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「遠くて近い Anfield − The Long and Winding Road To Liverpool」 / earlybird 

   第5話 マジカル・ミステリー・ツアー

第5話 <マジカル・ミステリー・ツアー>

遠路はるばるだったけど、ようやくリバプールにたどりつきました。
駅を出ると、空は晴れわたり、空気は心地よく乾いていて、街を散策するにはもってこいの陽気です。
いま目の前にあるこの街の、この通りを、もしかしたらレッズの誰かが車で走り抜けているかも知れない。
(みんなと同じ空気を吸っているんだ!)
そう思うだけで、ウキウキしてくるじゃありませんか。

とりあえず、クイーン・スクウェアにあるツーリスト・インフォメーションを目指すことにしました。右手にセント・ジョージ・ホールらしき建物、正面にはショッピングモールのような建物が見えます。通りが斜めに走っているせいか、位置関係がよくつかめません。仕方ないので、見当をつけて歩き出しました。
Liverpool FC Official Club Store; Copyright(C) 2005 scousehouse
標識を見ながら進むと、広場のような場所の一角に、リバプールFCのショップを発見! ここを素通りできるはずがない。ちょっとのぞいてみると、スカーフからTシャツ、ランチボックス、マグカップまで、レッズカラー一色! チャンピオンズリーグの記念グッズもある。ここに足を踏み入れたら1時間はつぶれてしまいそう。先を急ごう。

インフォメーションはショップの先にありました。まずはここで、ビートルズゆかりの場所を回る『マジカル・ミステリー・ツアー』の予約を取ってもらいました。集合までの待ち時間にショップに戻り、スカーフを仕入れました。モリエンテスが入団会見のときに掲げていたスタンダードなロゴのやつ。これが欲しかったんですよね♪

ビートルズは、今回のリバプール訪問のもう一つの目的でした。
最近でこそゆっくり聴くヒマもなく、遠ざかっていたのですが、私の中学、高校時代はビートルズを中心に回っていたようなものでした。
彼らとの出会いがなければ、ずいぶん違った人生になっていたような気がします。そんなわけで、彼らのゆかりの地を訪ねることも楽しみにしていたのです。

意気揚々とツアーのバスに乗り込んだまではよかったのですが、ガイドさんの喋りを聞いて、やばい! と思いました。英語がサッパリ分からないんです。私の語彙の狭さと、彼の独特の訛りのために、最初の1、2センテンスくらいしかついていけないんですね。
Dave さんとの車中のお喋りで、ちょっぴり自信を回復していただけにショックでした。

おそらく、ポールのホームカミングツアーのライブの様子とか、ポール本人に会ったときのエピソードなどを、色々ジョークを交えて話していたようなんですが、2割も理解できていなかったと思います。他のお客さんが、冗談に反応して笑っているのに、ついていけないのがまた寂しい(これならスカウスハウスで日本語ガイドのツアーを頼んでおけばよかった…)。
ポールの家の前にて。ツアーガイドのお兄さん Copyright(C) 2005 earlybird ミステリアスな雰囲気の Strawberry Field; Copyright(C) 2005 earlybird

なかには非常にマニアックなファンもいて、ガイドさんが繰り出す『○年○月○日のライブで演奏された曲は?』みたいなカルトな質問にもばっちり答えていました。世の中にはビートルズに命を賭けてるヒトもいるんですね。私は、忙しさを口実に遠ざかっていたかも…と反省しました。
どんな少年時代だったのか…ジョージの家 Copyright(C) 2005 earlybird
でも、メンバーの生家(思いのほかこぢんまりした住まいだった)や、ポールがブレイクした後も住んでいたという家、ミミおばさんの家、保存できるかどうかの瀬戸際というストロベリー・フィールズ、キャバーン・クラブやグレープスなど、彼らが辿った足跡を回ることができて、大満足でした。
ジョージの生家を見たとき、一瞬、言い知れない寂しさがよぎったのですが、その時以外は冷静に眺めていられるのが、自分でも不思議でした。

そして、バスで色々なエリアを周るうちに、この街が思いのほか公園や緑に恵まれていて、静かで住みやすそうな街という印象も受けたのでした。

(つづく)

   
バックナンバー

第1話
思い立ったが Anfield

第2話
思い立ってからが
また大変…


第3話
チャレンジ、またチャレンジ


第4話
憧れのマージーサイドへ


第5話
マジカル・ミステリー・ツアー


第6話
ブランデルサンズの
ステキなゲストハウス


第7話
身近な Anfield


第8話
もう一度、
ビートルズと向き合う


第9話
いざ、最終戦へ!


第10話
なごやかなエンディング

第11話
いつかまた、訪れる日まで


from NLW No.211 - July 19, 2005     

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