February 06 2008, No.330
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  リヴァプール・ニュース / News of the Liverpool World   
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□■ INDEX ■□

 ▽フロム・エディター
 ▼リヴァプール・ニュース <2008年2月3日>
 ▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
 ▼「利物浦日記2007」
 ▽スカウスハウス・ニュース
 ▼今週のフォト


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▽フロム・エディター
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ついに<ハード・デイズ・ナイト・ホテル>がオープンしました。
聖地マシュー・ストリートの入口にあり、名前も中身もまるごとビートル
ズという、ファンにとっては夢のようなホテルです。
最初の構想からなんと足かけ15年。実に実にロング・アンド・ワインディ
ング・ロードな道のりでした。

前にもこの欄に書いた覚えがありますが、僕自身がこのホテルの計画
を最初に聞いたのは、1997年のことでした。それから数えても11年に
なりますね。こうやって無事に完成した姿を見ても(といってもまだ写真
でしか見てないんですけど)、なんだか信じられない気持ちです。

次にリヴァプールに行くときはぜひ泊まりたい、とは思うのですが…ご
存じのかたも多いでしょうがこのホテル、かなりの高級ホテルです。
料金もかなり高めなんですけど、敷居もすごく高いように思います。な
んだかえらくゴージャスなんですよね。
部屋の種類をちょっと見てみたんですけど、Luxury RoomかDelux
Roomしかないんですよ。スタンダードという選択肢はありません。あ、
スイートはありますけど…まあ論外ですよね。
つまりはどの部屋も、きっと僕にとっては場違いなほど豪華なんじゃな
いかなーと心配になってしまいました。

ここ数年、リヴァプールには続々と新しいホテルがオープンしていま
す。建設ラッシュ、と表現してもいいかもしれません。
しかしなぜか、そのすべてが高級ホテルなんですよね。「庶民的なホテ
ルの需要というものはないのか?」と、不思議に思います。
前からあるホテルも元気で、改装したりしてどんどんグレードアップし
て、新しいホテルに張り合っています。

リヴァプール全体で見れば、それこそ10年前から比べると、ホテルの
部屋数は倍以上になっているんじゃないでしょうか。そして、どこも繁盛
しているようです。ちょっとイヴェントがあると、街じゅうのホテルが満室
になってしまいます。

つまり今のリヴァプールは数十年ぶりの好景気なのでしょう。もしかし
たら、「バブル」と言ってもいいのかもしれません。
萎まない風船はないですから、バブルの後はどうなるんだろうと考える
と怖いですが…まあ、萎むくらいならオッケーですよね。思い切ってバ
ブルを満喫してほしいです。でも、弾けるのだけは注意してくださいね。

あ、そうそう、今思い出したんですけど、何ヶ月か前の<リヴァプール・
エコー>で、「もうすぐ<エリナー・リグビー・ホテル>がオープンする!」と
いう記事を読んだような…あれどうなったのかなあ…?

                         ― Kaz(06/02/2008)


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▼リヴァプール・ニュース <2008年2月3日>
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*** 2月3日(日) *******************************

【ついにオープン】
2月1日、ビートルズをテーマにした<ハード・デイズ・ナイト・ホテル>が
正式にオープンしました。
総工費1700万ポンド(およそ36億5000万円)をかけ、ノース・ジョン・スト
リートにあった歴史的な建造物<セントラル・ビルディング>を改装して
造られました。

豪華な4ッ星ホテルですが、最初の週末は予約で満室になりました。
最高級の<レノン=マッカートニー・スイート>は、1泊650ポンド(およそ
14万円)だそうです。
ホテル入口には4人の銅像が置かれ、合計110室のすべてに、アメリ
カのエアブラシ・アーティスト、シャノンによるビートルズの絵画が飾ら
れています。
また、ビートルズのアルバム<サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハー
ツ・クラブ・バンド>のアートワークを手掛けたサー・ピーター・ブレイクに
ちなんだレストラン<ブレイクス>や、2つのバー、さらに結婚式を挙げら
れるチャペルも併設されています。

