January 29 2008, No.329
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NLW ■
         *** http://scousehouse.net/ ***        


□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2008年1月26〜28日>
 ▽寄稿:「リアルエールのすすめ」
 ▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

今週は、「リアルエールのすすめ」を掲載しています。
下村えりさんのこの連載もこれで5回目。今回はマンチェスターのビア・
フェスティヴァルのレポートです。

考えてみれば、マージーサイドを離れてのレポートは、これが初めての
ことです。さすが大都市のマンチェスターで行われるだけあって、これ
までのものよりずっと規模が大きいようですね。今回も実に興味深いレ
ポートになっています。ぜひご覧ください。
ウェブサイトの<NLWフォト・アルバム>ページには、えりさん撮影の写
真を掲載しています。こちらもぜひ!
≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo329.html ≫ 

えりさん、いつもありがとうございます!

● ● ●

先週の「ニュース」で、リヴァプール・セントラル・ライブラリーで始まった
"Another Hard Day's Night" 展についてお伝えしました。
1964年のビートルズのホーム・カミングに焦点を当てたこのエキシビ
ションの写真が、リヴァプールのミナコさんから届きました。
こちらも<NLWフォト・アルバム>ページに掲載しています。
ミナコさん、どうもありがとう!

● ● ●

ついさっき気がついたのですが、今日は僕の母の誕生日でした。
ハッピーバースデイ、かあちゃん!

                         ― Kaz(29/01/2008)


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▼リヴァプール・ニュース <2008年1月26〜28日>
―――――――――――――――――――――――――─ NLW □

*** 1月26日(土) *******************************

【格下にも全力で】
リヴァプールFCのラファエル・ベニテス監督が、26日にホーム・アン
フィールドで行われるFAカップ4回戦への抱負を語っています。
この試合の相手チームは、<ハヴァント&ウォータールービル>で、ノ
ン・リーグのチームです。選手たちはアマチュアで、学業や仕事をしな
がらプレイを続けています。彼らにとってこの一戦は、まさに夢の舞台
と言えるかもしれません。

ベニテス監督の話です。
「楽勝だろうと言われたりもするが、リスペクトは忘れてはいけない。こ
こまで勝ち上がって来た彼らには、それだけの実力があるということ
だ」
「我々は通常のゲームと同じように準備している。ヴィデオを観たし、
彼らのゲームにはスカウトも派遣した。プレミアリーグでいつも戦ってい
る相手と同じようにリスペクトを持って臨む。試合後は一緒に一杯飲も
うか、いつもやってるようにね!」
「勝って当たり前と思われているし、たくさん点を取って当たり前だと思
われている。しかし2点目を決めるにはまず1点目を取らないとね。(3
回戦の)ルートン戦ではそれに44分もかかってしまった」

「今の我々には、成功を望める重要なコンペティションが2つある。この
FAカップとチャンピオンズ・リーグだ。クラブの収益やその他のことを
考えても、非常に重要な大会だ。そして前から言っているように、プレミ
アリーグでも、できるだけ上のポジションを目指す」
「私がここに来た時、誰もがこう言っていた。『このチームが優勝争い
するようになるには、3年かそこらは必要だ』と」
「しかしこの3年間の間で、我々は7つのファイナルに進出し、4つのト
ロフィーを獲得した。我々はかなりいいところまで来ていると思う。しか
し我々はもっと上を目指している。そのためには何をするべきか? 
ハードにトレーニングをすること、そしてすべてのレヴェルを上げること
だ」


*** 1月27日(日) *******************************

【FAカップ4回戦】
26日にアンフィールドで行われたFAカップ4回戦・<リヴァプール vs ハ
ヴァント&ウォータールーヴィル>は、5−2(前半:2−2)でリヴァプー
ルが勝利を収めました。
ノン・リーグのアマチュア・チームであることを考えると、ハヴァント&
ウォータールーヴィルにとっては大善戦といえるでしょう。

