ハレルヤ洋子。東京在住。旅人兼歌い手。通称「流しのハレルヤ」。

2005年2月、ついにあこがれの聖地・リヴァプールへ、巡礼流し旅に出発!


「僕のリヴァ日記」 / ハレルヤ洋子
第1話 〜ファースト・インプレッション〜

前略、愛するリヴァプールの皆様、そしてリヴァプールを愛する皆様、お元気でいらっしゃいますか?
今回は、私のほんの小さな SUCCESS STORY と、リヴァプールへの愛情をお話しさせて頂きます。
冒頭で「リヴァ」と呼んでますが、なんとなく恋人の愛称みたいでキュートでしょ、フフ!!

私のリヴァプールとの最初の出会いは、遡ること七年前になります。
私をビートルズの世界へ、そして音楽の世界の虜へ…失礼、自己紹介がまだでした。
私はハレルヤ洋子といいます。自称、ミュージシャンです。毎日毎日歌って一日が始まる、そんなライフスタイルを送っています。

…さて、話しを戻しまして、七年前、私は羽賀君という一人のギタリストに出会いました。彼が、私を音楽の世界へと導いてくれたのです。

「ビートルズは本当に最高だよ!  これは僕の宝物なんだ!!」

そう言って、一人で訪れたというストロベリーフィールズや、メンデップスやリヴァプールの街の写真を、瞳を輝かせながら私に見せてくれました。苺のような色の柵に、深い緑の茂ったその不思議な空間の絵を、その時はぼんやりと見つめていた私ですが、ただ何故か胸が締
め付けられるように、その場所に無性に魅かれたのを覚えています。

そして時は流れ、私は何度も何度も自分にがんばれ、って言いながら溜息だらけの日常を繰り返してきました。本当に、何度がんばれ、っていい聞かせたんだろう? でも本当に頑張った時間って、ごく僅かなのかもしれないけど。

人は、自分の愛するものだけに囲まれて生活したいと願います。
今の仕事よりも、もっと自分らしい道があるんじゃないかって悩みながら、理想と違う現実の中でがんばれ、って言い聞かせながら、みんな働いています。
そして、何十枚かの福沢諭吉を握り締めて帰るんだ、誰も待つ事のないひとりぼっちの都会の部屋へ…。

私もそう。
そんなわずかな「諭吉」も、レコードとマガジンで埋もれた自分の城を守るために、あっと言う間に消えてしまう…本当、嫌になって逃げたくなるよね。
いいの、いいの、そんな時は逃げちゃえば!

…そんな訳で、私が「逃げた」のは今から一年前。
すっかりビートルズの大ファンになって、リヴァプールへの想いも相当高まっていた頃、ひとりやって来ました、14, Feb, 2004, LIVERPOOL!

「HELLO!! LIVERPOOL!!」

これが、私の第一声。
霧がかった灰色の空に、頬を打つ霧雨、鴎の声が響く中に聳え立つライヴァービルディング。そのビルを見上げて涙が零れ落ちた…なんて、大げさじゃなくて事実。あの場所に立った人なら、きっと分ってくれますよね?

そしてあの「苺の柵」や、ペニーレーン、マシューストリート、そしてジョンの家。行く先々で鼓動は激しくなっていきます。

(もしかして、このまま興奮して死ぬんじゃないかしら??)

そんな馬鹿な事を考えながら、私の顔は常に笑顔でした。
そう、リヴァプールでは笑顔が耐える事がない、きっとそれはこの街の、人なつっこくて大らかな人たちがあたたかく迎えてくれるから。それにここはビートルズを生んだ街。ビートルズを愛する者がにやけ顔になるのも当然!!

名残惜しくもリヴァを後にする最後の日、もう一度マシューストリートを、と通りに入ったその時、私の足が止まりました。
雨上がりの濡れた路上で、「I WANNA BE YOUR MAN」を、一人のお兄さんがギター片手に熱唱していました。
人一倍上手いわけでも、人だかりになっているわけでもなく、だけど笑顔で一生懸命歌っていました。

「この街を愛しているよ」

そんな風に聞こえて、立ち止まる私のハートを貫きました。

(もう列車の時間だ、ごめんね、お兄さん)

私は何度も何度も振り返りながらマシューストリートを後にしました。

今まで私は、キラキラの衣装を着てBARで歌って、それだけしか出来ませんでした。楽器ひとつ、曲ひとつ書けない私は一人じゃなにも出来
ませんでした、いえ、やろうとしなかったのです。

最後に出逢ったあのお兄さん、彼のようになれるだろうか、今はギターも何も出来ない私でも、一生懸命やればあんな風に一人で歌って誰かに伝える事が出来るのだろうか…。

(この街で歌いたい!!)

帰りのヴァージントレインの中で、そんな夢みたいな事を考えながら、リヴァプールにサヨナラを告げました。

これが、私のリヴァプールのファースト・インプレッション。

(つづく)

from NLW No.191 - March 1, 2005

フォト・ギャラリー

Strawberry Field

PAGE TOP