ホテルのマネージャー、マイケル・デウェイ氏は、オープンまでの数日
間に、国内だけでなくフランスやブラジル、アメリカのCNNなどから取
材を受け通しでした。
デウェイ氏は、地元紙<リヴァプール・デイリー・ポスト>の取材にこう答
えています。
「かなりの注目を集めるだろうとは思ってましたが、それでも、こんなに
たくさんの報道陣から取材を受けることになるとは、私たちの誰も予想
できなかったですね」
「このホテルの名前などから、安くてそれなりのホテルだと思いこんで
しまっている人々もいると思います。私たちがまっ先にやらなければな
らないのは、『そうではなくてこれは4ッ星ホテルですよ』ということを広
くアナウンスすることですね」
「すでに予約は世界中から入っています。全英オープンなどの大きな
アトラクションがある時期は特にです。マシュー・ストリート・フェスティ
ヴァルももう満室になていると思いますよ」
「不安や心配はないわけではありません。でも私たち全員がそれを乗
り越える気持ちでいます。困難を克服し、仕事をやり遂げる決意です」

建設プランが具体的に動き出した2004年から、経営者側はポール・
マッカートニーとリンゴ・スターに承認を求め続けました。しかしそれは
叶わず、ビートルズ側はこのプロジェクトを静かに黙認するのみに留
まっています。
とはいえ、ジョン・レノンの妹のジュリア・ベアードは建設中に何度もこ
のホテルを訪れていますし、アップル・コープスの重役が来たこともあ
ります。また、ポール・マッカートニーの弟のマイクは、このホテルの建
設過程を写真に収めました。

元々の発案者であり、現在はこのプロジェクトのコンサルタントである
<キャヴァーン・シティ・ツアーズ>のダイレクター、ビル・ヘックル氏はこ
う話しています。
「ここまで来れたことにとても満足しているよ。スタートしたのは15年前
だからね。最初はほんのちょっとした思いつきみたいなものだった。過
去最高の思いつきであり、過去最悪の思いつきだったな」
「それがこうやって実際に完成した姿を見ると、すごいね、感無量だよ」
「しょうもないホテルができると思ってた人たちにとってはショックかもし
れないね。この街にあるほかの一流ホテルを上回っているとまでは言
わないけど、同じくらいいいホテルにはなってるよね」


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▽特派員レポート:「ゴールドフィッシュだより」
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「ゴールドフィッシュだより」 / ミナコ・ジャクソン
       〜 Goldfish Liverpool Update / Minako Jackson 〜

 ― 第117号 / オープニングだらけの2月 ―
 ≪ http://scousehouse.net/goldfish/goldfish117_photo.html ≫

こんにちは。
2月に入りました。意外に温かった1月が終わりを告げるとともに寒気
が押し寄せ、木枯らしが吹き、冬らしさが戻ってきました。キビシー寒さ
で思わず「スカウス顔」になってしまう今日この頃です。

今週はいろいろな話題でいっぱいのリヴァプールでした。特に2月1日
はイギリスで一番高いところにあるレストランとなる<Panoramic>が
Beetham West Towerの34階にオープン。お味や値段はいかに?
Panoramic: http://www.panoramicliverpool.com/

そして同じ日に、待ちにまった<Hard Days Night Hotel>がオープン。
建物の9mほどの高さに、リヴァプールの彫刻家Dave Websterによる
ビートルズ像が飾られています。
解散後ソロ活動を始めた後のメンバーの姿をモチーフに作られ、かな
うことのなかった夢の再結成 "Together Again" がテーマとのこと。
また、《Sgt Pepper's》のアルバムカバーをデザインしたPeter Blakeを
イメージしたレストラン<Blakes>も同時オープンです。
Hard Days Night Hotel: http://www.harddaysnighthotel.com/

アートの展覧会も忙しい週でした。
2月1日にはTate LiverpoolでNikki de Saint Phalle(ニキ・ド・サンファ
ル)の回顧展がスタート。
FACTでは、2008年のテーマ<Human Futures>シリーズの第一弾、
"SK-Interfaces 展" がスタート。

"FACT=Foundation for Art and Creative Technology" の名のとおり、
今回の展覧会はまさにアートと科学技術の融合に挑戦しています。
17名のインターナショナルなアーティストが様々な角度で「皮膚」のコン
セプトを技術上のインターフェースとして捉えた作品のコレクションで
す。

