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Vol.26 Premiership; Everton VS Aston Villa, Goodison Park 10.09.2011

from NLW No.475 - September 20 2011  
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下村えり
Eri Shimomura
リヴァプール在住のフローラル・デザイナー。ファンとして長年プレミアリーグをウォッチし続けるうち、日本からの取材コーディネートや原稿執筆を手がけることに。スカウス・ハウスのメールマガジン「リヴァプール・ニュース(NLW)」に『Footballの旅』と『リアルエールのすすめ』を不定期連載中。
【 Introduction:はじめに 】
このところのリバプールは、変化に富んだお天気続きで、すっかり秋の気配が漂っています。
先週のAnfieldに続いて、今回はおとなりのGoodison Parkから“Footballの旅Vol.26”をお届けします。フットボールのファンの皆さん、しばらくの間お付き合い下さい。

【 Goodison Park:グディソン・パーク 】
今日のグディソンパークは、いつもの賑わいの中にも緊張感が漂っていた。というのは、2日前のEverton FC組合(ユニオン)の会合にて、クラブオーナーBill Kenwright氏に対する抗議のデモが行われると発表になったからだ。
実際にこの日、クラブの将来について、財政面を含めて明らかなビジョンが示されないことに不満を持つ、約300人のファンやクラブメンバーが集結し、 "Let go if you love the club"(クラブを愛しているなら、手放してくれ)と書かれたプラカードを持って、Goodison Parkの周囲をデモ行進した。

ファンや組合側としては、選手補強や新しいグラウンドの建設のための資金調達の遅れにジレンマを感じており、クラブを売却することに対しても消極的なKenwright氏の態度に痺れを切らした様子である。

【 New Players Update:新移籍情報 】
就任11シーズン目を迎えるEvertonのDavid Moyes監督は、限られた予算と薄い選手層にも関わらず、毎年確実な成績を残している。この10年間で10位を下回ったのはわずかに2回(プレミアリーグは全20チーム)。ここ4年間の順位は、6位、5位、8位、7位である。UEFAチャンピオンズ・リーグ出場権を得ることのできる4位以内は難しくても(04-05シーズンは4位に入った)、リーグのセカンド・グループのポジションは死守している。
昨シーズンも序盤は下位に埋もれていたが、強固なメンタリティーで見事にチームを立て直し、シーズン中盤にはリーグテーブル真ん中に戻して、最終的には7位につけた。ちなみに6位はリバプールで、ポイント差は4であった。

しかし8月31日の移籍マーケット最終日、またもやエバートン・ファンにとっては悔しいニュースが飛び込んで来た。
現有戦力の引止めが必要不可欠であったエバートンだったが、チームの要のひとり、MF Mikel Artetaが£10mでArsenalに引き抜かれてしまったのだ。MF Tim Cahillと共にチャンス作りに欠かせないキープレイヤーだっただけに、ファンの落胆は隠し切れない。
1992年のフットボール・リーグ設立のメンバーであり、以来120年間降格なしのエバートンであるが、この厳しい情況の中、存在感を示し続けられるのか、あるいは上位への躍進はあるのか、今年もMoyesの手腕が試されると言えよう。

一方のアウェイチーム、イングランド中部ミッドランド地方のAston Villaもまた、世界最古のリーグに参加した12チームの1つである。今回、最も大きな動きはGKの移動で、Brad FriedelがTottenham Hotspur(スパーズ)に抜けて、Manchester CityのShay Givenが代わりにゴールマウスに入った。スパーズからはDF Alan Huttonが移籍入団で、MF Jermaine Jenasがローンで加入した。
ほかには、イングランド代表のウインガーでもあるMF Ashley YoungはManchester Unitedに去り、そして前回の“Footballの旅”でも触れたが、同じくイングランド代表のMF Stewart DowningがLiverpoolへ移籍した。
昨シーズンは開幕直前に前々監督であったMartin O’Neill がクラブ方針との不一致で、突然辞任。その後フランス人で元リバプールの監督でもあるGerard Houllierが引き継ぐが体調を崩しやはり辞任と、不安定なチームの中で一時は残留争いに身を置いていた。しかし同じミッドランドのバーミンガムの監督であったAlex McLeishが就任後は落ち着きを取り戻し、最終的にはリーグの9位につけた。今季はDowningやYoungの穴をどの様に埋めていくか、こちらもMcLeishの腕の見せ所である。

【 Kick Off:試合開始 】
ビラサイドは、もちろんゴールに新メンバーGiven、そしてHuttonは右サイドバックに入り、Jenasはベンチ入りした。FWには、怪我から戻ったDarren BentがEmile Heskeyと並んだ。
McLeishが率いるビラは、Moyesが率いるエバートンに、これまで一度も勝った事がないそうだ(1敗4引き分け)。今日のこの試合でこの記録から逃れられるのか、これも楽しみである。また、エバートンのCahillはビラ戦にめっぽう強く、最近の10試合で6ゴールを記録している。

