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Vol.5 Premiership; Everton VS Arsenal, Goodison Park, 21.01.2006 |
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from NLW No.235 - January 24, 2006 |
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バックナンバー |
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下村えり
Eri Shimomura |
リヴァプール在住のフローラル・デザイナー。ファンとして長年プレミアリーグをウォッチし続けるうち、日本からの取材コーディネートや原稿執筆を手がけることに。スカウス・ハウスのメールマガジン「リヴァプール・ニュース(NLW)」に『Footballの旅』と『リアルエールのすすめ』を不定期連載中。 |
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【 まえがき 】
年を越えても、イングランドのフットボールは、緊密したスケジュールの中での熱戦が続いています。
FAカップも4thラウンドを迎え、お馴染みの顔ぶれとなるチームが揃い始めているし、カーリング・カップはすでにセミファイナルまで到達。次の試合が心待ちなフットボールファン多いことでしょう。
そしてメインのプレミアリーグでは、断突でトップを走るチェルシーに手が届くか届かないか微妙なポイントで2,3位のマンチェスターUTDとリバプールが後を追う。2部リーグへの降格圏を抜け出す争いも、じわじわと下位チームに圧力をかけだしています。
いろいろな意味で見所が多く、緊迫した争いが繰り広げられるこれからの数ヶ月(5月まで)は、イングランドのフットボールのカレンダーでも特に面白い時期といえるでしょう。
【 Goodison Park 】
心地よい小春日和に恵まれた1月21日土曜日、グディソンパークへやってきた。今日は地元エバトンと、ロンドン北部のチーム、アーセナルとの試合である。
「グディソンに来る日は何時も良いお天気! どうも私とグディソンの愛称は良さそうだな〜」
と、変な満足感にかられながら、グディソンパーク周辺商店街で時間をつぶす。
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馴染みのチッピー( Fish & Chips 屋さん)に入ると、凄い queue(待ち列)。試合の時間は気になるものの、めげずにジーっと順番を待つ。やはり食欲は何物にも変えられない。
他のヨーロッパと比べると地味な印象のあるイギリスの食文化ではあるが、このビネガーのタップリ効いたチップスは何処のヨーロッパに行っても味わえない美味しさがあると私は思う。何といっても、寒いこのシーズン背中を丸めてフットボールを観戦するのに、チップスとミルクティーは欠かせないパートナーではないだろうか。
今日のグディソンも、大入りの3万7千人が入った。
シーズン初めのエバトンは絶不調で、最下位に低迷してファンを心配させていたが、現在は12位まで浮上している。最近のエバトンは4連勝、すっかり自信を取り戻したようで、積極的なフットボールで観る者を魅了している。
昨年の成績・4位はまず不可能だとしても、モイーズ監督の意地のみせどころだろう。
一方のアーセナルだが、現在5位。2000年前後の黄金時代と比べてはいけないのだろうが、今ひとつチームの連帯感が感じられない。
個人的には私はアンチアーセナルで、あの独特のチームカラーと強い連帯感が嫌いだった。
2000年前後はマンチェスター・Utd の大敵とも言われ、あの頃アーセナルとのマッチでは何時も白熱した乱戦が待っていたのだ。
しかし中盤のゲームメーカーであり、チームリーダーでもあったパトリック・ビエラがリアル・マドリッドへ移籍した昨年あたりから、どうもチームのカラーが変わった。良いか悪いかは別として、チームの雰囲気が柔らかくなったのだ。
確かに、ビエラの不在は響いている。特にゲームワークにおいては彼の損失は大で、言い換えるとベッカムを失ったばかりのマンUとでも言おうか、前線と後方のコミュニケーションをクリエートする者が居なくなった。アーセナルの中盤で彼が果たしていた役割は、チームが想像していた以上に大きかったと言えるだろう。
しかし先週末のプレミアリーグ(14/01/06)、ホーム・Highbury でのミドズブラ戦では、7−0と圧倒的な強さをみせた。
新しいチームリーダー 、Thierry Henrry(ティエリー・アンリ)が作り出す新生アーセナルに、新たな期待が掛けられそうだ。
【 Arsenal FCの歴史 】
ここで、アーセナルFCの歴史について触れてみたい。
アーセナルFCは、スコットランド人のデイビット・ダンスキンにより、1886年にロンドン南東の Woolwich(ウリッチ)に創立された。最初のクラブ名は、Dial
Square(ダイアル・スクエア)だった。
5年後、元々このウリッチに兵器工場があった事から、兵器工場を意味する 'Arsenal' と 'Woolwich' を組み合わせ、クラブ名を
