January 10 2006, No.233
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■ *** http://scousehouse.net/ *** □■ INDEX ■□ ▽フロム・エディター ▼寄稿:「 Football の旅」 ▽寄稿:「 Liverpool vs Newcastle 」 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ▽スカウスハウス・ニュース ▼今週のフォト ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽フロム・エディター ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「リヴァプール・ニュース」というタイトルのこのメールマガジン。タイトル どおり、リヴァプールの「ニュース」をメイン・コンテンツとしているので すが、なんと今週は、その「ニュース」のコーナーがありません。 これはもちろん僕の責任で、もう全然時間がなくて、どうしても原稿を 用意することができなかったのです。すみません! 新年早々あやまらなくてはならないというのも情けない話ですね…来 週はがんばります! というわけで「リヴァプール・ニュース」はお休みですが、その他のコー ナーは充実しています。 おなじみの「ゴールドフィッシュだより」に加えて、2本の寄稿をお届け します。 まずは、下村えりさんの不定期連載「 Football の旅」。これが第4回と なります。今回は、昨年大晦日に行われた「マンチェスター・ユナイテッ ド対ボルトン・ワンダラーズ」の観戦レポートです。いつもながら、単な る試合のレヴューにとどまらず、両チームの歴史やこの試合に至る背 景を分かりやすく紹介してくれています。 さすがえりさん、ありがとう!! そして観戦レポートがもう1本。 こちらは、トム・カルダーバンクさんによる「リヴァプール対ニューカッス ル・ユナイテッド」。 昨年のボクシング・デイ(「ボクシングをする日」ではなく、クリスマス翌 日である12月26日のこと。英国の祭日です)にアンフィールドで行わ れた一戦です。 マイケル・オーウェンが、レッズを離れて以来、彼が初めてアンフィー ルドに帰って来る試合。これは何としてもこのNLWでレポートをお届け しなければと思い、僕がチケットを用意してトムさんにお願いしたもの です(同時に写真もお願いしていたんですが、残念ながらデジタルカメ ラのバッテリー切れだったそうです…)。 こちらも素晴らしいレポートになりました。Thanks a million, Tom-san!!! ― Kaz (10/01/2006) ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽寄稿:「 Football の旅」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「 Football の旅」 〜Vol.4 Premiership - Manchester Utd VS Bolton Wanderers, at Old Trafford, 31.12. 2005 / 下村 えり(Eri Shimomura) 【 まえがき 】 NLWをご覧の皆様へ、明けましておめでとうございます。 昨年中は私の拙いレポート(「フットボールの旅」と「リアルエールのす すめ」)を読んで戴いた事を感謝すると共に、2006年が平和に満ちた 明るいニュースの聞ける一年になります様にと、心から願っています。 今年も、スカウスハウス共々どうぞ宜しくお願い致します。 少し堅苦しい挨拶になってしまいましたが、早速今年の「フットボール の旅」のキックオフです。 今年一番最初のレポートは、それに相応しく、イングランド北西の大御 所マンチェスター・Utd と、日本代表・中田(英)が移籍するボルトン・ワ ンダラーズの対戦です。昨年最後の白熱した試合の模様をお届けい たします。 もうすでにバイアスのかかった発言が出ている私。前にも申しました様 に、マンチェスター・Utd をサポートして13年(…何故にリバプールに住 む??)です。今日は少しだけ偏ったレポートになってしまいそうな気 がしてなりませんが、どうぞ最後まで石を投げないでお付き合い下さ い。 【 2005年12月31日・大晦日 】 年も押し迫った2005年大晦日。この日は、カレンダーではしっかり土 曜日、ということはつまり、「フットボールの日」。 イングランドのみならず、ヨーロッパを代表するチームとも言えるマン チェスター・Utd のホーム、「オールド・トラフォード」へやって来た。 フットボール日和とは行かない、小雨交じりの師走大晦日。それでも 人々の足は全く鈍ることなく、今回も6万7千人、ビッシリ満員御礼の オールド・トラフォードになった。 