ハヴァント&ウォータールーヴィルのショウン・ゲール監督は試合後、
こう話しています。
「決して恥ずかしくない戦いが出来たと思う。あれだけのパフォーマン
スをやってのけた選手たちを誇りに思うよ」
「最高のプレイだった。最後にリヴァプールのサポーターたちがスタン
ディング・オヴェーションを贈ってくれたが、それだけの試合ができたと
思う」

「勝つつもりでここに来たと言うと人々に笑われたものだが、我々はそ
れだけのものを出せたと思うよ。早い時間に得点し、リヴァプールはな
かなか追いつくことができなかった」
「あの追いつかれたところで終ってもおかしくなかった。しかし我々はす
ぐにもう1点取った。前半の終了間際に再び追いつかれてしまったこと
だけは残念だったけどね」
「しかし我々が相手にしていたのはワールドクラスの選手たちだったわ
けだからね。これだけ実力差があっても、こういうことは起こりえるとい
うことだ」

「『俺たちは見世物になるためにここに来たんじゃないぞ』と選手たち
には言った。『終わったら祝勝会をやろうぜ』とね」
「しかしひたすらディフェンスに追われる展開になってしまった。あれ以
外にはやりようがなかった」
「あんな恐ろしいチームを相手にするのをじっと座って観るのは、生き
た心地がしなかったよ。しかしなんとか殺されずに済んだかな」
「みじめに叩きのめされてしまうんじゃないかという恐怖はあったよ。し
かし結果はこの通り。私はこのチームの監督であることを光栄に思う」

リヴァプールのラファエル・ベニテス監督はこう話しています。
「彼らはよくやったと思う。持てる力のすべてを出し切っていたね。あの
最初の1点が彼らに大きな希望を与えたと思う」
「前半については非常に不満が残った。ディフェンスがうまくできていな
かったからね」
「しかし後半は、彼らはハイテンポを続けられないだろうと我々は読ん
でいた。そしてその通りにひっくり返すことができた」
「彼らのようなレヴェルのチームが、アンフィールドのような場所で2つ
も得点した。これはつまり、彼らにはもっと上まで行く実力があるという
ことだろう」

「それにしてもこういうことが起こるFAカップとは、ファンタスティックな
大会だね。6つも下のディヴィジョンのチームが、あれだけ全力で戦い
を挑んでくる姿を観せられると、なんと素晴らしい大会なんだろうと思う
よ」
「ただ、彼らがあれくらいの戦いができるチームだということは、我々に
は予想通りだった。彼らがスォンジーを破ったゲームを観て、実にいい
プレイをしていると思ったし、あのディヴィジョンではトップクラスだとい
うことが分かっていた」
「我々としては、後半は戦い方を修正する必要があった。パスをもっと
回して、もっと大きく動かすようにね。彼らがセット・ピースに強いことも、
そこから突破口を見つけようとしていたことも我々には分かっていたか
ら」
「結局、後半は我々がゲームをコントロールし、しかるべき結果を残し
た。しかしもう一度言わせてほしい。彼らはすばらしかった。実にアウト
スタンディングな戦いだった」

リヴァプールのFAカップ5回戦の相手は、28日に行われる抽選会で決
定します。


*** 1月28日(月) *******************************

【夢のような1日】
1月26日にアンフィールドで行われたFAカップ4回戦で大健闘を見せ
たハヴァント&ウォータールーヴィルの監督や選手たちのコメントが、
リヴァプールFCのオフィシャル・ウェブサイトに掲載されました。抜粋し
て紹介します。

チームの2点目を決めた(記録はDFマルティン・シュクルテルのオウン
ゴール)弱冠19歳のアルフィー・ポッターは、スティーヴン・ジェラードの
シャツを射止めた喜びを、こう語っています。
「彼が交代で入って来てすぐに向こうのコーナーキックになったから、
その時に訊いてみたんだ。『そのシャツ誰か予約してますか?』って。
そしたらノーって答えが返って来てさ。その時思ったよ、『よっしゃあ、
俺のもんだ』ってね」
「その後で何人ものうちの選手がお願いしに行ったみたいなんだけど
ね、シャツもらえませんかって。でも、『あのちっちゃい子のものなんだ』
って彼は言ってくれたらしい」

