ハレルヤ洋子。東京在住。旅人兼歌い手。通称「流しのハレルヤ」。
2005年2月、ついにあこがれの聖地・リヴァプールへ、巡礼流し旅に出発!
「今日はバレンタインデーだね」
新しくリズの家に「ゲスト」としてやって来たファミリーのお父さんの一言で、その日は始まりました。
イングリッシュブレックファストを皆で囲み会話を楽しむ中、私の心臓はまさに破裂寸前でした。
だって今日、聖地リヴァプールの路上で歌うんですもの。もちろん、道行く人は皆さんビートルズファンで、外人さん…って今は私が外人だけどね。
「ヨーコはナーヴァスになっているのね」
「大丈夫!! 楽しんでパフォーマンスしてくるのよ!!」
リズやファミリーの皆に励まされ、私はギターを背負いました。
今夜からシティーセンター近くにある「フェザーズホテル」に移るため、リズとはこの朝でお別れです。
私はリズに最後に伝えました。自分は最高に幸せ者だ、行って来るぜ!!、って。そしてリズは、
「Good Luck!!」
シティカウンシルのテリーさんとの待ち合わせは、パブ・グレープス前に11:00AM。
「ピンクの帽子をかぶってます」が目印のジャパニーズの前に、映画に出てきそうなメガネのブリティッシュパパ、テリーさんが現れました。
「ヨーコ、君の帽子はブルーが入ってるよ、ピンク&ブルーじゃないか、はっはっは!!」
穏やかなトーンの口調に、優しい笑顔。すぐに打ち解けた私とテリーさん、パフォーマンスまでの時間をまるで親子のように、観光案内して頂いたりカフェに入ったりして過ごしました。
「OK…ヨーコ、そろそろ時間だ、演奏前に君に紹介したい人が居るんだ」
「???」
私は訳も分らないまま、テリーさんとマシューストリートへ戻りました。
すると、大きなカメラを首から下げた若い男の人が手を振ってこちらに駆け寄って来ました。
「ハロー、ヨーコ!! 君のフォトを撮りたいんだ!! Liverpool ECHO って知ってるかな?!」
「…?? リヴァプールエコー???」
「リヴァプールの新聞のカメラマンだよ、ヨーコ」
テリーさんが私の肩を叩きました。
私の頭はまだ理解できないまま、ストリートで「オリジナルギター」をケースから取り出し、ストラップを肩にかけました。
「ヨーコ、演奏前にジョンにキスを!!」
「ははは!!!」
カメラを向けておかしな事ばかり言う、陽気なカメラマンのおかげで私の緊張はすっかり無くなっていました。
そして、オリジナルギターを抱えた私は、マシューストリートを見守るジョン・レノンの銅像にキスをしました。
「 I SAW HER STANDING THERE 」
ギターを鳴らした瞬間から、私は楽しくてしょうがありませんでした。
道行く人が、立ち止まったり、ちらり見て通り過ぎたり…そんな事は気にもならず、ただただ、心の中でこう叫びながら歌っていました。
「大好き、リヴァプール!! 最高だよ!!」
(つづく)
John & Yoko!