イギリスのリーグは、他のヨーロッパリーグとは対照的に、人々が休 みを取るクリスマスのこの時期はいつにも増して多くの試合が組まれ、 活気あふれる戦いが繰り広げられる。 フットボールファンにとっては、すこぶるハッピーなことではある。しか し迷惑なのは選手や監督。まずクリスマスを家族と過ごせないし、祝え ない。クリスマスからお正月にかけて休みが全くない。ここ最近は他の ヨーロッパのクリスチャン圏からプレミアリーグに参加する監督や選手 が増えているのだが、まずこの事で文句たらたららしい。 カレンダーにもよるが、大抵クリスマスの翌日のバンクホリデー(12月 26日)に試合、そして元日にも試合が入る(今年は日曜日なので1日 ずらして翌日の2日になった)。いつもの土曜日のゲームにプラスする 形で、これらのゲームを消化しなくてはならないのだ。 今年は24日のイブが土曜日で延期になったものの、12月26、28、31 日、そして1月2日という超過密スケジュールとなった。 なんと8日間に4試合。当然各チームの監督は、適度に選手を休ませ ながら起用せざるを得ず、メンバーの組み合わせやゲームプランに頭 が痛い日々となる。 【 マンチェスター・ユナイテッドの歴史 】 マンチェスター・Utd の始まりは1879年。 Lancashire & Yorkshire Railway Newton Heath の名でスタートした。 1902年に今のマンチェスター・Utd に改名するが、早速財政的に困難 な状態を抱える。それを救ったのが地元醸造業者ジョン・ヘンリー・デ イビスだった。彼からの500ポンドの投資で小さなスタジアムを作り、 次々に有力な選手と契約を交し、1907-8シーズン、1910-11シーズン のリーグ優勝を皮切りに、1909年には初のFAカップ優勝を飾る。これ が、マンチェスター・Utd の輝かしい歴史のスタートである。 戦後の1945年から50年代にかけてはボビー・チャートンなど のビックネームを始めとする選手たちの活躍で、何度もリーグやFA カップの優勝に輝き、ヨーロッパ・カップなどでも上位進出を重ね、マン チェスター・Utd の名をさらに大きく世に広げていくことになる。 50年代に起きた忘れられない惨事として思い出されるのは、1958年2 月、ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップの準決勝のアウェイ戦を終え、 移動中に起きたミュンヘン空港での事故。積雪の悪天候の中、チーム を乗せた飛行機の離陸失敗によって8名の選手が命を失い、2名が 選手生命を断たれてしまった。 主力選手を多く失い、チームの勢いは低下して行くのだが、残された ボビー・チャートンやデニス・ローらの活躍により、マンチェスター・Utd は徐々に活気を取り戻す。55-56シーズン、56-57シーズンと連続で リーグを制覇。57、58年はFAカップでも決勝に進出する。そして60年 代は、昨年11月に59歳で他界した偉大なアイリッシュ・ストライカー、 ジョージ・ベストが大活躍。2度のリーグ制覇に加えてヨーロッパ・チャ ンピオンズ・カップ(現在のヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ)でも悲 願の優勝を飾り、フットボール史に輝かしい足跡を残した。 そして1986年、現在もチームを指揮する Sir Alex Ferguson(1941年12 月31日生まれ)がマンチェスター・Utd の監督に就任する。 【 アレックス・ファーガソン 】 監督就任後、ファーガソンは積極的な補強を行ってチームを強化。 1990年にはFAカップ優勝、翌年はカップ・ウィナーズ・カップで優勝す るなど、目覚しい進歩を続ける。 その次の1992-3シーズンでは、ついに26年間待ち続けたリーグ優勝 にたどり着く。この時期にはかの有名な(悪名も高い)フランス代表、 エリック・カントナをリーズから獲得したほか、ヨーロッパ大会で優勝を 果たしたデンマーク代表のピーター・シュマイケル(永遠の名ゴール キーパー)を迎え、守備に攻撃に更に磨きをかけていく。私自身のド リーム・チームもこの時期だと言えよう! そして90年代半ばからは、下部組織でじっくり育てられた若い選手た ち(ライアン・ギグズ、デイビッド・ベッカム、ポール・スコールズ、ネビ ル兄弟など)が加わり、人気・実力ともにプレミアNo.1のクラブとなっ た。 90年代以降のマンチェスター・Utd は、8度のリーグ優勝と4度のFA カップ優勝を手にしているが、そのハイライトはやはり1999年だろう。 ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの決勝でバイエルン・ミュンヘン相 手に劇的な逆転勝利、見事にヨーロッパ・チャンピオンとなった。