「(彼のゴールについて)KOPの目の前で点を入れるのはほんと最高
の気分だったな。ゴールに入るまではスローモーションみたいだった
よ。あんな気持ちになるなんてことは、この先きっとないだろうな」
「試合の前はね、向こうに何点取られようが、もし僕らが1点でも取るこ
とができたらお祝いしようぜ、みたいな感じだったんだけどね」
「リヴァプールのファンはアメイジングだったよ。ピッチの上でも、ピッチ
を降りても、すごい拍手だった。この国でいちばんのファンだよ、たぶ
ん」

ゴールキーパーのケヴィン・スクリヴンはこう振り返っています。
「最初から終わりまで夢みたいだった。ここで彼らとやるんだから、ボコ
ボコにやられても不思議じゃないし、クリーンシートに抑えるなんてあり
得ないとは思ってたんだけど」
「僕らが1−0でリードした時も、たぶん誰も勝てるとは思ってなかった
し、追い付かれた後にもう1点取って2−1にした時でさえ、誰もそんな
大それた期待は持ってなかっただろうね」
「僕らはリヴァプールとやって、ちょっとばかしプレッシャーをかけること
ができた。彼らのピッチで、2点も取った。こんなことが起きるなんて、
いったい何人の人が予想しただろうね」

監督のショウン・ゲールはこう話しています。
「FAカップでは時々ショッキングなことが起きる。だからこれが1−0と
か2−1だったら、私は別に驚かない。点を取ることは想定内だったか
ら。しかしここで2点も取れるチームなんて、そう多くはないだろうね」
「選手たちがカチコチに固まってしまうのが心配だった。こんなすごいと
ころでプレイしたやつなんてほとんどいないんだから。私は彼らにこう
言ったよ。『終わってみればこれもフットボールの1試合だ。それにや
つらだって普通の人間だぞ』ってね」

「うちの息子のジェイクはリヴァプールのファンでね。試合の前にフェル
ナンド・トーレスにサインをもらっていたよ。私自身にとっては、このクラ
ブに来てからのこの3ヶ月に、一生に残る思い出をもらったように感じ
ている」
「終わった後、ラファはドアをノックして入って来て、よくやったねと言っ
てくれた。かねてから私は彼のことをこの上なく尊敬している。彼は世
界でも有数の監督だ。彼に褒められたということは、世界に褒められ
たようなもんだ。私は負けることは大嫌いだが、アンフィールドでなら仕
方ないね」
「リヴァプールの選手たちも入って来て、私たちのシャツにサインしてく
れたんだよ。ほんとうに信じられないくらいよくしてもらったよ、私たち
は」


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▽寄稿:「リアルエールのすすめ 5」
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「リアルエールのすすめ 5」 / 下村 えり (Eri Shimomura)

“2008 National Winter Ales Festival”
         (16th-19th January, New Century Hall in Manchester)

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo329.html ≫ 

【まえがき】
ビールファンの皆様こんにちは!
<Liverpool 08>が開幕し、チャーミングな2008年のスタートを切った
Liverpoolですが、今日は "Liverpool Beer Festival"
(13th−16th February)より一足早く始まった、Manchesterでの "2008 
National Winter Ales Festival" の模様をお伝えしたいと思います。

『リアルエールのすすめ』も、お蔭様で今回で5回目になります。
なるべく多くのフェスティバルに参加していろいろなビア・フェスティバル
の模様をお届けしたいと思いながら、なかなか良い機会に出会わず思
案しておりました。
そんな折、ふと思い出したのが、マンチェスターで毎年開かれている
“ウインターエール祭り”です。 
幸いにも "Liverpool Beer Festival" のようにチケットの入手が難しくは
なく、誰もが入場できるという便利さ。

イギリスに在住の方だけでなく、できれば将来、日本のビールファンの
皆様が、この様な機会を狙ってイギリス観光に訪れるようになればと
いう願いを込めて、頑張ってレポートしたいと思います。
ではしばらくの間、イギリスの最高のウインターエールをご賞味くださ
い。