The Tissue Culture & Art Project:Oron Catts and lonat Zurrによる
<Victimless Leather>という動物を殺さずにフラスコの中のミニチュア
のジャケットやドレスに合成の皮革を生やすといった試み、日本人
アーティスト滝田順さんの<Light, only light>では、ご自身がモデルと
なった生体発光する苔の生えた脳みそが!
Stelarcによる<Extra Ear: Ear on Arm>は、腕にマイクとブルートゥース
トランスミッターを埋め込んだ第3の耳をつくる整形手術の様子の映
像と写真でドキュメントしたものでしたが、小心者の私は3秒以上は直
視できず。心臓の悪い人にはお勧めできません。

入り口通路の天井から飾られれたラテックス製の<Skin Flag>を作った
Olivier GouletのバッグやファッションアイテムはSlater Streetの
International Galleryにて販売中。
オープニングに行った人々の反応は賛否両論でしたが、とにかくイン
パクトが強くチャレンジングな展覧会であることは間違いありません。
この展覧会は3月30日まで。

 < FACT >
  住所: FACT, 88 Wood Street, Liverpool, L1 4DQ
  電話: 0151 707 4444
  ギャラリーオープン: 11:00〜18:00 月曜休み
  ホームページ:http://www.fact.co.uk

♪ ♪ ♪

このほかに今週スタートしたものは、月曜日からウォーカー美術館で
始まった、Ben Johnsonによる<Liverpool Cityscape>の“アーティスト・
イン・レジデンス”。
約5m×2.5mの大きさのキャンバスに、リヴァプールの街並み約5平方
マイルを、2万枚ものステンシルを使って非常に緻密にペイントすると
いう大掛かりな作品です。
これまでも、香港、エルサレム、チューリッヒなどの都市を手がけてい
ます。今回のリヴァプールのプロジェクトは3年前からスタートし、完成
予定まで残すところ8週間となった時点で制作場所をウォーカー美術
館に移し、一般の人々に公開しています。

ノース・ウェールズ生まれのBen Johnsonは、チェスターのアートスクー
ルに通っていたころにウォーカー美術館を訪れ、「こんな美術館でいつ
か展覧会をしてみたい!」と強く感じたそうです。
それから50年後にこういう形で夢を叶えました。いい話ですね。

Ben Johnsonのレジデンシーは、3月7日まで。
不在の日がホームページに記載されていますので、事前にチェックす
るといいかと思います。また、制作の様子は、ホームページでウェブカ
ム中継されているので、こちらもご覧下さい。
http://www.liverpoolmuseums.org.uk/walker/collections/liverpoolcityscape/webcam/
完成作品の展覧会は、5月24日から11月までです。

 < Walker Art Gallery (ウォーカー美術館)>
  住所: William Brown Street, Liverpool L3 8EL
  電話: 0151 478 4199
  オープン:毎日 10:00〜17:00
  ホームページ: http://www.liverpoolmuseums.org.uk/walker/collections/liverpoolcityscape/

♪ ♪ ♪

【今週の告知】
<チャイニーズ・ニュー・イヤー2008>
2月10日(日)、今年もチャイナタウン周辺でチャイニーズ・ニュー・イ
ヤーのお祭りがあります。
午前11時半〜午後4時の間は龍・獅子・麒麟の舞いが街を練り歩き、
<中国城>のゲート奥に位置するGreat George Squareではステージが
組まれ、午前11時から様々なパフォーマンスが披露されます。
午後1時には、同スクエアで爆竹が大々的に鳴り響きます。
St Luke's Church(爆弾の落ちた教会)ではUrban Strawberry Lunch
の演奏が午前10時から行われます。

このほかにも、Philharmonic HallのRodewald Suiteにて、2月8日には
竹笛奏者Guo Yue、2月22日にはチェロ+ヴォイス+電子音の織り成
すブリティッシュ・チャイニーズ・デュオMayMing、2月29日には古今東
西のミックスしたカルテットThe Silk String Quartetのライブが行われま
す。
チケットは各£10、予約はPhilharmonic Hallホームページから。
http://www.liverpoolphil.com/eventlist.aspx?EventCategory=&Month=February&Year=2008

ちなみに今年の旧正月の元旦は2月7日です。新年快樂!

それではまた来週!