この 年はリーグ、FAカップをあわせて3冠に輝いたばかりか、トヨタ・カップ でも南米王者パルメイラスを下し、世界の頂点に立った。 ファーガソンは、人前では絶対に自分のチームを悪く言うことはない。 どんな場合でも選手を庇う監督として知られている。しかし、ひとたび チームの輪を乱した選手に対しては、有無を言わさず切ることも辞さ ない。カリスマ性の有る指揮官である。 しかし輝かしいユナイテッドの歴史にも、ほんの少しだが陰りが見え始 めている。ここ2シーズンはリーグ優勝に届かず、今シーズンはヨー ロッパCLでもグループ・リーグ敗退に終わっている。 そして昨年末、キャプテンのロイ・キーン(アイルランド代表)が突然退 団を表明、セルティックへ移籍する。 またもや少しづつではあるが、ユナイテッドのチームカラーが変わりつ つあるこの頃ではある。 リーグでは今現在2位につけてはいるものの、3位のリバプールとの ポイント差は3、トップのチェルシーとは11ポイントも離されてしまって おり、優勝を目指すにはかなり厳しいといえるだろう。 ファーガソンの64回目の誕生日であるこの日、これ以上は引き分けも 負けもありえない、勝ち続けなければならないプレッシャーに、マン チェスター・Utd は対処出来るのだろうか。 【 ボルトン・ワンダラーズの歴史〜サム・アラダイス監督】 一方、「ビッグ・サム」の愛称で知られるサム・アラダイス(1954年10月 19日生まれ)率いるボルトン・ワンダラーズは、マンチェスター・Utd と 同じイングランド北西部のクラブである。 1874年に地元の青年達や教職員達によって創設されたとあり、最初 は Christ Church FC の名でスタートした。1888年に創設された、世界 初のフットボール・リーグに名を連ねる12チームのうちの1つである。 1877年に現在のチーム名となり、FAカップでは、栄えある第1回優勝 を含めて通算4度制覇。しかしリーグでは未だ一度も優勝はない。 1999年にサム・アラダイス(元ボルトンDF)が監督に就任後は、彼の方 針により、レンタル移籍やフリー・トランスファー等で海外のクラブから 積極的に選手を獲得。少しづつではあるが、確かにボルトンFCは変 わって行っている。 アラダイス就任から2年後に2部リーグからプレミアシップへ返り咲い たボルトンは、昨シーズンには6位というクラブ史上最高位まで達する ことが出来た。 ピッチ外においても、彼は最新のテクノロジーを採用し、スポーツ心理 学、生理学なども取り入れてプレイヤーの健康(体調)や精神状態を 管理している。選手たちがいつも最高の状態でプレー出来る様にと、 最大限の配慮をしているのだ。 今シーズンのボルトンは現在7位と、前シーズンの6位上位を目指す に可能な位置である。今のボルトンは、プレミアシップの中で確かな存 在感を獲得している。今後のサムの働きが益々気になる所である。 【 オールド・トラフォード 】 オールド・トラフォードへは、マンチェスターの繁華街ピカデリー駅から だと、トラム(市電)を利用すると徒歩を含めて30分足らずで到着する。 最高なのは、スタジアムの目の前にも鉄道駅があり、こちらはマッチ の日のみオープンする。観戦には本当に便利である。ちなみに運賃は 往復料金£2.70(約600円)。 午後3時キックオフだったので、町のチッピー(Fish & Chips の店)で ゆっくり腹ごしらえをしてからオールド・トラフォードに行くと、すでに周 辺は凄い人。 この近代的なスタジアムには、エバトンFCやリバプールFCの様なロー カルの匂いや哀愁は無いが、何時来ても素晴らしい造りで、本当にた め息が出てしまう。 この6万7千人入るスタジアムも、又もや増築の計画があるとか。その 目的はシーズンチケット・ホルダーを増やすことらしい。私としては、そ れよりもメンバーが買えるチケットの枚数を増やして欲しいのだが… (メンバーでも手に入れられるチケットはたった1枚なんです)。 大型バスが入って来た。凄い人だかりと警備員。背伸びしてみてみる と、ボルトンの選手達がスタジアム入りしていた様子。しかし人の頭で ほとんど見えなかった。 スタジアムの中へ入ってしばらくすると、選手らのウォーミングアップが 始まった。 中田の顔も観れたが、どうやら彼はサブの様子。マンUサイドも、スト ライカーのファン・ニステルローイはスターティング・メンバーを外れて いた。今日のフォワードは、サハーとルーニー。頑張って〜! 【 Kick Off! 】 3時ぴったりに試合は開始された。 9時間の時差なので、日本はちょうど夜の12時。元旦だ。 きっと皆、おそばを食べながら除夜の鐘を聞きつつ「明けましておめで とう!」と言い合っていることだろう…などと考えつつも試合に注目! ユナイテッドは最初からクリエイティブなフットボールを見せつけ、攻撃 に集中する。そんなユナイテッドに味方したのか、試合開始7分で早々 と1点目が入った。 