【 New Century House, Manchester 】
"National Winter Ales Festival" がManchesterのNew Century House
で開かれるのは、今年で4回目。
しかし私自身は、実は今回が初めてではない。 
このFestivalがマンチェスターに移って初めての2005年、同じ会場を訪
れたのだが、あまりの人の多さと混雑に失望し、即座に会場を去り、
会場近くのマンチェスターで一番のパブで(勝手に我々がそう思ってる
だけ:ちなみにPubの名前は<Marble Arch>。パブが醸造会社Marbleを
抱えて、ビールはすべて有機醸造Organic)、ゆっくりとジンジャービー
ルを満喫したのを覚えている。

話はそれてしまったが、3年の経験を積んだ今年のフェスティバルは、
わずか1ホールだけだった2005年に比べて、1階会場に2階のホール
とレストランまでと、2倍以上に会場を拡大していた。
私が訪れた日はフェスティバル最終日。週末も重なってか、かなりの
人出であったが、会場のホールの殆どのスペースに丸テーブルと椅子
が用意してあり、ホールの外にもエクストラの椅子、さらにレストランも
あったため、大盛況のわりに結構ゆったりと座ってビールを味わうこと
が出来た。

会場のロケーションを説明しておこう。
マンチェスター市には、繁華街デパートエリア(Selfridges, China Town)
を挟んで大きな駅が2つある。東寄りの駅がManchester Piccadilly、
西寄りの駅がManchester Victoriaであるが、この会場はManchester
Victoria駅より徒歩2分。
駅を出てChorlton Streetを左に歩くとすぐ右手(Portland Street)に見
えてくる。
マンチェスターが始めての方でもまず迷うことはなさそうだし、バスセン
ターも目の前で、多少飲み過ぎて酔いつぶれ、足元が危うくとも、帰り
の心配はなさそうだ。

【 2008 National Winter Ales Festival & CAMRA 】
入場料はどの日も一律で3ポンド(約650円)だが、CAMRA (Campaign
for Real Ale)のメンバーに限り、£1引きの£2(約450円)である。
今回始めて『リアルエールのすすめ』を読んでくださる皆様の為に簡単
にCAMRAをご説明すると…。

CAMRAは正式名<Campaign for Real Ale>と言い、イギリスの伝統であ
るエールビールを守る為に1971年に設立されたビールを愛する団体、
ビールマニアックの団体とでもいえようか。今ではイギリス国内だけで
はなくインターナショナルなメンバーも多く、総勢84,000にも及ぶそうだ。
イギリスのエールを広げる為に様々なイベントを催すほか、月刊の新
聞を発行しており、詳しいビール情報が目白押しだ。興味が有る方は、
是非公式ウェブサイト( http://www.camra.org.uk/ )をご覧ください。

もちろんこのフェスティバルもCAMRAの主催によるもので、全スタッフ
はボランティアワーカー、殆どのスポンサーはイギリスのビックネーム
を含む醸造会社が占めていた。
今ではイギリス国内のリアルエール醸造会社は600にも達し、バラエ
ティーに富む上質のエールの種類は2,500ともいわれている。

その中から、水曜日から始まったこのフェスティバルのために約200種
類のビール(ボトルビール、タップビール、輸入ビールを含む)が用意
された。
1階の会場にはサイダーやペリエ・バーの他、コンペティション・ビール
と言って、ウインタービールの賞を勝ち取ったチャンピオンビールを種
類別(Barley Wines / Old Ales-Strong Milds / Porter / Stouts)に集め
て、フェスティバルに彩を添えていた。
樽に入った生エールは1階と2階に分けてディスプレイされておりアル
ファベット順にホールの周りを囲む様に並べられていた。

2階の階段を上がると、右にカフェ&レストランが設けてあり、バーガー
やチップス等の簡単な軽食が置いてある。
左手にはビアグラスが並べてあり、£2払うと1人1つのグラスを選ぶ
ことが出来る。サイズはパイントグラスとハーフパイントグラスの2種
類。
今年のデザインには、マスコットの白熊君がサングラスをかけ気取っ
てビールを嗜む姿が添えられていて、妙に可愛い! グラスはそのま
まお持ち帰りでもOK、不要な方は返却すると£2がそのまま返還され
るというフレキシブルなチョイス。