ミナコ・ジャクソン♪

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▼「利物浦日記2007」
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「利物浦日記2007」 11 / Kaz
≪ http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo330.html ≫

【8月27日(月)】

<ぶらぶらウォーク〜シティ・センター編>は12時にパブ<イー・クラック>
の前で終了。そのままパブに入って、リヴァプール伝統料理<スカウス>
をみんなでいただく毎年恒例の<スカウス・ランチョン>に突入した。

人数はウォークツアーからさらに5人増えて、23名。<イー・クラック>の
パブ・スペースは、スカウス隊でいっぱいになってしまった。
毎年このパブで開催しているランチョンだが、実は今年は危ないところ
だった。アレンジを担当したミナコさんによると、なんと<イー・クラック>
は1ヵ月前くらいにキッチンを閉鎖し、フードサーヴィスをやめてしまっ
たのだそうだ。
しかしミナコさんがお願いしてくれたおかげで、我々のために特別に
作ってくれることになり、ホッとひと安心。無事にランチョンの開催と
なった。

ありがたいことに、例年通りに、ノーマルなスカウスと、肉の入っていな
い<ブラインド・スカウス>の2種類をちゃんと用意してもらえた。
思わず笑ってしまったのは、皿やスプ―ンはすっかり処分してしまって
いたので、なんと近所のパブ(グレープスというパブだ)から借りて来て
間に合わせたということだった。

…といういきさつなのであまり文句は言えないのだけど、今年のスカウ
スはあまりスカウスらしさがなくて、ちょっと残念。スカウスというよりは
シチューという感じだった。もちろん、これはこれで美味しかったし、
しっかりおかわりまでして堪能した。
<イー・クラック>のみなさん&ミナコさん、どうもありがとう!

バックガーデンでみんなで記念撮影をして、解散。
水割りさんたちと一緒に、今日のギグ会場であるキャヴァーンに向か
う。これが最後のギグだ。
僕の部屋でチューニングを済ませて、いざマシュー・ストリートへ。さっ
きまでの快晴はどこへやら、空は濃い雲でおおわれ、小雨まで降り出
していた。

本人たちも「燃え尽きた」と口をそろえるように、昨日の2本のギグで全
精力を使い果たした水割りさんたちは、ずいぶんとリラックスした様子
だった。
きっと、最高のパフォーマンスが出来たという満足感と自信が、そうさ
せているのだろう。

疲れはとっくにピークを越えているし、喉のコンディションもいいわけが
ない。昨日のようなステージははっきり言って望むべくもない。なにしろ
もう「燃え尽き」てしまってるんだから…。
このラスト・ギグは、自分たちのために楽しんでやろう。コードを間違っ
たっていい、声が出なくてもいい、クォリティは二の次にして、のびのび
やろうじゃないか…。
彼らはそういう気持ちだったはずだし、僕もそれでじゅうぶんだと思っ
ていた。少なくとも、キャヴァーンに到着するまでは…。

2時半、キャヴァーン・クラブに到着。
水割りのラスト・ステージは、大きい方の<キャヴァーン・バック>だ。客
席はすでに超満員で、バックステージにたどり着くのにもひと苦労だっ
た。
<マシュー・ストリート・フェスティヴァル>である今日は、リヴァプールじゅ
うから人々がライヴ演奏を楽しむために街に繰り出して来ている。リ
ヴァプールの外からやって来たビートルズ・ファンが目立っていた昨日
までのライヴとは、明らかに客層が違う。地元率80%以上という感じ
だ。この会場だけで、何百人ものスカウサーが集まっている。

ステージではアルゼンチンの人気バンド<Nube 9>が演奏している。
フェスティヴァルのメインステージにも抜擢されるだけあって、ものすご
く上手い。フロントの女性プレイヤー、ラクレシアさんはお人形さんのよ
うな可愛らしさだ。

バックステージでMCのスティーヴンと挨拶。ほぼオンタイムで進行して
いるとのこと。水割りの出番まであと20分と少し。
ジョニー黒田さんとしのポンさんが即興で<ハピネス・イズ・ア・ウォー
ム・ガン>をデュエット。楽器も弾いている。ラフな演奏だけど、無茶苦
茶カッコいい。
ドン田中さんは椅子に座ってしばし瞑想(あるいは睡眠)中。マサ井上
さんはエフェクター類のチェック…でもなんだかちょっと緊張気味だ。