ギグズのパスをリチャードソンが受け、ゴール前のサハーへボールを 送る。しかしそれを払おうとしたボルトンDFヌゴッティの足に当たり、な んと自らのネットにボールが納まってしましまった。オウン・ゴール、 1−0! ユナイテッドにとってラッキーな1点目であった。 その後もユナイテッドの攻勢は続き、中盤ではクリスティアーノ・ロナウ ドが、素晴らしいフットワークとボール捌きで正確なパスを前線へ供 給。そして前線ではルーニーとサハーがコンスタントなプレッシャーを かけて常にボルトンサイドを脅かす。 しかし、ボルトンも黙ってはいなかった。前半33分、ゴール前左サイド からのMFファイのスローインが、ユナイテッドDFネビルとファーディナ ンドを超えて右サイドまで達すると、すかさずMFスピードがヘディング・ シュート。1−1。試合は振出しへ。 追いつかれたユナイテッドだが、打ちひしがれる様子はまったくない。 いつもエネルギッシュな20歳のルーニーだが、今日のノリはまた抜群 で、ワールドクラスのスキルを次々に見せ付けてくれてた。 今日のパートナーであるサハーに素晴らしいパス。しかしサハーの シュートはボルトンのGKヤースケライネンにブロックされる。 今日のもう一人の主役は、ユナイテッドの21歳、若きポルトガル代表 MFクリスティアーノ・ロナウド。彼のボール捌きはプレミアリーグでも有 名ではあるが、この日は更に磨きが掛かっていた。正確なパスや素晴 らしいドリブルにはもう非の打ち所が無い。ギグズのクロスを上手くあ わせてボレーシュートを放つが、惜しくもポストを叩く。 ユナイテッドの集中攻撃から、2点目が生まれた。 またもやボルトンのディフェンスのミスによるものだった。 前半44分、ユナイテッドGKファン・デル・サールからのキックを、ボルト ンDFハイムが安易に味方GKに返そうとした時、それを予知していた サハーがボールを奪取、素晴らしいタッチでボールを運び、サハーに とって今シーズン初ゴールが決まる。2−1。 ユナイテッドのリードで迎えた後半であったが、ユナイテッドの攻めは 弱まるどころか、更に熱を帯びてきた。 クリスティアーノ・ロナウドが左足ロングシュートで又もやポストに当て る。 しかしその5分後、ルーニーの見事なパスを上手に拾ったクリスティ アーノ・ロナウドは、目の前のゴールにシュート。今度は上手に決めて 3−1。 80分を過ぎると、安心しきったのか、早々と家路と急ぐユナイテッドサ ポーターもいた。私の周りでも次第に空席が出来ていく。 しかし試合はまだ終わっていなかった。 終了直前、MFフレッチャーに代わって入っていたMFピケと、サハーに 代わって入っていたファン・ニステルローイが、インサイドボックス手前 でパス交換。そしてフリーのクリスティアーノ・ロナウドにパス。クリス ティアーノ・ロナウドが絶好調のフットワークを生かしてボルトンDFガー ドナーをかわしてシュート。4−1。これで試合終了。 【 あとがき 】 少々私情の入った今回のレポートになってしまったが、言い訳をさせ てもらうと、今日の試合は、誰が観戦してもユナイテッドの素晴らしさを 感じてもらえるものだったと思う。 残念ながら、今日のボルトンの攻撃にはアイデアが無さ過ぎた様だ。 インサイドボックスにボールを運ぶまでにマンUのディフェンス陣に遮ら れたし、パスも上手く繋がらなかった。試合の60%はマンUサイドに ボールが渡っていた。それでも守備が強固であればよかったのだが、 ミスが多く、それが4失点という結果につながってしまったと思われる。 4−1という一方的な試合ではあったが、フットボールファンにとっては 決して退屈しない、スキルフルなゲームであった。 なんと言っても、マンUサポーターにとってはこの上なく幸せな年の瀬 になった。もちろん、64歳になったファーガソンへの素敵なバースデー プレゼントになったことは確かだろう。 しかし、年明けの1月3日に行われたこの次のゲーム、対アーセナル・ アウェイ戦は、残念ながらスコアレス・ドローに終わってしまった。 終了後にファーガソンはこう語った。 「今シーズンのチャンピオン争いは終わった」 どうやらこの先は、リバプールとチェルシーがチャンピオンの座を巡っ て争うことになりそうだ。 