2階のホールに入ると、ドラフトのエールの他、輸入ビール、特にドイツ
やベルギーそしてアメリカの瓶ビールが売られていて、ビールに関する
Tシャツやコースター、メモラビリアのストールまで目に入ってきた。
中央には大きなステージが設けられていて、この最終日のために、夜
の部ではエンターテーメント(バンド)も用意されていた。

【 Beer, Beer, Beer... 】
さて、会場の説明はこのくらいにして、フェスティバルの主役をご紹介し
よう。

ビールのお値段は、平均でハーフパイント(=285cc)が£1.50(約350
円)、1パイント(=586cc)が£2.40(約540円)。
アルコール度数が上がると共にお値段も上がってくるし、ボトルビール
や輸入物は結構割高で、サイズにもよるが£2以上が殆ど。
今年のフェスティバルでは、この他に<1/3パイント>が用意され(お値
段は少々割高で90ペンス:約250円)、アルコールがあまり沢山飲めな
い方にも多くを味わって貰おうとのお試し企画が加わっていた。

会場に持ち込まれた全てのビールを味わいご紹介したいのは山々だ
が、毎度の事、か弱い女性に飲める範囲は決まっていて…と言いなが
らも今回は7種類のビールを味わうことができた。以下にご紹介した
い。

1)醸造会社:Theakston (Sponsor) 場所:Masham, North Yorkshire
  品名:Mild (Mild) アルコール度数:3.5% 
  スムーズな口当たりなマイルドエール。ちょっとドライでホップの利
  いた後口で、お味の方はベリーをジックリ煮込んだLiquorice味の
  よう!

2)醸造会社:Wells & Youngs (Sponsor) 場所:Bedford
  品名:Eagle IPA (Bitter) アルコール度数:3.6% 
  とっても新鮮なお味で、ビターの中のビターっという感じ。スタートに
  は最高のチョイス。

3)醸造会社 : Batemans (Sponsor) 場所:Lincolnshire
  品名:Salem Porter (Porter) アルコール度数:4.7% 
  ポーター(ブラックビール)のキャラクターがしっかりしてて、ダーク
  チョコレートとLiquoriceを上手くミックスさせた様な、コンプレックス
  なお味。最高に美味! 今回のNo.1。

4)醸造会社:Spire 場所:Chesterfield
  品名:Sgt Pepper Stout (Stout) アルコール度数:5.5% 
  1階会場のコンペティションビールから、1つ。スタウト(ブラックビー
  ル)で名前に惹かれて挑戦したが、いまひとつ。後口がとてもドライ
  でビター。

5)醸造会社:Hornbeam 場所:Manchester
  品名:Winterlong Dark Bitter (Winter Ale) アルコール度数:6%
  パンフレットにはアルコール度6%とあるが、売り場のポスターには
  4.7%と表示されており、きっとHornbeamのもう1つの売り物<Dark
  Dominatin>と間違って反対に表示されてたみたい。ビールの香りか
  らするとアルコール度6%は非常に納得できたのだが、実際口に
  するとスムーズでモルトの良く効いた、コンプレックスな何とも言え
  ない、良いお味。ビールがどんどん進む感じで、高アルコールのテ
  イストではない。最高!

6)醸造会社:Wickwar 場所:Gloucestershire
  品名:Mr Perretts Traditional Stout (Stout)
  アルコール度数:5.9% 
  アロマ感覚でスモーキーなチョコレートモルト味。スムーズな口当た
  りとスイートで存在感のある、ちょっとスパイシーな後味。

7)醸造会社:Mahr's 場所:Germany, Bamberg
  品名:Ungespundet (Pale Beer) アルコール度数:5.2% 
  最後にドイツのドラフトビールに挑戦。イギリスのエールとはまた
  違った感じのクリーンな口当たりで、スッと入っていくスムーズな美
  味しさ。とても冷えていて炭酸が喉元に新鮮感をもたらしてくれた。