Woolwich Arsenal と改称する。Arsenal のニックネームであるガナーズ(大砲)はここから来たものである。
ホームでの最初の試合は、対 Eastern Wanderers(11.12.1886)戦で、6−0の勝利と記録にある。
現在の本拠地である、北ロンドンの Highbury(ハイバリー)に移ったのは1913年の事。そこで名前から 'Woolwich' を取り、現在の
'Arsenal' に落ち着くことになった。
第一次世界大戦後、イングランド・リーグ First Division のチームが22と増えたことで、アーセナルもファースト・ディビジョンへ昇格。
1930年代へ入ると、Herbert Chapman 監督の元で一気に強豪チームへ変貌し、FAカップで2度、リーグでも5度の優勝を飾る。
第二次世界大戦後は、2度のリーグ優勝と1度のFAカップ優勝を遂げた後で一時低迷するが、1970-71シーズンには Bertie Mee 監督の元、FAカップとリーグ、ダブルでの優勝を達成する。
1987年〜1993年までは George Graham が監督に就き、未だ馴染み深い Ian Wright(FW)や Tony Adams(DF)らが活躍を果たし、2度のリーグタイトルとFAカップ優勝を成し遂げた。この頃のアーセナルは現在のチェルシーと比べられる程、完璧なディフェンスと素晴らしい攻撃力の両方を評価されていた。
【 アーセン・ベンゲル監督 】
そして1996年より、現在の監督であるフランス人のアーセン・ベンゲルが就任。彼はアーセナル初の外国人(Great Britain 外)の監督で、それまでのアーセナルとは全く違ったスタイルのフットボールをチームにもたらした。
現役時代の彼はディフェンダーで、フランスのクラブ、ストラスブールで活躍したらしい。監督としては、ナンシー、モナコ、そして名古屋グランパスを経た後で、アーセナルに招かれている。
監督としてベンゲルは、特に攻撃面における組織的で規律のあるプレイと、若手選手の育成に定評が高い。
アーセナル就任後のベンゲルは、1997-98、2001-02シーズンと2度のダブル優勝(リーグ&FAカップ)をはじめ、2002-03シーズンのFAカップ優勝、2003-04シーズンのリーグ優勝&コミュニティー・シールド優勝と続く。特に2003-04シーズンのリーグ優勝は、38試合中26勝12分と見事な成績を残し、リーグとして115年ぶりの無敗優勝を達成する快挙をあげている。
今季は100年近く馴染みのある Highbury Stadium での最後のシーズンで、ファンにとっては少しセンチメンタルな思いも残る。来シーズンからは、4年前び建設が始まった新しいスタジアムが、カウントダウン状態でファンを、選手らを待ち受けている。
【 アンリ(Thierry Henry) 】
普段はあまり一人の選手を持ち上げて書く事は無いのだが、今回は特別。どうしても彼については触れておきたい。またまた私情をはさんでしまいそうだが、彼は私のNo.1フットボラーなんだ。
もちろん、アーセナルにとっても無くては成らない存在で、色々な移籍の噂はあったものの、1月8日にアーセナル残留を表明、アーセナルファンだけではなく、イギリスのフットボールファンをも喜ばせた。
イギリスのタブロイド Sun 紙によるとバルセローナ行きを噂されていた彼だが、「皆が勝ってに噂しているだけで、一切その様な関係者とは会ってない。アーセナルを愛している。それが一番の理由でこのクラブに留まると心に決めた」と断固とした美しい表現で、アーセナルとの契約を更新した。
アンリは、ベンゲル監督がアーセナル就任後(99年8月)にユベントスから引き抜いた選手だ。ベンゲルは、左ウイングのMFだったアンリを説き伏せて、センターFWストライカーに変身させた。
ポジションを変えられたせいか、デビュー当初は上手くプレー出来ず、彼の名前を知る者も少なかったと思う。が、努力家のアンリはみるみる内に実力をつけ、着実に実績を残して行った。今季はついに、アーセナルでの通算ゴール数でイアン・ライトの持っていた185点を抜き、クラブ記録を更新中である。
アスレチックな俊足を生かし、素晴らしいテクニックでの柔軟かつ繊細な彼のプレースタイルは、観る者を楽しませてくれる。
プレーヤーとしてだけではなく、人間性にも信頼を置かれる彼は、今シーズンからは新キャプテンに任命された。新スタジアムでのプレーも楽しみにしているという彼自身、愛するチームへの意欲がみなぎっている。
【 試合開始 】
試合はスカイマッチ(サテライトTVの中継)のため、通常の15時キックオフではなく、12時45分という中途半端な時間に始まった。
4連勝中のエバトンは最初から勢い良く攻めてくる。
しかし、最初のターゲットアタックはアーセナルだった。
11分、アーセナルDF Kerra Gilbert の右後方から左前方へのパスをMF Fredrik Ljungberg が受け、ダイナミックなシュート。続けてFWの
Reyes がエバトンサイドを襲うが、DF Tony Hibbert とGK Nigel Martin の見事なカバーでアーセナルの先制点を阻んだ。
その直後の13分、エバトンMF Tim Cahill がボールを前方に向け高く蹴り上げる。アーセナルDF Philippe Senderos
