンチェスターで過ごしたのです が、そこでもドラゴンダンスを見物する市民や観光客でごった返してい ました。 おそらくリヴァプールも凄かったことと思います。 というわけで突然ミニ・リヴァプール語講座! 「チョッカ」=満員、すし詰め さて今週は、マージーサイドから飛びだして、ビートルズの "A Day In The Life" の中で「4000個の穴がある!?」と歌われた、ランカシャー はブラックバーンに行ってきました。 リヴァプール・ライムストリート駅からプレストン乗り換えで約一時間半 のところにあります。 ブラックバーンでは、火曜日から "Parallel Realities - Asian Art Now" という展覧会が開催されています。これは昨年、アジア21か国、50名 のアーティストが参加した「福岡アジア美術トリエンナーレ」の巡回展 で、欧米では初の開催です。ブラックバーン&ダーウェン市の共同文 化事業である "C21" の一環として招聘されたとのことです。 リヴァプール代表として、「アート・イン・リヴァプール」のイアン・ジャク ソン氏と一緒に、気合いを入れて午前10時半に到着したものの、オー プニング・セレモニーは午後5時半からと知らされて、一日どうしよう! と一瞬不安になりましたが、市内10ヶ所に点在する作品をゆっくり鑑 賞したり、ビジターセンターの雰囲気のいいカフェ Rhubarb でのんびり とランチをしたり、ひょんなことから、滞在して制作活動をしている日本 人アーティスト、山口啓介さんのお手伝いさせてもらったりして、思い 掛けなく非日常から離れた楽しい日帰り旅行となりました。 山口さんは2作品、木版による『DU チャイルド』と生花と樹脂の入った カセットケース「カセットプラント」で作る『ミュージアム・ガーデン』という オブジェを出展していました。 『ミュージアム・ガーデン』は、Waterloo Pavillions という会場のガラス 張りの壁をカセットプラントで埋めつくすというものです。 この作品は、ノアの箱舟の植物版、そして映画『ジュラシック・パーク』 で琥珀に封印された蚊からアイデアを得て作られたもの。石造りでガ ラス張りの建物に小さな庭を持ち込むことで、無機質な空間がオーガ ニックに変化していくのを感じてもらい、また人々を閉塞感から解放で きれば、という思いが込められています。 制作は月曜日からスタートし、これから一ヶ月間かけて完成させるとの ことです。その間プロセスが見れるのがおもしろいですし、また完成品 を見るのが楽しみです。 メインの会場となったブラックバーンの美術館ですが、驚いたことに、 日本の浮世絵や着物などが数多く展示されています。 「なぜブラックバーンに?」ときいてみたところ、ブラックバーンはかつ てより綿業が盛んで、日本の浮世絵に描かれた着物の柄などに深い 関心をもったことから、コレクションが始まったとのことでした。 夕方のオープニング・セレモニーには、福岡アジア美術館の顧問、安 永幸一氏も出席され、今回の展覧会もブラックバーンからの熱心な呼 びかけにより実現したとおっしゃっていました。 アジアとひとくちにいっても、東は日本から西はインドやパキスタンま で広範囲で、作品のカラーも多岐にわたります。 Blackburn Museum & Art Gallery に入ってまず目に止まるのが、タイ 人アーティスト、タウィーサック・シートンディーの "Hero" 。 そして、思わず20分程しゃがんで見入ってしまった韓国人アーティスト、 ハム・ジンの作品 "Encounter" 。一見単なる白い部屋に虫メガネが ひとつ置いてあるだけで、まだ準備中なのかなあ、と思って退散しよう としたら、なんと壁の下部をぐるっと囲うように展示された極小のミニ チュアの数々。今にも動きだしそうです。 そして、会場を移して、Old Halifax Building で展示されていた、中国広 州出身のツァオ・フェイの "Public Space; Give Me a Kiss" 、Fat Boy Slim の "Praise You" を彷佛させるようなちょっと宗教的なほどにハッ ピーなおじさんのダンスがツボにはまってしまいました。ホームページ でも見れます。http://www.caofei.com/caofei/videos.htm パキスタンのアーティスト、ラシッド・アーラ作品、"Identical Views" は、 遠目に見ると、群集が上を眺めているシーンを部屋の角を境に左右 対称に置いた写真のようですが、近づいて見ると、色の異なる映画の フィルムが、気が遠くなるほど細かくモザイク状に敷き詰められてでき ています。 他にもいい作品が沢山展示されています。詳しくは、C21の情報サイ ト、 http://www.c21.tv/(英語のみ)と福岡アジア美術トリエンナーレの 公式サイト、http://faam.city.fukuoka.jp/ をご覧下さい。 2008年の Capital of Culture の年あたりに、リヴァプールにも巡回し てほしいですね。 「福岡=日本のリヴァプール」的なつながりもありますし。。。(こじつけ が苦しい?!) この展覧会は、4月9日まで。山口啓介さんの滞在制作は2月の半ば まで続きます。 < Blackburn Museum and Art Gallery > Museum Street, Blackburn BB1 7AJ 電話: 01254 667130 開館時間: 火曜日〜土曜日 午前10時〜午後4時45分 (会場によって時間が異なりますので注意) 話はリヴァプールに戻って、水曜日に、 3345にて新しい隔月発行のフ リーマガジン、"Just Liverpool" の創刊パーティーがありました。 4月からはウェブ上( http://justliverpool.co.uk/ )でも見れるようにな るそうです。パーティーでは、創刊号にも特集されているリヴァプール のバンド The Strawl が演奏しました。 30日の月曜日にはリヴァプールで超目玉イベントがあります。今は秘 密ですが、来週号で。 それではまた! ウエダミナコ ( Special thanks to Atsuko-san!! ) (この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ だより」ページに掲載しています。 http://scousehouse.net/magazine/goldfish38_photo.htm ) ―――――――――――――――――――――――――――――― |