ダークビールファンの私はやはり今年もPorter (Batemans) をNo.1に
選んでしまったが、<Batemans>のビールはどのビールを飲んでも何時
も満足。絶対に外さないお気に入りの醸造メーカーの1つである。
以上、マンチェスターでの私とビールとの邂逅は時間を忘れたかのよ
うに過ぎていった。
『来年も来れたらいいな〜♪』と、後ろ髪を引かれつつ家路についた。

( Fin )

≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo329.html ≫


●「リアルエールのすすめ」バックナンバー●

 【リアルエールのすすめ 1】
  http://scousehouse.net/magazine/magazine216.htm
  http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo216.htm

 【リアルエールのすすめ 2】
  http://scousehouse.net/magazine/magazine224.htm
  http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo224.htm

 【リアルエールのすすめ 3】
  http://scousehouse.net/magazine/magazine277.htm
  http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo277.htm

 【リアルエールのすすめ 4】
  http://scousehouse.net/magazine/magazine287.htm
  http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo287.htm


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▼特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第116号 / ホロコースト、カルチャー大臣&No.1プロジェクト ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish116_photo.html ≫

こんにちは。
<European Capital of Culture>のオープニング以降、紹介しきれない
ほどの行事や展覧会があり、気がついたらもうすぐ2月。2008年効果
を身にしみて感じます。

まずは今週の話題から。
1月27日は国際ホロコースト記念日。今年はリヴァプール市がイギリ
スでのホストを務め、1月初頭からリヴァプール各地で追悼展が開催
されています。記念日当日にはPhilharmonic Hallで記念式典が行わ
れました。テーマは、<Imagine, Remember, Reflect, React>です。

リヴァプール大聖堂では "Anne Frank + You" 展が開催され、アンネ・
フランク一家の遺品やアンネの日記の複製の展示や、現在のイギリス
に当てはめた人種差別の問題にも触れています。
この展覧会は2月8日まで。
リヴァプール大聖堂: http://www.liverpoolcathedral.org.uk/content/MusicAndEvents/WhatsOn.aspx

タウンホールでは、"RESPECTacles" 展が行われました。
上の階に上がると、<NEVER AGAIN>と強いメッセージで締めくくられた
記念プレートが。
メインは、ボールルームに、全国から寄せられた11万個の眼鏡で飾ら
れたオブジェ。部屋に足を踏み入れると、表面的な美しさを感じるだけ
でなく、感情を揺さぶる何か圧倒するものがありました。
ガラスキャビネットには、Paul Clarkリヴァプール市長夫妻、Tony Blair
前首相夫妻、オノ・ヨーコ、Ringo Starr、映画『ハリーポッター』の主役
Daniel Radcliffe、俳優・コメディアン・作家・テレビ司会をこなす
Stephen Fryの眼鏡もありました。
Stephen Fryは彼の母の叔母といとこをアウシュヴィッツで失っていた、
というドキュメンタリーを数ヶ月前に見たことがあったので、再びグッと
きました。二度とこのような悲劇が繰り返されないよう願います。
残念ながらこの展示は26日で終了してしまいましたが、詳細は以下の
ホームページから。
http://www.liverpool.gov.uk/holocaust08/exhibition/index.asp

♪ ♪ ♪

土曜日。
1月24日付けでイギリス内閣、文化メディア・スポーツ相に任命された
ばかりのAndy Burnhamがリヴァプールを訪問しました。
場所は、ピア・ヘッド近くに2010年に完成予定のMuseum of Liverpool
建設現場で、Culture CompanyのPhil RedmondとNational Museum
LiverpoolのダイレクターDavid Flemingのガイドで見学するところに私ら
も同行。もちろん全員ヘルメット、黄色いジャケット、安全靴着用です。

前回の大臣もそうでしたが、若い! というか自分と同じ年で国の政策
を動かす中心を担っているのか! とショックでしたが、人柄は非常に
親しみやすく、にこやかで、好青年です。
リヴァプールに生まれ、マンチェスターとの間に位置するニュートン・
ル・ウィローで育ち、ウィガン近くのレイ地区代表の国会議員です。
今でも親戚がリヴァプールに住んでいて、その昔、おじいさまがドック・
エリアにあった砂糖工場<Tate & Lyle>のトラックの運転手として長年
働いていたそうです。
就任わずか2日で、最初の公務にリヴァプールを訪れてくれたのは嬉
しいことですね。