と肩がぶつかり合いながらも、エバトンFW James Beattie はボールを上手くコントロール。DF Sol Cambell もかわした彼は、淡々とボールを蹴ってゴールを決める。1−0。Beattie
の今シーズン6つ目のゴールである。
アーセナルも同点に追いつこうと、キャプテンFW Thierry Henry が持ち前のフットワークでボールをコントロールし、フリックしてMF
Francesc Fabregas へパス。しかし Fabregas のシュートは思ったよりボールに力がなく、GK Martin がセーブ。
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1−0とリードを取ったにもかかわらず、エバトンは攻撃の手を緩めるどころか、更にゴールへの闘志を見せる。
25分、Fabregas からのGK Lehmann への安易なバックパスを上手くひろった Beattie が勢いよくシュート。右サイドに大きく反れる。エバトンはリードを広げる絶好のチャンスを失った。
しかし Beattie のゴールミスを引きずる事もなく、エバトンはアーセナルの不安定な守備やパスワークを大きく揺さぶる。
そしてハーフタイム直前にエバトン2点目! …かと思いきや、オフサイドの旗が挙がる。ゴールを取り消されたのは Beattie 。
後半に入ると、アーセナルも試合の流れを変えようと反撃。
Henry のシュートや、FW Jose Reyes のフリーキックを上手くあわせた Campbell のヘディング・シュートが続くが、ゴールを反れて得点には結びつかない。
前半に比べ弱まってはいるものの、エバトンの攻撃は続く。コーナーキックが Cambell を超え、追いついた Cahill がシュートを放つが、僅かに外れる。
Beattie がアーセナルの守備のギャップを見逃さず、くい込んでいく。Beattie のパスを受けた Cahill がストレートのシュートを放つが、Lehmann
がセーブ。
ゲームも90分をまわった頃(エクストラタイム)、アーセナルのストレスに火がついた。
得点に結びつかない歯がゆさもあったのだろうが、Cahill(オーストラリア代表)の執拗なファール絡みのアタック(後方からの蹴りやスライディング等)にキレた
Fabregas が、いきなり Cahill に近寄って首元を掴み、揺する。キャプテン Henry があわてて駆け寄り二人を引き離すが、レフリーの目の前で起きたアクシデント。レフリーは二人を呼び、Fabregas
はレッドカードで退場、前々よりレフリーに注意されていた Cahill にはイエローカードが渡された。
結果、1−0でエバトンが5連勝を飾り、アーセナルはアウェーゲームでの連敗が6となった。
全体からみて、アーセナルサイドはディフェンス・エラーにミッドフィールドとの連携の乱れが重なり、そこに流れに乗ったエバトンが上手く食い込んで行くという展開だった。勝利の女神は、展開どおりトフィーズに微笑んだようだ。
【 マッチ・データ 】
Premiership 05-06
Everton Vs Arsenal
Goodison Park
21 January, 2006 12:45 Kick Off
Attendance: 36,920
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エバトン |
アーセナル |
スコア |
1 |
0 |
ターゲットショット |
3 |
5 |
オフターゲットショット |
6 |
9 |
コーナーキック |
5 |
6 |
オフサイド |
4 |
3 |
イエローカード |
4 |
2 |
レッドカード |
0 |
1 |
ポゼッション |
41% |
59% |
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Everton
Nigel Martyn, Tony Hibbert, Matteo Ferrari, David Weir,
Jorge Nuno Valente, Philip Neville, Leon Osman, Mikel Arteta,
Kevin Kilbane, Tim Cahill, James Beattie
Subs: Richard Wright, Gary Naysmith, Alan Stubbs,
Duncan Ferguson, James McFadden. |
Arsenal
Jens Lehmann, Kerrea Gilbert, Sol Campbell, Philippe Senderos,
Lauren, Fredrik Ljungberg, Gilberto, Francesc Fabregas,
Robert Pires, Thierry Henry, Jose Reyes
Subs: Manuel Almunia, Johan Djourou, Vassiriki Diaby,
Alexander Hleb, Mathieu Flamini. |
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from NLW No.235 - January 24, 2006 |
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