リバプール頑張れ!! (おわり) <マッチ・データ> Premiership 05-06 Manchester United Vs Bolton Wanderers 31 Dec 2005, Kick off: 15:00, Full Time Score: 4 - 1 Team Line-ups: Manchester United Van der Sar, Neville (c), Ferdinand, Silvestre, Richardson, Ronaldo, Fletcher (Pique, 85), O’Shea, Giggs, Rooney (Park, 79), Saha (Van Nistelrooy, 72). Subs not used: Howard, Bardsley. Bolton Wanderers Jaaskelainen, N’Gotty, Ben Haim (Vaz Te, 46), Gardner, Nolan, Speed, Stelios (Fadiga, 75), O’Brien, Faye, Davies, Okocha. Subs not used: Walker, Jaidi, Nakata. Attendance: 67,858 Man of the match: Rooney(Manchester Utd) ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽寄稿:「 Liverpool vs Newcastle 」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ Liverpool vs Newcastle マッチ・レポート / トム・カルダーバンク 〜 Liverpool vs Newcastle United, at Anfield, Boxing Day, 2005 〜 text; Tom Calderbank translation; minako & Kaz ジャパン、ウィー・ラヴ・ユー。横浜でワールド・クラブ・チャンピオンシッ プのファイナルを戦ったことは、我々のチームにとってこの上なく名誉 なことだった。 ゲームに負けたことで後味の苦さは残るけど、でも、これでよかったの かもしれないね。イスタンブールの後の僕らは、なんで勝てたんだろ うって考えさせられた。日本の後では、今度はなんで負けたんだろうっ てもっと考えさせられることになった。どっちも体験できるなんて、イン クレディブルな1年だったじゃないか。 この結果は、チームにポジティヴな刺激を与えてくれると思う。準優勝 のメダルで満足するチームもあるだろうが、我々はそうじゃないから ね。Old Big Ears(チャンピオンズ・リーグ優勝カップ)を死守すれば、 僕らにはもう一度チャンスがやって来る。あの、忘れ物の優勝杯を受 け取るチャンスがね。ラファだってそのつもりだろうしね、きっと…。 さて、今回のMagpies(マグパイズ:ニューカッスルの愛称)との試合は、 いつもどおり厳しい戦いになること必至だった。 ブックメーカーではオーウェンが大人気だ。今の Toons(トゥーンズ:こ れもニューカッスルの愛称)を引っ張っている彼が、この試合でも得点 するとみんな予想しているんだ。なるほどそうかもね、というしかないか な。実力はよ〜く知ってるから。 それに、クラブでの通算200ゴールがかかってるシアラーもいる。手 強い相手が2人もいるってことだよね。 一昨年に移籍して以来、初めてアンフィールドに戻って来たオーウェ ン。スタンドのファンの反応は様々だった。いろんな野次のなかには、 「イスタンブールではどこにいたんだっけ?」なんてのもあったけど、そ ういうのはちょっといただけないよね、どうも。 スタジアムの雰囲気は、いつ行ってもそうだけど、最高だった。 両チームのファンともに絶好調だったな。クリスマス・プディングやホリ デー気分のおかげもあるのかな、ゴキゲンなジョークでいっぱいだっ たよ。 あるファンなんかは、Geordies(ジョーディーズ:ニューカッスルの選手 のこと)に向かって、「ダルグリッシュ!」のチャントを歌ったり(訳注: 選手としても監督としてもリヴァプールの黄金時代を支え、 “King Kenny” と呼ばれたケニー・ダルグリッシュは、ニューカッスルの 監督としてはあまりぱっとした成績を残すことができなかった。そのこ とを当てこすっている)、「はい、負けた人、立ってくださ〜い!」と叫ん だりで、ずっと野次りっぱなしだったな。 まあ公平に見ても、彼らに勝ち目はなかったね、まったく。やる前から 我々の勝ちは決まってたようなものだった。 モリエンテスは最初から生き生きしてたね。ラヴリーなボールタッチや、 素晴らしいドリブルを見せてくれた。 ハリー・キューウェルは、まるで何かを必死で証明しようとしているか のようなプレイだった。シェイ・ギヴン(ニューカッスルのGK)からグレイ トなセーヴを引き出していたね。 そして13分。またしてもスティーヴィー・Gが、僕らの愛に応えてくれた! 1−0。メリー・クリスマス、Mr. G。 27分にはスティーヴン・テイラー(ニューカッスルDF)が肩を脱臼して退 場。代わって屈強なタイタス・ブランブルが登場。しかしこのスタジアム で、敵のファンたちから “Bramble for England! (ブランブルをイングラ ンド代表に!)” と皮肉な大応援を浴びながらピッチに入るのは、プロ フェッショナルのプレイヤーとしては屈辱的なことだったに違いない。 