November 22 2005, No.226
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     リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2005年11月17日〜11月19日>
 ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▼「利物浦日記(2005年夏)」
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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ミナコさんの「ゴールドフィッシュだより」が、今週で30回目を迎えまし
た。
第1回は「NLW No.193」で、今年3月15日の発行でした。
途中ちょっとだけ中断はありましたが、およそ8ヶ月間も毎週毎週、あ
のイキオイのある独特の文章と写真でリヴァプールの「今」を伝え続け
て来てくれたわけですね。

「ゴールドフィッシュ」のちょっと前には、ハレルヤさんのエッセイ「僕の
リヴァ日記」の連載がスタートしています。
振り返ってみるとだいたいあの頃からですね、それまではマイペース
だった「スカウス・ハウス」が、激しい渦に丸呑みされたようになったの
は。今でもまだぐるぐる回っているような気がします…。
でも、面白いですね。「縁」とか「出会い」の不思議さを感じます。

そういえば、ミナコさんがこのNLWに登場したのと時期を同じくして、リ
ヴァプールFCもあれよあれよとチャンピオンズ・リーグを勝ち上がりま
したね。
ミナコさんに観戦に行ってもらった準々決勝のユヴェントス戦、準決勝
のチェルシー戦では、いずれもレッズ不利の下馬評をひっくり返しての
見事な勝利。さらにその勢いで、イスタンブールでの決勝ではあの奇
跡的な大逆転優勝。
…もうほんと、僕だけでなくて、リヴァプールFCもミナコさんに感謝しな
いといけないんじゃないかと思ったりします。

しかしですね、ここで心配ごとがひとつ。
明日(23日)、アンフィールドでチャンピオンズ・リーグのレアル・ベティ
ス戦が行われます。
この試合に引き分け以上の結果を残すと、最終戦を待たずしてレッズ
の決勝トーナメント進出が確定します。
しかし、もしも負けるようなことがあれば、一転して暗雲です。グループ
リーグ敗退の可能性がむくむくと顔を出してきます。

どうしても負けられないこの一戦、僕はミナコさんに応援に行ってもら
おうとチケットを用意しました。当然です。
もちろんミナコさんのそのつもりで気合じゅうぶんだったのですが…な
んと直前になって、ばたばたとアート関連のイヴェントが3つ飛び込ん
できたそうなのです。もしかするとミナコさんはアンフィールドに行けな
いかもしれません。
この大一番に勝利の女神が不在なんて…う〜ん困った……。

まあとにかく、とにかくです。
みなさん、これからもミナコさんの活躍に期待しましょう!

                           ― Kaz (22/11/2005)


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▼リヴァプール・ニュース <2005年11月17日〜11月19日>
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*** 11月17日(木) *******************************

【ワン・ツー・フィニッシュ】
リヴァプールの助産婦2人が、見事に全国一位と二位の賞に輝きまし
た。

リヴァプール・ウィメンズ・ホスピタルに勤めるカーメル・モーハンとマ
リー・ハリスは、British Journal of Midwifery 誌が選ぶ Community
Midwife of the Year Award の、最終候補3人の中に入りました。
そしてロンドンで行われた豪華なセレモニーで、カーメルが最優秀賞、
マリーが第二位で表彰を受けました。

助産婦歴34年のヴェテラン、カーメルはこう語っています。
「こういう場に呼んでいただけてとても光栄に思います。賞までいただ
けるなんて。でもこれは私だけがいただく賞だとは思っていません。リ
ヴァプール・ウィメンズ・ホスピタルの助産婦全員に贈られた賞だと
思ってます。私たちは『チーム』なんですもの」

一方のマリーは、妊婦へのドメスティック・ヴァイオレンスや幼児虐待、
主婦の自立に関するプログラムに携わり続けています。
「自分の仕事が大好きなの。ちょっと他では経験できないようなワンダ
フルな機会をいくつも与えてもらってるわ」

リヴァプール・ウィメンズ・ホスピタルの産婦人科のダイレクター、リズ・
クレイグはこう話しています。
「私どものスタッフが全国的なレヴェルであると認められて、これほど
の権威ある賞を受けたことは、この上ない喜びです」
「1人ではなくて2人、それもトップの賞だなんて、素晴らしく名誉なこと
ですね。チーム全体が、カーメルとマリーの受賞を誇りに思っています
よ」