そこへ、いきなりNube 9のメンバーが駆け込んできた。もちろんステー
ジでは演奏が続いている。<レディ・マドンナ>だ。
「誰かタバコ持ってない? タバコの箱を包んでるセロファン貸して!」
コーラスの小道具に使うんだなと合点したジョニーさんが渡すと、彼は
礼を言ってステージに引き返して行った。

Nube 9のステージも終わりが近いようだ。会場のボルテージは最高潮
に達している。
この辺からだんだん、水割りのみなさんの表情が変わってきた。さっき
までのリラックスモードはどこに行ってしまったのだろうか…なんだか
空気が重くなったような気がした。

それまでじっと無言だったドンさんが口を開いた。
「よし、やっぱり<ボーイズ>やる」
僕を含めた4人から、自然に歓声が上がった。さ〜すがリーダー、そう
こなくっちゃ!

ドンさんがステージで歌うのは、<アクト・ナチュラリー>か<ボーイズ>の
どちらかだ。この2曲には消耗度に大きな差がある。ドンさんは今日は
かなりしんどそうで、「<ボーイズ>なんかやったら最後まで絶対持たな
い。<アクト・ナチュラリー>で行く」と言っていたし、他のメンバーもそれ
で当然と納得していた。「いいよいいよ、今日はみんなで楽しんでやろう
よ」と。

しかしドンさんはそれを撤回して<ボーイズ>をやると宣言した。そして
他のメンバー全員がそれを歓迎した。
いつの間にか4人とも、「楽しむなんて言っている場合じゃない。全力
を出し切ろう」という気持ちになっていたのだ。
ドンさんのひと言は、バンドへのゴーサインだった。「いっちょやったろ
うぜ!」宣言だった。

そうだよな、と僕は思った。
「リラックスして楽しもう」なんて生半可な気持ちでステージに上がれば、
今日のオーディエンスには太刀打ちできないだろう。彼ら、彼女らは、
バンドが楽しむ姿を見たくてここに来ているわけではない。1年に一度
のエンターテイメントを求めてここにいるのだ。そして今行われている
Nube 9のステージは、オーディエンスの基準値をほぼ最高レヴェルま
で引き上げてしまった…。

水割りの4人は、敏感にそのことを感じ取ったのだ。僕は何も言わな
かったし、彼ら自身がそういう話し合いをしたわけでもない。でもみん
な同じ気持ちだったと思う。
疲れているとか、昨日いい演奏をしましたというエクスキューズは、ス
テージに上がれば何の意味も持たない。結果はどうあれ、真剣勝負で
向かって行こう…。

とはいっても、水割りはやはり水割りで、そこには悲壮感とか決死の
覚悟のようなものは微塵もなかった。みんな普通に振舞っている。
高校球児のように大きな声を出さなくても、朝青龍のように大見栄を
切らなくても、気合いはちゃんと入るのだ。

大盛況のうちにステージを終えたNube 9が、意気揚々とバックステー
ジに戻って来た。
さっきのメンバーがジョニーさんに近寄り、使用済みとなったセロファン
を差し出した。
「ありがとう。助かったよ。これはちゃんと返すよ」
これにはみんな大笑い。ジョニーさんも苦笑しながら受け取った。

ようし! 俺たちの出番だ!!

(つづく)

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▽スカウスハウス・ニュース
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旅行記、レポート、研究、エッセイ、写真などなど、リヴァプール、ある
いは英国に関するものなら何でも歓迎です。
お気軽にお寄せください。楽しい作品をお待ちしています。


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▼今週のフォト
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*** 今週の「ゴールドフィッシュ」フォト ******

今週も、特派員ミナコさんから素敵な写真が届いています。
ウェブサイトの「NLW ゴールドフィッシュだより」ページをご覧ください。
http://scousehouse.net/goldfish/goldfish117_photo.html


*** 今週のフォト・アルバム ******

今週の「NLW フォト・アルバム」ページには、連載「利物浦日記2007」
にちなんだ写真を掲載しています。
http://scousehouse.net/magazine/nlw_photo330.html 


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