<前半>
試合を観戦するチェアマン(オーナー)であるKenwrightの顔がスクリーン一面に映し出され、サポートする拍手とプロテストのブーイングとが交差する不思議な空気の中、試合が始まった。

スタート直後からホーム・エバートンがポジティブに攻撃を仕掛けていく。しかしながらビラの堅い守りに遮られ、ゴールまでなかなか届かない。
ミッドフィールドでのバトルが続くが、次第に主導権はエバートンに渡り、ビラのデフェンス陣も掻き回されて行く。

17分、ビラのエースHeskeyが早くも怪我でアウト。MF Barry Bannanが交代で入ったその直後の19分、エバートンにチャンスが巡ってくる。
MF Stiliyan Petrovがクリア出来なかったボールをCahillがホールドし、後ろに回り込んでフリーになったMF Leon Osmanにパス。Osmanの左足でスロットされたボールは美しくネットに収まった。1−0。グディソンの観衆は一気に立ち上がり、ホームチームの先制点に湧いた。
ビラの焦りは試合展開にそのまま反映されていた。ゴールへのビジョンがはっきり見えず、攻撃のオプションにおける想像力が欠けていた。
エバートンの勢いは続き、追加点も時間の問題と思われたが、前半は1−0に終わった。

<後半>
後半に入ってもエバートンが主導権を握り、攻勢をかける。
DF Leighton Bainesがドリブルで仕掛け、ペナルティ・ボックス内で倒されるが、惜しくもファウルとは認められず。続いてDF Phil Jagielkaのターゲットへダーが決まったかと思われたが、ボールはわずかにバーを越えた。

そして62分、今度はビラにチャンスが回ってきた。左サイドからのパスを中央30ヤードで受けたPetrovが、火を噴くような豪快なシュート。Tim Howardが守る堅牢なエバートン・ゴールをこじ開けた。1−1!
実に呆気ないショットで私のシャッターチャンスも吹っ飛んでしまった。しかしこの起死回生の一撃で、私の座席のすぐ横にあるビラサイド応援席にも火がついた。

同点に追いつかれたエバートンだが、67分、ペナルティ・ボックス内でJagielkaがMF Fabian Delphのファウルでペナルティーを得る。
PKはBainesが問題なく決めて、再びエバートンが2−1とリードを奪った。
これでゲームは決まったかと思えたが、しかしドラマはまだ続いていた。
83分、FW Gabriel Agbonlahorがペナルティ・ボックス前で粘ってボールをキープ。そして左サイドに走り込んできたMF Marc Albrightonにパスしてゴール前へ。フリーで受けたAlbrightonがゴール右ポスト前に正確なクロスを上げると、Agbonlahorのヘダーが綺麗に決まった。2−2!

【 Ending:試合終了 】
結果は2−2のドロー。McLeishビラのMoyesエバートンに対する成績は通算1敗5引き分けとなり、未勝利記録は更新された。
エバートンとしては、特に前半、多くの決定的チャンスをつかみながらも得点につなげられなかったことが悔やまれる。最後の最後でそのツケを支払わなければならなくなってしまった。
今後の注目は、10月1日に迎えるGoodisonでのマージーサイド・ダービー戦。
今シーズン初めてのスカウサー対決であり、スコッティッシュ監督対決である。
どの様な形で繰り広げられるのか、今から楽しみである。

下村 えり(Eri Shimomura)


【 マッチ・データ 】
 Premiership 11-12
 Everton VS Aston Villa
 Goodison Park Stadium
 10 September, 2011  15:00 Kick Off
 Attendance: 32,736
  エバートン アストン・ビラ
スコア
(Osman19,
Baines69(pen))

(Petrov63,
Agbonlahor83)
ターゲットショット
コーナーキック
ファール 13 12
オフサイド
イエローカード 1(Jagielka66) 1(Agbonlahor 84)
レッドカード
ポゼッション 54% 46%

 Everton
  Howard, Hibbert, Baines, Jagielka, Distin, Coleman(Barkley 81),
  Bilyaletdinov(Drenthe 72), Cahill(Vellios 85), Osman, Fellaini,
  Rodwell.
  Subs Not Used: Mucha, Neville, Stracqualursi, Gueye.
  Goals: Osman, Baines(pen).
  Booked: Jagielka.

 Aston Villa
  Given, Hutton, Warnock, Dunne, Collins,
  N'Zogbia(Albrighton 72), Delph(Ireland 80), Petrov, Bent,
  Agbonlahor, Heskey(Bannan 17).
  Subs Not Used: Guzan, Clark, Herd, Delfouneso.
  Goals: Petrov, Agbonlahor.
  Booked: Agbonlahor.

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