「ホームタウンが<European Capital of Culture>となったこの年に、 現
役職に就任して、この場にやってきたという偶然を大変喜ばしく思うと
ともに、リヴァプールの発展に可能な限り貢献していきたい」
とのことでした。
このあと、リヴァプールFCの試合に招待されていて、アンフィールドへ
向かったようなのですが、実はエヴァトン・ファンだそうです。

Museum of Liverpoolの現場を訪れ、いよいよ建物の骨格が明らかに
なってくるのを見ながら、徐々に実感が湧いてきました。まだ先ですが、
完成が楽しみです。
Museum of Liverpool: http://www.liverpoolmuseums.org.uk/about/capitalprojects/mol/

♪ ♪ ♪

先週お伝えしきれなかった、1月19日にEcho Arenaで行われたライブ
コンサート "The Number One Project Live" 。
過去50年間に56曲、世界で最も多くのナンバーヒットを輩出したリヴァ
プールは、ギネス記録にも載っている<World Capital of Pops>です。
ソールドアウトではなかったものの、会場はほぼ満席。私の座った席
は、フロアレベルの最後列でしたので、遠目でゆる〜く鑑賞しました。

参加パフォーマーが増えたため、予定より30分繰り上げて7時半にス
タート。間に休憩を挟んで前半19曲、後半19曲。
若いところでは、リヴァプール発のガールズ・グループAtomic Kitten。
27日にダウンロードオンリーでリリースされるチャリティー・シングル
<Anyone Who Had A Heart>(オリジナルはCilla Black)を披露するほ
か、彼女らのNo.1ヒット<Whole Again>など2曲、そしてソロでNatasha  
Hamilton がCilla Blackの<You're My World>をカバー、Liz MacClarnon
がJohn Lennonの<Imagine>を歌いました。

その他、テレビドラマ《Brookside》出演、その後《Xファクター》で火が付
いたRay Quinn、《Hollyoaks》キャストEton Road が、生まれるまえに
ヒットした曲を歌います。

渋いところでは、Billy FurryのバックバンドFurry's Tornadosが<Half  
Way to Paradise>、ギタリストPaul Kappaがブルージーなギタープレイ
とともに<Lady Madonna>をカバー。

懐かしいところでは、China Crisisが<Starry Eyed>など2曲、Icicle  
WorksのIan McNabbが<Woman>をカバー。

前半の締めくくりに登場したThe Scaffoldが<Lily The Pink>を歌い始め
ると、この日最初のスタンディングオベーション。
続いて、Lightning Seedsの<Three Lions>のThe Scaffold版ヴァージョ
ン<Three Shirts On A Line>を発表して盛り上がりました(音源は
Number One Projectマイスペースで聞けます!)。
メンバーのRoger McGoughの姿は見られず残念でしたが、最高に楽し
いステージでした!

後半に盛り上がったのは、Dr & The Medics。
実は彼らは公式には「リヴァプールのNo.1」としては認められていませ
んが、バンドは<Spirit in The Sky>でナンバー1を獲得、リーダーで
ボーカルのDoctorがリヴァプール生まれなので、57曲目のナンバー1
ヒットに加えられるようキャンペーン中です。
Frankie Goes To Hollywoodの<Two Tribes>を猛烈にカバーして会場
が沸き、次の<Spirit in The Sky>では踊りだす観客も出てきました。

元Eton RoadのAnthony Hannahがカバーした、Frankie Goes To  
Hollywoodの代表的なヒット曲<Relax>は、ちょっとナイーヴすぎて勢い
に欠けていてがっかり。これもDr & The Medicsに任せておけばカッコ
よかったんだろうなと思いました。
もう一曲のヒット<The Power of Love>は、Frankie Goes To Hollywood 
のメンバーNasherのギターでブルースシンガーConnie Lushが力強く
歌い上げました。

