トップ・ページ>NLWライブラリー>遠くて近いAnfield

   



「遠くて近い Anfield − The Long and Winding Road To Liverpool」 / earlybird 

   第7話 身近な Anfield

第7話 <身近な Anfield >

Blundellsands の静かな朝 Copyright(C) 2005 earlybird滞在2日め。今日もいいお天気になりそうな予感。
階下のダイニングルームに顔を出すと、すでに朝食のセッティングができていました。
トレイナーの研修で来ているというイギリス青年と隣同士で、またぎこちなくなってしまいます。
ゲストハウスの主人・リズさんが適度に2人に話を振ってくれるのですが、やっぱりネイティブ同士の話になると、ついていくのはキビシイですね…。

リズさんお手製の朝ごはんは、グレープフルーツ(大好物なのだ!)に始まって、目玉焼き、ベーコン、ソーセージ、マッシュルーム&トマトのプレート、トーストにジュース、紅茶とすごい充実ぶり! (他にシリアルも用意してありました)
これだけお腹に詰め込めば、お昼抜きでも歩き回れそうなくらいの勢いです。

気力・体力ともに充填できたところで、いよいよ Anfield めざして出発です。
陽射しはまぶしく、これ以上ないくらいの快晴。ちょっと日焼けも心配になってきました。
昨日は人気もまばらだった Blundellsands の駅も、今日は Central に向かう人がちらほら。アジア系の人は見当たりません。地元の方の目に東洋人の私はどう映ったでしょう…。

Blundellsands & Crosby Station; Copyright(C) 2005 scousehouseこの日は駅員さんのお勧めで、Save Away チケット(2.10ポンド)を買いました。これがあれば、電車とバス( Anfield 行きに利用)両方が1日乗り放題というスグレモノです。
車中ではバレンシアのウオームアップスーツを着た少年を発見。ひょっとしてベニテス監督のファンでしょうか。

今日は最初に片付けるべきことがありました。明日はリバプール在住の知人Sさんと Anfield で落ち合う予定で、連絡をとらなくてはなりません。
初日のトラブル以来、電話が怖くて避けていたのですが、今回ばかりはかけざるを得なくなりました。腹をくくっていざチャレンジ。
コインを入れて、ナンバーを押して…あれ?! ちゃんと呼び出し音が聞こえる。

『Hello!』

聞き憶えのあるSさんの声! ちゃんと通じました。初日は何度かけても自動音声に冷たくあしらわれて、繋がらなかったのに〜! 何だったんでしょう。
きっとロンドンの公衆電話は壊れてたんだ、そう思うことにしました。

予定が決まってひと安心、次はスタジアム・ツアーの予約をするためにツーリスト・インフォメーションを訪ねました。ところがどっこい、聞けば予約は満杯で、次にとれるのは火曜日とのこと。ガックリ。土曜日なので混んでいたのですね。これなら昨日のうちに行っておけばよかった。ここまで来てスタジアムツアーに行けないなんて…。まあ、私の判断も甘かったし、電話で予約すればよかったのに怖気づいて出来なかったんですね…。

とりあえず Anfield に行くだけ行ってみよう。
通りの反対側のバス停に、赤いユニフォームを着込んだサポと思しきおっちゃんが並んでいます。Anfield に行くバスかどうか恐る恐るたずねてみると、もちろん! との返事。おっちゃんたちの後に続いてバスに乗り込みました。おっちゃんたちの会話はやっぱり聞き取れない。ここの人たちの訛りには、なかなか耳がついていけないですね…。

そうこうするうち、ついに Anfield スタジアムに着きました。ついにたどり着いた! Anfield の堂々たる外観 Copyright(C) 2005 earlybird
普通の通りの向こうに、いきなり現れるのです。堂々とした外観にも関わらず、さりげなくご近所に立っているという印象でした。周りは普通の家や倉庫が立ち並び、これといって気のきいたお店があるわけでもないようです。あ、何軒かパブは見かけましたけどね。
試合のない日にも関わらず、ユニフォームに身をつつんだサポーターの方々が、そこかしこにいらっしゃいます。私のようなツーリストらしき人もちらほら。明日はもっとすごい人出なんでしょう。おっと、シャンクリーさまの銅像だ♪ 夢じゃない、ホンモノなんですよね…。

ツアー&ミュージアムセンターを発見したので、もういちど確認してみました。やっぱりツアーは満杯で、次は月曜日の3時とのこと。もうその頃にはロンドンに向かう車中ですよ…。
泣く泣くツアーは諦めて、ミュージアムだけ見ることにしました。チケットを買って2階にあがると、ヒルズボロの犠牲者の名を記したパネルが目につきます。廊下のパネルには、シャビ・アロンソとファンとの交流会(?)の様子や、モリエンテスの入団会見を撮影したものもありました。
スペイン時代から大好きだった2人も、いまや立派なレッズ戦士のようです。その2人のプレーを、キャプテンのタックルを、リーセのキャノンシュートを、元気なシセの姿を、明日は目の前で見られるかも知れない。ホントに、はるばる来た甲斐がありました。いやがおうにも期待は高まります。
先ほどのおっちゃんたちも2階に来て、記念撮影をしています。リバプールFCのエンブレムの前で、シャッターを押してくれるようにお願いすると、快く応じてくれました。ただ、やっぱり言葉が聞き取れなくて、それ以上のやりとりができなかったのが残念です…。

ミュージアムには大小さまざまなトロフィー、お宝の山々が展示されていました。レジェンドの方のユニやシューズを飾ったケースもあります。
ファン歴の長い方には、垂涎ものなんでしょうね(もっとレッズの歴史を勉強してくるべきだったと反省…)。
交換したペナントの数々、FAカップ、UEFAカップにバロンドール、先のユベントス戦のメモリアルプレートのようなものもありました。
ひときわ目を引くのが、燦然と輝く4つのビッグイヤー。伝統と栄光の歴史と。背負っているものの重みを感じます。でも、今のレッズなら、みんなの力を結集して、その重みを担っていけるはず。
ぜひここに5つめのカップを持ち帰ってほしい、いや5つといわず、6つでも7つでも…。

ミュージアムの一角には、昔のKOPスタンドを模した場所があり、クラブの歴史や数々の名場面を短くまとめたフィルムが見られるようになっていました。
立ち見のスタンドで、スカーフを掲げて声援をおくるかつてのKOPの姿、その熱狂ぶりは凄まじかったようですね。今のKOPも、もちろん素晴らしいのですが、それさえもおとなしく見えるくらいの熱気を感じました。

それにしても、チームとサポーターが一緒になって、素晴らしい歴史をつくりあげてきたリバプールFCというクラブを、いつも身近に感じられる地元の人たちが、ホントにうらやましく思えてくるのでした。

(つづく)

   
バックナンバー

第1話
思い立ったが Anfield

第2話
思い立ってからが
また大変…


第3話
チャレンジ、またチャレンジ


第4話
憧れのマージーサイドへ


第5話
マジカル・ミステリー・ツアー


第6話
ブランデルサンズの
ステキなゲストハウス


第7話
身近な Anfield


第8話
もう一度、
ビートルズと向き合う


第9話
いざ、最終戦へ!


第10話
なごやかなエンディング

第11話
いつかまた、訪れる日まで


from NLW No.213 - August 02, 2005     

Copyright(C) 2005 earlybird

トップ・ページ>NLWライブラリー>遠くて近いAnfield