*** 11月18日(金) *******************************

【ミュージック・ウィーク!】
9日間にわたって開催される音楽フェスティヴァル『リヴァプール・
ミュージック・ウィーク2005』が、この日曜日(20日)からスタートしま
す。

メイン会場となる Tea Factory を筆頭に、 Picturehouse at Fact 、
Barfly 、Bar Hannah 、Metropolitan 、Quiggins 、the Zanzibar Club 、
そして Korova と、現在のリヴァプールのカルチャー・シーンを代表す
る8つのバーやクラブが会場となります。

予定されているライヴ演奏の数は、合計150にものぼります。
その中には、The Stands や The Kooks 、The LA's の John Power 、
Ian McNabb といったメジャーなアーティストやバンドも含まれています。

Tea Factory では、金曜日にはワールド・ミュージック、土曜日には
R&Bとヒップ・ホップ、そしてポップ・ミュージックをミックスしたライン
ナップが予定されています。

またFACTでは期間中、音楽映画がシリーズで上映されます。

昨年の「ミュージック・ウィーク」は、8日間で90のライヴが行われ、お
よそ8000人の音楽ファンを動員しました。

プロジェクトのダイレクター、マイク・ディーンはこう話しています。
「ちっちゃなレコード・レーベルから伝説の大御所まで、この街の音楽
に関係する何もかもを巻き込んじゃいますよ。リヴァプール・ミュージッ
ク・ウィークは、毎年11月にこの街の業界が団結して開催するイヴェ
ントなんです」


*** 11月19日(土) *******************************

【ジョンの母校の危機】
ジョン・レノンがかつて学んだ校舎を救うための運動が始まりました。

ジョン・ムーアズ大学(JMU)は、2300万ポンド(約47億8000万円)
を投じて、メトロポリタン大聖堂の横に新しくアート&デザイン・アカデ
ミーを建設する計画を進めています。
それにともない、現在ホープ・ストリートに所有している4つのビルディ
ングを売却する方針です。2008年に完成を目指す新しいセンターが
すべてを統合するため、古いビルディングは必要がなくなるためです。
しかし、その4つの建物のうちのひとつが、ホープ・ストリート68番地
にあるビルディングで、ジョン・レノンが通った元「リヴァプール・カレッ
ジ・オブ・アート」なのです。

文化財保護の専門家たちは早速、JMUの学長に対して、このビルディ
ングの売却中止と今後についての話し合いを求めました。

「リヴァプール・ヘリテイジ・フォーラム」のチェアマン、アンドリュー・ピ
アースはこう話しています。
「このビルディングが売却されてしまったら、リヴァプールのアーティス
ティックな評判は深刻なダメージを受けてしまいますよ」
「この件は、この街の印象を決定づけてしまうほど重要だと個人的に
は確信しています。特に今は、キャピタル・オブ・カルチャーや、市の
700周年を控えていることですしね」

現在このビルディングには、フラットに改装したいというオファーが来て
いるそうです。
しかしピアース氏は、もしそうなればこのビルディングにとっての悲劇
だと言います。
「この特別なビルディングは保存されるべきです。将来の学生たちに
いい見本を残してやらなければ」

JMUのスポークスマンはこうコメントしています。
「ホープ・ストリート68番地の売却については、まだ決定したというわ
けではありません」
「これからの教育には何が最善の方法かをアート&デザイン科のス
タッフとディスカッションを重ねなくてはなりませんし、リサーチやビジネ
スのコンサルタントを受けたりもします。それからということになります
ね」
「このビルディングに限らず、JMUには、あまり感傷的に対処する余裕
はないんです。それにホープ・ストリート68番地では最早、現代の学
生のハイ・スタンダードな要望に添うことはできないのです。残念なが
ら」
「大学にとっても、リヴァプール市にとっても、これからもずっとスペシャ
ルなものであることに変わりはありません。今後どのような形で使わ
れるにせよ、このビルディングはキー・ランドマークであり続けるでしょ
う」


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ
             〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜

  ― 連載第30回 / 「ゴールドフィッシュだより30号!」 ― 

みなさんこんにちは。
今週のリヴァは晴れの日が続いていますが、水たまりが凍るほどの寒
さです。
最低気温は思いっきり零下です。これまで帽子などアクセサリーくらい
にしか考えてませんでしたが、さすがにこの寒さになると、機能的に必
要かも? と再確認する今日この頃です。

「ゴールドフィッシュだより」も、あっという間に30号! 
ここで見たもの、さまざまなイベント、出会った人達からいっぱいパ
ワーを受けて、これをなにかの形にできないかなあ、と漠然と考えてい
たところに、この連載のお話が舞い込んできたわけですが、このネタ
のつきないリヴァプールという場所と、写真の被写体となる出来事とそ
して人々に助けられて、ほんとうにあっという間の30号でした。
地元のリヴァプールの人達の中でも写真をチェックしているようで、な
んともウレシイことです。もっと日本、リヴァ両方で親しまれるような
ページにしていけたらと思います。今後ともよろしくお願いします!

