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Vol.27 Premiership; - Liverpool VS Everton, Anfield 13.03.2012 |
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from NLW No.498 - March 20 2012 |
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バックナンバー |
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下村えり
Eri Shimomura |
リヴァプール在住のフローラル・デザイナー。ファンとして長年プレミアリーグをウォッチし続けるうち、日本からの取材コーディネートや原稿執筆を手がけることに。スカウス・ハウスのメールマガジン「リヴァプール・ニュース(NLW)」に『Footballの旅』と『リアルエールのすすめ』を不定期連載中。 |
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【 Introduction:はじめに 】 皆さん、こんにちは。今年に入って早くも3ヶ月が過ぎようとしています。この事実に訳もなく焦りを覚えてしまうのは、歳を取った証拠でしょうか。
暦の上ではすでに春。リバプールではクロッカスも終わり、セフトンパークに何万本の水仙が咲き誇る日がやって来るのももうすぐでしょう。
今日のレポートは、白熱した夜のアンフィールドからマージーサイドダービーの模様をお届けします。どうぞ、お付き合い下さい。
【 Anfield:アンフィールド 】 北の国であるイギリスでは、冬至を越え、新しい年を迎えた後は、日に日に陽が長くなるのを感じさせられる。冬は日没が早く、夜の長いこの国では、誰もが暖かくて明るい春を心待ちにしている。
とはいえ、今日の試合はミッドウィークのナイトゲーム。アンフィールドに着いた時はスッカリお天道様の姿はない。しかしローカルダービーとあって、スタジアムの周りはいつにも増して賑やかで、高揚感と緊張感が漂っていた。
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本日はなんと、スカウスハウスで時々フットボールレビューを書いてくださる地元スカウサー、トミーさんと並び席での観戦。初めてお目にかかるとあってワクワク。
まずは選手達のウォーミングアップをカメラに収めて、今日の席に向う。KOPを見降ろせる位置のMain Standの端っこではあったが、ダービーが見れるだけでも感謝の気持ちで一杯だ。
トミーさんは満面の笑顔と熱烈なハッグ&キスで私を迎えてくれた。話には聞いていたけれど、並はずれてフレンドリーなかた! それからはリバプールフットボールクラブの素晴らしさについての熱弁が、ノンストップで延々と続く、続く。
いつか言わなければと思いつつ、結局最後まで言えなかった私である。「私はマンUのサポーターなんです」という一言が…(苦笑)。
【 Merseyside Derby:マージーサイド・ダービー 】
19世紀に始まったイングリッシュリーグで、マージーサイド・ダービーはこれで217回目だそうだ。まさに、一言“OMG!”と叫びたくなる。
リバプールに限らず、どの地域であってもダービーマッチとなると独特の緊張感が漂う。リーグでの順位やチーム事情などにはまったく関係なく、トーナメントのようにその試合にすべてを賭けるのがダービーだ。その結果、互いに譲らず拮抗する試合展開となったり、ファール続出の激しいバトルが繰り広げられるのがお決まりのパターンである。マージーサイドダービーはその典型的な例で、この日ばかりは両チームのみならず、街じゅうがヒートアップするのだ。
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【 Before the Match:今回の見所 】
今月に入ってのリーグ戦では、リバプールは先週10日のサンダーランド戦を1−0で落とし、3連敗中である。現在リーグテーブルで7位と相変わらずの低位置だが、監督Kenny Dalglishはまだ4位内に食い込むことに闘志を燃やしている。
主将Steven Gerrardのローカルのインタビュー記事からも前向きな姿勢が伺える。
「プロの選手は自分たちの順位に責任を持たなきゃならない。最近の結果は本当に申し訳なく思う。ファンのためにも、安定した結果と、内容のある試合を見せなければ」
と、リーグだけでなく目の前に迫るFAカップ、ストーク戦への意気込みも感じられた。
一方、監督就任10年を記念するDavid Moyes率いるEvertonサイドは、Anfieldを難関と語りながらも、じゅうぶんに勝機はあり、少なくとも引き分けには持って行くと強気の姿勢を崩さない。
11日にリーグ3位につけているTottenham Hotspurに1−0で勝利し、ここ10試合黒星無しと好調のエバトンである。とはいえ現在リーグテーブル9位。17日には中3日でFAカップ準々決勝、サンダーランドとの対決を迎えることになっている。
さて、今日の試合をMoyes監督はどう戦うのだろうか。
【 Kick Off:試合開始 】
定刻20時にホイッスル。Liverpoolのキックで試合は始まった。
<前半> ホーム、リバプールは最初から積極的に前へ出る。6分過ぎにはDF Jose Enriqueからのパスがペナルティーボックスの僅か外で待つFW Luis Suarezに通る。そして中央から走りこんで来たMF Steven Gerrardへつながり、右足でシュート。しかしエバトンGK Tim Howardが素晴らしいセーブ。
8〜9分にはエバトンサイドが逆襲に出る。ミッドフィールドでのこぼれ球を上手く拾ってつなげ、俊足のDF Leighton Bainesが左サイドから中央に切り込み、ゴール前ノーマークのMF Steven Pienaarにパス。しかしPienaarのショットはバーを超えてしまった。
リバプールが優勢にゲームを進めるが、ミッドフィールドでのディフェンスが両者とも強固で、ボールの所有権が頻繁に入れ替わる。そのため、なかなかターゲットショットに持ち込めない両チームであった。
いかにもダービーらしい光景だと思いながら観ていると、試合のリズムは徐々にホームのリバプールに傾き始めた。その中心となっているのはSuarez。今日の彼の動きはポジティブで早い、倒されかけても踏ん張り、なんとか持ちこたえようとする精神的な強さも見えた。
そして前半33分、リバプールの努力が報われる時が来た。美しい連係プレーでSuarezのパスが右サイドのDF Martin Kellyに渡る。KellyのシュートはGK Howardにまたもや止められたが、そのこぼれ球をGerrardがループ気味のシュート。技ありのゴールが鮮やかに決まった。
キャプテンの先制点にAnfield は大きく揺れた。1−0、Liverpool !!