意外なアレンジでよかったのは、女性シンガーThea Gilmoreがカバー
した、Dead Or Aliveの<You Spin Me Around>。
原曲はハイエナジーなダンスミュージックだったのですが、アコース
ティックでメロディーがいい感じに活かされていました。

3週連続でアリーナに出演のThe Farmは、The Searchersの<Needles  
and Pins> をカバー。

そしてラストには長老Gerry Marsdenが登場。一番元気なパフォーマン
スだったかもしれません。
<Ferry Cross The Mersey>、<How Do You Do It>、<You'll Never Walk  
Alone>の3曲。
<You'll Never 〜>では出演者全員が集合しました。観客の中にはエヴ
ァトンのスカーフを広げながら歌う人も。

すべてのショーが終了したのが11時。リヴァプールのミュージシャンに
よるリヴァプール発のナンバー1ヒット=庶民に愛され、みんなが一緒
に歌える曲のオンパレードで、これこそ「人々のイベント」だと思いまし
た。

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
Number One Project は、このライブのみならず、シングルとアルバム
の発売も予定しています。
このプロジェクトの収益金はすべて、マージーサイドの6つのチャリ
ティー団体に寄付されます。
また、これらの曲は、Parr Street Studiosでレコーディングされました。

●1月27日(シングル発売) 
 Atomic Kitten <Anyone Who Had A Heart>
 ※ダウンロードのみでのリリース。

●2月7日(アルバム)
 《Liverpool- The Number Ones Album》リリース

詳しくは、こちらから。
Number One Project: http://www.thenumberoneproject.org
マイスペース: http://www.myspace.com/thenumberoneproject

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish116_photo.html ≫


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▽スカウスハウス・ニュース
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*** チケットあります ******
“Liverpool Beer Festival”のチケットが1枚あります!
毎年発売後数時間で売り切れる超人気のビア・フェスティヴァルです。
フェスティヴァル会場はメトロポリタン大聖堂、期間は2月13〜16日の
4日間。その最終日・16日の入場チケットを、¥4,500(または£20)で
お譲りします(当日券の発売はありません)。
ご希望の方は、info@scousehouse.net までお早めにお問い合わせくだ
さい。


*** リンク追加のお知らせ ******

ウェブサイトの「リンク集−日本語サイト」ページに、『燃焼系の部屋』を
追加しました。2006年夏のロンドン旅行記が秀逸です。ぜひ訪れてみ
てください。
http://nenshouk.web.fc2.com/toppage.htm 


*** LFCグッズ通販 2008 No.1:On Sale Now!! ******

今年初のLFCグッズ通販です。おなじみのマッチ・プログラムやLFCマ
ガジンのほか、スカーフやアクセサリーなどもそろえました。オーダー
をいただけるとうれしいです!
※お知らせ:近日中に、UEFAチャンピオンズ・リーグ<LFC vs Inter
Milan>の記念スカーフをアップします。
http://scousehouse.net/shop/lfcgoods2008_01.html


*** 語学留学生募集中 ******

リヴァプールへの語学留学をサポートしています。
詳細については、ウェブサイトの「語学留学案内」ページをご覧くださ
い。
http://scousehouse.net/study/index.htm


*** ビートルズ・ガイドツアー ******

リヴァプール&ロンドンのビートルズゆかりの地を訪ねるガイドツアー
をアレンジしています。
ツアーの詳細は、ウェブサイトの「ガイドツアー」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/beatles/guide_liverpool.htm
http://scousehouse.net/beatles/guide_london.htm


*** 原稿募集中 ******

「リヴァプール・ニュース」では、読者のみなさんからの投稿を募集して
います。
旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、特派員ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish116_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

今週の「NLW フォト・アルバム」ページには、下村えりさん撮影による
"2008 National Winter Ales Festival" の写真と、ミナコさん撮影による
"Another Hard Day's Night" 展の写真を掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo329.html 


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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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           *** 毎週火曜日発行 *** 


□■ 第329号 ■□

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 ◇編集 山本和雄 & ミナコ・ジャクソン
 ◆ウェブサイト http://scousehouse.net/
 ◇Eメール info@scousehouse.net

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