きっとあれは何マイルも向こうまで響いていたんじゃないかな。 ジェラードのフリー・キックがギヴンに弾かれた。彼のおかげで、 ニューカッスルはなんとか持ちこたえているという感じだ。 そして42分が過ぎた時、クラウチが味方の選手たちを押しのけながら ヘディング・シュート。シェイ・ギヴンはセーヴしたものの、回転する ボールがゴールラインを割るのを阻止できず。 これでリヴァプールの2−0。 あれはオウン・ゴールに見えたかもしれないが、そうじゃないよ。彼は 嬉しそうに飛び回っていた。あのゴールはクラウチーのものだよ。 “He's big, he's red, his feet stick out the bed…”(クラウチの応援チャ ント) 後半は前半とまるで同じだった。ノンストップ・リヴァプール。ニューカッ スルもソラノを投入して立て直しを図る。そのソラノが、明らかにPKと なる反則を犯したが、レフェリーは認めなかった。 シアラーたちは、ほとんどチャンスらしいチャンスを作ることができな かった。帰って来たセント・マイケル(オーウェン)にひやりとさせられる シーンはあったが、事なきを得た。 すべてのウチのチャンスは、ジェラードとクラウチが中心になって演出 したものだった。彼らは常に冷静で、随所で光るプレイを見せてくれ た。 我々はペナルティをひとつもらいそこない、さらにガルシアが決定的な チャンスを2度外した。 そして60分が経とうとした頃、ついにやって来た。そう、これが最も伝 統的なイギリス名物、「ボクシング・デイ・ファイト」だ! 毎年この時期になると、僕たちイギリス人はクレイジーになってしまう んだ。みんなちょっと神経がキレてしまうっていうかね。 で、リー・ボウヤーがうちの選手に突っこんで行った途端、誰かが誰か に頭突きを見舞ったりハンドバッグが飛び交うような騒ぎになったとい うわけ。 僕は「放っとけ、スティーヴィー! そいつにかまっても無駄なだけだ ぞ!」って叫んでた。まるで「イーストエンダース」(イギリスのTVシリー ズ)の1シーンみたいだな、なんて思いながらね。 結果、ボウヤーにはレッド、クラウチにはイエローが出た。ちょっと厳し い判定だったね。僕らに有利ではあったけど。 ニューカッスルはこれで10人になった。ラファはフロッドシャム伯爵(シ セ)を投入。ギヴンに再び試練を与えるには絶好のスパイスだ。 それから試合終了まで、リヴァプールの攻撃が続いた。8−0にならず に2−0で済んだのは、シェイがいたおかげだ。彼がニューカッスルの マン・オブ・ザ・マッチだね。だって完全なワンサイド・ゲームだったんだ から、彼しかいないよね。 で、ウチの方はというと、クラウチを抑えてモリエンテスになるかな。ス タンディング・オーヴェイションに値する活躍だった。 毎年試合がぎゅうぎゅう詰めになるクレイジーなこの時期は、選手たち にとっては大変だろうね。でもファンにとってはホントに最高。 あさってのダービー戦も楽しみだ! ( 〜 Liverpool vs Newcastle United, at Anfield, Boxing Day, 2005 〜 text; Tom Calderbank translation; minako & Kaz ) ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」 ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ 「ゴールドフィッシュだより」 / ウエダミナコ 〜 Goldfish Liverpool Update / minako ueda 〜 ― 連載第35回 / 「2006年リヴァプール・パフォームズ!」 ― 明けましておめでとうございます。 良い年明けを迎えられましたでしょうか? 私は、大晦日にセント・ジョージズ・ホール広場で行われた花火を見に 行きました。 昨年のメトロポリタン大聖堂での花火よりもさらにパワーアップして、 音楽に合わせてレーザービームが飛び交ったり、時に炎がボワッと吹 き出たりして、普段は厳ついセント・ジョージズ・ホールが華やかにドレ スアップされた20分でした。 そのあとは、2005年最後の晩餐をベジタリアン・ソーセージ&チップス &ビーンズで締めくくり、デザートにシェリーをすすりながらクリスマス の残りのミンス・パイを頂きました。 さんざん友人たちと、NYEはどこに行くのか、何をするのか、あーだ こーだと話をしていましたが、一旦花火から帰って、ご飯を食べたら すっかりまったりしてしまって、結局日本酒をすすりながら、テレビを見 ながらのファイナル・カウントダウンでした。 European Capital of Culture の年に向け、リヴァプールは、毎年異な るテーマを設定しています。 今年2006年は、「Liverpool Performs (パフォーマンスの年)」です。 