今週のリヴァプ−ルはとにかく寒くて、新居でまったりしたいなーという
誘惑にかられながらもがんばって外出して見てきたことを書きます。
まずは、街の様子ですが、St. Luke's Church を中心とした、Renshaw
Street 、Leece Street 、Berry Street の交差点の Big Dig (大舗装工
事)が終わり、白とオレンジのバリケードが取り外され、散髪屋から
帰ってきたかのように、こざっぱりと広々とした風景に様変わりしまし
た。

日曜日には、St. George's Building の前で、Christmas Lights Switch-
On というセレモニーがありました。
この日からクリスマス・イルミネーションがライトアップされるというもの。
私が行ったときは、Radio City のDJ、Kev Seed の司会で、Perfectly
Frank という地元でも有名なフランク・シナトラのそっくりさんがクリスマ
ス・ナンバーを披露、そしてエヴァトンの Tim Cahill と、リヴァプールFC
の John Arne Riise が登場しました。それぞれの選手が出てくるとき
に、リヴァプール・ファンとエヴァトン・ファンの歓声とブーイングが入り
交じって聞こえてくるのがまたリヴァプールらしい。。。
最後までいなかったので、実際のライトアップの瞬間は逃しましたが、
今日あたり散歩がてらイルミネーションを見に行こうかなと思ってます。

その足で、同じく日曜日からスタートした、Liverpool Music Week 2005
( http://www.liverpoolmusicweek.co.uk ) をちらっと見に、Tea Factory
へ向かいました。日曜日の夜にしてはまずまずの人の入りでした。
行った時間が始まって間もなくだったので、アコースティック中心のメ
ローなシンガー、バンドが主でした。
残念ながら2〜3アクトだけ見て帰らなければならなかったので、多く
は語れませんが、このイベントについては、もっといろんなバンドを見
て改めてお知らせします。

なぜそんなに駆け足だったかというと、そのあと友達を招いてのロース
ト・ディナーを食す会があったため。フラットメ−トがサンデー・ロースト
を作ってくれたのです。
暖かい部屋で、歯ごたえのなんとも言えなくいいナッツ・ローストに舌
鼓をうち、楽しい週末を締めくくりました。皆さんに召し上がっていただ
けないのが残念ですが、ホントに美味しかったです。
(写真を撮り忘れてしまいました。すみません。。。)

ほかに今週あったこと。
話が前後してしまいますが、木曜日に、12月に取り壊される予定の
Polished T の旧ギャラリースペースで、『 55ROOTS 』という展覧会の
オープニングがありました。
ウィンター・ストリート・ウェアの 55DSL というブランドと、レゲエ、ルー
ツ・ミュージックが中心の Trojan Records が主催するイヴェントです
(先週お伝えしたクレージー・ゴルフとはまた別イベントです)。

この展覧会には、6人のアーティストの作品が展示されていますが、こ
のなかになんと、Dragon さん、そして Shibuya さんという2人の日本人
アーティストが選ばれて出展しています。
この日のメイン・アトラクションは、なんといっても Dragon さんによる壁
画のライブ・ペインティング。日本人でここまで単なるスタイルだけでな
く、ルーツの魂まで表現できちゃうのはすごい稀だと思います、本当
に。その壁画の背景には “ICHIGOICHIE DEAIHA MEGURU” とニッ
ポンの心もメッセージも描かれています。
写真右側がアーティストの Dragon さん、左がマネージャーの Miki さん
( www.dutchuncle.co.uk )です。
この展覧会は11月28日までですが、Dragon さんの壁画はこの建物が
取り壊されるまで残りますので、是非見にいってみて下さい!

あとは、ピアヘッドに、“Beyond the Irish Sea“ という名のオブジェが
アップされました。
これは、Inigo Manglano-Ovalle による作品で、本物の氷山のサイズの
データをもとに、スケールダウンして作ったものだそうです。てっぺんに
は風見鳥が回っています。来年の2月10日まで展示されるそうです。

それではまた来週!