<後半> 開始からわずか5分後の50分、リバプールに追加点のチャンスが訪れる。センターラインの右端でこぼれ球を拾ったMF Jordan Hendersonが中央へドリブル。
右に開いたSuarezに長いパス。Suarezがゴールライン付近からゴール前にドリブルで持ち込んだボールを、全速力で走り込んで来たGerrardが弾丸シュート。
至近距離からの豪快な一撃にはさすがのHowardも成すすべがなく、ボールはネットに突きささる。文句無しのゴール。2−0、Liverpool !!!
Gerrardの応援歌がケセラセラと響き渡る中、勝利が見えてきたリバプールは更に攻め続ける。FW Andrew Carrollの左足シュートはゴールの右に外れ、Kellyのスライディングシュートはわずかのところで足にヒットしなかった。だめ押しの追加点は入りそうで入らない。
一方のエバトンはAnfiledの雰囲気に呑みこまれたかの如く、勢いを失って行く。
ミッドフィールドをリバプールに支配され、ペナルティーエリア内に食い込んで行くことができない。いつものような粘り強さがなく、リバプールの守りをなんとかして崩そうという意思もアイデアも感じられない。逆転勝利の望みがゼロに等しくなった今、17日のFAカップを優先しているのではと勘繰りたくなるようなワンサイドゲームで、ニュートラルな視点から見るとあまりにも寂しく、落胆するほかない。
90分を回り、ロスタイム4分がアナウンスされた頃、私たちの周囲でも早々と席を立ち、帰り支度をする人が現れはじめた。がその矢先、中盤からGerrard が猛然とカウンターアタック。ゴール前で一度Suarezにボールを預け、Suarezから戻って来たボールを左足で狙いすましたシュート。素晴らしいフィニッシュ。
3−0!
スティービーのハットトリックでAnfieldはお祭り騒ぎのようになった。
【 Ending:試合終了 】 なんとまあ、前回のカーリングカップの優勝時はハラハラドキドキだったが、今回は少しも危なげの無い勝利。終止リードを保ち、攻撃だけでなくディフェンスも素晴らしかった。前線でシャープに動くSuarez、中盤でのKellyの巧みなパスさばき、そしてキャプテンGerrardの気迫あふれるプレイと素晴らしいゴール。
まったく欠点が一つも見つからない、今日のリバプールだった。
対するエバトンには、いつものポジティブなエバトンらしさが全く見られない、実に残念な試合になってしまった。
リバプールにとってダービー戦でのハットトリックは、1982年11月、Goodison ParkでIan Rushが4ゴールを記録して以来なのだそう(試合は5−0でリバプールの勝利)。ちなみにAnfieldでのダービーのハットトリックは、1935年にFred Howeが決めて以来とのことで、なんと77年ぶり!
さらに付け加えるなら、今日のダービーは、Gerrardにとってリーグ戦出場400試合目となる記念の試合。リバプールのプレイヤーでも過去13人しか達成していない大記録に、自ら花を添える大活躍だった。
というわけで今日のダービーは、Anfieldにおいて、歴史の一頁に刻まれる試合となったわけだ。
【 After The Match:おわりに 】 最後にスティービーのハットリックが決まった直後、私はトミーさんに抱きかかえられて胴上げ状態。超、恥ずかしかったですが、彼と一緒に観戦出来て、本当に楽しい、思い出に残るAnfield観戦になりました。再会を約束して、Tommyさんとお別れ。
Tommyさん、楽しかったです。また一緒に観戦できる日を楽しみにしています。
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【 マッチ・データ 】
Premiership 11-12
Liverpool VS Everton
Anfield Stadium
13 March, 2012 20:00 Kick Off
Attendance: 44,921
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リバプール |
エバートン |
スコア |
3
(Gerrard34, 51 90) |
0 |
ターゲットショット |
10 |
3 |
コーナーキック |
4 |
4 |
ファール |
6 |
7 |
オフサイド |
5 |
2 |
イエローカード |
1
(Jose Enrique90) |
4
(Pienaar56, Baines78,
Drenthe84, Hibbert90) |
レッドカード |
0 |
0 |
ポゼッション |
53% |
47% |
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Liverpool
Reina, Kelly, Skrtel, Carragher, Jose Enrique,
Henderson(Kuyt73), Gerrard, Spearing, Downing, Carroll,
Suarez.
Subs Not Used: Doni, Maxi, Coates, Adam, Shelvey, Flanagan.
Goals: Gerrard(3).
Booked: Jose Enrique. |
Everton
Howard, Hibbert, Jagielka, Distin, Baines, Coleman(Drenthe61),
Rodwell, Fellaini, Pienaar, Stracqualursi(Osman61),
Anichebe(Jelavic61).
Subs Not Used: Mucha, Heitinga, Cahill, Neville.
Booked: Pienaar, Baines, Drenthe, Hibbert. |
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