ひと口にパフォーマンスといっても、これは音楽、演劇などの舞台だけ でなく、文化、スポーツ、そしてビジネスの3分野を柱としたパフォーマ ンスとのこと。 今年のパフォーマンスは、3月に2週間にわたって行われる 「 Liverpool Performing Arts Festival 」、7月には「 The British Open Golf Championship (全英オープン)」、8月にはもちろん忘れてはなら ない「 Mathew Street Festival 」、そして9月には再び「 Liverpool Biennial 」が帰ってきます。 これらの大規模な公式行事のほかにも、きっとさまざまな面白いイベ ントが出てくるでしょう。2008年に向けてのジャイアント・ステップの年 になるといいなあと期待してます。 今年のLFCも楽しみです。土曜日のFAカップのルートンとの試合も絶 好調でしたね、3点入れられた後に、あっさりと4点入れ返して勝っ ちゃいました。 ただ勝つだけじゃなくて、魅せ方のツボを得た「パフォーマー」ですね。 いい兆候です! ちなみに残りの年のテーマですが、2007年は「 Liverpool's 800th (リ ヴァプール市制800年)」、そして2008年の「 European Capital of Culture(欧州文化首都)」。その後も、2009年環境の年、2010年革新 の年と続きます。 詳しくは、リヴァプール08の公式ウェブサイト http://www.liverpool08.com を見てみてください。 この週末は、マージー川を渡ってバーケンヘッドまで足を伸ばし、閑静 な住宅街にある Williamson Art Gallery and Museum に行ってきまし た。 入り口をはいると、キャビネットには、なぜかトイレのかたちのオブジェ が飾られています。ナゾです。今回の展覧会は、昨年がアインシュタイ ン年だったことにちなんで、『 You Don't Have to be a Genius... 』展。 物理をテーマに、16人のアーティストによる絵画、オブジェ、グラフィッ クなどが展示されいて、イマジネーションやユーモアのあふれる作品 が数多く見られました。 もう一つの特別展では、Gareth & Glyn Davis による『 Sea n Salt 』と いうテーマで主に船をモチーフにした写真とクレヨン&インクの絵画の 展示がされていました。大胆な構図と色使いが印象的でした。 『 You Don't Have to be a Genius... 』展は8日で終了してしまいました が、『 Sea n Salt 』展は今月29日まで続きます。 < Williamson Art Gallery and Museum > Slatey Road, Birkenhead, CH 43 4UE 電話: 0151 652 4177 ホームページ: http://www.wirral.gov.uk/ed/Williamson.htm 入場無料。月曜休館(祝日はオープン) 帰りに小腹がすいたので、バーケンヘッドのシティセンターの方向に向 かって歩いて、Oxton Road にある、Karma(カーマ)に行きました。 ここはこじんまりとしてフレンドリーなカフェ&ジュースバーです。 使っている材料は、オーガニック、フェアトレード。ジュース、スムー ジー、フルブレックファスト、ベイクド・ポテト、スープやケーキなど、す べてホームメイドです。ベジタリアン対応メニューも充実してます。 キャロットケーキがお勧めのようでしたが、まだ出来てなかったので (その時まさニンジンをすりおろしてる最中でした!)、バナナケーキと コーヒーをオーダーしました。おいしかったです! 今度はフルブレッ クファストをトライしてみたいです。 < Karma (カーマ)> 16 Oxton Road, Birkenhead 電話:07940 572 040 営業時間:月ー土10:15am〜4:30pm、日曜11:30am〜3:00pm ミュージアム、カフェともに、最寄りの駅 Birkenhead Park Station から 徒歩15分〜20分とちょっと距離がありますが、途中、ニューヨークの セントラルパークの見本となったバーケンヘッド・パークを通って、散 歩がてら気持ち良く散策してみるのもいいかと思います。 それではまた来週! ウエダミナコ (この連載に関連する写真は、ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュ だより」ページに掲載しています。 http://scousehouse.net/magazine/goldfish35_photo.htm ) ―――――――――――――――――――――――――――――― ▽スカウスハウス・ニュース ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ *** ON SALE NOW !! 