ウエダミナコ


(この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ
だより」ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/goldfish30_photo.htm )


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▼「利物浦日記(2005年夏)」7
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「利物浦日記(2005年夏)」 / Kaz

第7話 <マシュー・ストリート・ギャラリー>

マシュー・ストリートの「マシュー・ストリート・ギャラリー(以下MSG)」で
は、2000年から毎年、「ビートル・ウィーク」の期間にあわせてエキシ
ビションが企画されてきた。

00年はクラウス・フォアマン展、01年はアストリット・キルヒヘア展、
03年はジョージ・ハリスン展、そして03年と04年はロバート・ウィタ
カー展。

どれもが本格的で素晴らしいエキシビションだったが、さらに嬉しいこと
に、MSGは毎回そのアーティスト本人を招待し、我々ファンとの交流の
場を提供してくれていた。
クラウスとアストリットとボブからは、アーティストとしてのオーラを強烈
に感じたし、ジョージのお姉さんルイーズは、まるで「お母さん」みたい
などっしりした安心感を漂わせていた。

彼ら、彼女らと言葉を交わしたり、握手をすることができただけで、
(ああリヴァプールへ来てよかった)
と、しみじみと感動したものだ。

ライヴとパーティーに偏りがちだった「ビートル・ウィーク」に、アートとい
う新風を吹き込み、アカデミックなファン層を惹きつけて来たのが、
MSGなのだ。

しかし残念なことに、MSGは今年4月2日に閉館してしまった。
このNLWでもクローズのニュースを伝えたり、マネージャーのメリッサ
のインタヴューを掲載したりした。
本当に残念で、「マシュー・ストリートのオアシスのようなスペースだっ
た」と、「フロム・エディター」の欄に書いたことを覚えている。


さて、今夏のリヴァプール。
(ビートル・ウィークに来てMSGを観ることができないとは、実に寂しい
もんだなあ)
ため息をつきながら、僕はマシュー・ストリートに向かった。

「ビートルズ・ショップ」でジェイミーと話しているときに、ふと思いつい
て、「アン=マリーはどうしてる?」と訊いてみた。アン=マリーというの
はMSGのスタッフで、古くからの友人だ。

「アン=マリー? 上にいるよ」
とジェイミー。
「うえ? 上って、ギャラリーか? クローズしたんだろ?」
「ん? ああ、ははは、開いてるよ」
「にゃに? またオープンしたの?」
「おう。といっても今だけだけどね」

あわてて外に出て、ギャラリーへの階段を登ってみると、うわあほんと
だ、ちゃんといつも通りの姿で開いている。
そればかりか、しっかり新しいエキシビションを開催中だった。

“Salvador Dali meets The Beatles - The Photographs of Robert
Whitaker”

ビートルズの専属フォトグラファーだった、ロバート・ウィタカーさんのエ
キシビションだ!
ダリとビートルズをセットにした写真展か…なんだかすごいな。ポス
ターでは、ダリの口の中にビートルズの4人を無理矢理詰め込んで、
「ミーツ」を表現(?)している…。かなり強引だけどインパクトがあって
面白い。

アン=マリーと再会のハグを交わし、おめでとうと言う。
「ありがとう。でも2週間だけなのよ。これが終わったら閉めるわ、残念
だけど。そうそう、Kaz 、ラヴリーなお花を贈ってくれてありがとう」
少し寂しそうだけど、いつものチャーミングな笑顔だった。とりあえず今
年も彼女に会うことができて嬉しかった。


そしてその数日後、マシュー・ストリート・フェスティヴァルの日。
スカウスハウス・ツアーのお客さんと一緒にMSGを訪ねると、なんとそ
こにボブ・ウィタカーさんがいた。
事前にアナウンスはなかったし、コンヴェンションの会場でもボブさん
は見かけなかった。臨時オープンなんだから今年はゲストを招待する
のはやっぱり難しいだろうな、などと勝手に思い込んでいたので、びっ
くりしてしまった。
ちゃんとこの日のこの時間にここを訪れるなんて、我々はなんてラッ
キーなんだろう。

