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「遠くて近い Anfield − The Long and Winding Road To Liverpool」 / earlybird 

   第6話 ブランデルサンズのステキなゲストハウス

第6話 <ブランデルサンズのステキなゲストハウス>

キャバーン・クラブの前でツアーは解散、ひとしきり記念撮影をしたところで時計をみると5時。
アメックスのオフィスを探し、トラベラーズチェックの換金をしているうちに、ショッピング街は店じまいを始めていました。
まだ夕暮れという感じでもないのに、ロンドンと違って街を出歩くヒトは少ないような気がします。東京の夜を見慣れていると、閑散とした感じです。金曜日の夜というのにこの違いは…。
初めての街で、人通りも少なく、開いているお店もなかなか目につかないとなると、さすがに心細くなってきました。

やっと開いているカフェを見つけたので、入ってみました。
『本日お勧めのチキンパイ!』なんて看板にうたっているわりには、『もうない』って、にべもないお返事。変わりにビーフパイなるものを注文したら、レンジでチンしただけの妙にしょっぱいものが出てきました。どうりでお客が入っていないわけだ…。

気を取り直して、ゲストハウスに向かうことにしました。
Lime Street 駅から Mersey Rail に乗り、Moorfields で Southport 行きに乗り換えて、Blundellsands & Crosby へ。
港町らしい眺めの向こうに、夕陽が沈んでゆきます。明日はいよいよ念願の Anfield 初訪問。どんな1日が待っているやら。

Blundellsands & Crosby Station; Copyright(C) 2005 scousehouseやがて電車は Blundellsands の駅に着きました。これがまた、降りる人もまばらな、非常に静かでこぢんまりした駅です。駅の前にはお店の1軒もなく、メインストリートも人っ子ひとり、車一台通らない静けさ。聞こえてくるのは小鳥のさえずりだけ。道の両側には、ひろーいお庭つきの一軒家が並んでいます。
Dave さんがすごくいい所と強調してたけど、なるほど、ここはリバプールの成城か、芦屋かも…と思ううちに、ゲストハウスが見えてきました。

こんなお家に住んでみたい…憧れのゲストハウス Copyright(C) 2005 earlybird手入れの行き届いたお庭に、大きな出窓がいくつもある2階建ての一軒家でした!
(日本じゃ一生かかっても手に入らないよなあ…)
ベルを押すと、ミセス・マーシャルが満面の笑みで出迎えてくれました。
再びドキドキしながらご挨拶。
年のころ50代なかばでしょうか、ブロンドにハスキーボイス、気さくでさっぱりした感じのマダムです。中にはいると、白い壁に赤を基調にしたファブリックやカーペットといい、アンティーク風の家具や置物といい、バランスのとれたセンスが感じられます。

コンパクトなシングルルーム Copyright(C) 2005 earlybird案内された中2階のシングルルームは、コンパクトながらも居心地のいい空間で、大きな3面の白いドレッサーにはティーセット、ミネラルウオーターが用意され、寝心地のよさそうなセミダブルのベッド、寝転んで見られる位置にケーブルテレビが備え付け。共有のバスルームは、かなりゆったりした作りで、バスタブは大理石? さりげなく鉢植えなどが飾られています。

どこもかしこも、インテリア雑誌から抜け出てきたよう。ビジネスライクなロンドンのホテルより、よっぽど快適に過ごせそうです。やっぱりここを選んで大正解でした。
荷物をほどくのももどかしく、ベッドにゴロンと横になると、長旅の疲れも手伝ってそのまま寝入ってしまいました。

(つづく)

   
バックナンバー

第1話
思い立ったが Anfield

第2話
思い立ってからが
また大変…


第3話
チャレンジ、またチャレンジ


第4話
憧れのマージーサイドへ


第5話
マジカル・ミステリー・ツアー


第6話
ブランデルサンズの
ステキなゲストハウス


第7話
身近な Anfield


第8話
もう一度、
ビートルズと向き合う


第9話
いざ、最終戦へ!


第10話
なごやかなエンディング

第11話
いつかまた、訪れる日まで


from NLW No.212 - July 26, 2005     

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