「LFCグッズ」 ****** 1月6日に、LFCグッズの通販ページをアップしました。 いくつかのアイテムはすでにソールド・アウトになっています。オーダー はどうぞお早めに! http://scousehouse.net/shop/lfcgoods2006_01.htm *** フットボール・チケット手配 ****** 「スカウス・ハウス」では、リヴァプールFCおよびエヴァトンFCの、ホー ムゲーム観戦チケットの手配を承っています。詳細は、ウェブサイトの 「スタジアムへ行こう!」ページをご覧ください。 http://scousehouse.net/football/stadium.htm *** 語学留学生募集中 ****** 「スカウス・ハウス」では、リヴァプールへの語学留学をサポートしてい ます。 最短で1週間の短期留学から長期留学、夏期休暇コース、さらには最 近人気のホームステイ留学など、幅広く対応しています。 詳細については、ウェブサイトの「語学留学案内」ページをご覧くださ い。 http://scousehouse.net/study/index.htm *** ビートルズ・ガイドツアー ****** 「スカウス・ハウス」では、リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの 地を訪ねるガイドツアーをアレンジします。 ガイドはもちろん現地在住の日本人。レギュラー・ツアーのほか、 ちょっとマニアックなツアーも用意しています。また、ご希望により、プ ライヴェート・ツアーのアレンジも承ります。 ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。 http://scousehouse.net/beatles/info.htm *** 原稿募集中 ****** 「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して います。 旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある いは英国に関するものなら何でも歓迎です。 お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。 ―――――――――――――――――――――――――――――― ▼今週のフォト ―――――――――――――――――――――――――─ NLW □ *** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ****** 今週も、ミナコさんから素敵な写真が届いています。 ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。 http://scousehouse.net/magazine/goldfish35_photo.htm *** 今週のフォト・アルバム ****** 「ゴールドフィッシュ」以外の原稿にちなんだ写真は、「NLW フォト・アル バム」ページをご覧ください。 http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo233.htm ■ NLW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *** 毎週火曜日発行 *** □■ 第233号 ■□ ◆発行 SCOUSE HOUSE (スカウス・ハウス) ◇編集 山本 和雄 ◆ウェブサイト http://scousehouse.net/ ◇Eメール info@scousehouse.net ご意見・ご感想・ご質問など、お気軽にお寄せください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、以下の配信サーヴィスを利用して発行していま す。配信の解除やメールアドレスの変更は、それぞれのウェブサイト からどうぞ。 ◆まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000065878.htm ◇めろんぱん http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=000917 ◆メルマガ天国 http://melten.com/m/5593.html ◇カプライト http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/3487.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無断での転載を禁じます。 Copyright(C) 2001-2006 Scouse House |