早速、みんなでボブさんを囲んでサインや記念撮影をお願いすること
にした。もちろんボブさんは気さくに応じてくれた。
そしてこの後に、信じられないほどのマジカルな瞬間がやって来る。
なんと、我々スカウスハウス・ツアー一行は、ボブ・ウィタカーさんに写
真を撮ってもらってしまったのだ。

スカウスハウスのお客さんに、少しマニアックなタイプのカメラを持って
いる方がいた。
そのKさんのカメラに大いに興味を示すボブさん。
「ファンタスティックなカメラだ。日本製だな」
そう言うと、Kさんからカメラを受け取っていろいろといじくりだした。

「雨の中で使ったんだろう? ずいぶん汚れてる。…ほら、こうやって
拭くだけでずいぶん違うぞ」
レンズを外して、自分のシャツできれいに拭き掃除をするボブさん。
レンズはきれいになったが、ボブさんはまだカメラを離さない。よほど
気に入ったのだろうか、無言でファインダーを覗いたり、ピントを合わ
せたりしている。

(ど、どうなるんだろ…)
緊張して見守る我々スカウス組。
もしかしてボブさんは、このカメラで写真を撮ってくれるのだろうか。
それとも、Kさんがいいコンディションで使えるように、調整してくれてい
るだけなのだろうか…。

「じゃあボブさん、ついでに1枚撮ってくださいな」
と、喉元まで出かかったけれど…さすがにちょっと言えなかった、恐れ
多くて。プロの、しかも伝説のカメラマンといってもいい大御所に向かっ
て、気軽に「撮って」とはなかなか言えるものではない。

しかしボブさん本人には、そんな気負いはないようだった。
ひとしきりカメラをいじった後、ようやく顔を上げて、一言。
「さ、みんな寄って寄って」

その瞬間、全員が喜びを爆発させた。
「うおー」とか「イエー」とか、もうみんなで狂喜乱舞。
誰もがコーフンを抑え切れず、天にも昇るような気分のまま、ボブさん
が放つシャッター音を聞いた。
ロバート・ウィタカー氏に撮影されるという、まさに想像を絶するシチュ
エーション…今でも信じられないくらいだ。
後日Kさんに写真を見せてもらったが、全員、湯気が出そうなほどホッ
トな表情で写真に納まっていた。これほど「嬉しい」という感情がスト
レートに伝わってくる写真もないと思う。


臨時とはいえ、マシュー・ストリート・ギャラリーがオープンしていたこと。
そこで思いがけずボブ・ウィタカーさんに会えたこと。
そして、なんとボブ・ウィタカーさんに写真を撮ってもらったこと。

まったく、これだから「ビートル・ウィーク」はやめられない。
毎年必ず、思いもかけないところから突然、マジカルなハプニングが
やって来る。

最大のマジカルを呼びよせたKさんと、Kさんのカメラに感謝!!

(利物浦日記7・おわり)


(この原稿に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW フォト・アルバム」
ページに掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo226.htm )


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▽スカウスハウス・ニュース
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*** 通販予告「英国盤レコード <アルバム>」 ******

今週中に、新しい通販ページをアップする予定です。
ビートルズの英国オリジナル盤を中心に、貴重なアルバムを集めまし
た。どうぞご期待ください。


*** フットボール・チケット手配 ******

「スカウス・ハウス」では、リヴァプールFCおよびエヴァトンFCの、ホー
ムゲーム観戦チケットの手配を承っています。詳細は、ウェブサイトの
「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/football/stadium.htm


*** 語学留学生募集中 ******

「スカウス・ハウス」では、リヴァプールへの語学留学をサポートしてい
ます。
最短で1週間の短期留学から長期留学、夏期休暇コース、さらには最
近人気のホームステイ留学など、幅広く対応しています。
詳細については、ウェブサイトの「語学留学案内」ページをご覧くださ
い。
http://scousehouse.net/study/index.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

「スカウス・ハウス」では、リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの
地を訪ねるガイドツアーをアレンジします。
ガイドはもちろん現地在住の日本人。レギュラー・ツアーのほか、
ちょっとマニアックなツアーも用意しています。また、ご希望により、プ
ライヴェート・ツアーのアレンジも承ります。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/info.htm


*** 原稿募集中 ******

「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して
います。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/goldfish30_photo.htm


*** 今週のフォト・アルバム ******

「ゴールドフィッシュ」以外の原稿にちなんだ写真は、「NLW フォト・アル
バム」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo226.htm 


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□■ 第226号 ■□

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 ◇編集 山本 和雄
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